Q&A2649 胎盤用手剥離がトラウマです | 松林 秀彦 (生殖医療専門医)のブログ

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生殖医療に関する正しい知識を提供します。主に英語の論文をわかりやすく日本語で紹介します。

Q 出産の際に、胎盤が自然に出てこず、結果大量出血を繰り返し、医師の手で胎盤を剥がしていただきました。とても痛く、トラウマになっています。担当医師には、妊娠中のエコーの際に胎盤に空胞が見えたということで、癒着体質だろうと言われました。


そこで質問なのですが、どこかのサイトで子宮内の手術をしたことが、胎盤の癒着の原因のひとつだと見つけました。私は妊娠する直前にポリープ手術をしています。そのポリープ手術が原因で、癒着してしまったということは考えられるのでしょうか。また、第二子を授かった場合、ポリープ手術をしなければ癒着する可能性は低いのでしょうか。

 

A 癒着胎盤がトラウマになっている方は少なくありませんが、用手剥離で剥がれていますので実際は(真の)癒着胎盤ではなかったものと考えます。癒着胎盤のリスク因子は子宮内操作などですので、ポリープ手術はリスク因子と考えられます。しかし、ポリープ手術を行っていても問題なく出産される方も多くおられます。なぜ癒着胎盤ができるかは明らかにされていませんので、癒着胎盤を予測する方法はありません。また、胎盤に空胞が見えたことと癒着胎盤の因果関係は明らかではありません。


癒着胎盤の定義(重症度は1<2<3)
1 楔入胎盤:胎盤が子宮筋層表面に癒着したもの
2 陥入胎盤:筋層深くに侵入したもの
3 穿通胎盤:筋層を貫通して漿膜層に到達したもの

癒着胎盤のリスク因子
1 経産婦
2 内膜損傷(子宮内膜掻爬術、胎盤用手剝離術の既往)
3 子宮手術(帝王切開術・子宮形成術の既往)
4 内膜の炎症(子宮内膜炎)
5 粘膜下筋腫
6 前置胎盤

 

なお、このQ&Aは、約2ヶ月前の質問にお答えしております。

 

下記の記事を参照してください。

2018.5.28「Q&A1842 癒着胎盤が怖くて次が踏み出せません 

2016.6.30「Q&A1137 癒着胎盤になりやすいのでしょうか?

 

なお、このQ&Aは、約2ヶ月前の質問にお答えしております。