もう3年も前のドラマなのね。

時の経つのは何と早いことよ。。。。

 

以前から観ようと思っていたが後回しに。

だが、松本若菜のブレイク作品というのが、視聴意欲をかきたてた。

そして結論から言うと、想定外に面白いドラマであった。

 

原作はこやまゆかり、よくある上流階級と庶民とのラブストーリーかと踏んでいたら、いい意味で期待を大きく裏切られる。

原作の良さもあるだろうが、脚本、田中亮の演出ともに冴えわたっていたと思う。

全11話だが、各エピソードでイベントが盛りだくさん、次が自然と観たくなる作りになっていて、飽きさせない。

 

閉鎖的かつ排他的な、由緒正しい上流階級の一族に嫁いだ、THE庶民の家庭に生まれた主人公・篠原佐都の奮闘記。

こう書いてしまうと平凡なのだが、キャラの立った数々の登場人物(特に女性陣)、主人公の佐都と、お相手のやんごとなき一族である深山家の次男・健太(松下洸平)のピュアで一途な愛、次から次へと起こる様々なトラブルの多彩さなどが上手くミックスされて、最高のエンタテインメントに仕上がっている。

 

特にコメディでありながら、旧くカビの生えた男社会の抑圧に苦しむ女性を、これでもかというくらいフォーカスして描き、社会派的な視点も備えている。

それを説教臭くならずに、観る者が考える余地を与えてくれている辺り、上手い作りだと思う。

 

噂の松本若菜だが、話題になっただけあって、長男・深山明人(尾上松也)の妻・美保子をノリノリで演じている。

目ざわりな佐都を徹底的にいじめ抜く、そのやり方もコミカルかつ陰湿でユニーク。

しかし、彼女自身も恵まれない育ちで、血のにじむような思いでのし上がり、深山家に嫁いだ。その人生が苦労人の松本若菜と重なって興味深い。

 

「松本劇場」と話題になった。

美貌+コミカルがたまらない。

苦労人の彼女を、これからも応援したい。

 

旧家のしきたりや、古い価値観に立ち向かう女性たちの物語であったことは間違いない。

松本若菜を筆頭に、木村多江、長谷川京子、馬場ふみか、石野真子、松本妃代、佐々木希、キムラ緑子そして倍賞美津子ら、まさに女優陣の熱のこもった演技に支えられた作品だった。

木村多江の幸薄い安定の演技(笑)、佐々木希のサイコパスの脅威、倍賞美津子の存在感など、見どころ有り。

 

だが、この作品がそこまで盛り上がったのには、もう一つ理由があると考える。

それは女性たちを徹底的に、それこそ容赦ないほどに抑圧してきた、旧い価値観の権化のような存在の、深山家当主・深山圭一を演じた石橋凌の圧倒的な存在感だ。

彼の威厳があり、冷徹な演技があったからこそ、女優陣の活躍に光が当たったと思う。

 

石橋凌の演技が光った作品。

木村多江が妻というのも、素晴らしいキャスティングだった。

 

400年も続いた名家を守るためであれば、全力でどんなことでもやるという姿は、何故そこまでと見えるかもしれない。

だが、彼は彼の信じる正義を貫いているだけなのだ。

ただその手法があまりに周囲への思いやりに欠けていたため、非難の的になっただけ。

得てして仕事に没頭する男というのは、こういう姿になるのではないだろうか。

そんな名家の当主を、石橋凌は威厳と悲哀をこめて最高の演技で演じ切った。

素晴らしいと思う。

 

共演、ゲストはなかなかバラエティに富んでいる。

ダチョウ倶楽部は、放送途中で上島竜平が急逝するという不幸が。

渡邊圭佑、小沢真珠、石黒賢、田山涼成、ふせえり、橋爪淳、 葉山奨之、森田柑路、矢柴俊博、阿南敦子、篠井英介、柴田理恵、伊藤麻美子、小林きな子など。

ちょい役で出ている役者も多く、贅沢だ。

 

主演の土屋太鳳は、これだけの個性豊かな役者を相手に回し、しっかりした演技で主役を演じ切ったのだから、やはり実力あるのだろう。

出産後に出演した「海に眠るダイヤモンド」の時は、少し痩せすぎではないかと感じた。

本作のころの方が、健康的で好きだけど。。。

 

最期に、土屋太鳳を持ち上げておきながら言うのはなんだけど、それでも、このドラマは松本若菜と石橋凌の二人の存在が大きかったと、あらためて言いたい。

 

フジTVはこういうエンタメ作品を作ると、とてもいい作品を作る。

今は厳しい時期だとは思うが、また良作を世に送り出してほしい。