退職金は賃金の一部を将来の退職時ないしそれ以降に受け取るものであるという、賃金の後払い説の考え方からすれば、退職時ないしそれ以降ではなく、毎月の給与時ないし毎期の賞与時に支払うという、いわば退職金前払いという考え方もできるわけです。


 この場合、前払いする金額の計算方法を厳格に設定することと、毎月の給与ないし毎期の賞与と厳格に区別することが肝要となります。


 この退職金前払い制度は、いわば究極の確定拠出型の退職金であり、実質的に退職金制度の廃止に繋がるものであります。現存する退職金制度を廃止することは、労働条件の不利益変更の問題に絡んでくるため、そう容易くできるものではないということは肝に銘じておく必要があります。