昨日、久しぶりに大阪労働局のHPで助成金を立ち上げてみると、日本再生人材育成支援事業奨励金が7月9日付けで一旦受付停止と報じられていた。
この中には、非正規雇用労働者育成支援奨励金や正規雇用労働者育成支援奨励金などが含まれる。予算の関係なのか、何故「一旦」「停止」で「終了」ではないのか、厚生労働省の真の理由の開示が望まれます。
この奨励金の準備をしていた方にとっては、踏んだり蹴ったりの事態であろう。
賃金体系は、入社してから定年まで、自分がある年齢になった場合どのくらいの給料を
もらえるのか分かるものでなければならないのですが、これは概して高校・大学の新卒
を出発点としています。
大部分が新卒者で、中途採用が少ない場合には、中途採用者も何とか賃金体系に組み
込むことができます。
しかし、すべての社員が中途採用者であれば、賃金体系を作るのは困難を極めます。
年齢給+職能給といってもピタッと当てはまらないのです。
それでも「自分の給料は何故この額なのか」と社員から聞かれたら、社長としては答え
なければなりません。納得のいく説明ができなければ、社員の不信感、不満はつのり、
モチベーションが下がるだけでなく、会社を辞めていくかも知れません。
やはり何をどのくらいしたことに対して、どのように評価して賃金に結びついているの
かを明確にしておく必要があります。
東京商工リサーチによると、創業100年を超える企業は、全国で2万1066社、
同じく1000年を超える企業は8社であり、そのうち日本最古の企業は飛鳥時代
に設立(578年)された寺社建築の金剛組だという。
優に1400年を超えている。
沿革を追ってみると、営業に無関心な経営者が出現したり、伝統工法を貫くべきか
近代工法を取り入れるべきか、悩んだ時期もあったようである。
ところで、200年以上続いている企業は、我が国では3100社で、世界全体総数の
40%を占めるという。ドイツ800社、オランダ200社、アメリカは14社に過ぎない。
会社の経営者は、経営環境がどうであれ、会社を維持し発展させる責任があるとは
いえ、この数字は驚くべきものである。
昨今の厳しい経営環境の下で、各経営者の奮闘を祈ります。
退職金は賃金の一部を将来の退職時ないしそれ以降に受け取るものであるという、賃金の後払い説の考え方からすれば、退職時ないしそれ以降ではなく、毎月の給与時ないし毎期の賞与時に支払うという、いわば退職金前払いという考え方もできるわけです。
この場合、前払いする金額の計算方法を厳格に設定することと、毎月の給与ないし毎期の賞与と厳格に区別することが肝要となります。
この退職金前払い制度は、いわば究極の確定拠出型の退職金であり、実質的に退職金制度の廃止に繋がるものであります。現存する退職金制度を廃止することは、労働条件の不利益変更の問題に絡んでくるため、そう容易くできるものではないということは肝に銘じておく必要があります。
退職金の積立制度として内部留保制度があります。昭和27年の法人税法施行規則の改正によって、一定限度での優遇税制の下で積立ができるものでした。しかし、平成14年度から段階的に廃止される運命にあります。
退職金積立として、保険商品の利用があります。これは、一定種類の生命保険契約に与えられた優遇税制を利用して、企業内部に留保しようというものです。例えば、養老保険で、企業が契約者、従業員が被保険者、保障期間60歳まで、死亡保障額1、000万円とします。この場合、保障期間内に従業員が死亡すれば、その従業員の遺族に死亡保険金として1、000万円支払われますが、保障期間内に死亡せず満期になったら満期保険金1,000万円は企業に支払われます。このような契約内容にすれば、現時点での税務上では保険料の半額が損金に算入できます。
確定拠出型年金(日本版401Kプラン)には、個人型と企業型とがあります。個人型は、個人が掛け金を拠出し、その運用成果を個人が受け取るというもので、国民年金基金の代替・補完物といえます。企業型は、企業が掛け金を拠出して、従業員が受け取るもので、厚生年金基金や「適年」の代替・移行先になっています。
退職金制度の一環として考えるなら、企業型ということになります。企業は、まず従業員の同意を得て確定拠出年金規約を定め、厚生労働大臣の承認を得ます。その後、金融機関等の運営管理機関と委託契約を結ぶ一方で、信託銀行等の資産管理機関とも契約を結んで毎月の掛け金を払い込み、従業員が運用した積立金を保全してもらいます。運営管理機関は、従業員の運用指示を資産管理機関に指示したり、従業員に対して資産残高や運用状況の報告などのサービスを行います。
この制度は、確定拠出型の退職金制度であるため、企業は毎月の拠出金さえ支払えばよく、運用責任は従業員自身にあるため、積立不足というような事態を生じる余地がないというところに魅力があります。ただ従業員の自己責任で割り切っていいのかというところにジレンマがあり、中退共などの他の積立制度の検討が求められます。
平成14年4月1日から施行された確定給付企業年金法により、新しい企業年金(基金型・規約型・混合型)が設けられました。今の「適年」では積立不足が生じていても、当面支障がなければ直ちに積立不足を解消しなければならない義務はありませんが、この法律では、受給権者を保護するため積立義務が明文化され義務付けられています。
しかし、近年の運用利益の減少、積立不足の増加それに加えて100年に1度といわれる大不況の中で、積立義務が強化された企業年金は、金融機関にとっても中小企業に案内し辛く、ほとんど知られていないのが現状のようです。
中退共に似通った制度として、特定退職金共済制度(特退共)があります。これは、企業が所得税法施行令第73条に定める特定退職金共済団体(商工会議所や商工会等)と退職金共済契約を締結し、この団体から退職従業員に対し退職金が支払われるものです。
この制度も中退共に準じて税法上の特典がありますが、大きな違いは、中退共が中小企業しか加入できないのに対し、特退共は企業規模による加入制限がないことです。
特退共によって退職金積立をしている場合にも、中退共の場合と同様に、退職金規程の内容によって確定給付型と確定拠出型があるため、自社の退職金規程を吟味して、積立不足がないか、このままでいいのか再検討する必要があります。