Q&A3173 インスリン抵抗性のメトホルミン | 松林 秀彦 (生殖医療専門医)のブログ

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生殖医療に関する正しい知識を提供します。主に英語の論文をわかりやすく日本語で紹介します。

Q 現在採卵をしていて、インスリン抵抗性が高く(HOMA-R)、卵子の質の改善目的でメトホルミンの処方をうけています。AMHは2.5でPCOSではありません。胚盤胞率が低いです。

インターネット上で、メトホルミンと卵子の質の関係を調べると、PCOSの人のインスリン抵抗性の話がほとんどです。そこで質問なのですが、
PCOSではなくても、先生のブログにある顆粒膜細胞の問題などが同じように起きて、卵子の質に影響している可能性があると考えて良いのでしょうか。PCOSでないと効果がないのか、とても気になっています。またメトホルミンを飲みはじめて、効果が出るとしたら、何ヶ月後の採卵から効果が出てくるのでしょうか。

 

A PCOSではなくても、インスリン抵抗性の方では、顆粒膜細胞の問題などが同じように生じて、卵子の質に影響している可能性があると考えて良いでしょう。卵子は半年かけて作られますが、最初の3ヶ月は卵巣の外からの影響を受けず、後半の3ヶ月でサプリや栄養など、卵巣の外からの影響を受けるものと考えられています。したがって、服用開始の2〜3ヶ月後から効果が現れるとお考え下さい。

 

耐糖能異常(HOMA-R)については、下記の記事を参照してください。

2020.11.13「☆方針に食い違いがあります(サプリ編)

2019.8.23「空腹時血糖が高いと妊娠しにくい?

2019.6.12「☆不妊原因と子供の健康について その3:夫婦の内分泌疾患

2019.3.28「☆インスリン過剰は胎盤に毒?

2016.1.1「Q&A956 インスリン抵抗性

2015.12.24「メトホルミンの効能

2015.9.22「☆PCOSでのメトホルミン治療:Cochrane review」
2015.8.20「☆メトホルミンの妊娠中の使用」
2014.2.8「メトホルミンの妊娠中の使用は?」

 

なお、このQ&Aは、約2ヶ月前の質問にお答えしております。