Marc のぷーたろー日記 -64ページ目

「ナイル殺人事件」('22)

 

アガサ・クリスティ原作、ケネス・ブラナー監督・主演のミステリ映画「オリエント急行殺人事件」('17) の続編で、原作は「ナイルに死す」です。共演はガル・ガドット、アーミー・ハマー、エマ・マッキー、アネット・ベニング、ラッセル・ブランド他。

 

Wikipedia「ナイル殺人事件 (2022年の映画)」

 

「オリエント急行殺人事件」('17) でのケネス・ブラナーのポアロはちょっとイメージが違うものの、新しいポアロ像として悪くなかったので、この続編も期待していたのですが、かなりガッカリダウン

 

ポアロの過去や独自の設定変更自体は悪くないんですけど、肝心の謎解きまでの流れがあまりに唐突で雑。

 

そして何より、あまりに雑で安っぽいCGにダウン

 

撮影は2019年に終わっていたそうで、公開までに時間が充分にありながら、この出来というのは…。

 

これまでに何度も映像化され、結末を多くの人が知っている作品を改めて映像化するのであれば、キャストの豪華さだけでなく、映像としての見応えも必要だと思うんですが、その映像がちゃちかったのは本当に残念。

 

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「たくましき男たち」('55)

 

元南軍兵士の男が、牛の大群をテキサスからモンタナまで輸送する仕事を引き受け、先住民の脅威や悪天候などの様々な困難の中で旅を続ける姿を描いた西部劇映画です。主演はクラーク・ゲーブル、共演はジェーン・ラッセル、ロバート・ライアン、キャメロン・ミッチェル他。

 

Wikipedia「たくましき男たち」

 

観る前から予想はしていましたが、その予想以上に中身の全くない映画でした (^^;;;

 

当時の大スター、クラーク・ゲーブル、ジェーン・ラッセル、ロバート・ライアンの共演も、本来は見どころなんでしょうけど、この3人が織りなす物語が本当に陳腐でくだらなくて観ていられない酷さダウン

 

それでも、莫大な数の牛や馬が大自然の中を駆け抜けるシーンはやはり今の時代に観ても大迫力。CGのない時代の「実写ならではの迫力」ですし、これだけの大規模な撮影ができてしまう「ハリウッド黄金期ならではの豪華さ」を実感できます。

 

とにかく、このシーンを楽しめば充分。ストーリーなんかはどうでもいいんです。

「遺灰は語る」('22)

 

1934年にノーベル文学賞を受賞したイタリアの文豪ピランデルロの遺灰がたどった数奇な運命をモノクロで綴った本編と、ピランデルロの遺作短編「釘」をカラーで映画化したエピローグからなる、タヴィアーニ兄弟の弟パオロによるドラマ映画です。出演はファブリツィオ・フェラカーネ、マッテオ・ピッティルーティ、クラウディオ・ビガリ、ロベルト・エルリツカ他。

 

ピランデルロの作品を読んだこともなければ、ピランデルロの存在自体を全く知らなかった無教養な自分には特に響くものもなく…。

 

ただ、ピランデルロの遺書にあった、自分の肉体を一切残さないでほしいというは大いに共感。墓なんて所詮は遺された人々の自己満足でしかないし、墓という世にはびこる「風習」に対する風刺コメディとしては楽しめましたけどね (^^)v

「ある人形使い一家の肖像」('23)

 

各地を旅して公演をする昔ながらの人形劇団を経営する父親の死をきっかけに、劇団一家が直面する困難や苦悩を、3世代の古風な「家族愛」を通して描いたドラマ映画です。主演はルイ・ガレル、共演はダミアン・モンジャン、エステール・ガレル、レナ・ガレル、オーレリアン・ルコワン他。

 

切ない話を重苦しく描くのではなく、童話のような、まさに「人形劇」のようなタッチで描き、最後は前向きに爽やかに終わる物語は確かに「いい話」だとは思います。

 

でも、それ以上でもそれ以下でもなく、これといって魅力的な登場人物がいるわけでもないので、とにかく「普通」という感じ。一晩寝たら、観たこと自体を忘れちゃいそう。

「愛と激しさをもって」('22)

 

2人の男性の間で心揺れる、ラジオ番組のパーソナリティーの女性を描いた恋愛映画です。主演はジュリエット・ビノシュ、共演はヴァンサン・ランドン、グレゴワール・コラン、マティ・ディオップ、ビュル・オジエ他。

 

こういう理屈では割り切れない、側から見れば愚かでしかない感情や行動はリアルだと思うし、理解はできます。でも、だからこそ「そんなものを延々とただ見せられ続けるだけってのは…」という気分に。

 

とにかく、見せ方が良くないんですよ。

 

説明的なセリフがあるかと思えば、敢えて何も説明しないというアンバランスさは意図的なんでしょうけど、それが成功しているとは言えないですし、そもそも観る側に感情移入させる演出ではなく、ただ名優2人に熱演させているだけで、ただただ空回りしてる…。

 

1959年生まれのヴァンサン・ランドンと1964年生まれのジュリエット・ビノシュは、どちらもおそらく実年齢より10歳以上も若い役を演じていて、ちょっと無理はありましたが、2人とも脱ぎっぷりはいいし、体型を維持しているのはグッド!

 

ただ、ヒロインの元恋人を演じたグレゴワール・コランは1975年生まれで、彼との年齢差は画面上にはっきりと表れてしまっていて、その違和感は最後までどうしても拭えませんでした。

「ジョージア、白い橋のカフェで逢いましょう」('21)

 

邪悪な呪いのせいで外見がすっかり変わってしまった1組の男女の恋の行方を描いた恋愛譚です。出演はギオルギ・アンブロラゼ、オリコ・バルバカゼ、ギオルギ・ボチョリシヴィリ、アニ・カルセラゼ、ヴァフタング・パンチュリゼ他。

 

すっごく変な映画。

 

とにかく、物語とは直接関係のないシーンが異常に多い上に長く、その一方で主人公であるはずの男女の顔や表情がはっきりわかるシーンは少なく、セリフも少ない。遠くから撮したシーンや足下だけのシーンがとても多い。また、普通なら役者の演技で見せるようなシーンを省いて、代わりにナレーションで全て説明してしまうという、映画というもののセオリーを完全に無視した作りには驚くばかり。そして最終的には「呪い」を誰が何の目的でかけたのかも全く説明はないし。

 

おそらく本当に描きたいのは「物語」そのものではなく、舞台となっているジョージアの古都クタイシの街並みや郊外の自然、そしてそこに暮らす人々の姿なのでしょう。はっきり言ってしまえば、ラブストーリーはおまけというか、クタイシを見せる上での単なる「味付け」に過ぎない感じ。

 

そういった観る者の違和感を作り手も充分にわかっていて、最後に「確かに変な映画だよね」とナレーションで言わせちゃうのも、新鮮と言えば新鮮。

 

2時間半という長尺なので「全く飽きない」と言えば嘘になりますが、それでも最後まで観てしまうくらいには「驚きの連続」の映画でした。

「犯罪分析官ハリファックス:歪んだ天罰」('20)

 

凶悪事件の捜査に協力する司法精神科医ジェーン・ハリファックスの活躍を描き、オーストラリアで1994年から2002年まで放映された「Halifax f.p.」の続編となるテレビシリーズ全7話(日本では全8話に編集)です。主演はレベッカ・ギブニー、共演はアンソニー・ラパリア、クローディア・カーヴァン、マヴォーニー・ヘイゼル、リック・ドナルド、ミンチュー・ハイ他。

 

随分前に観た記憶はあるのですが、内容をすっかり忘れてしまったのと、感想も書いていなかったので再見。感想を書かなかった理由を思い出しました (^^)

 

娯楽作品としては充分に面白いんですけど、真犯人の動機やキャラクター造形、サイバーを魔法のように描く現実味のなさなど、どこをとっても平凡。感想の書きようがなかったんですね (^^;;;

 

強いて感想を述べるならば、犯罪者だけでなく、主人公を含め、出番の多い登場人物たちがいずれも「好感の持てない」キャラクターとして描かれているのはちょっと珍しいかなと。好感の持てる登場人物がいないわけではないですが、そういう人物たちはレギュラー出演でも出番が少なく、人物像としてしっかり描かれていないのです。このあたりは結局のところ「好みの問題」でしかないんでしょうけどね。

「エゴイスト」('23)

 

2020年に亡くなったエッセイスト、高山真さんの自伝的同名小説を原作とし、ゲイであることを隠して地方の町で思春期を過ごし、東京で雑誌編集者となった男性と、友人の紹介で知り合ったパーソナルトレーナーの青年の恋を描いた恋愛映画です。主演は鈴木亮平さん、宮沢氷魚さん、共演は中村優子さん、和田庵さん、ドリアン・ロロブリジーダさん、柄本明さん、阿川佐和子さん他。

 

Wikipedia「エゴイスト (映画)」

 

この物語に「エゴイスト」というタイトルをつけた原作者のセンスの素晴らしさにただただ震えます。

 

ラブストーリーではありますが、それだけではなく、ラブストーリーの「その後」も描き、恋愛には限定しない、普遍的な「愛というもの」を描いていて、むしろ本当に描きたいのはそこなんでしょう。

 

ドキュメンタリータッチで「哲学」を描いた奥深い物語でした。

「WOLF -殺人鬼の狂宴-」('23)

 

英国の人気推理作家モー・ヘイダーによる「ジャック・キャフェリー」シリーズの「虎狼」を原作としたサスペンスドラマシリーズ全6話です。主演はウクウェリ・ローチ、共演はサッシャ・ダーワン、イヴァン・リオン、ジュリエット・スティーヴンソン、オーウェン・ティール、アネス・エルウィ、ティム・トレローア、シアン・リース=ウィリアムズ他。

 

予想外に面白かった (^O^)

 

正直なことを言えば、序盤のあらすじを読んだ限りでは、サイコパスが延々と拷問するシーンがありそうで、そういう不快なストーリーはあまり観たくないなぁと思いましたし、確かに序盤ではそういうシーンが多くて視聴を断念したくなったりもしたのです。が、二転三転するストーリーの面白さでぐいぐい引きつけられ、ところどころに挟み込まれるコミカルな要素のおかげもあり、観終わった後には満足感でいっぱいに。

 

メインの事件は解決しましたが、明らかに続編があることが前提の終わり方をしているので、今から楽しみでなりません♪

 

ただ、主人公と深い仲になる女がことごとくゲスい女ばかりなのは敢えてなんでしょうけど、見た目も内面も醜い女ばかりってのは…。

「ヴァチカンのエクソシスト」('23)

 

実在のエクソシスト(悪魔払い師)、ガブリエーレ・アモルト神父(1925年-2016年)による回顧録を原作としたオカルトホラーです。主演はラッセル・クロウ、共演はダニエル・ゾヴァット、アレックス・エッソー、フランコ・ネロ、ピーター・デスーザ=フェイオニー他。

 

Wikipedia「ヴァチカンのエクソシスト」

 

改めてラッセル・クロウって大スターなんだなぁと再認識。

 

内容自体は陳腐なB級オカルトホラーなのに、ラッセル・クロウの魅力だけで充分に楽しめる娯楽映画に (^^)v

 

冷静な目で見れば、そもそもこんな陳腐な内容で、どうしてラッセル・クロウやフランコ・ネロのような大スターが出演したのかと思うし、実際に観終わった後にも「よく出演をOKしたなぁ」とは思います。ハリウッド映画としては製作費は低予算だし、そのほとんどがこの2人のギャラなんじゃないでしょうか (^^;;;

 

その意味では2人がラジー賞の最低主演男優賞と最低助演男優賞にノミネートされたのはわかります。

 

それでも、とにかく主人公の「型破りな神父」というキャラクターがラッセル・クロウに合っていますし、本人の持ち味を活かした魅力的なキャラクターに仕上げているのがグッド!

 

まさに「ラッセル・クロウを愛でる」映画でしょう。