CM大往生 -2ページ目

大往生

往生際から大往生へ。

読みかけの古井由吉「槿」を抱えて初出勤。いまだ読み差しのままです。
入社2日目には 「majomajoくん、終電はいつ?」。
2週間後には 徹夜が普通に成りました。
はじめて土日連続で休んだのは 3ヶ月目のことでした。

そんななかで 会社を抜けてまでして観たのが カサヴェテスの「ミニー&モスコウィッツ」。
CMはお終いにして 映画をつくろうと想いました。 
しかし そんなココロザシは 薄れるようにして見失いました。

   minnie&moskowitz (1971)
気がつくと スーパーカーが解散していました。
気がつくと くるりのドラマーが米国人でした。(更に気がつくと いなくなっていました)
気がつくと 相米慎二もエドワード・ヤンも この世を去っていました。

気がつくと 大学生の時に好きだった女の子が結婚していました。
時は過ぎゆく 私は残る。 ぢごくのきぶん。

喪失と愁訴。

不意にピクミンCMソング「愛のうた 」を口ずさんだことがあります。嘘です。 (ClickでYouTubeへ)
中島哲也の「ぼくのなつやすみ3 」はわが身にこたえました。 (Clickで当ブログの記事へ)

祖母が亡くなった時 その数日前に たまたま仕事がキャンセルになっていて
お蔭様でちゃんと葬儀に出られました。 これくらいかな 好運って。

銀のさら

まいどまいどスゴイ「銀のさら」。今回はいつも以上に異常です。


       電通+電通テック

銀のさらのHPで 60秒バージョンが見られます。
せっかくの機会なので60secヴァージョンを見てみましょう。
では ここ  をクリックしてどうぞ。

こう云うのをカンヌに出せばええのにと想います。

*参考 「『銀のさら』余録 今月のコマフォト 62頁の行間を読む。 」(08/04/20)

[追記1] パナソニック・ビエラ 小雪のリップがまるで合っていないのですが。
[追記2] 相武ちゃんOCNおじゃるず。直列ぐりぐりまわるダンスをやります。あれってZOOのオリジナル?
      ならば著作権があるハズ。どうなんだろう?
[追記3] スカパーの読売・上原投手の出るCMはこのフレーム ですね。ドラマチックな演出ではないけれども。
[追記4] 東京新聞のCM、エレカシがタイアップ。CMに向かないにも程があり、かなり無惨なデキ。     

既視感のあるもの によって共感を得る、それで居て凡庸とならず。

薄幸クィーン・高橋真唯さんの最高傑作リクルート・ゼクシィ「花嫁の一日」篇。
なにしろ消費者金融で けなげに働く高橋真唯さんがやっと幸せに成ったんですよ。
神田うのの婚姻と対極にある ささやかさ。それで居て ハレ・祝祭のトーンを維持しつつ
高橋真唯さんは なんとも はなやいだ雰囲気を零れんばかりに湛えて居ます。

ではご覧下さい。



cut-01 ご入場する高橋真唯さん。
         いきなり薄幸なコーラス。
cut-02 ベールを剥がされる高橋真唯さん。
         内気な女の子が親しい者にのみ見せる笑み。
cut-03 祝福される高橋真唯さん。
         ここは別にどうでもいいや。
cut-04 歓談しつつ笑う高橋真唯さん。      
         場の主役の笑い方だよね。
cut-05 スピーチ「一番の私の宝物です」に聴き入る高橋真唯さん。
         スピーチする方へ顔を向けての薄幸ハニカミ。←このCM最大の見せ場!
cut-06 新郎にあ-んをする高橋真唯さん。
         ここで流れのタメをつくって居るんですねえ。うまい編集です。
cut-07 親戚の子供に髪飾りを触られる高橋真唯さん。
         子供に向ける笑み。
cut-08 グリーンの衣裳の女性と手を取り合い飛び跳ねて歓ぶ高橋真唯さん。
         女子同士の再会時の歓び方ってこうだよねえ。←!!!!!!
cut-09 「どうもありがとう」と挨拶する高橋真唯さん。
        ここは別にどうでもいいや。
cut-10 何者かに頬をさすられ、感極まる高橋真唯さん。
         抜けにハゲ上がり気味の中年(巣鴨支店々長)を配置する巧妙さ。
cut-11 最後に集合写真。
         左端の妙に長身の女性、背丈をもてあます感じがGooooD。←!!!!!!
         ちらっと新郎の顔。「大学時代は商学部でテニスサークルでした」顔がBaaaaD。
cut-12 リクルートのC.I.。
        おつかれさまでした。

よくできたCMですねえ。高橋真唯さんの笑顔のバリエーションの豊富さでうまく構成されて居ます。
親だとか会社だとかでなく、お友達に祝福されたいって云う女子の願望が狙いでしょうけれども、
それでいて 場の主役には慣れて居ないけれども… って感じを引き出した演出のうまさ。

既視感のある女子のふるまいで構成しつつも、ベタな感じがしません。(CMは尺の制約からある
程度、既視感を頼りにせざるを得えません) 

この書体 怖いんですけど

田中麗奈さん・トヨエツさんの大塚製薬・SOYJOYのCM 「女優とマネージャー」篇。

この書体、赤色と云うこともあって サカキバラ事件の犯行声明の文字に見えて怖いんで
すけど。 「あ」と「る」と「ダ」が。

キッコーマン「しあわせってなんだっけ 」(1986年)の関口菊日出さん、googleで検索すると
ブログ記事がいくつか。偲ぶ会の模様 と生前に毎日新聞で取り上げられた記事を読まれた方

レタッチが大変そうなもの 資生堂エリクシール。 

紳士服・フタタのCMの堀北真希さんの顔色。血の気が…。これはちょっとかわいそう。

川端康成後期の小説に出てくる女性はイメージ的にこんな顔色だ。

プレステのソフトのCMでは頭とお尻に決まりもののC.I. 入れて尺を結構とられたのですが、
現在の任天堂DSは ど頭に「ずん」とMEを入れるだけと成って居ます。音だけで「DSのCMで
すよ」とお知らせするので、尺をとられません。これはかなり強引だけどかなり画期的。三洋の
オグシオが冒頭につくのも画期的だけど。

安藤裕子PV集DVDを見て居るのですけれども、編集がデタラメ。デタラメも云い換えれば「コラー
ジュ」?近曲「海原の月 」、これがまたまた。トーンがばらばら。それをコラージュ。01:41~01:44に
かけてのリップシンクロの気持ちよさと04:06の風船が飛んでくる画は面白いけども。映画(「自虐の
詩」)をインサートするヴァージョン もありますけれども余計にデタラメに成って居ます。そりゃそう
だ。 …いやコラージュコラージュ。スタイリッシュスタイリッシュ。おしゃれおしゃれ。
安藤裕子
the Moon and the Sun

上田義彦

(まくら) 倖田來未抜き・シズルのみ と成った氷結のCMの その割り切りに感動。

(ほんだい) 清川あさみさんの次は上田義彦さん。サントリー烏龍茶にイエモンetc
の広告写真の大家。写真集では伊東美咲のもいいけど藤あや子さんのもね。


       「藤あや子写真集」(朝日出版・1995年刊行)

なんだか鏑木清方の美人画のよう。

衣裳は北村道子。このひとは映画「それから」の衣裳もしていますが、こちらはさしずめ
「夢十夜」と云ったおもむきでしょうか。 あるいは逢う魔が時のをんな。

このトーンに 葛飾北斎の肉筆画「西瓜図」の西瓜の断面をちょいと思い出したり。



ナイーブごっこ

「戦争の悲惨さを伝える」云々といいますけれども、血まみれの死体や黒こげのそれをテレビ
や新聞が載せられるものでしょうか。(そもそもそんな死体がころがっているような危険な場所
には新聞もテレビも自社の記者はいかせんのですが) 

15年くらい前、週刊現代がボスニア紛争などの戦場写真を頻繁に載せていました。当時は
ヘアヌード全盛期で週刊現代も巻頭グラビアにそれを載せていたところ野間佐和子社長が
品がないと横やりを入れての措置。ヘアヌードが一転 戦場写真ですよ。

それにて 焼け落ちた教会に逆行気味に光が差し込みその光の先に黒こげの死体 こういう
見事な構図(ワンショットに神も仏もない様を収め込んでいます)の写真があったのを憶えて
をります。

あるいは。「強姦」を「暴行」と云い換える慣習があるようですが、「強姦」という言葉ではどきつい
との配慮でしょうか。こういう世論誘導がなされるがゆゑに光母子殺人のご遺族の方はそれに
抗うために積極的にメディアにでなければならんのでしょう。不憫な仕打ちです。

「ブラジャーが透けるくらい汗かいた」ってことくらいを不快だと云ってわざわざ広告主に電話す
るアクティブさに畏れ入る今日この頃。なんともナイーブなあまりにナイーブなご時世にあって
あらためてオリビエーロ・トスカーニのベネトンの広告 (リンク先に作品多数)を想う次第。

オリビエーロ トスカーニ, Oliviero Toscani,
広告は私たちに微笑みかける死体

美女採集

私がをんななら…あるいは女性タレントを売るニンゲンならば
20代なら清川あさみさんに 30代なら上田義彦に 40代ならアラーキーに。

清川 あさみ
美女採集Asami Kiyokawa catch the g

清川さま 高橋真唯さんも採集してあげてください。幸せに彩られた高橋さんをお願いします。
いつもいつも不幸をにじませる高橋さんもきっと清川さまなら華やいだ雰囲気になるはずです。
だってほら いつもは べちゃっとした長澤さんだってこんなにシャープになるのですから。

虐げられる人びと 住友生命

その昔、週刊誌などが息子・娘を就職させたくない企業ランクなどをやると たいがい1位は住友銀行
でしたね。「向こう傷を怖れるな」でお馴染みの磯田一郎率いた住友銀行です。同じく「住友」グループ
の住友不動産は"大卒地上げ屋"などと云われていましたか。嗚呼なんとネガティブ。

例えば磯田時代に住友銀行が吸収合併した平和相互銀行をwikipedia でみますと
「住友残酷物語」と呼ばれる旧平和相互銀行行員の大粛清が行われ、合併から半年でほぼ
全行員がいなくなった
」とあります。何故かボールドつきで。

そんな「住友」と云う宿痾を社名に負った住友生命

2001年頃、企業キャラの松嶋菜々子が好評で本社ビルに松嶋さんの巨大なバナーを吊して話題になり
ましたか。磯田一郎・大卒地上げ屋の住友から、松嶋菜々子の住友生命へ!と云う歓喜が感じら
れました。

そんな住友生命のCM。オンエアは見て居らんのですが例によって nanacorockさん のブログで見たとこ
ろなのですけれども、日頃うざったがれる女子営業部員が 雨の日に工務店に押しかけるとタオルを渡さ
れたり、散髪屋の店主に「がんばりやさんだね」と声をかけられたりで、お仕事頑張ってうれぴいってCM。

これは誰へのCMなんでしょう? リクルートなのか?営業部員への励ましなのでしょうか?
客体が判りにくいCMです。 …それからNHK受信料の集金人募集のCMに転用できそうです。

それはそうとドメスティック生保のCMはつまらなく成りましたねえ。日本生命はACCの常連でしたし
第一生命のパスポート新撰組は名作(演出は山内健司さん)でしたし。

[追記1] 花王ビオレのメイクとろけるリキッドのCM。あれはばかばかしくて面白いわあ。
[追記2] 富士重工(スバル)が カズ三浦カズに吉瀬美智子に水川あさみとタレントものに頑張って居ます。
[追記3] マツダの田中美保。「夜お茶」って云って居たのですね。聞き取れん。
[追記4] 菅野美穂のチオビタのCM。「♪くるり」の文字のデカさといい、音楽の切り方といい、繊細さがない。

漫才師以外の漫才を観る気恥ずかしさ 新春あれこれ

漫才師以外の漫才を観る気恥ずかしさ。映画「手紙」の山田なんとかさんやポッキーのCMのアラガッキー
や。「おしゃま」なクソがきが妙に大人びた歌い方をするのも生理的に受け付けないのだが、それ以上に
漫才師以外の漫才は受け付けない。…漫才についてブログ「IMITATIONGOLD」のM-1寸評 が秀逸。是非
一読を。

ユニクロ 。地方で観たってぇのもあって、地方CM(ショッピングモールか専門学校)かと想ったら。
[追記4] 演出:中島信也 撮影:十文字美信 スタイリスト:麻生久美子の旦那 すごいスタッフでまあ。

リクルートのゼクシィ(結婚雑誌)のCM。高橋真唯 さんはなんとも薄幸顔。(ClickでYouTubeへ) ノーローン
の「メガネは外した方がいい 」(Clickでnanacorockさんのブログへ)といい、微妙なニュアンスが附いて来てしまう。

正月の新聞広告。地味。契約タレントを勢揃いさせたりの資生堂、今年は岸恵子。ところで資生堂は広告
で使う使わないを抜きにKOSE等と契約される前に抑えちまえと契約するのだそうです。大人買いですね。
ところで正月の新聞広告と云いますと、前田知巳さんによる宝島社が頑張るのが恒例でしたか。

   宝島社1998.01.03 と 1999.01.03 (clickで大きく成るハズ)

あるとき、娘たちはパリの肉市場のことを書いてきた。そこでは血色のよい豚を殺して花の冠で飾り
立てて、店頭にまるごと吊されているとのことだった。」(ガルシア・マルケス「モンティエルの未亡人」) 
嗚呼 なんと映像的な文章があったものでしょうか。

ガブリエル・ガルシア・マルケス
悪い時 他9篇

テレビをつけるととんねるずの番組のエンドロールが流れて居て「衣裳:倉科裕子」と。今でも倉科さんが番組
までやられて居るのですね。かの先生は藤原紀香さん他のスタイリストで知られます。小林麻央さんの
ブログ に頻繁に登場するスタイリストの岡田涼子さんは先生のお弟子さんです。

[追記1] ユニクロのローカルCMぽさついでに… 
クルマのCMは後ろにブランクを入れた原版を組み、「週末はトヨタオート○○へ」などとそのブランクに各地域
で独自の告知を載せるのですが…南関東生まれの南関東育ちの制作会社社員どもはブランクをぶら下げる意
味がわからず…ってことがよくあります。

これって 18時からのニュース番組で 18:30になると東京から地方に切り替わるのと似て居ますね。急にスタジオ
のトーンが暗くなり、おまけに火事と交通事故のニュースくらいしかなくて、どんよりした気分に成ったものです。

[追記2] キリンのCIの「おいしさを笑顔に きりん」って声、あのやる気のなさは何だ。

[追記3] 「ブラジャーが透けるくらい汗かいた」くらいのことが不快だなんて、カマトトにも程がある。

MatchClear&モバゲー 悶絶総括2007.

いささか気が早いですが 今年印象深かったものを連ねていきますと
・「トップ 風合い感」のここちいいサウンドロゴ。 →追記:クラムボンの原田郁子でした。
・ナカテツの「ぼくのなつやすみ3 」と菅野よう子さんの音楽。(Clickで当ブログの記事へ)
・競輪のCMメイキング 。 (ともにClickでYouTubeへ)
・ベストライフのCM 。 (ClickでYouTubeへ)
榮倉奈々 花王8X4 逆光のため肩のうぶ毛の青春シズル。
・平面ではNTTドコモ「イエ・ラブ・ゾク祖父母と孫編 第45回 」(Clickでpdf)。
・PVはSEAMO「軌跡 」。(ClickでYouTubeへ)
・手は ヒビケア軟膏のこの 。 (Clickでnanacorock さんのブログへ
・P&Gファブリーズの子供の声。
・木村佳乃の住友銀行「923923」の相変わらずの張り切り加減。
・アステラス製薬「たのしいおでかけ 」篇の女性の演技のうるささ。(Clickで動画のあるHPへ)

ここ数ヶ月のものばかりだね。しかもここ何回かの記事で取り上げたものがほとんど。

しかし夏以前にさかのぼり、ACC賞にも「広告批評」など雑誌のベストCMにもひっかかって
居らず まだ取り上げていないのが 今年のマイフェイバリットCMなのです。

その一は 大塚べバレジのMatchClear

ADK+葵プロモーション dir:竹内スグル

その二に DeNAのモバゲー

電通+電通ヤングアンドルビカム+東北新社 dir:筏万州彦

共に コンテを見てもまったく仕上がりの読めないタイプのCMでしょうか。そう云うコンテに
カネを出す広告主が偉いのか、通す代理店が偉いのか、仕上げた演出が偉いのか。

一方で、上記のアステラス製薬のうるささはなんだろうかと。おそらくコンテ上は気の利いた
「いいCM」なのでしょうけれども、出来上がりは、細かい演技のうるささと エピソードの積み
重ねのクドさで、疲れます。 …CMって難しいですね。

リクルートの「山田悠子の就職活動」、地上波オンエア4日(雑誌によると)・DV撮り(話による
と)・Avid完パケ(スタッフリストからして) それでACC賞受賞(もうちょいでグランプリだったと
云う話ですが)。 遅れてきた時代の変化の嚆矢。 ますますCM請負業は儲からない。


面白いと想うCMはたいがい八木敏幸さん演出で、いいと想うCMはたいがい伊藤由美子さん
演出で、CMに石を投げると東北新社(あるいは 東北新社のギークピクチュアズ)に当たる。
去年も今年も、おそらく来年も。 

来年は 「このテイクがオンエアにいたるまでの果てしない妄想 」 こういうのをもっと書いて
みたいと想って居りますが、どう成ることやら。

[関連記事]
2005年は「ことしのマイベスト 」。
2006年は「2006. 」。