ファームストン株式会社http://www.farmstone.com/
のオーストラリアワイン試飲会に行ってきました。65種類のワイン全般に言えることは、「エレガント」ということでした。さすがにオーストラリアワインを重点的に輸入している会社らしく、良質産地のワインを集めていました。例えば、西オーストラリア州のものは(44種類)、主にマーガレット・リヴァーMargaret Riverやグレート・サザンGreat Southernの涼しい産地のもの。南オーストラリア州ならマクラーレンヴェイルMc LarenValeのシラーズ、ヴィクトリア州ならヤラ・ヴァレーYarra ValleyのコールドストリームヒルズCold Stream Hillsのメルロ、ソーヴィニヨン・ブラン、ジーロングGeelongのピノ・ノワールなどでした。オーストラリアワインの濃いというイメージを変える風味です。
その中で、プランタジネットPlantagenet
http://www.plantagenetwines.com/go/
という生産者に注目しました。同社のSenior WinemakerのMr. John Durham(写真右)とAustralasian Brand MangerのMr. Stuart Brookshaw(写真左)が初来日で出席していて30分のセミナーがありました。
セミナー前に、気にかかっていた質問をしました。Plantagenetと言えば、フランスのロワールのアンジュー伯の名前であったし、そのアンリHenri・プランタジュネが1154年イギリスのヘンリー2世Henry IIとなり興したプランタジネット王朝(写真:紋章)を想い出すので、この家系と関係があるのかという問いでした。
関係ありました。この生産者の創始者Tony Smithがイギリス、プランタジネット王家の末裔の一人でイギリスからオーストラリアに渡ってきて、1968年西オーストラリアのグレート・サザンのマウントバーカーMount Barkerでワイン造りを始めました。面白いことに、この生産者の在るshire(郡)もPlantagenetという名前です。こちらの方は、Plantagenet (planta genesta、仏語le genêt)がマメ科のエニシダという意味なので、この地域にエニシダが生えていることが由来で、偶然の一致だそうです。アンジュー伯家もアンリの父アンジュー伯ジョフロワ5世Geoffrey Vがエニシダの枝を胸に指していたことからプランタジュネが同家の別名になったことを考えればエニシダの縁ということになります。
この生産者の畑は、グレート・サザンでも南西の海に近い所にあるので、北からインド洋の暖流が、南から南氷洋の寒流が流れ込む影響を強く受け、昼は暑く、夜は冷え込み一日の温度較差が大きいため、ぶどうがゆっくり熟し、グレート・サザンの他の地区より10日収穫が遅くなるそうです。底岩が5億年前に形成された花崗岩と鉄鉱石で水はけが良く痩せた土壌です。この両者の特徴がワインの味わいに現れていました。シラーズ、カベルネ・ソーヴィニヨン、リースリング、シャルドネなどなどからワインを造っていますが、白ワインは良質の酸を、赤ワインは柔らかなタンニンが特徴で、バランスの良いエレガンスな香味が、いろいろなワインコンクールで賞を獲得しているのもうなずけました。
Plantagenet銘柄がプレスティッジ・シリーズで、Omrahがセカンドワインになりますが、ラベルを見ますと、前者がライオンの紋章(王朝の紋章の一部)が描かれているのに対し、Omrahは船の中から丸窓を通して海をみた絵です。窓枠にSS Omrahと書かれています。西オーストラリアへの移民船として1899年建造された船名が由来だそうです。しかしOmrahシリーズのイメージアップのために、ラベルが紋章付きに変わることになっています。2006年ヴィンテージから新しいラベルでOmrah Cabernet Merlotが出ました。Senior WinemakerのDurham氏が、Margaret RiverのCape Mentelleで20年働いた経験を持って2007年から加わり、このワインを創るなどこの生産者の将来のワインの変わり方に注目したいと思います。

