自分が、アブサンという酒の存在を知ったのは、
ドガの「アブサン」という絵画から。

そして、どうしても、
それを、一度は飲んでみたいなあ~、
という気持ちを深めたのは、
開高健さんの、「地球はグラスのふちを回る」という本の、
最初の章の、「紳士の乳」に出てくるアブサンで、
開高さんが、旅行先のブルガリアで、
現地の文筆家にレストランに招待され、
そこで出されたアブサンに、ノック・アウトされるというくだり。

たぶん、開高さんの長旅の疲れもあったのだろうが、
開高さんほどの酒豪が、飲んだ後で前後不覚になる酒なんて、
いったい、どんな酒なんじゃろ~~?
と想像をたくましくしたもんだったw
そして、そのブルガリアの文筆家と開高さんとの会話で、
開高さんが、出されたアブサンの最初の一口の後に、
「これは、ペルノーだ、アブサンだ。」
とうっかり口ずさんだら、
その文筆家は眉をひそめて
「違う!ペルノー(アニス酒)は、ペルノーで、
アブサンじゃない。
今、あんたが飲んでるのは、
マスティカという、生粋のアブサンなんだぞ~!」
というのも印象的だった.
まあ、この会話があったのは、
現在のアブサンの復活・解禁の、はるか前のやり取りなので、
その頃のペルノーは、かつてのアブサンの代名詞でなく、
禁止後の、ただのアニス酒の名称となってしまっていたので、
こんなやりとりになった訳だが
それにしても、酒飲みのこだわりが、
このオッサンたちの会話にあふれていて笑ったw
その本のおかげでw、その後自分は、
まずは「アニス酒」の方の、
ペルノーを飲む機会が出来て、
その後、本物とされるアブサンも、飲むことができたw
そして、開高さんの本の内容を、
再確認したくなって
久々に、ペルノー(アニス酒)と、
アブサンを比較したくなったw
…って、それってただの、
酒を飲む、口実じゃねえか~!w
ペルノー(アニス酒)は、
むかしアブサンが禁止されたのちに、
その代替品として、ペルノー社が出した酒で、
アブサンで悪者にされた、「ニガヨモギ」成分を排除して、
スター・アニス(八角)など、他の薬草を主役にして、
風味だけはアブサンに似せた、ハーブ・リキュール。
それが出る前に、ポール・リカールという人が、同じ趣旨で、
アブサンの代替品の酒「リカール」を出しているが、
それらは一般的に「パスティス」と呼ばれていて、
ペルノーも、よくパスティスに分類されたりするが、
成分にちょっと違いがあって、
そこにリコリス(甘草)が含まれれば、パスティス。
リコリスが入っていなければ、アニス酒の扱いになるそうだ。
ペルノーには、リコリスは入っていないので
厳密には「アニス酒」の扱いになるらしい。
なんだかややこしい。
そういえば昔、セナがいたF1がブームだったころの
「ポール・リカール・サーキット」は
このパスティスを作った会社が、出資協力したのだとか。
そして、リカール社も、ペルノー社も
今はくっついて、一緒の会社になっているらしい。
アニス酒の方のペルノーを飲むのは、久しぶり。
昔アブサンにハマっていた時からは、口にしてなかった。
アブサンよりかなり割安のなのはありがたいかな。
アルコール度数は40度で、アブサンより低くて、
ニガヨモギがないと、そのくらいの度数で、
他のハーブの品質は保てるということなのか?

パスティスの、「リカール」や「51」は、原酒が褐色だが、
ペルノー(アニス酒)は、原酒が、わかりやすい緑。
いかにも着色したって感じで、
ラベルにも「黄色4号」の表示があるが、
そこだけでも、アブサンの面影を残したかったのかな。

水で割っても、白濁というより、「メロン色」
こうなるのはグランド・アブサンと似ていて、
着色料のせいか。

久々に飲んだ感じの、ペルノー(アニス酒)は、
まあ、やっぱり、アニス酒というのか、
飲み始めのインパクトもそんなにない感じで、ソフトで、
なんだか単層のハーブ酒という感じ。
アブサンと風味は似ているけど、
アブサンみたいな重厚さや多層感はないって感じやろか。
後味でのどに残る辛さは、アブサンとちょっと違う感じで、
薄~いワサビの味のような、
ちょっと揮発性のあるような辛さだが、
刺激を過ぎたら、それはあんまり後を引かない感じ。
後に残る甘味は、
バカ舌の自分でも分かる砂糖の甘さって感じで、
ソフトドリンクか、カクテルみたいな甘さ。
パスティスやアニス酒が、食前酒に使われるのも、
そういう軽さからなのかなあ。
ほんじゃ、アブサンと比べてみよう、ということで、
ペルノー(アブサン)も同時に飲んでみると…

…やっぱり、
ペルノー(アニス酒)は、ペルノーであって、
アブサンじゃなかった!(爆)
両者とも風味は似ているのだけれども、
なんというか、アブサンの方が、
重厚さも、後味も残って、
どこか高貴に思えるような豊かさがある感じw
アブサンを飲んだ後だと、ペルノー(アニス酒)は
かるいソフトドリンクのような風に思えてくるw
大昔に、アブサンが大流行したのも、
ただ酔っぱらいたいだけではなくて、
そういう風味に魅せられた人が多かったからかも。
バカ舌の自分でも違いは分かる感じ。
いきなり、プロレスに例えると、
ペルノー(アニス酒)の方は、
アントニオ猪木が不在で、
長州力と、藤波辰巳だけで回している、
新日本プロレスみたいな感じか(爆)
…って、プロレス・ファン以外には、
通用しない例えだw
アブサンにおいては、ニガヨモギは、
「アントニオ猪木」だったんだ~!w

アントニオ猪木と体格も似ていて、
とんでもない格闘技スキルをもつ人は、
他にもけっこういたかもしれないけれど、
猪木の試合じゃないと熱狂できない、何かがある。
ニガヨモギだって、
似たようなハーブはいっぱいあるが、
アブサンでは、ニガヨモギがなきゃダメなのじゃあ~(爆)
そして、そんなら、ペルノー(アニス酒)に、
アブサンのエッセンスの「ビターズ」である、
「エクストリーム・アブサン」を加えたら、どうなるのだろう?、
アニス酒から、アブサンにランクアップするかな?
と変なことを思いつき、
ペルノー(アニス酒)に、
エクストリーム・アブサンを投入してみるw


すると…
おお、味はまあ行けるかもw
ペルノー(アブサン)までは、行かない感じだが、
アブサン55程度の感じにはなったかもw
そこで今度は、
普通に、「アブサン」として売られているが、
自分的には、アブサンとしては、
ちょっとあっさりし過ぎで物足りない感じの、
ラ・フィー・パリジェンヌに、
ペルノー(アニス酒)を加えてみたらどうだろう?
と試してみる。

そして、飲んでみると、これなかなか良くてw
なんだか、ラ・フィーの足りないところ、
なんかアブサンとしてのコクがない所を、
アニス酒が補ってくれる感じw
ラ・フィーの量を多めにすると、ペルノーの甘ったるさも隠れて、
それで、なんだか豊潤なアブサンになる感じ。
ラ・フィーは、そのままだと、
いわゆる「ボヘミアン・スタイル」的な、
アルコール感は高め、ハーブ感はひかえめの、
東欧的な味のアブサンだが、
アニス酒を足すと、フランスのアブサン的な豊潤な感じになるw
このミックスは、自分的に悪くないw

そこから調子に乗って、そこにさらに、
エクストリーム・アブサンを加えてみたが、
そこまですると、味が複雑すぎて、うまいのかどうか、
味がよくわからなくなってしまったw
ラ・フイーとペルノー(アニス酒)のミックスだけで十分だったw

アブサンとペルノーのミックスなんて、
アブサン通からしたら、
眉をひそめる軽蔑ものかも知れんが
そこらのコンビニワインだって、ウイスキーだって
ブレンドや調整ものも、いっぱいあるし、
その中においしいものもたくさんある。
親戚同士のミックスだっていいじゃないかw
アブサンとシャンパンのカクテルもあるし
アブサン+ジン+ウィスキーという
かなり強力な組み合わせのカクテルもある。
アブサン同士やパスティス同士の、
カクテルだってあってもいいと思うし、
むかしアブサンにはまっていたころ、
安物のアブサンで、辛すぎる奴や
甘すぎる奴ばかりが、ボトルに残っちゃて、
どうしようかなんて時に、
それらをミックスすると、
ちょうどいい味になるケースもあったりしたっけw
まあ、お酒なんて、おいしく飲んで楽しめれば、
正統も、邪道もないんじゃないのかな?
そのうち、安物アブサン同士のカクテルも、
また試してみようかな。

今日の収穫は、
ニガヨモギは、
アブサンの世界での、
「アントニオ猪木」だった、てことか(爆)
ちなみに、開高健さんも、プロレスファンで、
テレビでは、ドキュメンタリーか
プロレス中継しか観なかったそうだ。
それを知ったらなんかうれしかった記憶があるw