子どもの算数の力を育てるために、
お母さんの姿勢はとても大切です。
子どもの算数や数学の力を育てるに、
どのような姿勢で臨めばいいのでしょうか?
そのようなあり方を、
数学者から学びたいと思います。
計算が早くできるとか、問題が解けたとか、
そのような目先のことではなく、
長い目で見た、しっかりとした算数・数学力をつけるために、
役立てていたければ幸いです。
ここでは、
岡潔、グロタンディーク、フロイデンタール、ハイマン・バスといった
数学者たちの子どもの教育への考え方や自身の数学観などをまとめました。
ゆっくり、かみしめながら、読んでいただければと思います。
■ 岡潔の数学教育の考え
岡潔は数学の多変数関数論という分野で卓越した業績をあげた数学者です。
彼は晩年、著作活動に励み、数学や心、人生観に関する考えを書き綴りました。
岡潔は、
「ぼくは計算も論理もない数学をしてみたいと思っている」
と言いました。
計算も論理もない数学、、、
かなり衝撃的なフレーズです。
そして、その理由は、
「計算や論理は数学の本体ではないのである」
と述べています。
とても考えさせられる言葉ですね。
では、計算も論理より大事なことは何なのでしょうか?
岡潔の数学教育の考えを学びましょう。
コラム 「岡潔の数学教育の考え」 はこちら
■ グロタンディークの数学観
グロタンディークはフランスで活躍した数学者です。
数学の代数幾何学という分野で革新的な業績をあげました。
彼は心の中に、変わらない 「子ども」 がいて、
数学をするときは、子どもが夢中で遊んでいる
と表現しています。
これは岡潔のいう「子どもの無邪気さ」にも通じます。
グロタンディークの数学観をかいま見てみましょう。
コラム 「グロタンディークの数学観」 はこちら
■ フロイデンタールの伝えたいこと
オランダで活動した数学者ハンス・フロイデンタールは、
数学の研究と教育の両方で大きな影響を与えました。
フロイデンタールは、数学の教科書に書かれている
知識やスキルを重要視しませんでした。
また、数学教材の開発にも興味がありませんでした。
効果的な教材を開発すれば、子どもたちの数学の成績は、
それなりに上昇するかもしれません。
しかし、フロイデンタールは、そんな目先の結果ではなく、
もっと本質的なことを子どもたちに伝えたかったのです。
フロイデンタールの伝えたいことを見てみましょう。
コラム 「フロイデンタールの伝えたいこと」 はこちら
■ ハイマン・バスが探究したこと
アメリカの数学者ハイマン・バスは、代数学やトポロジーの研究で知られています。
彼は晩年、科学アカデミーの委員になったことが切っかけで、
数学の教育に関わるようになりました。
ハイマン・バスは、小学校で行われた算数の1年分の授業を、
じっくり記録 (ビデオ) で見て、
算数の教育の本質を探しました。
そこから、
子どものつぶやきを拾うことの大切さを見つけました。
ハイマン・バスが大事にしたことを見てみましょう。
コラム 「ハイマン・バスが探究したこと」 はこちら
いかがでしたか?
数学者たちの数学教育への考え方や数学観を
コラムを通してみていただきました。
一般的に、私たちが数学に抱いている計算や公式といったイメージとは違う、
もっと、本質的で大切なことを見つけるお役に立てればと思います。
そして、ぜひそのような視点で、子どもと接してあげてください。
今すぐに目に見える結果がでるわけではないかもしれませんが、
「数学力」 は目に見えないところで、じわじわと熟成されてきます。
そしてやがて、
大きな花を咲かせていただけたらと思います。
【コラムの執筆者】
松岡 学
高知工科大学 准教授、博士 (学術)
数学者、数学教育学者
大学で研究や教育に携わる傍ら、
一般向けの講座を行っている。
アドラー心理学の造詣も深く、
数学の教育や一般向け講座に取り入れている。
音楽 (J-POP) を聴くのが趣味。
ファッションを意識し、自然な生活を心がけている。
出版物:『数の世界』ブルーバックスシリーズ、講談社。
『5歳からはじめる いつのまにか子どもが算数を好きになる本』スタンダーズ社。
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