(10月1日から16日までフランスで10軒のワイナリーを訪問してきました。差し当たり簡単な訪問記を連載します。いずれ纏めたものを別途掲載する予定です。)

第1日目
16:40 Paris Charles de Gaul空港着。Gare de Lyon駅隣のNovotel Paris Gare de Lyonに宿泊
第2日目
10:00 Paris Gare de Lyon駅TGVにて出発。
11:55 Lyon Part Dieu駅到着
駅レンタカーを借り出し, 北に向かい、高速A6を使い約1時間でFleurieのHotel des Grands Vinsに到着。チェックイン後、ワイン博物館訪問。

【ワイン博物館】
Fleurie村から車で5分のRomaneche-Thorins駅のすぐ近くにあります。
見物場所は3つの場所に分かれます。

(1) Le Hameau en Beaujolais ボージョレの村 (駅の真前)ー右上の写真は入り口ー

(2) Le Jardin ボージョレの庭 (駅から車で1分、駅から30分ごとに遊園地にあるような小さなトレーンが往復しています)

(3) La Gare ラ・ガール (駅の隣)

(1)は、ワインの古代エジプトから現代まで歴史に関する展示、ぶどう栽培からワイン醸造までの展示、小シアターなどがありかなり充実しています。真面目に見ていくと2時間以上かかりそうです。展示模型でボージョレの村々の位置関係がよく理解できました。最後にワインのテイスティング・ホールでGeorges Duboeufのワインの無料試飲と、その隣のエノチカでGeorges Duboeufのワインやワイングッズ、お土産が買えます。

(2)は、Georges Duboeufジョルジュ・デュブッフのワイン醸造センターで、見学コースに沿って醸造室を見学できます。見学途中、クリュー・ボージョレの村々を360度展望できるテラスからの景色が素晴らしいものでした。南のボージョレAOCが平坦な畑であるのに対して、クリュ・ボージョレ地区に入ると丘が連なり景色が変わってきます。丘の村があるところに点々と見える教会の屋根が印象的でした。時間があれば広大な庭を散策できます。

(3)は、古い駅舎を展示場にしたもので、ワインとは関係なく、鉄道博物館のようなものでした。
ワイン愛好家は、特に鉄道マニアでなければ(1)と(2)だけを見て楽しめます。入場料は16ユーロでした。

更に詳細はhttp://www.hameauduvin.com をご覧下さい。

LyonからRomaneche-Thorinまで電車で日帰り(片道1時間以内)ができますので、Lyonで一日時間があるワイン愛好家はボージョレの景色鑑賞かたがた訪ねてみる価値はあると思います。列車本数が少ないことと、ボージョレ方面発着駅がLyon Part Dieu駅、Lyon Perrache駅、Lyon Vaise駅の三つあることに注意してください。


ワイン受験塾の頁でご紹介している「マッサンベのワイン受験塾 基礎講座」が10月24日から始まります。
また、毎日文化センターワイン講座の頁の「ワイン入門講座」は11月9日に始まります。
一般のワイン愛好家にワインを一層楽しめる知識を持っていただくことと、来年のソムリエ協会の呼称資格試験受験を予定している方に受験講座の前に予備知識を持って合格を確実にしていただくことを目的としております。
まだ募集中ですので、是非ご参加をご検討ください。

10月1日から16日まで家内と二人でフランスに行っておりました。
ボージョレ、バニュルス、カルカッソン、ボルドー、トゥールを電車とレンタカーで巡り、10軒のワイナリーを訪問しました。生産者からいろいろ新しい知識を仕入れてきました。これから整理して、この欄に簡単にですが連載していきます。先ずはご無沙汰お詫びまで。



ドイツの甘口白ワインを好んで飲んでいる人達の中に、渋い赤ワインは嫌いだが、やはりポリフェノールが沢山入っている赤ワインも飲んでみたいので、甘口赤ワインはないかと探している方が結構いらっしゃいます。

先日開催されたヘレンベルガー・ホーフのハウスメッセで、そのような方のご希望に沿いそうな面白いワインを見つけました。

生産者:ラインヘッセンのヴァイングート・ジャン・ブシャーWeingut Jean Buscher。
ワイン名:ドルンレーシェンDornröschen QbA。
ぶどう品種:ドルンフェルダーDornfelderとローゼンムスカテラー(ローズ・マスカット)Rosenmuskateller。
しっかりと濃いガーネット色。リープリッヒlieblichのやわらかな甘さ(残糖37.9g/l、酸5.3g/l)でタンニンの渋みを感じさせない軽やかな赤ワインです。アルコール度が9.2%と軽いのもお好みに合うのではないかと思います。

このワイン名Dornröschenは、写真のポスターからも想像できる通りロマンチックな単語で「眠り姫、いばら姫」という意味です。dornが「植物のとげ、いばら」、röschenが「小さなバラ、バラちゃんといえる女の子の名前」が組み合わさってできた単語で、100年間眠っていたといわれるグリム童話のいばら姫のこと。(私は、あわてて「いばら姫」のお話をwebsiteで見つけて復習しました。) ワイン名Dornröschenは、使用ぶどう品種のDornfelderのdornとRosenmukatellerのroseを合成させて作られていて、生産者もなかなか粋なことをします。



7月12日付け雑記「ニュージーランド・シラー/オーストラリア・シラーズ」で、エレガントなオーストラリアのシラーズを見つける楽しみがあると書きましたが、このたび、気に入ったオーストラリアのエレガントなシラーズ・ワインをワインハウス・センチュリーの試飲会で見つけましたので紹介します。

ワイン名は、“SINCLAIR 2004 Shiraz Graphite”。生産地は、西オーストラリア州マンジマップManjimup、少し内陸になり朝晩が寒くなる産地で繊細でやわらかなシラーズ100%のワインが造られています。生産者は、シンクレア・ワインズSinclair Winesという個人経営のブティックワイナリーで、5ヘクタールの畑を持ち、手摘みで、極めてオーガニックな生産、15ヶ月フレンチオークで熟成しているとのことす。
しっかりした酸、こなれたタンニン、アルコール14.5%、樽熟15ヶ月という凝縮感がありますがすべてにわたるバランスの良さで食事の最後までまったく疲れさせないエレガントなシラーズに感銘を受けました。生産者の大変丁寧な造りを感じました。6~8年の熟成に耐えるとのことですが、2004年物で既に充分楽しめました。

ワインの名前の“Graphite”とは、畑の前の通りの名前だそうです。

ラベルの虎のような絵は、ワイナリーの横にある森に生息していたという伝説のあるマンジマップタイガーと、裏ラベルに説明がありました。例によって好奇心でこの動物を調べました。タスマニア・タイガーと同類らしく、websiteで「フクロオオカミ」で検索すると珍しい動物で沢山の面白い説明を見つけることができました。

輸入元は、在京都のロフティワイン(T/F:075-211-2209)。



ワイン生産者と会って、彼からぶどう栽培やワイン生産にたいする考え方、哲学などを、心意気・情熱を感じながら直接聞くのが私にとって大変楽しいことです。彼の造るワインの全体をまず理解できるからです。それから彼のワインを一つ一つ飲んでみるとより具体的に味わいが評価できます。
フェウディ・ディ・サングレゴリオ (Vini dei Feudi di San Gregorio) 社のオーナー、ヴィンチェンツォ・エルコリーノ(Vincenzo Ercolino)氏と一緒に同社のワインを飲み食事しながらいろいろ話す機会がありました。興味のありそうなものだけをいくつか書き出してみます。
(1) ラベル:
  ある時期にラベルデザインが変わって、現在のように小さくなりました。何故ラベルをこのように小さくしてしまったのかと疑問に思っていました。これは、ワインは中身で勝負するというオーナーの考えで、ワインの内容を重視することから、ボトルの表ラベルはできるだけ小さくし、規則上記載する項目は裏ラベルに纏めているそうです。鳥などの絵が描かれていますが特に意味はないとのことでした。
(2) 瓶の形: 
  写真のように、肩が張ってわずかに下つぼみになった独特のエレガントな形は、10年前にマーケッティングの目的で、同社のオーナー自身で決めたものが最初であり、その後他社のワインにも同様の形の瓶が見られるようになりました。
(3) フィアーノ・ディ・アヴェッリーノとグレコ・ディ・トゥーフォ:
  フィアーノ・ディ・アヴェッリーノの土壌は、火山灰の下層の上に石灰岩と砂がミックスしたもので、繊細な香りが高くやさしい味わいである。一方、グレコ・ディ・テューフォの方は、多孔質石灰岩と粘土質で、筋肉質な味わいになっている。説明を聞きながら実際に二つを飲み比べ納得しました。
会った場所は、阪急電車夙川駅の近くのリストランテ・アルテシンポジオで、オーナーシェフ荻堂氏がワインとのマリアージュに大変気を配って造ったと感じられる料理と、モンテ物産の唐澤氏の上手な通訳で大変楽しい有意義な夕べでした。



9月8日心斎橋のリストランテ・オットーナで開催した食事と楽しむワイン入門講座には17人が参加され、色々なスタイルのワインを飲みながら食事を楽しんでいただきました。

自分好みのスタイルのワイン発見が今回の講座のメインテーマで、全員からアンケートに回答をいただきました。

提供ワイン6種類(各2本):
1. やや甘口白ワイン:
Riesling Halbtrocken Quälitatswein 2000 Moser-Saar-Ruwer, Weingut Karlsmühle
2. 酸の爽やかな白ワイン:
Comte Lafond Sancerre 2004, Ladoucette
3. 酸のやわらかな白ワイン:
Carneros Chardonnay 2004, Buena Vista
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4. 軽口赤ワイン:
Beaujolais 2004, Marcel Lapierre
5. 中口赤ワイン:
Morey-Saint-Denis “Clos de la Bidaude” 2002, Robert Gibourg
6. 重口赤ワイン:
Château Haut-Bages Averous, Pauillac 2003

(1) 自分が一番好きだと思ったワイン
 1. やや甘口白ワイン 3人
 2. 酸の爽やかな白ワイン 7人
 3. 酸のやわらかな白ワイン 7人
 4. 軽口赤ワイン 0人
 5. 中口赤ワイン 7人
 6. 重口赤ワイン 9人
 7. 赤ワインの好みなし 1人

(2) 白ワインと赤ワインを合わせた好み
  1. やや甘口白ワインだけ。赤ワインは好まない 1人
  2. やや甘口白ワイン+中口赤ワイン 1人
  3. やや甘口白ワイン+重口赤ワイン 1人
  4. 酸の爽やかな白ワイン+中口赤ワイン 5人
  5. 酸の爽やかな白ワイン+重口赤ワイン 2人
  6. 酸のやわらかな白ワイン+重口赤ワイン 7人
   酸のやわらかな白ワインを好む人は重口赤ワインが好みのようです。

それぞれのスタイルのワイン1種類を飲むだけで、またそれに合わせた食事の影響も考えられるので、これだけで好みのスタイルのワインを決めるのは大変無理がありますが、一応上記のような結果がでました。講座に参加された方は今後ワイン選択の参考にしていただければと思います。

ワインの好みは人様々ですが、色々なワインが飲める環境にいるわけですから、一つのスタイルに固執せず、他の人が美味しいと思っているスタイルのワインも飲んでみてワインの幅広さ、奥深さを感じ取って下さい。

上記アンケートの結果報告が遅れた理由は、アンケートで軽口赤ワインを好きだと解答された方が皆無であったため、同じワインを買ってきて味わいを確かめてみるためでした。昨日テイスティングしました。講座当日の味わいと同じでした。何故このワインが得点できなかったのか考えてみました。香り、味わいとも大変地味なのが一番の原因ではないかと思いました。昨日のように単独で味わうと、しみじみした味わいを最後まで感じさせてくれましたが通人好みかもしれません。入門講座の時のように他のワインと飲み比べると‘野辺の花’のように見過ごされていまいそうです。今回のような趣旨の講座で軽口赤ワインのサンプルとしては不適当であったかと反省しています。生産者マルセル・ラピエールはボージョレの無農薬ワイン生産者として大変有名な人です。




今日、日本ソムリエ協会関西支部のホームページ http://www.sommelier.jp/kansai/06rwc_cu.html に、第1回ロワールワイン ワインアドバイザー/コンセイエ コンクールに優勝した私の感想文が掲載されました。どうぞご一読ください。
その文中の最後にサン・マルタンが出てきます。この聖マルタンのことをご存知の方が多いと思いますが、簡単にご説明します。

聖マルタンは、フランス(元はフランク王国)の守護聖人とか、ぶどう畑とワインの守護聖人とかいわれていて、11月11日が祝祭日です。

マルタン(ラテン語名マルティヌス)は、317年頃ローマの属州パンノニア(現在ハンガリー)のサヴァリア(現在のソンバトヘイSzonbathely)にローマ皇帝騎兵隊長の子供として生まれ、15歳で皇帝騎兵隊に入隊し、3年後にフランス、ピカルディ地方のアミアンに派遣されました。

伝説では、334年11月11日凍てつく寒い日に、寒さにこごえる浮浪者に、自分の外套を剣で二つに切って半分を与えました。その夜、マルタンの夢の中に天使に囲まれたキリストが、浮浪者に与えた外套の半分を着て現れ、浮浪者がキリストの化身だったと分かりました。

これを機に、マルタンはキリスト教修道士になり、361年ポワティエの近郊リギュジェ(Liguge)に中部ガリアで初めての修道院を設立、後にトゥールの司教になりました。

372年マルムティエ大修道院(Monastere de Marmoutier)の設立と共にぶどう園を開墾しました(この辺りが、先日のロワールワイン コンクールの予選の時の問題の一つに関係しました)。ロバがぶどうの葉や未熟なぶどうを食べてしまったことがぶどう樹剪定の始まりであるという逸話も生まれています。

生前から色々な奇跡を起こしたエピソードがあり、これらを基に、日本語の小春日和に相当するサン・マルタンの夏(été de la Saint-Martin)などというフランス語ができています。
詳しいことは、さし当たって、「ワインの文化史、ジャン・フランソワ・ゴーティエ著、八木尚子訳、白水社」の65頁、「ワインが語るフランスの歴史、山本博著、白水社」32頁をご参照ください。

写真の絵は、「聖マルティヌスと乞食」エル・グレコの作品、ワシントン、National Gallery of Art蔵。



8月14日付け「日本ワインの夕べ」の雑記の中で、アルガ・クラレーザ・シュル・リーのラベルの写真を載せた所、ご興味を持たた方々から反響がありました。中には、清酒「小鼓」のラベルに雰囲気が似ていると指摘された人がいて、それに対し、早速、「それはラベルの作画された人が同じだからです。」と返事をくれた人もいらっしゃいました。
ラベルの作画は、美術作家の綿貫宏介氏。長年ポルトガルに滞在された故かラベルにポルトガル語が書かれています。このラベルは、一つの画と捉えてみるべきものなのでしょうが、生来の物好きで、書いてあることを一つ一つ調べたくなりました。
ポルトガル語は、リオ・デ・ジャネイロに4年半ほど住んだのである程度理解できますが、確認のため、生産者の勝沼醸造㈱の有賀(あるが)宏和常務に電話でいろいろ教えていただきました。
上側: ARUGA ADEGA VINICOLA、アルガ・アデガ・ヴィニコーラ = 有賀ワイン醸造所
左側: DISTINCTAMENTE、ディスティンクタメンテ = (副詞)はっきりした、特有の
右側: BRANCA LUCIDAMENTE、ブランカ・ルシダメンテ = 透明で輝いた白の。
下側: CLAREZA SUR LIE、クラレーザ シュル・リー = 透明なシュル・リー

勝沼醸造のwebsiteでは、このワインの正式名は、アルガ・クラレーザ・ディスティンタメンテといい、「限りなく透明なアルガの白」と訳されています。
ところで、有賀弘和さんの名刺の肩書きが「蔵之輔」(くらのすけ)とあります。意味を尋ねたところ、兄上の社長は、「蔵主」というのでその補佐ということだそうです。
色々と興味をそそられる生産者です。http://www.katsunuma-winery.com