CM大往生 -3ページ目

旅人。

今年の平面広告の中で とりわけ好評のルイ・ヴィトンの広告。


「なぜ人は旅をするのか。世界を知るため?それともそれを変えるため?
冷たい色味が強烈。 ゴルバチョフの他にドヌーヴも。


ちょいとこれを想いだした。非広告的被写体を恰好よくってことで。
スタン・ハンセン×PARCO 1983年。

とは云えゴルバチョフは広告と縁があって、日本サッカー協会の「ペレストライカー」
(そっくりさん)や日清の20世紀カップヌードル(フッテージ?)などがあるけども。

ポートレイトと云うとオムニバスジャパン新橋ビデオセンター5Fの廊下に掲げられた
キャサリン・ターナーのそれがベラボウに恰好いい。行く機会があれば(そんな用がある
のひとは限られるか) 是非ご鑑賞を。

力強い構図

西田ひかる・森口博子・相原勇の売りが「元気」であったように
           木村佳乃の売りは「から元気」です。きっと来年も。

閑話休題。ウィキペディアで長谷川京子 さんを検索、彼女の卒業した川村短期大学 にリンクで
飛ぶとこのような写真 力強い構図です。手前にぶれた鉄柱。そして広大に駐車場。
その奥に肝心の川村女子短期大学。ちょっと感動。

例えば東京大学はありがちな安田講堂をありがちなアングル で、という具合なのですが。

(追記1)
この装丁の写真。もろもろ半端で その不安定さが かえって印象を強めて居ましょうか。
田中 森一
反転―闇社会の守護神と呼ばれて
(追記2)
コムスン問題以前にオンエアされていた ベストライフのCM介護はなんだが「善」を求められがちですが、国が
政策として民間の介護士に委ねようとしている以上は、商売・職業としてなり立たなければ、制度として持続しないでし
ょう。収入を含め労働環境が悪く(CM制作会社と一緒だ!)、介護士の資格を取ってもその職に就かず、就いたとして
離職率が高いそうで。そういう状況を世に問うたCMです。
(追記3)
ガスパッチョ 本能寺に戻る織田信長の「達者でな」 が切な過ぎる。
(追記4)
たいへん評判のいい競輪のCMメイキング がまた酔狂なここ何年かに撮影されたCMで一番たいへんな撮影
なんぢぁねえかと想います。演出が前田良輔だし。それが報われる出来映え。さすが前田良輔。撮影は笠松則通さんなど。

(追記5)
SEAMOのPV「軌跡」かれこれ一月半繰り返し見ていますが、素晴らしい出来映え。飽くことをしりません。
Mgのブログ(これこれ )によると、台風のため予定外の雨天での撮影とのこと。その不運を上手く取り込んで居ます。
と云いますか、雨はあった方がいいですよね。薄墨色の画に和合して居ます。(演出は多田卓也・撮影は金子聡司)

月桂冠

一連をまとめて見たいCMとしては 高倉健・裕木奈江のJRA、the高崎勝治と云うべき
JR東海「そうだ京都へ行こう」、真田敦演出・佐々木原保志撮影の黒ラベル(電車内で
ハマコーが暴れたりする)、辺見法久さん撮影が素晴らしいエビスビール、

それから月桂冠。



全6作。


6本目の↑ 川べりを走るシーン  暮色のかかった曇り空が なんだが好きです。
また 3本目の冷蔵庫の上に電子レンジ、こういう生活感もいいなあ。

1本目はたしかに素晴らしいのですが、カネは結構かかるでしょう。で、2本目から身近
な生活感のあるCMへ…てな感じでしょうか。ロケハンをちゃんとして、アングルをちゃん
とさぐったCMです。(前回の記事の植村花菜PVとは大違いで)

また安藤裕子とコトリンゴの曲もいいのですが状況音(魚屋の声や魚を焼く音や)を巧
みに構成して居るんですね。6本目の永作博美さんの足音なんて いい感じです。
セリフを排する一方で 状況音をしっかり並べていく、なかなかニクい仕事っぷりです。


そう云えば 月桂冠には 当時博報堂の最年少CD+飛ぶ鳥を落とす勢いの野田凪に
よります こんな へんてこりんなのもありましたが。

月桂冠は 気の利き過ぎて居ないコピーにさらっと落ちて居ますが、アルコール飲料
の名コピーと云いますと

「女房酔わせてどうするつもり」…ニッカ・オールモルト (家呑み)
「恋は遠い日の花火ではない」…サントリー・オールド (外呑み)

なんかを想い浮かべる訳ですけれども 「女房酔わせて…」は 近頃 石田ゆり子さん
出演でリメイクされて居ますね。

若者が クルマを買わない(買っても軽自動車)・ビールを呑まない・海外に行かない 
そんな内向きの時代の表象。

恋はいつも幻のように / ロケハン

郵便花子 「ナウなヤングの頃は どんなCMが好きだったの?」
majomajo 「モデルの りょう の出て居た コカコーラライトのCMです」
郵便花子 「??????????????????」
majomajo 「ほら ホフディランの『恋はいつも幻のように』がタイアップの」
郵便花子 「??????????????????」

なんで誰も憶えて居ないのだろう…。YouTubeにもないし…。哀しいな。

しかたがないので これでも喰らえ。


キセル「ハナレバナレ」のPV。川村ケンスケさんの演出。
しっかりとロケハンされて居るなあと云う作品。なんど観ても飽きません。

同じく 都営荒川線が出てくるPVで…

反対に ろくにロケハンされて居ない作品。
植村花菜「やさしさに包まれたなら 」(ClickでYouTubeへ)

「都営荒川線と その附近で撮影」 って云うだけのPV。
ただの風景をそのままお茶の間にお届けする素っ気なさ。絵心が感じられず。

なに この ただの住宅地。


雰囲気を壊すエアコンの出外機。人物より 目がいってしまう。


荒川線沿いには  鬼子母神附近とか いい画になるスポット多数なのにね。
最後に河川敷で撮影するコトを優先させて あっちよりで撮影したため?

(都営荒川線PV追加) 平井堅「瞳をとじて 」(ClickでYouTubeへ)

誰か故郷を想わざる マクセル&ナカテツ

今年のACC賞 マクセル「ずっとずっと。新留小学校 」篇。
を見てから

「ぼくのなつやすみ3」の中島哲也によるショートムービー。

  盛夏、安アパートにて ちんぴらとその情婦と落とし前をつけに来た男の
  三人が交錯する刹那。そこにインサートされる子供の頃の夏休み。

を見ると… 余計に 我が身に堪えます。


夢を失い、凡人となり、いずれはゴミのように死ぬ。
その過程に抗い、もがき、それでもやはりゴミのように死ぬ。

どこかしらでそう諦めようとも、それでもなお 厄介にも明日が来る。
ならば、こう想うより他ないのかもしれない。

「私の知るかぎりでは、人生は偶然の十字路であるゆえにすばらしい」
                          (エリック・ホッファー「波止場日記」)
エリック ホッファー
エリック・ホッファー自伝
[後ろ姿の装丁については天皇・民衆・原爆ドーム 」。今後も物云う背中を追いかけます]


どことなく祝祭的で ならばガルシア・マルケスの「予告された殺人の記録」を
こんな風な映像で見たい気もします。

natwest

アニメーションのCMでは もっとも好きな natwestの 「escape」。


よーろぴあーんなアニメ&音楽ですね。

これをもっとやわらかくすると寄藤文平さんに成るのでしょうか。

      clickで大きく成るハズ

natwest はゴンドリーによってカンヌで一等賞(死語)も取って居ます。こちらはYouTube
にアップされて居らず。ゴンドリーのDVDにも収録されて居らず。残念でした。ズームに
よる場面転換もの(JTのCMが長らくつかって居た技法の元ネタ)です。

実写とアニメをかませたものでは、過去 にもとりあげた仏のCGプロダクション「PLEIX」
(のEric Augier & Olivier Lipski)によるPLAID「ITSU」 (リンク先にTouTube)。
私の大のお気に入りです。

pv pv01
2Dと3D 実写とCG の和合。


☆☆☆☆ついでにPVについてどうのこうの。(それぞれ曲名ClickでYouTubeへ)☆☆☆☆
中谷美紀「天国より野蛮 」。申し訳程度にリップシンクロ(唄とクチが合う)がありますが、差し
込む位置がいかにも変でないかい。半端に引いて居るし。せっかく世界観構築を躍起に成っ
て撮影しても仕上げがコレでは…。

この手のゴシックホラー調のPVでは Cocco「Raining 」や鬼束ちひろ「infection 」なんかが
在りますが、後者につきましてはクリス・カニンガムによるマドンナの「Frozen 」の影響が見
えなくもなく。 なんてことを云い出すと中谷さんのは 見るからに ターセム。

シンバルズ「アフリカの女王 」。おカネはかかって居ませんが、セッション感のしたたる いい
画の連続。ヴォーカルの土岐麻子さんが美人である、と云うのが大前提の企画ですけれども。

旅感  ~広義のシズル(2)

OZマガジンの最新号が母娘旅行。写真がいいです。お寺さんにて精進料理とか。


タレントものの弊害か、さかのぼるほどJALのCMはひとり旅に見えるものが多い
のですが、複数旅もあるにはあります。思いつくものをあげると…

・母娘旅行では、 JALのI’ll(アイル)のグラフィックが木村佳乃ともう一方で(海外)。
・ふたり旅がJAA(JALの台湾路線)、昔 志村けんと金城たけし、今オセロ。
   台湾観光局のグラフィックもいいものが多くて、台湾って画に成るのだなあと。
   ホウ・シャオシェンが撮ったお茶のCM(井上陽水出演)もしっとりしたいい画でした。 
・三人以上旅では矢田亜希子の出ていたJALバースデー割り。
  
ANAは「ハンバーガー計画」やらなんやら痛いのが多かったのが、JALが凋落する
に連れて腰が据わっていった感じ。しかし腰が据わっていない頃、グラフィックはよか
ったんです。アラーキー×本上まなみの「九州日和」や 同じく本上まなみの「別ヨ」や。

JAL・ANA・JRなど運輸関連のCMをがっつり見た経験のある私ですが、「旅感」と
云う点での最高峰は 仲間由紀恵さんの au「それぞれの夏・北海道」篇(2003年)。

をんなの子ふたり旅。バッグまで「旅」しています。

例えば同じ北海道でもJAL北海道などは抽象的だったんですよね。鶴田真由が草原に
寝転がって「空が広い」みたいな。 (いい歳した大人は、旅先で寝っ転がりませんからね)

JCBみたいに散財したり、宮崎あおいちゃんのオリンパスみたいに沖縄にいって写真とっ
たり、上記の仲間さんのや、それらと違い、現実的な「旅している感じ」がJALやANAから
は感じられません。(一番ひどいのはSMAPが出ていたANAでしょう)

では何故JALは現実感のない抽象的なCMを作り続けたのか? 下世話な感じを嫌い、
「格安チケットで旅行に行きそうな奴を相手にせず」ってことかいな。(元・官営企業ですか
らね。おまけに法人営業が強かった。) 消費者インサイト広告とならずに、タレントを消費
者に半端に見立てた企業広告の域を出られなかった印象を受けざるを得ず。
(ANAの場合は奇をてらうがゆゑ)

~~~ ついでに…~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~

相武ちゃん出演のバイト探し「an」 バイト仲間3人で旅行に行き 布団に並んで入っている
カットも旅感がありますねえ。 (うつ伏す姿勢+布団のふんわり感 が 旅感か?)


同じようなのでNTTドコモポケットボード(20世紀末)。
ntt

同じようでありながら、「乙女」ぽい相武ちゃんのと違い ドコモのは OL三人と云うことで、
「世慣れ」した感じを見せています。(ディレクターは岡田隆さん)

これを「だらしがない」にまで崩すと広告としてマズいわけで、「世慣れ」で留められるあたり
が岡田さんの演出の技量なのでしょう。

[広義のシズルについては 「シズルあれこれ 」(2006/07/04) でも書いて居ります]
[狭義のと云うか本来の意味のシズルとは、食品を じゅわー・たらー・どろー・ぴょろーetc
と旨そうに見せることです]

~~~その他どうでもいいことをあれこれ~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~

○ 代理店CR 「majomajoくん 今回の 演出は 誰がいいと思う?」
      majomajo氏 「角川春樹でやりませんか?」
      いくらなんでも薄笑いで流されるな。しかし一回やってみたい。  
      沢尻エリカ×角川春樹。 ロマンがあるよねえ、CMって。
○ 岡本太郎×アラーキー の 「Taro愛」 古本で4000円以上していたのが2000円
      以下まで下がってきたので購入。しかし案外な出来だった…。
○  「ちょっと情報量が多いような。アリコみたいな見え方しませんかね」と脅し文句。
      広告主は引き下がります。アリコ様々です。
○ 気になった装丁。浅生ハルミン氏によるイラスト。

嵐山光三郎
人妻魂

「初めてのキスの相手は、まだ独身だった。」

ペース・ウーさんがCCJCのジョージア のCMに女スパイ役で出て居るではないですか。
「東京タワー」なみに映像化された浅田次郎「ラブレター」のテレビ東京版(未ソフト化)や
三菱自動車のCM「初めてのキスの相手は、まだ独身だった。」に出て居りました。
大好きでした。


     三菱自動車(youtubeへリンク
         それにしても ラストカットの座りの悪さはなんだ?
            路面・車体・抜けの石垣が 同系色ちゅうのはどうだろうか。
           
しかし、今や ケバく成って居るガーン

~~~その他いまさらなことをあれこれ~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~

○ 「トップ 風合い感」のサウンドロゴ ♪風合い感  これは傑作。
                                        →追記:クラムボンの原田郁子でした。
○ 三井住友生命(CMは堀北ちゃん)のサウンドロゴ ♪MSIG はヒドい。

○ みずほFGのC.I.は色が強すぎて お尻にブラさげるには重すぎやせんか。

○ 今年に入り、ラックス・ヴィダルサスーン・メイベリンと云った外資コスメ・ヘアケア商品の
   CMのオンエアが激減しているような気が。

○ 沢尻の仕事がまわってきたらどうしよう…と不安で不安で。

○ どうも私は「朝方だけ雨男」のような気がしてきた。

○ 資生堂・SONY・サントリーをかつて「3S」と呼んだそうですが、明らかにSONYはオチ
    こぼれてしまって。 とりわけ今オンエア中のサイバーショットはなんだ、ありゃ。
    青山恭子の出ていたVAIO(dir:小島淳二)や「そよ風の誘惑」を用いたハンディカムの
    CMが好きでした。(この「3S」を抱え込んでいるのが東北新社なんですよね)

○ 煮詰まり感がタダようドコモ2.0。 浅野忠信に名CMなし…なんて想ったり。 
    私が広告主ならタグボートよりシンガタ。

○ 「エステー化学」が商号を「エステー」に変更。言いかけて止めた感がぬぐえません。

○ 画づらとして クリストファー・マグワイアがいた頃のくるりには、完成されたものを感じます。
    そもそもクリストファーは画になるドラマー。だってデカいもん。

ビクターエンタテインメント
くるくる節 ~Quruli Live Tour 2004 Documentary Film~

うめめの子供はクソがきで、ダカフェの子供はやわらかで。

梅佳代のクソがきを見ていると、ほんとうにクソがきの表現力は素晴らしいと想います。
クレヨンしんちゃんがおちんちんをひっぱってゾウさんをしたりお尻を出したりするのを
下品であると PTA氏などは云うようですが、実際男の子はかくも果てしなく下品でバカ
なことをするものです。

梅佳代のクソがきは、普遍的な日本のバカを表象してさえいるように思えます。

塩田明彦の映画「どこまでもいこう」(1999年)は、キャリアを後にも先にも積まない子役
が ぢつにクソがきぶりを発揮します。エナリくんのように「こうあって欲しい」子供でも
神木くんのようにキレイな子供でもありません。それゆゑのチカラをこの映画は湛えて
居ます。

古厩智之の映画「まぶだち」(2000年)、これもまた他でキャリアをとりわけ積むわけで
ない子役(といってもミドルティーン)が、田舎町でぢつにつまらなく鬱屈したなかで窮鼠
猫を噛まんがごとき心情の日々を送る映画です。このような映画的な物語を持たない
映画で、おまけに後にも先にも見かけない子役によって演じられる(子役らしい演技で
ないのがミソ)ことが、深みをもたらしています。(演技が出来ないので、なにを考えている
のかわかりません。しかし、実生活においては、それが普通ですね)

こうしたクソがきぶりも鬱屈も、キャリアを積んだ子役であれば、ステロタイプな表情となり、
厭らしさを憶えるかもしれません。
#上述2本は公開時に見ただけなので、かなり おぼつかぬ記憶に基づいて書いて居ます。

一方、ダカフェ 。夏の光もやわらかで、冬の光もあたたかですね。
少しずつ変わっていく顔立ちを面影辿りつつ見るというのは面白いものだなあと想います。

子供というのは平気で昆虫を殺しますよね。その善悪を私は知りませんが、殺しちゃいそうな
梅佳代のクソがき、そんなことはして欲しくないダカフェの子供。

梅 佳代
うめめ

梅 佳代
うめ版―新明解国語辞典×梅佳代
梅 佳代
男子

夏帆のためなら世界なんて滅んでもいい 

映像はステロタイプを借りることによって、もっとも簡単にものを見せることが出来ます。
「お母さんがご飯をつくって居る。お父さんが帰ってくる。そんな一般的な家庭。」
こういうステロタイプを差別と見なす人も居ますけれども。

ところで「お母さんが帰ってきて娘が出迎え、お母さんがご飯を作る」とお母さんは仕事
をしている女性になり、「お母さんが帰ってくると息子がご飯を作っている」と母子家庭に
見えませんか。すなはちステロタイプを外れると、そこには事情があり、それが物語にも
成れば、余計なものにも成ると云うことで、映画はそれによって物語を紡ぐのでしょうか。

反対にCMは15秒しかなくPVはセリフがないですから、ステロタイプを借りるのが重要
です。意味もなくそこから反れると、消化不良と成りかねません。「なんで息子が飯をつ
くって居るの?」って。

例えばマイクロソフトのこれは、画に描いたようなボス&秘書の闊歩ですね。

ステロタイプであるからこそ、なんに説明もなしにビジネスシーンとして見せることができます。
ここまでいくとベタだけども。

山内健司さんはステロタイプ的な設定の中に、CM的な施しを組み込ませるのが天才的に
上手いのでしょう。静岡のパチンコ屋・コンコルドやクォーク君や「とーそーしん」や。


さて くるりのPV「言葉はさんかく こころは四角 」(リンク先にYouTube)。

映画「天然コケッコー」のダイジェストに成って居ます。セリフもナレーションもなしにお話が
わかりますね。それはほかでもなくステロタイプな画の連続だからでしょう。かと云って凡庸
でないのは、夏帆のためなら世界なんて滅んでもいいくらい 夏帆がかわいいからか、演出
の技量か。

車谷長吉は「文士の魂」にて、阿部昭の短篇「人生の一日」が つまらぬ一日を書いていながら
それでいてそのつまらなさにゆえに小説たらしめていることより、つまらなさが「虚点」と成り、
小説にはその「虚点」が必要であると書いて居ます。

小説を小説たらしめる『虚点』というもの、それを発見するのが作家の目である。そういう『虚
点』
がないところでは、いくら原稿を書いても、書かれたものは凡作になってしまう。私はこう
いうことを
近松門左衛門から学んだ」(車谷長吉「文士の魂」76頁)

この週末「天然コケッコー」を見に行こうと想おてをるですが、虚点がなければ くるりのPVで
十分じゃんと成り、虚点があれば いい映画じゃんと成るのでしょうかな。