『サザンクロス』40周年、そして『モスピーダ』についても少々…。 | 有栖川まおの愛が止まらないR

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「有栖川まお」のガンダムで倉木麻衣な日々の出来事を綴ったブログです。

  

 『超時空騎団サザンクロス』の放映が開始されてから、本日で丁度40年になります…って、私はほとんど、いや、全くと言って良い程観てませんでしたが(汗)。

 この作品は、マクロスオーガスに続く「超時空シリーズ」3作目にして、最後の作品となってしまいました。OVAの『超時空ロマネスク SAMY』が最後だという話もありますが…、

まずロボットアニメじゃ無ェーだろ(笑)。

 

 観ていなかった以上は、内容について語る事は出来ませんが、この『サザンクロス』は、竹書房刊『'80sリアルロボットプラスチックモデル回顧録』において模型文化ライター氏が語っていた通り、「ブームの『断末魔』と化したサザンクロスという悪夢」そのものでした。当時MSVバイファムハマりまくっていた私には今一つ実感できなかったのですが、この『サザンクロス』の放映当時は、1980年7月の1/144RX-78ガンダムの発売に始まった「リアルロボットアニメブーム」は、もはや完全に下火となっていたのです(泣)。

 そして今や『サザンクロス』と言えば、例の「ロリコンを採り入れたボディというネタ枠でしか語られる事が無い、不運な作品と言うべき存在と化しています。現在でこそ、女性主人公のロボットアニメは『水星の魔女』等が存在しますが、当時としてはあまりにも早過ぎました。そして先述の「ロリコンを採り入れたボディ」も、

現在でこそキャストオフフィギュアが存在しますが、当時は技術がアイディアに追いついておらず

このアリイの1/12ラーナ少尉のキットの素体パーツも、美プラを見慣れた現在の目で見れば、そのグレーの成型色とも相まって、邪神像と言うべき造形でした…。

キャラデザの方は結構イケてると思ったんですけどねぇ。

 …それにしても、「内心は男への興味が充満している。」って、ハレンチな娘だなぁ(笑)。

 

 そして、このキットに入っていた小冊子には、

『サザンクロス』世界における軍組織図やエンブレムが、事細かに設定されています。

これを見れば、「河森正治・美樹本晴彦・板野一郎が居なくとも『マクロス』を超えてみせる!」との意気込みだけは伝わってくるのですが、3クール分の全39話を放送予定だったのが、結局、2クール分にも満たない全23話で打ち切られた為に、これらの設定は劇中に活かされる事は無く、全て空回りに終わってしまったであろう事を思うと、落涙を禁じ得ません…

 

 当初は、バンダイもこの『サザンクロス』のスポンサーに名を連ねていて、主役メカ(?)のスパルタスの商品化も予定されていたのですが、

関連商品を一切発売しないままにスポンサーを離れる事になってしまい、リアルロボットアニメなのに、主人公側の巨大ロボットが一切商品化されないという異例の事態となりました。そもそも、商品の主力は、主人公達が着用する「アーミング・ダブレット」がメインでしたし。

 まあ、同じ超時空シリーズのVF-1バルキリーやオーガスに比べれば見劣りするデザインなのは見ての通りで、こりゃスポンサーを離れたくなるのも無理はないかもしれませんね(ヲイ)。

 

 しかし、日本では低評価に終わったこの『サザンクロス』も、アメリカの『ROBOTECH』シリーズでは『The Masters』として採り入れられて一定の評価を受けており、主人公のジャンヌは『マクロス(『ROBOTECH』では『The Macross Saga』)』のマックスミリアという事にされてたりします。

この『ROBOTECH』シリーズ、欧米では『ガンダム』シリーズ以上に人気だったりして、ホント、海外って何がウケるか分かったモンじゃありませんね…。ちなみに、『オーガス』は同じ「超時空シリーズ」でありながら、『マクロス』と『サザンクロス』がタツノコによる制作だったのに対して、東京ムービー(現・トムス)による制作だった為に、『ROBOTECH』には入れてもらえませんでした。

 

 『ROBOTECH』について触れたついでに、同じタツノコ制作という事で、この『ROBOTECH』に『The New Generation』として採り入れられた『機甲創世記モスピーダ』についても語る事にしましょう。ホントは放送40周年となる去年の10/2に語るべきだったのですが、すっかり忘れてしまってました…(汗)。

 人類と異星生命体「インビット」との戦いを描いたこの『モスピーダ』は、学研がスポンサーに名を連ねてキットや可変TOYまで出していただけあって、アニメディア誌やたら推されていた記憶があります。主人公達は、タイトルメカの「モスピーダ」の他にも、「ブロウスーペリア」や「バートレー」といった、アーマーバイクから変形する「ライドアーマー」と呼ばれるパワードスーツを身に纏って戦うのですが、子供心にも「無茶のある変形だなぁ…」と思ったモノですよ。何しろ、このライドアーマーには、ライディングスーツを着用しなければ変形できず、脚部はそのライディングスーツそのままだったりするのですから。デザイナーの荒牧伸志氏自身にとってもこの点は心残りであったらしく、後に荒牧氏は『メガゾーン23』のガーランドや、

バブルガムクライシス』のモトスレイヴといった、

バイクから変形するロボットのデザインを追求し続ける事になり、それはもはや荒牧氏のライフワークと呼べる物となっています。

 

 『モスピーダ』のメカデザインと言えばもう一つ、アーモファイターと呼ばれる戦闘機形態からアーモソルジャーと呼ばれる人型形態に変形する、主役機のモスピーダ以上に活躍していたAFC-01レギオスですが、そのデザインは、アーモダイバーと呼ばれる中間形態がまんまガウォークだったりと、モロにVF-1バルキリーを意識した物となっていました。このレギオスのデザインについて、荒牧氏は「どうせ何を描いてもバルキリーのパクリと言われてしまうだろう」と、開き直ってデザインしたそうです。その為か、先述の『The New Generation』では、VF-1の後継機VF/A-6」という事にされてたりします…。

 

 『モスピーダ』と言えば、今は亡き親父の思い出がありまして、それは、普段私のロボットアニメ趣味をバカにしまくっていた親父が、ある日、一体どういう風の吹き回しか、近所にあったジャスコのプラモ売り場コーナーで「おぅ、何か好きなの買ってやっぞ。この『モスピーダ』なんかどうだ?」と言ってくれた事でした。その時ジャスコの店頭には、この『モスピーダ』や『サザンクロス』といった、私にとっては「コレジャナイ」でしかなかったロボットアニメキットばかりがゴロゴロと売れ残っていて、当時私が欲しかった『MSV』や『バイファム』といったサンライズ系アニメのキットは、その時に限って軒並み売り切れておりタイミングが悪いのは昔からですね…)、結局何も買わず(買えず)に終わり、せっかく何か買ってやろうと思っていた親父からは、顰めっ面で「何だい…!」と言われてしまったのです。思えば、あの時からリアルロボットアニメモデルのバブル崩壊してしまってたのですね…。

 

 そして、この『モスピーダ』と『サザンクロス』の2作品に象徴される「リアルロボットアニメモデルのバブル崩壊」について語る際には、エルエス悲劇を抜きにしては語れません。

かつては、航空機を中心としたスケールモデルメーカーとして名を馳せていたエルエスでしたが(私も、1/144戦闘機のキットをよく買っていたモノでした)、ガンプラブームを目の当たりにして、「ウチもアニメモデルで一山当てよう!」などと欲をかいたのが運の尽きでした。

 その1/144戦闘機のノウハウが活かされたと思しき『モスピーダ』の1/100レギオス・アーモダイバーのキットでは、

パッケージの横に「ガウォーク型である」などとストレートな記述(笑)があったり、

国際映画社が手がけた最後のロボットアニメで、タカトクトイス倒産により急遽打ち切りが決定した為に、最後の30秒を止め絵とナレーションによる説明のみで終わらせてしまうという伝説の最期を迎えた『ガルビオン』にも手を出したり、

 『マクロス』『オーガス』でタッグを組んでいたイマイアリイと協力してリリースした『サザンクロス』の1/12ジャンヌ少尉のキットでは、ファンのリクエストを受けて、第2版から素顔のパーツを付属させたり(もっとも、先述の1/12ラーナ少尉を出したアリイのように「ロリコンを採り入れる」気概までは無かったようです)と、意気込みだけは盛んでした。

 ところが、当時、既にリアルロボットアニメブームは終息を迎えつつあった為に(子供達の興味はファミコンへと移りつつありましたしねぇ)、これらのキットはエルエスが思っていた以上に売れ行きは芳しくなく、結局、キャラクターモデル市場からは、僅か1年程で撤退を余儀なくされました

 しかし、プラモの金型ってえのは数千万円規模の費用を要する物であり、ブームを当て込んだキャラクターモデルへの参入とその失敗は、老舗メーカーの経営基盤を揺るがすには充分でした。それに加えて、銀行の勧めで建てた新工場の建設費が負担となり(この銀行もエルエスと同様にブームの終焉が読めてなかったのですね)、バブル崩壊(本来の意味での)に伴う金融機関の貸し剥がしによって、1992年に倒産の憂き目を見てしまいました。倒産から30年以上が経った現在では、これらのキットはやたら高いプレ値で取引されていますが、その金で救済出来ていれば…。

 コンテンツのセレクトを誤りさえしなければ、その運命も少しは違っていたかもしれませんが、メジャーどころのコンテンツは既にバンダイやタカラといった大手メーカーによって押さえられていた為に、必然的にB~C級のコンテンツしか選択肢は残されていなかったのです。そこが、スケールモデルと、版権という厄介な物の存在するキャラクターモデルとの違いなんですよね…。

その点、かつて『ジョー90』に手を出して大火傷を負ってからはキャラクターモデルからは完全に距離を置くようになったタミヤと、

ブームが完全に落ち着いた2000年以降になってから『マクロス』等のメジャーコンテンツの版権を得てキャラクターモデルに手を出すようになったハセガワ利口でした。

 

 そして今や、キャラクターモデル市場はほぼバンダイ1強の時代となり、辛うじてアオシマや先述のハセガワがそれに追随していて(フジミも「マクロスモデラーズ」に参戦するとか…)、その一方でタカラ(現・タカラトミー)やアリイは撤退し、イマイも2002年に倒産し、マックスファクトリー/グッスマやWAVE、コトブキヤ、ボークスといった元GKメーカー奮闘している、といった状況です。

 しかし、グッスマなんか、最近になって、上記の通りの呪われた作品である『ガルビオン』をMODEROIDでキット化しちゃったりして、その呪いで潰れてしまうハメになったりしなければ良いのですが…。