CM大往生 -5ページ目

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年度末と云うことで多忙につき ほったらがしのこのブログにも毎日それなり
の閲覧者が訪れて居まして、アクセス解析のココひと月の検索ランクをみると

1位[ノンモン]  2位[朝日新聞 CM]  3位[ソニーエリクソン CM]
4位[アンデスフィルム]  5位[博報堂クリエイティブヴォックス]
6位[高崎勝治] という調子。

ノンモンが1位って、渋いね。

4位のアンデスフィルムは、以前ヴォーダフォンをやっていました。

ヴォーダフォンはソフトバンクに買われ、扱いが博報堂から電通に移り、
制作会社は東北新社となりました。四季報速報(2/27)によると、ソフトバンクの
携帯CMの受注が当初見込みを上回ったため、3Qが上ブレる とあります。

その昔、Auが誕生時に、合併に伴い、そのうちの1社の仕事を失った制作会社が
それが最後の一押しとなり、潰れたことがあります。企業再編は思わぬトコロにも
影響が出るもんです。

線画CGや白バックやモーフィングなどの流行り物

線画CGのCMの変遷…なんてぇのをまとめたいなと想いつつも資料不足で
今日までやって居りません。

CCJCの「ラブボディ」(プールサイドを歩く外国人女性。そのまわりに線画CG)
サントリー「リピュア」(柴咲コウ・麻生久美子のまわりに線画CG)
このあたりが線画CGのハシリでしょうか。(2001-2002年ゴロ)

その後、2005年にマイクロソフトやNTT東日本(辻川幸一郎さんによるSMAP
もの)で、この表現の当たり年。いまではあっちもこっちも使っています。

この手法は「ひらがな」と同じくやわらかさが出ようかと想います。何ごとかをニン
ゲンに結びつける印象。

その前に流行ったのは 白バック。ユニクロですね。プレゼンなどで5方向ある
と1つは白バックのストレートトークもの(タレントなり何なりがしゃべる)でした。
これ 楽なんで、「これに成れ!」と念じますが、毎度別のコンテに成ります。

白バックでニンゲンが喋っている なんてつまらんCMに想えますが、アップルコン
ピュータの菊池桃子さんなど、白バックの喋りがなんであんなに世界を席巻したの
でしょうか?

白ものの変化球ではミッシェル・ゴンドリーのGAP。ゴンドリー演出のケミカル・ブラザ
ースのPV「Let Forever Be」の白ホリ版です。

そのちょっと前は場面変換物。ミッシェル・ゴンドリーのナットウェスト銀行(ズーム
で寄ったり引いたりしながら場面転換していく。JTが長らくそれを使っていましたね)と、
スミノフのCM(モーフィングでつないでいく。日本では東レの浄水器など)。
それからセットがぐるぐる回りながら転換していく誰やらのPV(キューピーがまんまパ
クっていました)であるとか。

CM制作関係者のみにわかる言い回しをすれば、SHOTSの45-55あたり。この辺に
場面転換物がわんさかあって テープに抜いては代理店に持っていきましたよね、同業
者の皆様。(SHOTS というのは業者向けの海外CMマガジンです。)

こうした技法別にCMをまとめられれば、面白いのですが、なかなかそうもいきません。

紋切り型のダメさ加減

CMはまず企画コンテなるものを広告会社が広告主にプレゼンします。企画コンテは
CMのコンセプトと要素の確認みたいなもんでしょうか。あくまで紙の上での説明です
ので並列的(時間軸が弱い…みたいなニュアンス)です。

それでOKがとれると企画コンテを礎にディレクターによる演出コンテと成ります。

通常 企画コンテは分かり易さが求められますのでタイヘン簡素です。それゆゑに、
そのまま撮影しますと画がつながりません。また味気ないことも予想されます。
そこで演出コンテは 企画コンテの骨子を損なわない程度にカットや要素を増やし、15
の時間の流れや時間割を計算したものと成ります。

とココまでが前口上。

最近読者登録をいただいた  マケプラな日々 」さんの「TVCMを読み・説く 第26回
アサヒ飲料「ぎゅぎゅっとしみこむコラーゲンウォーター
」 をまずは読んでいただき、
アサヒ飲料 のHPのCM・メイキングを観ていただきまして 続きを読んでくださいませ。
(「マケプラな日々」様 恐縮ですがリンクさせて下さい)

このCM。とても紋切り型のカット割り・構図・動きです。どこかで観たことがある画が並び
ます。 「企画コンテ」的な映像の並び(あえて編集とは云わない)です。

「どこかで観たことがある」…と云うのは企画コンテでは 広告会社が紙で説明し易い&
広告主もイメージし易いかと想います。なにしろ紙の上に書かれた画ですので それは仕
方ないことでしょう。

それを撮影するにあたって、プラスαを注ぎ込むあるいはヒネるのが、演出のチカラだと想
いますが、それがこのCMには微塵も感じられません。

什器の合間を颯爽と歩いて登場する黒木メイサのかっこうよさがCMの肝(登場感=新発売
感)かと想いますが、メイキング映像の0:37あたりの衣装に着替えてスタヂオに現れた逆行
の中の黒木メイサの方が恰好良いですね。 

たとえば黒木瞳の軽自動車のCMの初期のもの(銭湯篇やスーパー篇)の登場感を想いだし
て頂ければ 如何にこのCMの演出がいまいちだか お分かりいただけましょうか。

また呑んで効く飲料のCMとしても お肌関係だと
ハウス食品のうるおい美率(井川遥)、手軽
さ感ではCCJCのアクティブダイエット(歩いて痩せるってのです)に比べると商品の機能が
私には見えて来ません。(さんざん観たCMですが 「マケプラな日々」さんの記事を読んで始
めて当該商品の魅力に気付きまして、さっそく呑みました。口コミに完敗のCMです)
# 機能の見えなささは企画コンテの問題ですが。

2006

CMづきさんより催促が来ないうちに、手短に2006年のフェイバリットCMをば。

マイフェイバリットはサントリー BOSS

随分前に「BOSS」の商品開発裏話を読んだことがあります。缶コーヒーは肉体
労働者とトラックの運転手が買う。なので甘めが好まれる。うんぬんかんぬん。
という記憶をこのCMで呼び起こしたのでした。

木村と渡哲也のジョージアも、企画の根っこは同じなんです。格のあるタレントが
働くおっさん(BOSSは実は宇宙人だが)を演じる点で。しかし、あきらかにBOS
Sのトミー・リー・ジョーンズの方が労働シズルがありますね。スターバックスやタ
リーズとの位相で缶コーヒーを見立てると、労働シズルは重要かもしれません。
そこに、朝方や暮れ方な感じがうまく寄与している。深みもあるCMです。

更に年間を通しての展開がとても上手いです。牛丼屋にはじまり…おまけに日本
人の琴線に触れていく。「ロストイントランスレーション」ものにありがちな理屈のう
るささのない演出も好感が持てます。

その他。
コーワ ウナコーワクール   もろこし体操。
資生堂 インテグレート  ジョリーさん。
しまむら(衣料品店)
サントリー 黒烏龍茶 (おっさんたちが食卓で唄う方)
ソニーエリクソン 携帯  (ウォータープルーフ)
花王 AUBE  「上戸彩がビオレママ」篇
サントリー ビタミンウォーター (もこみち・波田陽区・名倉の方)

ビタミンウォーターのいまいちもこみちの、編集の乱雑さが好きです。CMの編
集はチャックするニンゲン・段階が多いので、CMは角(ダブルミーイングで過度)
がなくなり丸くなるものです。第二弾ということでテレビ番組ぽい編集という企画
の肝に磨きをかけ易かったと云うことも寄与しているとは想いますが、紙(コンテ)
で表せない編集の乱雑さを、最後まで維持できるというのはたいへんなコト。

サントリーを誉めちぎっていますね。

平面は後日。

カンニング中島さんをしのぶ

本年4/13にアップしたものを再掲載する。

takeyama
(日刊スポーツ4/2掲載 下田雄一撮影をmajomajoが撮影)

えへんむし

巷を席巻しているノロウイルス。名前のユルさが警戒心を削いでしまいます。

私のイメージするノロウイルスは、レノア(P&G)のへんな生き物みたいな
ユルいウイルスさんですね。あるいは「どっきりカメラ」の野呂圭介みたいなのか。

例えば O-157。コードネームみたいで物物しい。広域指定113号勝田清孝とか
そんな感じの物騒シズルがあります。(って三桁の数字って言うだけですが)

ノロウイルスが死に至る病だと私が知ったのは、今日のことです。ボンクラですねえ。
名前にダマされて注意を怠るトコロでした。厚生労働省も私のような莫迦者向けに ノロ
ウイルスを凶悪なキャラ(マリリンマンソンみたいなノロウイルス)にしたてて啓蒙活動する
ことを勧めます。

閑話休題。「えへん虫」。大正製薬の「ヴィックスドロップ」でお馴染みのキャラですね。
いがいが感を「えへん虫」としてしまう表現力の見事さ。あらためて感心する今日この頃。
リポビタンDといい、えへん虫といい、大正製薬は長持ちする広告をよくぞこしらえたもん
です。感心。



大正製薬のリクルート広告。大塚製薬のポカリスエットに負けない見事な青です。

些細なコトをわざわざ書く。

大塚製薬ネイチャーメイド  ←動画はここ。



アルファベットのタイポがパラパラと床に落ちた時のSE(効果音)、
見事にパラパラと床に落ちる音がして居ますね。 
ひとつほど ケっ飛ばした時のSEもいい感じです。

いい仕事をしてをります。
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琴欧洲と内田恭子と日清ごんぶと。

いつものようにnanacorock さまのブログより拝借。

スタッフリストを見ると ヘア&メイクが2人。共に女性なので
床山さんではないようです。

つまり琴欧洲担当と内田恭子担当で、別々にヘア&メイクを
つけています。随分バカバカしい話です。おカネが勿体ない。

琴欧洲なんて内田恭子のついでに出来そうなもんですけどね。
マゲまで結ってあげるわけでないのなら。

撮影が別日なり事情があるのかもしれませんけれども。
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ほんとに些細なコト 2題でした。

旧聞 あれこれ

●伊吹文部科学大臣によるいじめ・自殺防止のメッセージ。
本文が明朝体。
「未来のある君たちへ」との呼びかけの見出しがゴシック体。
違う書体の混合と成って居ます。

   クリックすると大きくなります。  

大臣の文章は大臣の威厳を守るために細めの明朝体。
呼びかけは、親しみやすさを装うためにプッくりしたゴシック体。
そんな判断でしょうか。 

あんな細い明朝体よりも、ヒラギノのゴシックくらいで統一した方が読み易いか
と想います。 読み易さより、大人(矮小化すると大臣)の威厳なのかもしれま
せんが。

●不評で話題の千葉県のロゴと ドリームズカムトゥルーのジャケ写の文字。



いいんぢあないですかね、国民的歌手のと同じような書体なんだから。
って へんな理屈。

●資生堂TUBAKIの内田恭子のナレーション。下手くそ。
CMナレーションのレベルに達していません。 
みなさん、頭を抱えたことでしょう。

●マイクロソフトの新シリーズ「people」、ひどいですねえ。
5年くらい前の日立とかそんな感じの世界観。

…無機質なオフィス内をロマンスグレイのボスが闊歩する。
…秘書風情がその後ろをついて歩く。
マンガチックですね。前の線画CGのシリーズから相当後退して居ましょうか。

天皇・民衆・原爆ドーム

アマゾンのおすすめ商品として 突如 私のモニタに映し出された小熊
英二著「<民主>と<愛国>」(新曜社2002年刊行)。 見事な写真です。

天皇は正面から撮るのが普通で、それを裏から撮って居る事自体が
異質であり、このアングルそのものが「戦後」でありましょうか。

この写真のこの構図から、佐野学ら転向者が気付いたような意味での
<革命の主体>として 民衆の前に立って居る天皇 ととることも可能で
ありましょうし、あるいは天皇と民衆と原爆ドームが同居する様に日本的
な「無責任の体系」を見出すことも可能かも知れません。

昭和天皇をコラージュした大浦信行「遠近を抱えて 」など、この一枚に
比べれば 薄っぺらいものに想えます。
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書籍の装丁写真の後ろ向きつながりで 過去に装丁買いした書籍を
2点ほどお気に入りをば。

振り向いて居ますが、リチャード・パワーズ「舞踏会に向かう三人の農夫」
(みすず書房 2000年)の アウグスト・ザンダーによる写真「若い農夫たち」。


若合春侑「脳病院へまゐります」(文藝春秋 1999年)に使はれてゐる
「夫婦の後ろ姿」。

高級なCM

安物化粧品が アンジェリーナ・ジョリーのCM一本で 値のはる商品に
思えてしまう。 資生堂インテグレート

アンジェリーナ・ジョリーを追うカメラの動きがたたえる上質感と 
こぼれる程の高級感。まあお見事。さすがは中島信也。畏れ入ります。
また、マキアージュ、TUBAKI、これと、資生堂は東北新社だらけに
成りました。

このCM、文字情報が異常に少ないです。 30秒CMで4カットしか 文字
情報が入るカットがありません。ごちゃごちゃと読めもしない文字を詰め
込むCMが多い中で、この事だけでも特筆に値しましょう。


文字要素はこれだけ。いたってシンプル。

コピーの「そのルージュは、理想が高い。」、文字自体は小さいですが、
ちゃんと読めます。ナレーションとシンクロしているのと、全体に文字要素が
少ないため 読む気になるからでしょう。(ナレーションも少ないから余計に
耳に入り易く成ります)

おクルマに多いコトですが 営業セクションやらなんやらかんやらが あれを
載せろ これも載せろと 宣伝部に要求し それにいちいち応えるうちに
文字だらけに成り、CMと呼ぶよりは 文字を載せる下地に成り下っていく
例が多いのですけれども。

そう成ると読ませたい文字まで読めなくなり、受け手も読む気にも成らず
最後は編集機で 光らせたりで 派手な色にしたりで 日テレの番組のような
悪趣味な画面構成のCMに成っていくのです。

要素を引いていけば上品で高級感が出るとあらためて示した 、 資生堂であるが
ゆゑの資生堂らしいCMかと想います。