パンが好きだ。

パン屋をやりたいくらい好きである。

「義母と娘のブルース」を観ていた時も、佐藤健のパン屋「ベーカリー麦田」が出てくるたびに、

パン屋いいなあ、、、と憧れていた。

 

最近、10年来行きつけの美容院の美容師さんから、美味しいと聞いてたまに買うようになったのが、ナチュラルベーカリー パン工房 くりいむ である。

小さなお店で、いつも節電のためか電気がついていない、御主人と奥さんだけで切り盛りしている店だ。

 

自宅周辺には、ペニーレーンや、パンデパルクなど、有力なパン屋さんがある。

カルナに入っている、ポンヌフも美味しい。

ペニーレーンは最近高級化しすぎて、その味と値段のバランスに納得いかなくなり、御無沙汰している。

ポンヌフや、パンデパルクは、美味しくてお値段も納得なので利用しているが、くりいむは、そこに加えて、作り手の人柄が見える、というところでポイントが高い。

 

パンの値付けは、クオリティを考えると、ちょっと安すぎるのではないか、と思えるのだが、それもご主人の人柄に触れると納得がいく。

きっと、美味しいものをたくさんの人に味わってほしい、というパン職人の気概からなのだ。

 

先の美容師さんによると、御主人も60を迎えるので、そろそろ引退しようかとこぼしているとのこと。

せっかくいいパン屋さんが見つかったのに、それは非常に残念。

そんなこともあって、今日も都内へ定期健康診断に行った帰りに立ち寄り、パンを買ってきた。今どき6~7個も買って1300円ちょっと、って安すぎないだろうか。

 

あんパンなどは、たっぷりのアンコに塩味の効いたパンが絶妙で、こだわりを感じる。

またカレーパンは、カレーがこれでもか、と詰まっていて、カレーパン好きのMATTにとっては、これまでの人生でNo1の評価だ。

 

パン好きなので、つい熱くなってしまったが、できる限り長く営業していただきたいし、そうであれば、これからも応援していきたい。

もう3年も前のドラマなのね。

時の経つのは何と早いことよ。。。。

 

以前から観ようと思っていたが後回しに。

だが、松本若菜のブレイク作品というのが、視聴意欲をかきたてた。

そして結論から言うと、想定外に面白いドラマであった。

 

原作はこやまゆかり、よくある上流階級と庶民とのラブストーリーかと踏んでいたら、いい意味で期待を大きく裏切られる。

原作の良さもあるだろうが、脚本、田中亮の演出ともに冴えわたっていたと思う。

全11話だが、各エピソードでイベントが盛りだくさん、次が自然と観たくなる作りになっていて、飽きさせない。

 

閉鎖的かつ排他的な、由緒正しい上流階級の一族に嫁いだ、THE庶民の家庭に生まれた主人公・篠原佐都の奮闘記。

こう書いてしまうと平凡なのだが、キャラの立った数々の登場人物(特に女性陣)、主人公の佐都と、お相手のやんごとなき一族である深山家の次男・健太(松下洸平)のピュアで一途な愛、次から次へと起こる様々なトラブルの多彩さなどが上手くミックスされて、最高のエンタテインメントに仕上がっている。

 

特にコメディでありながら、旧くカビの生えた男社会の抑圧に苦しむ女性を、これでもかというくらいフォーカスして描き、社会派的な視点も備えている。

それを説教臭くならずに、観る者が考える余地を与えてくれている辺り、上手い作りだと思う。

 

噂の松本若菜だが、話題になっただけあって、長男・深山明人(尾上松也)の妻・美保子をノリノリで演じている。

目ざわりな佐都を徹底的にいじめ抜く、そのやり方もコミカルかつ陰湿でユニーク。

しかし、彼女自身も恵まれない育ちで、血のにじむような思いでのし上がり、深山家に嫁いだ。その人生が苦労人の松本若菜と重なって興味深い。

 

「松本劇場」と話題になった。

美貌+コミカルがたまらない。

苦労人の彼女を、これからも応援したい。

 

旧家のしきたりや、古い価値観に立ち向かう女性たちの物語であったことは間違いない。

松本若菜を筆頭に、木村多江、長谷川京子、馬場ふみか、石野真子、松本妃代、佐々木希、キムラ緑子そして倍賞美津子ら、まさに女優陣の熱のこもった演技に支えられた作品だった。

木村多江の幸薄い安定の演技(笑)、佐々木希のサイコパスの脅威、倍賞美津子の存在感など、見どころ有り。

 

だが、この作品がそこまで盛り上がったのには、もう一つ理由があると考える。

それは女性たちを徹底的に、それこそ容赦ないほどに抑圧してきた、旧い価値観の権化のような存在の、深山家当主・深山圭一を演じた石橋凌の圧倒的な存在感だ。

彼の威厳があり、冷徹な演技があったからこそ、女優陣の活躍に光が当たったと思う。

 

石橋凌の演技が光った作品。

木村多江が妻というのも、素晴らしいキャスティングだった。

 

400年も続いた名家を守るためであれば、全力でどんなことでもやるという姿は、何故そこまでと見えるかもしれない。

だが、彼は彼の信じる正義を貫いているだけなのだ。

ただその手法があまりに周囲への思いやりに欠けていたため、非難の的になっただけ。

得てして仕事に没頭する男というのは、こういう姿になるのではないだろうか。

そんな名家の当主を、石橋凌は威厳と悲哀をこめて最高の演技で演じ切った。

素晴らしいと思う。

 

共演、ゲストはなかなかバラエティに富んでいる。

ダチョウ倶楽部は、放送途中で上島竜平が急逝するという不幸が。

渡邊圭佑、小沢真珠、石黒賢、田山涼成、ふせえり、橋爪淳、 葉山奨之、森田柑路、矢柴俊博、阿南敦子、篠井英介、柴田理恵、伊藤麻美子、小林きな子など。

ちょい役で出ている役者も多く、贅沢だ。

 

主演の土屋太鳳は、これだけの個性豊かな役者を相手に回し、しっかりした演技で主役を演じ切ったのだから、やはり実力あるのだろう。

出産後に出演した「海に眠るダイヤモンド」の時は、少し痩せすぎではないかと感じた。

本作のころの方が、健康的で好きだけど。。。

 

最期に、土屋太鳳を持ち上げておきながら言うのはなんだけど、それでも、このドラマは松本若菜と石橋凌の二人の存在が大きかったと、あらためて言いたい。

 

フジTVはこういうエンタメ作品を作ると、とてもいい作品を作る。

今は厳しい時期だとは思うが、また良作を世に送り出してほしい。

6年前の時は、HPの施工事例に加えて、ブログで詳細な施工記録を載せてもらった。

 

 

 

今回は施工事例としての掲載。

 

 

そして今日、Apec’sさんのLINEニュースがupされたので開いたら、そこにもMATTのFD2の写真が載っていた。

 

 

こんなに扱ってもらえて、オーナーとしては嬉しい限り。

今回の施工でも、ディープバイオレットパールの美しい塗装が完璧に蘇り、また大事に乗ろうという気持ちになれた。

Apec’sの皆さま、ありがとうございました。

 

愛車の塗装を大事にしたいすべての人に、Apec’sさんをお勧めしたい。

技術、スタッフの情熱、サービス、すべて一流。

今後も定期メンテで引き続き、お世話になります。

大好きな今泉力哉の監督作だと思って観たら、脚本協力で、監督は城定秀夫。

ただ、今泉ワールドは健在だった。

 

女優陣は推し女優の3人そろい踏み。

さとうほなみ、向里祐香、河合優実の3人。

2022年の作品なので、河合優実はブレーク一歩手前。


彼女の演技はナチュラルな中にリアリティをちらつかせるが、物語冒頭で、瀬戸康史演じる多田に突然の告白をする女子高生・岬を、初々しさと不気味さをミックスして、演じている。

大人の男から見た、女子高生の正体不明な感じがよく表現されていて、さすが。

 

まだいくつかの主演作が未見だが、これまで観た作品ですごいと感じたのは、WOWWOW版の「さまよう刃」の演技。彼女の存在が物語にリアリティを付加していた。

「RoOT/ルート」や「ワンナイト・モーニング」も必見だ。

 

河合優実。

最近マスコミは彼女を持ち上げすぎ。

実力あるのはわかっているが、まだ若い。

これからもっと成長するのだから、温かく見守ってほしい。

 

さとうほなみと向里祐香は、ともに文字通り体当たりの演技で存在感を見せている。

二人ともバストアップのヌードは惜しげもなく、向里祐香に至ってはお尻も含め全裸まで。

二人の女優の激しいベッドシーンは、実はこの映画には欠かせない。

 

さとうほなみ。

性経験の少ない花嫁を演じる。

ベッドシーンでは見事なバストをさらけ出していて、ちょっと困る・・・笑

 

向里祐香。

この作品に限って言えばだが、さとうほなみより色気があった。

他の作品でも、彼女の色香はすさまじい。

若手では貴重な存在。

 

瀬戸康史は人気、実力ともに折り紙付きだが、もう一人の主役である、中島歩は、最近朝ドラ「あんぱん」で注目されているようだ。

もうずっと前から好きな俳優で、「偶然と想像」で見せたようなダメ男役が多かったが、最近は「A Table!]での優しい夫や、「ガンニバル2」での後藤家の狂犬のようにワイルドな男など、実に幅広い。キンチョーのCMでの、長澤まさみとのコミカルなやり取りも絶妙で、いよいよブレークしてくれるかと期待している。

 

中島歩。

なんでもできる実力者。

「ガンニバル2」では、マジ、驚いた。

 

それは、「愛」の表現が肉欲そのものになっているからだ。

若田亮介(演:中島歩)と佐伯一花(演:さとうほなみ)の結婚式を担当している、熊本美樹(演:向里祐香)は、亮介と不倫関係。

物語終盤に、美樹は亮介に言い放つ。

「気づいていないと思うけど、SEXヘタですよね」

 

この少し前、亮介が誰かと不貞を犯したことに腹を立てた一花は、報復目的で、かつて彼女に想いを寄せていた多田にお願いし、一夜を共にした。

罪悪感に苛まれるかと思っていたら、多田とのSEXが思いのほか気持ちよかったことに驚く。

そして、それは多田がSEXが巧いのか、はたまた亮介がヘタなのかという疑問につながり。。。

 

さてどうなることやらと気を揉んだものの、結局、一花は亮介と予定通り結婚する。

この展開がとても面白い。

前半の岬のどこまでもピュアで一途な愛を見せられて、はて純愛路線かと思いきや、愛だなんだと言ってもつまるところ、男と女の間にはSEXという逃れられない禁断の果実がある、と後半であらためて知らされる。

だからこそ、キリスト教のような宗教が人々の間に広まり、人は自らを律する術を得ることになるのだろう。(ちなみに今泉力哉は、キリスト教徒だ)

 

一花は結局、亮介がヘタなのか多田が巧いのかがわからないまま、結婚したということか。一方で、多田は深夜に家に乗り込んできた岬の両親と揉めて警察沙汰になりながらも、岬の純愛を受け入れる決意をしたようだ。

 

だが、果たして彼らは将来、お互いに幸せになれるのだろうか。

多田は一花を諦められたのだろうか。一花は、亮介と結婚しても夜の営みに満足できるのか。美樹に指摘された亮介は、彼女のアドバイス通り、風俗で特訓するのか?

これらは、不確定な未来を暗示している。

快楽を求めるのも愛、純愛も愛。どちらも愛の一形態。

この物語には、まだまだ続きがある、と匂わせているのがシニカルである。

 

あまり共演者はいないが、毎熊克哉がほんとにちょい役で出演。

今泉力哉監督の2019年の作品「愛がなんだ」も、あわせて観たい。

これは大変重要なのに、アマチュアはラウンド中にほとんど意識がない。

 

先日のネットで見た記事では、プロがアドレス時に両足をバタバタと踏みなおしているのは、ボールとの距離を確かめているとのことだった。

そこで、この記事ではアマチュアはアドレスした時に、少しかかと体重にしてみるといい、とあった。そうすると、ボールとの距離が適切かどうかわかるらしい。

 

最近アイアンが酷いので、今日の練習で試してみたが、どうもボールから離れて立ちすぎていたようだ。適切な距離を保ってアドレスしてから打つと、当たりが戻ってきた。

 

またもアドレスの重要性に気づかされた。

打ち方よりも、打つ前の準備ができていない。

次回ラウンドで意識しようと思う。

 

5月17日にボディショップイシカワさんにFD2を預けた。

代車は以前所有していた2ndフィット(ライトブルー)。

慣れ親しんだ車だったので、乗りやすかった。

 

 

2週間経って無事再塗装を追えて昨日AM、強風・豪雨の中、引き取りに行き、その足でApec’sさんへ。

再度、ポリマーコーティング5年コースをボンネットのみ無料でやってくださるというご厚意。

感謝いたします。

 

代車は初代アウディA1。

 

コンパクトカーだが、リアシートを倒せばゴルフバッグも載る。

反対側を倒せば、3人・3バッグまでは行けそうだ。

 

アクセルペダルのピックアップがややセンシティブなので、踏み始めに気を遣う。

シャシーはガッチリ感があり、エンジンも(1.1Lか1.4Lターボか不明)吹きあがりがスムーズで加速感も良い。

走らせるとさすがドイツ車、コンパクトカーを感じさせない重厚感があり、この辺がコンパクトカーでも高速移動を前提として作られている、ドイツ車の信頼感につながっているのだろう。

 

話が逸れてしまったが、FD2は本日お昼に仕上がってきた。

見事なフィニッシュ。

これでルーフもボンネットも新車同様。

Cピラーの当たりにやや塗装の劣化が見られるが、そこまでやると、もう全塗装になってしまうので、ひとまずこれでいったん終わりとしたい。

 

こうなったら、早くガレージを作らないと、、、、、

 

のん。

 

「あまちゃん」を完全に観たことがないので、今まで書くのに気が引けていた。

あの作品で能年玲奈としてデビューしたのんは、最初のころはまあ、演技は・・・だった。

でも最近の彼女は、どの出演作でもすごいなあ、、、と思う演技を見せつけてくれる。

 

朝ドラは、新人無名女優の出世のきっかけだった時代もあったが、必ずしも皆がその後人気女優の階段をかけあがったわけではない。そんなに甘い世界ではないのだろう。

 

のん、が女優として輝くようになったのも、彼女のあふれる才能と大変な努力があったからに違いない。地上波でなかなか見られないのが残念だが、別にいい。

配信系や映画で見られれば。

今日観た、「私にふさわしいホテル」は、彼女の魅力を満喫できるMUST SEEの一品。

お勧めだ。

不覚だった。

こんな面白い映画だったとは。

世間的に大きな話題となっていなくとも、輝く作品はあるのだ。

 

原作は「伊藤くんA to E」、「ナイルパーチの女子会」「ユーミンストーリーズ」などの柚木麻子。

監督は堤幸彦だ。

これはもう、面白いに違いない、と。

 

主演はのん。のん、についてはまた別途書きたい。

この映画を観て彼女の女優としての実力と存在感は、確かなものだと確信した。

のんが主人公でよかった、と思えるからだ。

 

共演は今(良くない意味で)話題の、田中圭、そして滝藤賢一。

田中みな実、若村麻由美、高石あかり、永瀬ゆずな(カナカナのあの子)なども出演。

光石研や、平山祐介などはちょい役だ。

橋本愛もゲストで出ているが、のんとの共演というのが心憎い。

 

橋本愛とのん。

将来にわたって、この二人が共演するたびに、ファンはあの作品を懐かしむのだろう。

 

現在休館中の山の上ホテルで最後に撮影された作品として、貴重な映画ともいえる。

MATTの母校のすぐ近くにあって、学生時代にはよく前を歩いた。

現在はその明大が土地・建物を取得したらしい。

 

原作は現代劇なのに、映画では80年代に変更されている。

なぜ?と思う反面、柚木麻子の描く世界は80年代の、今以上に男社会が色濃かった時代を舞台とすることで、より原作の世界を描きやすかったからだろうか。

 

冒頭の30分で離脱してしまう人もいるかもしれない。

中島加代子(のん)と遠藤(田中圭)、東十条(滝藤賢一)の3人の、スピード感あふれるやり取りについていけないと、少々苦しいかも。

でも、この3人の非日常な会話と行動が、ジェットコースターよろしく展開されていく中盤以降は、ぐいぐいとストーリーに引き込まれていく。

 

のんが演じる新人作家の、直情径行的な情熱に支えられた、破天荒な行動は、男性社会に対する嫌悪と挑戦のように見える。

柚木麻子の作品に一貫して流れる、男女間の絶望的な溝というテーマ性によるものか。

かといって、ドロドロしたものは感じさせず、のんのキレのあるセリフ回しと演技が、爽快感を与えてくれる。

それは東十条のような、男社会の歯車ではあるのだけど、仕事に真摯に向き合うマジメで正直な男の存在も大きいかもしれない。彼と加代子との間に芽生える、奇妙な共闘の有志のような関係が、とても良い。

 

劇中、すごく印象的な演出というかカメラワークのシーンがあった。

それは東十条の家で、東十条の家族(演:若村麻由美、高石あかり)に、加代子の正体がばれるシーン。若村麻由美演じる東十条の妻に、その真偽を問われた時、加代子の目を隠したカットに切り替わる。

のんの口元の演技だけで、この後どんな展開になったか、を表現したこのシーンは何とも心憎い演出だった。さすが堤幸彦。。。

 

どんな困難やピンチに直面しても、自分が行きたいところへまっすぐに突き進む、その勢いとパワーを持っている中島加代子は、そのままのんと重なるところがある。

この映画は、のんが主役でないと成り立たない作品だった。

 

そういう意味で、ひとつの役を演じ切ることができる俳優こそ、名優といえるか。

のん、の女優としての時代はこれからだと確信した作品だった。

映画好きなら、観るべき作品だと思う。

データ整理をしていたら、池脇千鶴がちぃちゃんと呼ばれていたころの画像が出て来た。

たぶん、2000年代前半頃だろう。

 

「なにわ金融道」にゲスト出演していたけど、関西弁のちぃちゃんは本当に可愛かった。

今では女優魂を前面に出し、ドラマ・映画に出演するたびに、文字通りの変幻自在ぶりを発揮している。

その演技力とプロ意識は本当にすごいのだが、昔からのファンとしては、この頃がすごく懐かしく感じられる今日この頃。。。

 

 

 

 

 

 

 

春ドラマは厳選した5作品に絞って観ることにした。

そして、そのすべてが良作で、宝くじを当てたような気分で嬉しい。

その中で先陣を切って、今日最終回を迎えたのが、桜井ユキ主演のこのドラマ。

 

漫画家の水凪トリの原作で、桜井ユキ演じる麦巻さとこは膠原病を患いながら生きているが、これは水凪トリも実際に病気にかかったことから、実体験をもとにしているそうだ。

 

桜井ユキのことは、ずっと実力派女優だと見ていた。

何も特別なことが起こらない日常で、普通の女性が一人で生きていく、というような役は心の内面の表現力の自然さが問われる。彼女はその点、とても芝居に深みがある。

桜井ユキにとっても「だから私は推しました」に並ぶ、代表作になったと思う。

 

控え目で優しい桜井ユキ、というのも魅力だった。

長く下積みで頑張ってきたからこそ、の演技力。

土居志央梨とは「虎に翼」での、よねさんと涼子様以来の共演。

 

同じNHKで好評だった「団地のふたり」でも舞台の滝山団地が、今回も舞台になっている。巷で最近話題の団地、ドロドロ展開も伏線回収もないホッコリ系、身近な日常を描く、など地味ながらも、受けのいいコンテンツを含んだストーリー。

 

そこに桜井ユキという実力ある女優に、宮沢氷魚(役:羽白司)、加賀まりこ(役:美山鈴)、土井志央梨(役:高麗なつき)や、北乃きい、西山潤、福士誠治(役:唐圭一郎)、田畑智子(役:青葉乙女)、朝加真由美(役:麦巻恵子)、安定した配役があれば、ドラマとして破綻はない。

その他ゲストには、NHK御用達の宮崎美子、安藤聖、前田亜季、渡辺哲ら。

 

加賀まりこは81歳という、年齢を感じさせない若々しい演技で女優魂を感じた。

宮沢氷魚は、この司という役にはピタリとはまった気がした。こういうどこかつかみどころのない男、いいと思う。

土居志央梨はすっかりNHK女優になった。これまでどれもクセの強い役ばかりだが、そうでない彼女もいつか見てみたい。

 

主人公の麦巻さとこは、一見健常者に見えるものの、不安定な健康状態になりがちな膠原病を患うことで、なかなか仕事を見つけられない。

病気のことを母親にも理解してもらえず、一人きりで頑張って生きてきたさとこは、移り住んだ団地の部屋のオーナーである鈴や、その同居人の司と出会い、また新たな職場で唐や青葉らと関わり、彼らの優しさに触れることで、少しずつ変わっていく。

 

最終回で、電話でさとこが司に「はじめて自分を大事にすることができた」と伝えるくだりがある。自分のことをさておいて、人に優しくすることを自分に強いてきたさとこ。

だけど、それで疲弊しきった結果がボロボロになった自分。

その姿は、現代に生きる心優しいひとたちにも通じるものがあったのか。

だからこそ、このドラマが強い支持を得て、見逃し配信再生数で20年以降のNHKドラマで、過去最高の記録を打ち出したのだろうか。

 

頑張り過ぎたさとこが、周囲の人の温かさに支えられて再生していくその過程を、丁寧に描いていくことで、観る者を得も言われぬ優しい気持ちにさせてくれる。

そんなドラマだった。

 

注目した若手では、中山ひなのがいた。

独特の雰囲気で、今後の活躍が楽しみ。

 

ほのぼのシーンが多いドラマだが、さとこと司の恋路もストーリーに花を添える。

と言っても、司は一向にさとこの想いを受け入れそうな気配はない。

だが最終回で初めてわかるのだが、彼もまた、さとこのように心にモヤモヤしたものを抱えて生きていた。

自分に優しくない生き方という点で、実は二人は似たもの同士だったことがわかる。

この二人が今後、心通わすことがあるのか、、、

 

そんな含みを持たせて終わったし、団地のこの先の話=建て替え問題もあるため、続編が待たれる。

 

中島ノブユキの牧歌的な音楽もドラマの世界観にぴったりで、主題曲に歌詞をつけた、武田カオリの歌も、ほのぼのした空気感でとてもよい。

 

最期に。

ドラマでは薬膳がいつも物語の中心にある。

さとこが作る料理は、旬のものを味わうことで、人間が本来持つ回復力を助けるものだ。

人間の体は、その人が食べたものでできているらしい。

食べるもの、食べることは大切だ。

ちょっと辛くなり疲れたら、体にいい、美味しいものを食べてみよう。

そんな気分になった。

良いドラマだった。