マデイラ島のフンシャルの町中にあるドルヴェイラ
D’Olveiraというマデイラ生産者を訪ねました。入口を入った所にマデイラの販売コーナーがありいろいろなマデイラを試飲させてくれました。




初めはごく普通のマデイラが出ていましたが、その内1984年のボアルが出て、続いて写真の様に1908年ボアルまで続けさまに出てきました。ヴィンテージが古くなるにしたがい、確実に熟成のまろやかさが際立って
きて、一行は歓声を上げて、それぞれ味わいの感想を言いながら味わいました。


しばらくして、最後に1895年マルバージアと1850年ヴェルデーリョが出てきたときには皆沈黙してしまい、やがて「おいしい!」の一言でした。

マデイラ島でバーベイトBarbeito社を訪問した時に1940年代に建てられたカンテイロcanteiroと、今年完成予定で建設中のものを見ることができました。


加熱する装置がついたエストゥーファestufaと違って、倉庫は自然の太陽熱だけで穏やかに暖められています。


マデイラ島では夏にはかなり暑くなると思っていましたが、30度にしかならないそうです。屋根をトタン屋根にしているので太陽が当たると、室内は、夏で35度くらいになりますが、冬はかなり冷え込むためワインが安定してフレッシュな出来になるそうです。


新しいカンテイロにも昔からのカンテイロに使われてきているノウ

ハウが取り入れられていました。

カンテイロについては、日本ソムリエ協会2008年度教本の321頁

に説明が出ています。


マデイラ島のフンシャルFunchalから海岸を西に約7km行った所にカーボ・ジロンCabo Girão という海に面した絶壁があります。高さ580メートルのヨーロッパで2番目に高い海岸の絶壁であると説明を受けました。真下の海に接した小さな平地にマデイラ島で初めてぶどうが作られたという畑が見えました。品種はマルバージアだそうです。


帰国後調べましたら、海岸の絶壁としてはヨーロッパで2番目でなく3番目で、1番目が、ノルウエーのForsandにあるPreikestolen 604メートル、2番目が、アイルランドのSlieve League(アイルランド語Sliabh Liag) 601メートルという説明がありました。しかし、マデイラ島現地では2番目で通っています。


その後調べるほどヨーロッパでより高い絶壁があるという記事が出てきて、結局本当の高さの順位ははっきりしません。順位を決める基準の差なのでしょうか。

ワイン、清酒、ビールなどを勉強すると醗酵の所で必ず酵母菌の働きが出てきます。小泉武夫氏の「醗酵、ミクロの巨人たちの神秘」中公新書を読んでみました。有用微生物の醗酵工業における偉大な働きに大変興味を覚えました。



その本で、数億の微生物の犠牲により醗酵文化が恩恵を受けていることから京都の曼殊院
(まんしゅういん)門跡に、微生物の供養塚が昭和56年に建立されていることを知りました。
この菌塚の由来などについては、http://www11.ocn.ne.jp/~kinzuka/  に詳しく記述されています。


好奇心がまたもや頭をもたげ、菌塚を見に行って来ました。曼殊院の外壁の左側を入ったところにありました。立ち入り禁止の場所ですが入口で菌塚を見に来たことを告げると、訪問録に住所氏名を記入して入ることができました。毎日数人は訪問しているようです。

苔に覆われた鬱蒼とした林の小道を
50メートルも行くとひっそりと塚がありました。塚には、清酒の1合瓶と何かの微生物が入っていると思われるガラス瓶がお供えされていました。微生物研究のどなたかが持参されたのでしょう。


帰りに曼殊院の中を見学し枯山水の庭園を眺めました。紅葉はまだ少し早く、11月末が見ごろの様でした。周囲に紅葉名所がありますが、叡山電鉄の修学院駅から20分位の登り坂を歩かなければならないので京都の紅葉の名所にしては比較的人が少ないとのことでした。しかし詩仙堂や修学院離宮が近いので、タクシーをハイヤーし運転手をガイドにして周遊している人が大勢いました。周囲はのどかな風景で快晴であったこともあり20分徒歩もそれほど苦痛ではありませんでした。






カリフォルニア ベリンジャーBeringer Vineyards http://www.beringer.com/  の教育部門のJerry Comfort氏を招いたメーカーズ・ディナーに行ってきました。

ベリンジャーは、ドイツのマインツMainz出身のFrederickJacob Beringer兄弟が1876年にナパのセントヘレナSt. Helenaに創立したワインメーカーです。

1920年~1933年のアメリカ禁酒法実施中でも教会ミサ用と薬用にワインを造る許可をもらった3社の中でも一番古い歴史を持っています。従って、アメリカでワイン造りを途切れることなく続けてきた一番古いメーカーだと紹介していました。

1990年にPrivate Reserve Cabernet Sauvignon1986が、1994年にPrivate Reserve Chardonnay 1994Wine Spectator Wine of the Yearに選ばれたが、一つのワイナリーで赤ワインと白ワインの両方が選ばれたものは他に無いそうです。

ベリンジャーのワインというと、Stone CellarsシリーズとかWhite Zinfandelとか安いものが多いとの印象でしたが今回、すべてプレミアムワインを飲むことができて、今までの印象がすっかり変わりました。一般向ワインと、プレミアムワインの醸造責任者には違う人が任命されているそうです。


1.食前酒として、スパークリングワインが出ると思っていましたが、なんとエビスビールの季節限定販売の琥珀エビスでした。ベリンジャーの輸入元がサッポロビールで、この会社も創立1876年でベリンジャーと同年だそうです。

2.アミューズが出て、Riesling Napa Valley 2003 が注がれました。ナパでも南の涼しい所Yountvilleの畑のぶどうからできた辛口で、ナパでは大変珍しいリースリング・ワインです。ドイツよりは温暖なので、ドイツに比べるとリッチな味わいですが、酸も豊富で石油香もしっかりありました。


3.次の料理は、「ヒラメのカルパッチォと雲丹のムースのアンサンブル」で、Pinot Noir Stanly Ranch 2003が注がれました。Los Carnerosの畑のぶどうです。15%カルボニック・マセレーションをして、小樽熟成しブルゴーニュ風を狙っていました。2003年物がWall Street Journal でアメリカ1位になったそうです。

4.「イベリコ肩ロースのスパイシーグリル、コーヒー・ソース」には、前のピノ・ワールと、続けて、Chardonnay Sbragia Limited Release 2004が合わされ
ました。
100%新樽で醗酵とハイトーストで熟成された大変コクがあるバランスの良いワインでした。同社が造る4つのシャルドネ・ワインの最高のものだそうです。Sbragiaとは、昨年まで名誉ワインマスターだった人の名前で、彼は1976年からすべてのPrivate Reserve winesを担当していて、上記二つのワインのWine of the Yearを獲得した人です。

次に出たお口直しのピックルスにもこのシャルドネが合わされました。

5.「ズワイガニのロースト、ピーナッツ風味の白ワ
インソース」に
Cabernet Sauvignon St. Helena Home Vineyard 2000が合わされました。カニに赤ワイン結構楽しめました。

6.デザートに、「一口のロックフォールとリンゴのタルトとエスプレッソ。合わせるワインは、Nightingale Semillon/Sauvignon Blanc 2003年でした。甘口です。シャトー・ディケムのような貴腐ワインを造りたいという気持ちから、9か月間貴腐菌を育て、収穫されてきたパレットに入ったぶどうに貴腐菌をスプレイして6週間置くという世界で唯一の方法で造ったワインです。Nightingaleとは、Sbragia氏の前任の同社の伝説的なワインメーカーの名前です。


ディナーの場所は、西心斎橋で今年
8月にオープンした「そむりえ亭」(tel06-6484-0530)という店で、店主がソムリエ協会関西支部長のマスター・ソムリエ樋口誠さんです。彼の軽妙で説得力ある料理とワインのマリアージュの説明を聞きながら、3時間半の食事を楽しみました。私は、Jerry Comfort氏と同席で、大変優秀な通訳のお陰で沢山質問できました。このお店、まだホームページが無いのですが、「そむりえ亭」で検索するといろいろな評判が出てきます。ダイニング・ウイズ・ワインと謳っているように、しっかりしたフランス料理と樋口さんの納得できるワインの選択と説明で楽しめるお店です。

フランス・タルブ・オート・ピレネーTarbes Hautes-Pyrénées地方商工会議所主催のワイン&スピリッツ試飲商談会に行ってきました。13ブースあり、大部分が日本に輸入エイジェントを探しに来ていました。殆どが真面目に熱心に説明をしてくれる中に売る気があるのか分からない応対をする生産者もおりました。各ブースに一人ずつ優秀な通訳が付いていたのが印象的でした。


試飲した限りで南西地方のワインを総括すると、大変素直に造られていて、飲み飽きがしない、食事と合わせやすいものでした。アルコール度が14%というのもありましたが、この地方は収穫期の日照が多いので補糖はしていないとのことでした。日本での南西地方の知名度が比較的低いのと、この地味な味わいが日本でいま一つ普及しない一因と思いました。コストパーフォオーマンスも良い様だし今後の認知度の向上を期待します。


いくつかのブースで聞いた中で参考になることを書いてみます。

1. AOC Pacherenc du Vic-Bilhの辛口にはグロ・マンサンGros Mansengを、甘口にはプティ・マンサンPetit Mansengを主に使う。この地域は乾燥していてカビはつかないので甘口ワインは貴腐菌由来でない。


2.フェル・セルヴァドゥFer Servadouという黒ぶどう品種は、Gaillac地区ではブロ-コルBraucolと呼ばれている。


3AOC Gaillac新酒には、白ワインと、ガメイのみの赤ワインが認められている。

Gaillac Primeur 2008新酒を早々と飲ましてもらいました。写真の様に、この地方の伝統的な形の瓶でした。ガメイ100%で、アルコール13.5%。カルボニック・マセラシオンをしており、明るいルビー色といい、イチゴキャンディ香、味わいとも昔の懐かしい新酒の味を思い出させるものでした。Domaine de LabartheというAOC Gaillacの生産者のものでした。過去に全フランスの新酒のコンクールというのがあって、このドメーヌのものが3回優勝し、ボージョレの新酒が優勝できないのでこのコンクールが消滅したとの説明を受けました。一度ボージョレ側の説明も聞いてみたいものです。


4. 生ハム:昔ソムリエ試験に生ハムの産地に関する問題が出たことがあります。その時の産地は、フランスのバイヨンヌ、ドイツのヴェストファーレン、イタリアのサン・ダニエーレだったと思います。バイヨンヌ生ハムのブースがありました。バイヨンヌBayonneはバスク地方の大西洋岸の街の名前ですが、生ハム産地は内陸のアドゥールAdour川流域に広がっています。ルイ14世が好んだと言われパリで広まり、バイヨンヌ港から大西洋に出てセーヌ川を遡りパリに届けられたので、この地域全体の生ハムがバイヨンヌJambon de Bayonneと呼ばれることになったそうです。塩味の利いたしっかりした味わいで保護指定地域表示IGPを取得しています。

もう一つの生ハム、ビゴール豚の生ハム、ノワール・ド・ビゴールNoir de Bigorreがありましたが、この方がさらに味がしっかりしていました。値段もバイヨンヌの2倍はするそうです。それでもスペインの上級生ハムよりは安いそうです。ピレネー山麓に棲むフランス最古の豚と言われています。数千年前ピレネー山頂付近に棲んでいた猪が、スペイン側へ降りて混血した豚がイベリコ豚となり、フランス側へ降りて純潔を保った豚がビゴール豚になったという話が地元で語り継がれていると、ブース出展の登馬商事http://www.thoma.co.jp の説明書にありました。もっと注目されてよい食材と思いました


ラガール
lagar足踏みでぶどうを破砕するための槽です。ドウロでも話には聞いていましたが、実物を見るのは、アレンテージョAlentejo地方のJoao Portugal Ramosのワイナリーでした。立派な大理石でできていて、Ramosの最高ワインのMarques de Borba Reservaを造るぶどうを足踏み破砕するそうです。ぶどうの破砕には人の足が最も適しているようです。人間の足踏みに似た要領で破砕する機械が造られましたが普及しているとは聞いていません。いずれロボットが出来るかも知れないと楽しい想像をしました。




このワイナリーはエストレモス
Estremozというスペイン国境から50km
も離れていない、かつては古代ローマ人、スペイン人、ムーア人などに侵略された歴史を持ちます。従って城壁に囲まれた街になっています。ピンクの大理石が産出するので土が赤色を帯びています。      


カリフォルニア
 ワイン・インスティテュート主催のテイスティング会のセミナーに参加してきました。「ソノマ・カウンティの多様性」という題で、ソノマ郡ワイン用ぶどう栽培者協会Sonoma County Winegrape Commission会長、ミネソタ大学植物生理学専攻農学博士Nick Frey氏による90分のセミナーでした。写真の様に、“Shall we dance”などでおなじみの俳優リチャード・ギアRichard Gere
そっくりで驚きました。温厚な口ぶりで、ソノマの微気候の特徴などから造られるワインの多様性につき分かりやすく話されました。

13AVAに見られる気候の多様性がある。涼しい所でピノ・ノワールが植えられていて、そこから数キロ離れると温かい気候でカベルネ・ソーヴィニヨンのようなボルドー品種が適す場所がある。

太平洋から谷間を通りソノマ・ヴァレーまで入り込む涼しい風の影響が大きい。ナパでは重要なサン・パブロ湾からの風は、ソノマではそれほど影響しない。

夏は日照が多く乾燥していて、朝方霧が出て、午前中気温が低く保たれる。山脈の間では冷たい風が当たる所と当たらない所ができる。

太平洋岸に沿った所では、発生する霧より上の標高の高い涼しい所に畑があり日照も豊かでシャルドネ、ピノ・ノワールに適している。

内陸のドライ・クリーク・ヴァレー、アレキサンダー・ヴァレー、ナイツ・ヴァレーは海の影響が少なく温かく、ボルドー品種やジンファンデルに適す。

ドライ・クリーク・ヴァレーは渓谷が狭いので午前に気温が早く上がり、午後早く冷える。アレキサンダー・ヴァレーの渓谷は広いため気温は午前中ゆっくり上がり、午後にゆっくり下がり温暖である。

ソノマ・ヴァレーは海風がソノマの高い山で遮られた奥にあり温暖で、カベルネ・ソーヴィニヨン、ジンファンデルに適す。標高が高い所の畑は、霧の上に出ているため日照が豊かで涼しく、エレガントなワインになるカベルネ・ソーヴィニヨンが育つ。

気候の多様性に加えて小規模な家族経営の畑所有者が多く(畑所有者1800戸の内、40%8ヘクタール未満、80%40ヘクタール未満)、大きな畑所有者も小さな区画で所有している。

従って、ぶどう品種の多さから、造られるワインの多様性が特徴である。


6種類のワインを、それぞれのぶどう畑の立地条件の説明を受けながらワインの風味の違いをテイスティングしました。

個別質問では、ソノマにおけるスクリューキャップへの移行に対する考え方を聞いてみました。白ワインではスクリューキャップの採用は進むが、赤ワインについては伝統的なコルク栓で変わらないであろう。しかし、人工樹脂による栓は良くないということでした

91日付け雑記でもご紹介した北野ホテルでの昼食会の第4回「南北を流れるローヌ川が育むコート・デュ・ローヌワイン」に行ってきました。

前々回からお知り合いになったご婦人、今回初めてお会いしたご夫婦たちと楽しい会話が弾みました。ワインは会話を弾ませ和やかな雰囲気にする効果があることを改めて認識しました。




l アミューズに始まり、

l 前菜としてフォアグラ・カナールのコンフィに山形直送の洋梨添えアニス風味、

l スープにエビ芋のヴルーテ(velouteビロードのように滑らかにしたポタージュ)、

l メインが神戸牛のポワレに赤ワイン煮込み国産きのこ添え、

l デザートがチョコレートとサフラン風味の洋梨のコンフィ


とホテルらしい凝った料理に合わせるワインは、


l サン・ペレー・ムスー(マルサンヌ100%) Domaine Thiers

l コート・デュ・ローヌ・ヴィラージュ・ブランValreas Le Echalas” 2006 (ルーサンヌ100%) Domaine Clos Petite Bellane

l シャトー・グリエ2002(ヴィオニエ100%) Neyret-Gachet

l サン・ジョゼフ2006 (シラー100%) Domaine Coursodon

l シャトー・ヌフ・デュ・パープ2005 (グルナッシュ90%、シラー5%、ムールヴェードル5%) Domaine Pierre Usseglio


と珍しいワインもあり、担当のソムリエ牧野さんの気合いの入ったアレンジでした。サン・ペレー・ムスーは思ったより酸味がきいていて食前酒に合っていました。シャトー・グリエを久しぶりに味わい感激しました。このような食事会では、あまりワインの蘊蓄を傾けないで、ただ「おいしい!」と
単純に飲むのが楽しいです。

正午開始でしたが、美味しい料理と楽しい会話、明るい落ち着いた部屋で時間の過ぎるのを忘れ、席を立ったのは3時過ぎていました。

11月は「世界最高峰の味わいボルドー地方のワイン」、最終回の12月は「最高のマリアージュを探す旅フランス各地の選りすぐりワイン」と続きます。

ファームストン株式会社http://www.farmstone.com/  のオーストラリアワイン試飲会に行ってきました。65種類のワイン全般に言えることは、「エレガント」ということでした。さすがにオーストラリアワインを重点的に輸入している会社らしく、良質産地のワインを集めていました。例えば、西オーストラリア州のものは(44種類)、主にマーガレット・リヴァーMargaret Riverやグレート・サザンGreat Southernの涼しい産地のもの。南オーストラリア州ならマクラーレンヴェイルMc LarenValeのシラーズ、ヴィクトリア州ならヤラ・ヴァレーYarra ValleyのコールドストリームヒルズCold Stream Hillsのメルロ、ソーヴィニヨン・ブラン、ジーロングGeelongのピノ・ノワールなどでした。オーストラリアワインの濃いというイメージを変える風味です。

その中で、プランタジネットPlantagenet 
http://www.plantagenetwines.com/go/  という生産者に注目しました。同社のSenior WinemakerMr. John Durham(写真右)Australasian Brand MangerMr. Stuart Brookshaw(写真左)が初来日で出席していて30分のセミナーがありました。


セミナー前に、気にかかっていた質問をしました。Plantagenetと言えば、フランスのロワールのアンジュー伯の名前であったし、そのアンリHenri・プランタジュネが1154年イギリスのヘンリー2Henry IIとなり興したプランタジネット王朝(写真:紋章)を想い出すので、この家系と関係があるのかという問いでした。


関係ありました。この生産者の創始者Tony Smithがイギリス、プランタジネット王家の末裔の一人でイギリスからオーストラリアに渡ってきて、1968年西オーストラリアのグレート・サザンのマウントバーカーMount Barkerでワイン造りを始めました。面白いことに、この生産者の在るshire()Plantagenetという名前です。こちらの方は、Plantagenet (planta genesta、仏語le genêt)がマメ科のエニシダという意味なので、この地域にエニシダが生えていることが由来で、偶然の一致だそうです。アンジュー伯家もアンリの父アンジュー伯ジョフロワ5Geoffrey Vがエニシダの枝を胸に指していたことからプランタジュネが同家の別名になったことを考えればエニシダの縁ということになります。

この生産者の畑は、グレート・サザンでも南西の海に近い所にあるので、北からインド洋の暖流が、南から南氷洋の寒流が流れ込む影響を強く受け、昼は暑く、夜は冷え込み一日の温度較差が大きいため、ぶどうがゆっくり熟し、グレート・サザンの他の地区より10日収穫が遅くなるそうです。底岩が5億年前に形成された花崗岩と鉄鉱石で水はけが良く痩せた土壌です。この両者の特徴がワインの味わいに現れていました。シラーズ、カベルネ・ソーヴィニヨン、リースリング、シャルドネなどなどからワインを造っていますが、白ワインは良質の酸を、赤ワインは柔らかなタンニンが特徴で、バランスの良いエレガンスな香味が、いろいろなワインコンクールで賞を獲得しているのもうなずけました。


Plantagenet銘柄がプレスティッジ・シリーズで、Omrahがセカンドワインになりますが、ラベルを見ますと、前者がライオンの紋章(王朝の紋章の一部)が描かれているのに対し、Omrahは船の中から丸窓を通して海をみた絵です。窓枠にSS Omrahと書かれています。西オーストラリアへの移民船として1899年建造された船名が由来だそうです。しかしOmrahシリーズのイメージアップのために、ラベルが紋章付きに変わることになっています。2006年ヴィンテージから新しいラベルでOmrah Cabernet Merlotが出ました。Senior WinemakerDurham氏が、Margaret RiverCape Mentelle20年働いた経験を持って2007年から加わり、このワインを創るなどこの生産者の将来のワインの変わり方に注目したいと思います。