刑事シンクレア シャーウッドの事件(字幕版)
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英国で実際に起きた2つの殺人事件から着想を得た社会派ミステリ・テレビシリーズ全6話です。主演はデヴィッド・モリッシー、共演はレスリー・マンヴィル、ロバート・グレニスター、クレア・ホルマン、ジョアン・フロガット、アラン・アームストロング他。
邦題のせいで陳腐な刑事ドラマと思われちゃうのは本当にもったいない。
単なるミステリと思って観ると相当に期待はずれだし、そもそも作り手が描きたいのは事件そのものの真相ではなく、事件をきっかけに浮き彫りになる社会問題なんですから。
とにかく、事件そのものの真相はかなり肩透かしだし、その後のエピローグもわざとらしくて、ちょっとしらけちゃったのは正直な感想。
それでも、1980年代の炭鉱労働者の大規模なストによって生まれた分断が何十年を経ても埋められるどころか、深い傷となって残り続けている現実の深刻さは強く胸に迫りました。
ロンドンの高級住宅街チェルシーを舞台にした刑事ドラマシリーズのシーズン1全4話(日本では全8話に編集)です。主演はエイドリアン・スカーボロー、共演はソニタ・ヘンリー、ピーター・バンコレ、ルーシー・フェルプス、ソフィー・ストーン他。
日本の2時間サスペンスならシリーズ全4作に相当する内容。
今どきのサスペンスドラマにありがちな過剰にセンセーショナルな事件ではなく、現実にもありうる「地味な殺人事件」を丁寧に描いています。
とにかく「地味」なのですが、捜査内容を丁寧に描いているので、観ているうちに一緒に事件捜査に加わっているような気分になりますし、そこがこの作品の魅力なのでしょう。
既に本国イギリスではシーズン2まで放映済みで、シーズン3も準備中とのこと。機会があれば観たいです (^^)
インドの古代史や神話をモチーフに、古代から受け継がれる神々の力「アストラ」を巡る光と闇の戦いを、現代のインドを舞台に描いたファンタジーアクション映画です。主演はランビール・カプール、共演はアーリヤー・バット、アミターブ・バッチャン、モウニー・ロイ、ナーガールジュナ・アッキネーニ、シャー・ルク・カーン他。
ヒロインのアーリヤー・バットは可愛いし、映像はとにかく派手で迫力もあるけれど、観るべきところは本当にそれだけ。
ストーリーは徹頭徹尾ご都合主義でテキトー。
嫌な予感通り、結末の馬鹿馬鹿しさには呆れるばかり。視聴に費やした時間を返せとしか言いようがない。
続編があるようですが、観なくていいことだけはわかりました。
ダニエル・コールの同名ベストセラー小説を原作とし、6人の犠牲者が殺害されてバラバラにされ、1つの体に縫い合わされた「ぬいぐるみ(ragdoll)」のような死体が発見されたことを皮切りに起こる予告連続殺人事件を追う刑事たちを描いたサスペンスドラマシリーズ全6話です。主演はヘンリー・ロイド=ヒューズ、共演はタリッサ・テイシェイラ、ルーシー・ヘイル、マイケル・スマイリー、アリ・クック、ナターシャ・リトル、サマンサ・スパイロ、サム・トラウトン他。
イギリスの司法制度も警察組織も日本とは違うので単純に比較はできないのですが、それにしても現実味がなさすぎるよなぁ…。
いくら現役復帰したとは言え、まだ精神的に不安定な状態にある上、そもそも事件の当事者である主人公を捜査の一線に加えるというのがどう考えてもありえないでしょう。アメリカから来た若手女性刑事の指摘は当然で、それを当たり前のように無視するイギリスの警察は異常。ここからして「物語ありき」の不自然さで、そういったご都合主義な展開が延々と続くのでどうしてもシラけちゃう。
そういったテキトーなところを完全に無視すれば、それなりに楽しめるとは思うんですけどね…。
カナダ・ケベック州の架空の小さな村スリー・パインズを主な舞台とし、ガマシュ警部の活躍を描いた、カナダの推理作家ルイーズ・ペニーのベストセラー小説シリーズを原作としたミステリドラマシリーズ全8話です。主演はアルフレッド・モリナ、共演はロッシフ・サザーランド、エル=マイヤ・テイルフェザーズ、タントゥー・カーディナル、クレア・コールター、サラ・ブース他。
王道のミステリ。
最近のミステリやサスペンスは過剰に性的だったり暴力的だったりする内容が多いですが、そういった要素は全くなく、アガサ・クリスティのミステリのような雰囲気。
そのため「謎解き」としては特に新鮮味はなく、クリスティの焼き直しにしか見えないのですが、主人公ガマシュ警部のキャラクターの魅力とアルフレッド・モリナの演技の素晴らしさのおかげで充分に楽しめるものに。また、事件と直接の関係はないものの、物語の背景として先住民に対する弾圧というカナダの歴史上の汚点をしっかり描いているのもいい。
ただ残念なのは、明らかに続編がある前提で作られたテレビシリーズであるにもかかわらず、正式に打ち切りが決まってしまったこと。映像化されていない原作はまだありますし、是非ともアルフレッド・モリナに続投をお願いしたいところなのですが、既に70歳を過ぎた彼ではちょっと厳しいものがあり、アルフレッド・モリナのガマシュ警部はこれで見納めなんでしょう。本当に残念でなりません。
わずか7日間で終わった昭和64年に起きた少女誘拐事件「ロクヨン」とその14年後を描いた横山秀夫さんの警察小説「64(ロクヨン)」を原案に、BBCがスコットランドを舞台に翻案したテレビシリーズ全4話です。主演はケヴィン・マクキッド、共演はヴィネット・ロビンソン、ジェームズ・コスモ、リチャード・コイル、ブライアン・マッカーディー、アンドリュー・ウィップ、イオナ・アンダーソン他。
たった7日間しかなかった昭和64年から「ロクヨン」のタイトルが付けられていることや、警察と記者クラブとの関係など、日本を舞台にしていることに意味のある物語をイギリスを舞台に翻案するとどうなるかという興味で観てみました。
完全な別物。
細かい設定など、ところどころに「引用」があるだけで、物語としては完全に別物。「64(ロクヨン)」がイギリスでもそれなりに知名度がある小説なので、盗作と見なされないように、正式に「原案」としただけという感じ。
とにかく、本来の「64(ロクヨン)」があくまで「警察小説」であるのに対し、このドラマはスコットランド独立運動に関わる陰謀を描いた作品であり、そもそもの題材も、作り手の描きたいものも違うのです。
「64(ロクヨン)」を原作とした作品と考えず、ちょっとだけ似ているだけの完全オリジナル作品と思えば、陰謀の陳腐さが気になるものの、それなりに楽しめるかもしれません。
ただ、自分にとっては終わらせ方があまりに不快で、観終わった後の満足感は全くありませんでした。
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主人公の現在と3年後を同じ時空間で描くというアイデアは「わかる」んですけど、結局は面白くも何ともない退屈なストーリーを誤魔化すための小手先のテクニックにしかなっていないんですよね…。観ていて、とても鼻持ちならない。
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ちょっと調べてみたら、監督の冨永昌敬さんは1975年生まれで愛媛出身とのこと。それじゃあ、当時の銀座の「空気」を知るわけないか…。