Q&A2950 31歳、移植4回、流産1回、化学流産1回 | 松林 秀彦 (生殖医療専門医)のブログ

松林 秀彦 (生殖医療専門医)のブログ

生殖医療に関する正しい知識を提供します。主に英語の論文をわかりやすく日本語で紹介します。

Q 31歳、AMH 7.01(2020年3月)、移植4回、着床2回していますが、妊娠継続できていません。

他院
クロミッドで2個採卵し、うち1個異常受精新鮮初期胚(4cell)移植→陰性 

リプロに転院
アンタゴニスト法で23個採卵し、16個正常受精、9個凍結(初期胚:8G2,10G2、5日目胚盤胞:4AA×2、3AA、3AB、G2、6日目胚盤胞4AA、3CC)

オプション検査はERPeak以外全て検査済みです。
TSHが2.94と高く、チラーヂン服用となりました。
第12因子が46と低く、移植周期はバイアスピリンとヘパリンを使用しています。
また、採卵時に慢性子宮内膜炎も(+)で、シプロフロキサシンとフラジールで陰性化しました。

移植1:ホルモン補充、SEET法、5日目4AA(移植時5AA)→BT11 hCG 545週目で胎嚢確認できず、6週目で胎嚢3mm、7週目で胎嚢6mm心拍は確認できなかったため、ホルモン補充を終了し自然排出しました。染色体検査はしていません。
移植2:ホルモン補充、SEET法、5日目4AA(移植時3AA)→陰性
(移植3)ホルモン補充、内膜が厚くならずキャンセル
その後、念のため慢性子宮内膜炎の検査を受けたところ再発していたので、移植周期2回目の時には既に内膜炎だったかも知れません。ジスロマックとアベロックスで陰性化しました。
移植3:ホルモン補充、膣内シルデナフィル、G-CSF、8G2と6日目4AA(移植時6AA)の二段階移植(どちらもGM-CSF培養液で融解)→BT11 hCG 49 その後、化学流産。

残りの胚は、10G2、5日目3AA・3AB・G2、6日目3CCとなり、次回の移植方法について悩んでいます。
①着床しても妊娠が継続していないので、ホルモン補充周期が合ってない可能性はありますでしょうか。また同じ方法で移植して着床したとしても、hCGが伸びないのではないかという不安があります。自然周期を試してみたい気持ちもあります。
②判定日のhCGの数値が二桁までしか上がっていないことや、5AAや6AAは着床しても3AAが着床しなかったを考えると、着床の窓が少しずれているか、狭い可能性があるのでしょうか。0.5日程度、黄体ホルモン補充を遅らせる(移植を早める)という提案をいただきましたが、松林先生も同じ見解でしょうか。
③ERPeak検査は受けた方が良いでしょうか。
④内膜炎検査をした次の月の移植で、着床しています。内膜炎の検査が何らかのいい影響を与えているのでしょうか。
⑤次回の移植プランを教えていただきたいです。どの胚で、オプションは何が必要でしょうか。
⑥ある本に書いてあった血中のフェリチン濃度が低いと妊娠しにくいという情報を信じ、採卵の直前まで継続して1年程、キレート鉄サプリを過剰摂取をしておりました(1日100mgほど)。採卵の3日前に、松林先生のブログで鉄は卵巣や子宮に悪影響とのことを知り、飲むのをやめました。卵子が鉄の影響で劣化している可能性もあるでしょうか。

 

A 

ホルモン補充周期で妊娠反応が出ている方は、ホルモン補充周期が合っていないとは言えません。妊娠が継続できていないのは(hCGが伸びない、胎児発育が遅い)、原因不明不育症の可能性が高いです。

着床の窓が少しずれているか、窓が狭い場合には、通常hCGの数値が一桁程度になります(1〜9程度)。hCGは二桁出ていますので、おそらく窓のズレはないと思いますが、もしズラすとすれば記載の通り-0.5で移植します。

③もし②の可能性を考慮するのであればERPeak検査を実施しておきたいところです。

④内膜炎検査によるスクラッチ効果が、翌周期に出ている可能性はあります。
⑤ERPeak検査を実施してから(スクラッチ効果も期待)、10G2+5日目G2前日融解を推奨します。また、原因不明不育症の対策も同時に実施します(IVIG、ピシバニール、プレドニンなど)。
⑥その可能性は否定はできませんが、証明は難しいです。

 

なお、このQ&Aは、約1ヶ月前の質問にお答えしております。