退職金積立制度の一つとして、中小企業退職金共済制度(中退共)があります。これは、中小企業(例えば、小売業であれば常用従業員数50人以下か資本金5000万円以下、サービス業であれば同様に100人以下か5、000万円以下等)や個人事業主が従業員を被共済者として、勤労者退職金共済機構中小企業退職金共済事業本部と退職金共済契約を締結するものです。
掛け金は毎月一定の額として、5、000円~10,000円までの1,000円刻み、12,000円~30,000円までの2,000円刻みで自由に設定できます。そして、掛け金が全額損金算入できるだけでなく、一定限度で国から掛け金の助成があります。
中退共では、「適年」と違い企業から支払われた掛金月額・納付月数と予定運用利回りにより、従業員ごとに退職金積立額が決められています。予定運用利回りの引き上げ引き下げにより、基本退職金額が増減することになります。
最も重要なことは、中退共を採用していても、退職金規程の定め方如何によっては、「適年」と同様の積立不足の状況が生じ得るということです。確定拠出型の定めであれば問題はないのですが、確定給付型、例えば、給与比例方式で退職金の計算方法を規定していれば、それにより算出された退職金額に対して、中退共で積立てられている金額が足りないときは、その差額を会社が別途負担しなければならないのです。
これで、退職金規程がいかに重要であるか、お分かり頂けたものと思います。