『MSV』、40周年。 | 有栖川まおの愛が止まらないR

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「有栖川まお」のガンダムで倉木麻衣な日々の出来事を綴ったブログです。

 ガンプラの『モビルスーツバリエーション』、即ち『MSV』シリーズが発売開始されて、40年になります。正確な発売日は不明ですが、例の模型文化ライター氏が著した『MSVジェネレーションの記述からして、おそらくこの3/25辺りだったのでしょう。

 第一弾としてリリースされたのは、1/144の06R(商品名が「MS‐06R ザクII」だったモンですから、じゃあノーマルのザクが「ザクI」なのか、と思ってしまったのは私だけじゃ無かったでしょう)、

ザクキャノン

そしてプロトタイプドムの3種でした。

 当時の私は、ガンプラ、と言うよりは『ガンダム』そのものに対してまだそれ程興味が無く、以前、祖母に1/144量産型ザク、母に1/144シャア専用ゲルググを買ってもらったものの、両者とも出来が悪かった事もあってか、それを切っ掛けにガンプラにハマるようになった、なんて事はありませんでした。そんなワケで、当時の私のMSVに対する認識は、正直言って『ガンガル』や『ザ★アニメージ』あたりと変わりありませんでした(ヲイ)。

 それが、その年の夏休みに、今は亡き祖母に、これまた今は亡き仙台の丸光(現在のさくら野跡地です…再開発の話は一体どうなってるんだ!?)で、1/144プロトタイプドムを買ってもらった事により、その認識が180°覆る事になったのでした。その時は06Rとどっちを買うか選ばされたのですが、以前からドム何となく好きだった事や、その迫力あるボックスアートもあって、プロトタイプドムを選んだのでした。その解説書を読んだ時に、私は初めて「あぁ、これはガンプラのパチモンなんかじゃ無くって、正統な続編なんだな」と知る事になったのでした…。

 それから、従弟が以前からガンプラにハマっていた事もあって、私もそれまでのコロコロに代わってボンボンを読み始めるようになり、8月号の岩瀬昭人氏の手によるガンダムフルアーマータイプ(当時は「強化ガンダム」または「ストロングガンダム」と呼ばれてました…)の1/60作例に衝撃を受けて、

以後はそのガンダムフルアーマータイプの1/144キットや、

当初買えなかった06R等も買う事になりまして、現在に至るのでした。当時の私は、ノーマルのMSのシンプルなデザインやガンダムの細い臑あまり好きでは無く(現在はそうでもありませんが)、むしろ、ダグラム等の太い臑の方が好みで、アーマーを装着して太くなったそのフルアーマーの臑に、思わず一目惚れしてしまったのでした。

 MSVシリーズの何が凄かったのかと言うと、やはりその従来のガンプラとは一線を画したディテールとプロポーション、そして可動範囲でした。まあ、関節に関しては、1/60キットや1/144パーフェクトガンダムを除けばポリキャップ未使用だったり、可動範囲もまだまだ狭かったりと、現在の目で見れば大した事はありませんが、何しろ、先述の1/144量産型ザクは足首が動かず、シャア専用ゲルググは肩が動かない有様でしたからねぇ。当時は「こんなのがブームになってたのかよ」と、子供心に呆れてしまったモノでした。それまでのノーマルタイプのガンプラは、それだけ出来がよろしくない物でしたが、それでも、MSVがキット化される前のガンプラブーム当時のモデラーは、それをベースに切った貼ったして、理想のプロポーションへと仕上げて行ったモノでした。小田雅弘氏らストリームベースによる「ザクの肩のハの字加工」が良い例です。『HOW TO BUILD GUNDAM 2』に掲載されて伝説となった1/100の06Rの作例も、スカートに同スケールのギャンの物を流用したりして、大河原氏の手によるイラストのプロポーションの再現を行なっていたモノでしたしね。もっとも、小田氏はキット化された1/14406Rのキットのプロポーションが気に入らず、作った事は無かったそうですが…。

 一方、後に出た1/144ゲルググキャノンは、

まさにゲルググのベストプロポーションキットと呼べる物でした。後に『センチネル』シリーズのキットの設計を手掛ける事になる高橋幸正氏の手によるそのプロポーションは、現在の目で見ても充分に通用する物で、後のHGUC版にも引けを取らない程です(個人的にはHGUC版よりも上だと思ってます)。プロポーションのみならず、肩を上げたら脇の下から蛇腹が出てくるという凝ったギミックや、スカート内のバーニアがキッチリと再現されていたのにも驚かされました。当時はこのキットをベースに、頭部を改造してノーマルゲルググを作るモデラーが続出した程で(それだけ最初のゲルググのキットのプロポーションがよろしくなかったのでしょう)、後にジョニー・ライデン専用ゲルググや、

『ZZ』シリーズのリゲルグにも金型が流用され、両者にはそれぞれ新規起こしの頭部パーツ(旧キットの頭部が左右割りでディテールが甘かったのに対し、この両者のそれは前後割りでシャープなモールドでした)が付属して好評を呼んだモノでした。

 同様に、その出来の悪さ定評があったノーマルキットの1/144ザクは、後に1/144ザクマインレイヤー

そして1/100ガンダム1/100ガンダムフルアーマータイプという形でリニューアルが行なわれました。

もっとも、武装は旧キットの物を流用せざるを得ませんでしたし、マインレイヤーは臑が妙にぶっとく、ガンダムフルアーマーは顔がイマイチだったりしました…。ジョニゲルなんか、ビーム・ライフルやシールドの他にも、ジョニザク(後述)に付属してなかったジャイアント・バズや、ボックスアートでも手にしているオリジナルのロケット砲も付いてたってえのになぁ。こうした旧キットのリニューアルは、後にHG版ガンダム絶版)やマスグレHGUCへと受け継がれ、現在まで至るガンプラ人気の要因となったと言えるでしょう。

 なお、1/144プロトタイプガンダムのキットも、

腕部をGMキャノンの物に換装して、ビーム・ライフルとランドセルにノーマルガンダムの物を流用して、右腰部のホルスターを左腰部と同じヘリウムコアに換装して、後腰部のフンドシを上に伸ばして、ビーム・サーベルの5本線の下2本のモールドと、足首のマジンガーの口(笑)を埋めさえすれば、MSVフォーマットのノーマルガンダムが作れますので、お試しあれ。ちなみに、このプロトタイプガンダムのボックスアートの右下に描かれているテム・レイの右隣には、背中に「STREAM BASE」の文字を背負った小田氏の姿が…。

 そして1/144ジョニザク(06R-2)の人気も物凄く、第一弾の06Rの売上をも上回った程だと言われています

アニメのキャラである黒い三連星の乗機よりも、MSVオリジナルのキャラであるジョニー・ライデンの乗機の方が人気が出たなんて、当時の日本サンライズのスタッフはビックリしたと同時に、脅威を感じたでしょうねぇ。このジョニザクは、連邦側のガンダムフルアーマータイプと並んで、ジオン側で唯一1/144・1/100・1/60の各スケールで発売されたMSVのキットとなった程でした(1/100の06Rはシン・マツナガ仕様)。MSVのCMでもその名が呼ばれていた位ですしね。その人気を受けて、先述のジョニゲルが新たに設定された程です。小田氏らによって詳細な機体解説やパイロットのエピソード、そしてパーソナルマークが設定されたりと、ミリタリー的なリアリティを追及していた『MSV』でしたが、やっぱり、ある程度の「ケレン味」は必要だったのでしょう。「赤い彗星」と呼ばれていたシャアの乗機が、実際はピンク小豆色じゃないかと揶揄されていたのに対して、ライデンの乗機は全身真紅でしたしねぇ。

 それから『プラモ狂四郎』に登場したパーフェクトガンダム

当初はボンボンにて製作方法の記事が載っていた位で、MSVとは無関係の存在だったのですが、MSVのプロデュースを手掛けていた安井尚志氏が小田氏に「MSVに組み込めないか?」と相談したものの、そのMSとしては派手なデザインから小田氏は渋っていて、妥協案として、より兵器的なリファインを施してガンダムフルアーマータイプとなり、それはそれで人気となったのですが、やはりパーフェクトガンダムそのもののキット化を望む声は大きく、MSVの展開末期になって、1/144と1/100でキット化されるに至りました。

 

 そしてこのMSVは、企画倒れに終わってしまったMS-X』を経て、『Zガンダム』へと繋がって行くのですが、個人的には、パーフェクトジオングが、予告されていた1/144でキット化されなかったのが心残りです(1/250キットの出来は確かに良いんですけどね)。

マスグレではキット化されたのですが、1/144ではいまだにキット化されてません…。せっかくジオングRGで出たんですから、プレバンでも何でもキット化しない手は無いと思うのですが。