☆卵巣予備能低下と将来の妊孕性 | 松林 秀彦 (生殖医療専門医)のブログ

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本論文は、卵巣予備能低下と将来の妊孕性に関する検討です。

 

Fertil Steril 2023; 119: 99(米国)doi: 10.1016/j.fertnstert.2022.10.014

要約:2008〜2015年30〜44歳1,189名の女性を対象に、卵巣予備能(AMH、FSH)将来の妊孕性(出産率、不妊症率、妊娠率)について3年以上にわたり前方視的に検討しました。結果は下記の通り(全ての項目で有意差を認めませんでした)。

 

         出産率         不妊症率         妊娠率

      オッズ比(信頼区間)  オッズ比(信頼区間)   オッズ比(信頼区間)

AMH<0.7  0.97(0.60〜1.57)   0.93(0.49〜1.77)    0.97(0.59〜1.60)

0.7〜8.4    〜(基準値)      〜(基準値)       〜(基準値)

8.5≦AMH  0.86(0.60〜1.22)   0.87(0.43〜1.76)    0.72(0.39〜1.33)

 

FSH<10    〜(基準値)      〜(基準値)       〜(基準値)

10≦FSH   1.23(0.84〜1.81)   1.52(0.88〜2.61)    0.86(0.55〜1.36)

 

解説:卵巣予備能低下と将来の妊孕性については賛否両論があり結論が得られていません。本論文は、卵巣予備能(AMH、FSH)将来の妊孕性(出産率、不妊症率、妊娠率)について前方視的に検討したものであり、卵巣予備能低下と将来の妊孕性には何の関連もないことを示しています。残りの卵子の数と妊娠できる能力は別物ですのでご注意ください。