「落下の解剖学」★★★~真実は当人以外誰にも分からない | そんなことより恋をしろ

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※※※ 注意 ※※※

 「シネマ報告書」は、映画鑑賞後の率直な感想を伝えるため、映画の内容や核心・結末に触れる、いわゆる“ネタバレ”が多分に含まれる場合があります。

 これから観ようと思っている方は、本報告書の趣旨についてご理解のうえ十分注意してお読みくださるようご了承願います。

『シネマ報告書2024』の掲載にあたって

 
真実は当人以外誰にも分からない
★★★
(C)LESFILMSPELLEAS_LESFILMSDEPIERRE

 

(2023年/フランス/152分/Anatomie d'une chute
 
【 脚本・監督 】
ジュスティーヌ・トリエ
 
【 出演 】
サンドラ・ヒュラー

スワン・アルロー

ミロ・マシャド・グラネール

アントワーヌ・レナルツ

サミュエル・セイス

ジェニー・ベス

サーディア・ベンタイブ

カミーユ・ラザフォード

アン・ロトジェ

ソフィ・フィリエール

 

 

【あらすじ】

 

 ロンドンからフランスの人里離れた山荘に越してきた作家のサンドラとその夫、そして視覚障がいをもつ11歳のひとり息子ダニエル。

 雪に閉ざされた景色となったある日、ダニエルは庭先で血を流して倒れている父親を発見、すぐサンドラを呼び救急車を要請するも父親はすでに息絶えていた。

 検死の結果、死に不審な点が多く、警察はサンドラに殺人の疑いをかける。

 一貫して無罪を主張するサンドラ。転落死か他殺か、裁判が進むにつれ夫婦の真実が露わになっていく―

 

 

【コメント】

 

 さて、今回劇場で鑑賞した作品は、第76回カンヌ国際映画祭で見事最高賞のパルムドールに輝いたミステリー。この時期は賞レース作品の公開が多いです。

 所謂法廷ミステリーとのことで、ちょっとした推理モノかなーと感じつつ、いやいやそこはカンヌのパルムドール作品、きっと一筋縄ではない内容であるに違いないと、ちょっと気合を入れて「立川キノシネマ」に足を運んだ次第です。

 さすがの話題作、小さな劇場ながらほぼほぼ席が埋まっておりましたね。

 

(C)LESFILMSPELLEAS_LESFILMSDEPIERRE

 

 うむ、なるほどねー。いや、さすがパルムドール作品、見応えは十分にありました。

 とはいえ、これまでのカンヌの作品群のような小難しさはなく、一連の事件は果たして事故死か殺人か、様々な人間の証言によって真相を究明していく純粋な法廷ミステリーとして面白かったと思います。

 本作の一連の展開を通して、真実とは一体何か?我々が知っている真実は本当に真実なのか?といった世の中の不透明さを突いたミステリーだと思います。

 そんな僕が感じた本作の感想は以下の3つです。

 

1.真相は本当か?違和感が残る法廷ミステリー

2.裁判は証拠の積み重ねでしかない

3.真実は当人以外誰にも分からない

 

 夫の転落死から始まる一連の法廷ミステリー。妻や盲目の一人息子を中心に、多数の証言をもって事件が深掘りされていき、映画終了時はとりあえずの解決を見ます。しかしながら、裁判での判決を見て違和感が残った人はきっと僕だけではないはず。要するに、真相が分かってもなんかスッキリしないんですね、「真相は本当にそうなの?」というモヤモヤした疑惑が残るんです。

 ミステリー映画としてそれはどうなのよ、と感じるかもしれませんが、そこはカンヌのパルムドール、そこが恐らく狙いだったんじゃないかと思います。

 

 あくまでも僕の感じたことですが、我々がニュースや新聞などで目にしている事件、こういうことがあってこの人が容疑者でこういうトラブルがあって~といった報道されている一連の事件の詳細が、果たして本当に真実なのか?といったところにあるんだと思います。

 あーだったかもこーだったかもとあやふやな証言をする証人やそうに違いない!といった決めつけで証言する証人、夫婦の痴話ゲンカまで晒しそれがさも事件の直接的なきっかけであるかのような証拠。その一方で、事件と関係がありそうな証言でも、証拠が無ければ対象とされない。いったいどれが事件と関連するのかも分からないことが法廷で大っぴらにされていく中で、裁判官としては判決を下さなくてはならないわけです。だから、出てきた証拠をだけを積み重ねて事件の真相をストーリーし、他殺か否かの判決を下さざるを得ない。

 極端なことを言うと、我々が知っている事件の事実というのは、裁判で積み重ねられた証拠に基づいたフィクションでしかないということなんだと思います。

 盲目の少年というキャラクターは、もしかしたら真相が見えていないまま思い込みで話している我々人間のことなんじゃないかと感じます。

 

(C)LESFILMSPELLEAS_LESFILMSDEPIERRE

 

 結局のところ、こういった不可解な事件の真相というのは、その事件に直接関わった人間しか分からないんですね。第三者がいくら証拠を揃え証言を集め妄想でこうであろうというストーリーを組み立てたとしても、それが真相か否かは絶対に分からない。直接関わった人間が犯人であれば、なおさら真相は隠されあやふやなものになる。

 世の中の事実がすべて真実であるという考えは危険ですぞ、というメッセージだったんじゃないかなと感じます。

 

 

【2024年度 Myランキング】(3/3時点)

 

 本作は、本年度のベスト10ワースト3ともにランキング外。

 孤独だ・・・俺は孤独だ・・・

 

(ベスト)… ★★★☆以上が基準

 

  1位:PERFECT DAYS ★★★★★

  2位:ゴールデンカムイ ★★★☆

  3位:カラオケ行こ! ★★★☆

  4位:ネクスト・ゴール・ウィンズ ★★★☆

  5位:

  6位:

  7位:

  8位:

  9位:

 10位:

 次点:

     

     

     

 

 (ワースト)… ★★☆以下が基準

 

  1位:ファイブ・ナイツ・アット・フレディーズ ★★☆

  2位:

  3位:

 

<その他ランク外一覧>

エクスペンダブルズ ニューブラッドコンクリート・ユートピアアクアマン 失われた王国ある閉ざされた雪の山荘でLift リフト(未)バッドランド・ハンターズ(未)哀れなるものたち身代わり忠臣蔵雪山の絆(未)ボーはおそれているマダム・ウェブARGYLLE アーガイル落下の解剖学

 


 
 
『落下の解剖学』の公式サイトはこちら

 

 

 

 

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