Q&A2196 胎盤が剥がれませんでした | 松林 秀彦 (生殖医療専門医)のブログ

松林 秀彦 (生殖医療専門医)のブログ

生殖医療に関する正しい知識を提供します。主に英語の論文をわかりやすく日本語で紹介します。

Q リプロ東京にて約1年間治療をしていただき、1回の採卵2回目の移植にて年末に3500gを超える元気な男の子を出産しました。妊娠中の経過は良好でしたが、出産の際に鉗子分娩となりその後胎盤が剥がれませんでした。その際、子宮摘出の話もされましたが30分以上経って取ることができました。

医師からは、原因はわからないが不妊治療をしていたことが1つではないかと指摘されましたが松林先生はどのようにお考えでしょうか。2人目の治療の際、気をつけられることがあれば参考にさせていただきたいです。

 

A 癒着胎盤がトラウマになっている方は少なくありませんが、30分で剥がれていますので実際は癒着胎盤ではなかったものと考えます。癒着胎盤のリスク因子は子宮内操作などですが、文面を見る限りではリスク因子の記載はありません。また、妊娠方法は全く関係ありません。癒着胎盤は、胎盤形成時での問題ですので、体外受精、顕微授精、胚移植あるいは使用した注射や薬との関係はないものと考えます。また、なぜ癒着胎盤ができてしまうもかも明らかにされていませんので、残念ながら癒着胎盤を防ぐ方法もわかっていません。


癒着胎盤の定義(重症度は1<2<3)
1 楔入胎盤:胎盤が子宮筋層表面に癒着したもの
2 陥入胎盤:筋層深くに侵入したもの
3 穿通胎盤:筋層を貫通して漿膜層に到達したもの

癒着胎盤のリスク因子
1 経産婦
2 内膜損傷(子宮内膜掻爬術、胎盤用手剝離術の既往)
3 子宮手術(帝王切開術・子宮形成術の既往)
4 内膜の炎症(子宮内膜炎)
5 粘膜下筋腫
6 前置胎盤

 

なお、このQ&Aは、約2ヶ月前の質問にお答えしております。

 

下記の記事を参照してください。

2018.5.28「Q&A1842 癒着胎盤が怖くて次が踏み出せません 

2016.6.30「Q&A1137 癒着胎盤になりやすいのでしょうか?