【純喫茶部】久しぶりの代々木で、「珈琲専門店 TOM」に！（ジジロアあるかな……）

新宿で所要を済ませて、一息。

新宿駅界隈なら、「珈琲　西武」、「名曲・珈琲　らんぶる」、或いは未踏の「タイムス」か……と、しばし思案し、此処が南方面であることに気付いてひらめきました。

そうだ、代々木へ行こう。と。

―御嶽山に移る前、事務所は代々木に設けたあったのです。ちょうど、サザンテラス口が出来た時期から、途中、クリスピークリームドーナツが上陸してきて、バスタ着工前あたりくらいまで、ですかね。ちょくちょく足を運んだ紀伊國屋（新宿南口店）もいつの間にやら売り場縮小、ドーナッツ屋さんもサザンテラス口手前にあった物産館もなくなっていたし、とにかくすっきりバーンとひらけて、強烈なビル風だけはそのままに、翌歩いた道を颯爽と吹き抜けていました。いくばくかの感傷を胸に、いざ、純喫茶―

「珈琲専門店　TOM」へ。

新宿はサザンテラス口から5分程度、代々木駅から2分程の場所にある「珈琲専門店　TOM」。近くには、代ゼミがあって美容学校があってサラリーマンがいっぱい居て、新宿のすぐそばなのにまた全然違う賑わい方をしている面白いエリアです。

カウンターのある1Fと、広々した2F。どちらでもどうぞ、と言っていただけたので見晴らしの良さそうな2Fへお邪魔いたしました。

チョコレート色のシックな設えは、まさに珈琲専門店。

ほの暗い店内に、差し込む春の陽の清らかさ。大森のオアシス「珈琲亭　ルアン」にも通ずる、この感じ。最高。隅々まで実によく手入れがなされていて、つくりものでは醸せない頼もしさと凛々しさが、たまらない心地よさを与えてくれました。

せっかくなので、ババロアならぬ「ジジロア」をいただくつもりでいたのですが、「まだ固まってないのよね、たぶん」と、何度か冷蔵庫を見に行ってくださったマダム。あと小一時間、というところだったようですが、ここは潔く断念して「ホットサンド」を。

香ばしいかおりと共にやって来たのは……

↑　横から

↓　上から

玉子×トマト、ハム×チーズの二種類が一皿に。

主役級でのサンドイッチも、珈琲をひきたてるために存在するかのような、完璧なまでの脇役ぶりが美しく。じゅっと沁み込んだバターに、ぱらりと一振りの塩。シンプルな薄焼き玉子とさりげなく寄り添う薄切りのトマト。そしてピンクのロースハムにとろけるチーズ。パンはかろやかでしっとりと、かりかりとふわふわが絶妙なバランスで一体化した、すこぶる好みのサンドイッチは、そうこれ母のつくってくれたあの味！

熱々をほおばるしあわせときたら……

うっとりしながら一切れを食べきったところで、ほどなく、ソフト珈琲も到着いたしました。TOMではストロング（デミタス）／ソフトがたのしめるのが良いですね。好みを伝えるとベストな豆を選んでくださるのは、さすが、専門店です。

夢中になってかぶりつきたくなるサンドイッチに、雑味のないまろやかな珈琲で至福のひと時。

お昼前だったこともあり、2Fはしばし貸切状態。愛くるしい銀髪のマダムと昔話を交わしつつ、遠慮なくシャッター（といっても携帯だけどね）をきらせていただきました。手元には、寺山修司「幸福論」。偶然と必然の対立項を眺めながら、再び此処を訪れた必然性みたいなものをぼんやり考えてみたりなんかして。

夏日となったこの日は、窓からのそよ風が。止まったままの時計さえ愛しくなるようなすばらしい時間でした。

お店を後にする頃には、背広姿の男性がぞろぞろと。いつの間にか殆どの座席が埋まっていました。真向かいのマクドナルドを愛する若者たちも、いつか、純喫茶の魅力に気づく日が来るのかな……（ちなみに、此方のマクドナルドも1971年OPENだそうです）。

名物メニューとして紹介されている、「コーヒーぜんざい」「ババロア　セット」「ジジロア　セット」は次の機会に。コーヒー豆の販売も行っているようですので、お気に入りが見つかればお土産にも良いですね。

都会の喧騒を忘れさせてくれる「珈琲専門店 TOM」。 1971年から、この場所でまちのひとたちに愛されてきた名店です。

●珈琲専門店 TOM 　
●東京都渋谷区代々木1-37-3 岩崎ビル１Ｆ

【過去記事】

●【純喫茶部】OKバブリー！上野の「ギャラン」で、昭和歌謡にひたる夕暮れ●【純喫茶部】本郷通りで、純喫茶の「こころ」にふれる。

●Malu Cafe●

はじめまして、Malu Cafe（マルカフエ）です

【純喫茶部】久しぶりの代々木で、「珈琲専門店 TOM」に！（ジジロアあるかな……）