嬉しい報告とQ&A3570 第2子へ向けて相談 | 松林 秀彦 (生殖医療専門医)のブログ

松林 秀彦 (生殖医療専門医)のブログ

生殖医療に関する正しい知識を提供します。主に英語の論文をわかりやすく日本語で紹介します。

Q 2021.6.4「Q&A2950 31歳、移植4回、流産1回、化学流産1回」で質問させていただいた者です。松林先生にアドバイスいただいた様々な対策により、妊娠継続・出産いたしました。3年間の不妊治療中は辛い思いも沢山しましたが、この子に会うためには、これがベストなタイミングだったんだとまで思えるほど、我が子が愛おしいです。ひとえに、いつも真摯に向き合ってくださったリプロの先生方、スタッフの皆様のお陰です。本当にありがとうございます。

5回目の移植の前にはERPeak検査を行い、着床の窓ズレなしでしたが、今までの移植のデータを鑑み「-0.5」で移植をしました。二段階移植(10G2+5日目3AA)です。その他以下の対策も実施しました。
 G-CSF、膣内シルデナフィル、ピシバニール、プレドニン継続、IVIG(胚盤胞移植日と妊娠初期×2回、計3回)
妊娠中は絨毛膜下血腫による出血が何度があり、その度にバイアスピリンを一時中断しました。出産後、胎盤が剥がれず大量出血し、輸血、子宮動脈塞栓術、胎盤用手剥離を行いました。

生理も再開したため、残りの胚を迎えに行きたいと思っています。
①残りの胚は、5日目3AB・G2、6日目3CCとなりました。前回は2段階移植での妊娠となりましたが、もう初期胚がありません。しかし採卵は考えておらず、今ある胚で最後の移植にしたいと思います。6日目3CCも、可能ならお腹に帰してあげたいと思っています。どのような移植方法がベストでしょうか。
②一度癒着胎盤を経験すると、次も癒着胎盤になる確率が高いと産科医に言われました。なるべく前回妊娠した周期に行った処置を踏襲したいのですが、癒着を避けるためには、しない方がいい処置などありますでしょうか。慢性子宮内膜炎の検査や、ERPeak検査など子宮内膜を削る検査は、癒着胎盤との因果関係は考えられますか。

 

A 

①第1子で実施した方法を必勝パターンと考えると、6日目3CCを初期胚の代わりに用いる、変則二段階移植が良いと思います(6日目3CCをday 2.5移植、5日目3ABをday 4.5移植)。その他、G-CSF、膣内シルデナフィル、ピシバニール、プレドニン継続、IVIG(胚盤胞移植日と妊娠初期×2回、計3回)「-0.5」も実施するのが望ましいでしょう。

②癒着胎盤のリスク因子は下記ですので、次回の妊娠の際に該当するのは、1+2です。
1 経産婦
2 内膜損傷(子宮内膜掻爬術、胎盤用手剝離術の既往)
3 子宮手術(帝王切開術・子宮形成術の既往)
4 内膜の炎症(子宮内膜炎)
5 粘膜下筋腫
6 前置胎盤

なぜ癒着胎盤ができてしまうもかは明らかにされていませんので、残念ながら癒着胎盤を防ぐ方法もわかっていません。慢性子宮内膜炎やERPeakの検査では一部の内膜組織を摘出するだけです。このような検査と癒着胎盤との因果関係は証明されていません。

 

下記の記事を参照してください。

2022.4.3「Q&A3255 癒着胎盤後の二人目の妊娠は?

2021.9.16「Q&A3054 癒着胎盤の場合の第二子は?

2021.2.6「Q&A2832 癒着胎盤後

2020.8.7「Q&A2649 胎盤用手剥離がトラウマです

2019.5.13「Q&A2196 胎盤が剥がれませんでした

2018.5.28「Q&A1842 癒着胎盤が怖くて次が踏み出せません 

2016.6.30「Q&A1137 癒着胎盤になりやすいのでしょうか?

 

なお、このQ&Aは、約3週間前の質問にお答えしております。