大田区は大森の名店、
「珈琲亭 ルアン」さんへ。
ふつうにシャッターを押しただけで、あふれだす昭和の香り。
このたび、三度目の来訪です。
クラシック流れるTHE喫茶店。
「珈琲亭」とうたってある通り、
珈琲の種類は実に多彩で、
メニューはなんと約80種。
表のショウケースにも、
カップが沢山飾ってあります。
グァテマラ、キリマンジャロ、モカ・マタリ、コロンビア、ジンバブエ、ブルーマウンテン他、日替わりのおすすめ珈琲や<炎で演出>カテゴリのメキシコの情熱、悪魔の炎(3人分4500円)とやらも! 燃え盛る珈琲も、一度試してみたいものです。
趣向を凝らした調度品の眩しい店内。
ぎちぎちと珈琲豆の敷き詰められた硝子卓も、
ふんわりしたシルエットのシュガーポットも
味わいのひとつでしょうか。
絨毯の赤、
飴色の灰皿にも、
昭和の名残を感じます。
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さて。
本日のお目当ては、
「モーニング・サービス」。
飲物に「+100円」で、
トーストとジャム&バター、
ゆでたまごがついてきます
銀のトレイにかちりと納まる姿は、実に見目正しく。
前にもアイスコーヒーやホットサンドをいただきましたが(どれも、美味しかったです)、なんだろう、輪をかけての、この高揚感……!!ほのかに甘みを感じる、熱々のカフェオレと香ばしいトースト。斜めにカットされたトーストには、これまた懐かしさを感じる、やわらかいバターにぽってりとしたいちごジャムが添えられ、ふるいつきたくなるほどでした。
甘! 旨!
ふわふわ軽くてきつね色。
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そういえば、わたしジャムトースト好きだったんだよなあ……と、子供の頃のことが懐かしく思い出され、すごくすごく、しあわせな気分になりました。お洒落ほとばしるカフェのハイブリットなフレンチトーストも素敵ですが、ほっと寛げるのは、奇をてらわない誠実なトーストなのかもしれない。
あちらこちらのテーブルから立ち上る紫煙と、店内を包むコーヒーの香りは、いつか憧れた大人の世界。そんな場所でそっとかじるジャムトーストのくすぐったさったら! こみあげるものをカフェオレでそっと流し込み、手元の太宰の葉ちゃんの苦悩をなぞりつつ……背後でジーコジーコと鳴るダイヤル式電話のこれまた懐かしい音に耳を傾けていましたら、またしても、遠い記憶にゆさぶりがかかるのでありました。
二階に上がる階段の手前に、
公衆電話が設置してあるのです。
店内にはスーツのお客様が何組かあり、追って、普段着のおばあちゃまたち、奥様方、ジャージのおじいちゃま、等々。カフェオレを飲み干す前に、座席は殆ど埋まっていました。珈琲の美味しさはもとより、店員さんも皆気持ち良く丁寧にご給仕してくださり、近くなら毎日でも通いたくなる居心地のよさでした。
ごちそうさまでした、
美味しかったです。
と、お会計を済ませたところ、ありがとうございます、行ってらっしゃい、のあったかい言葉が追いかけてきて。ふわっと気持ちが軽くなって、いざ次の目的地までの背筋がすうっと伸びた気がました。
まちの喫茶店でありながらも、
珈琲道を極めたような「珈琲亭ルアン」。
わざわざひと駅降りて足を運びたくなる、お勧めの一軒です。
【おまけ】
①ビバ!造花!
良い純喫茶では、往々にして、味わい深い造り花を見ることが出来ます。
②こけし
よくみるとこけしがかくれています。
恵比寿の銀座のショウケースにも貝殻人形が安置されていたような……
【過去記事】
●【純喫茶部】赤いポットが目印の、理想の喫茶店。「棕櫚」を携えて、アンセーニュダングルへ!
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