ファイティング リティ Ver.4.0 -6ページ目

ファイティング リティ Ver.4.0

セブン-イレブン・ジャパンの不正会計事件。最高裁判決(2008年7月4日)後の差戻し高裁判決(2009年8月25日)では、まだまだ解決できません。これからも闘いが続きます。

尋問(1)  尋問(2)  尋問(3)  尋問(4)

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( 黒細字:原告代理人の発言 )
( 黒太字:原告Mの発言    )

税法上の問題があるというふうに気づいたのはいつ頃だったんですか。


この情報自体を、この疑念自体を抱いて税理士のほうに相談したら、それはだめだと。で、国税庁のほうに、私、直接出向きまして国税庁の相談員の方にお話をしましたら、あなたが独立した事業主なら絶対に持ってなければいけませんよという旨を説明した(原文ママ)ときです。


国税庁というのは、いつ、どのような形でだれに相談されたか覚えておりますか。


昨年行きました。すみません、ちょっと舞い上がっていて月までは忘れてしまったんですけれども、昨年国税庁のほうに行きまして、相談員の方に、今、現状こういった状態でということで説明しましたら、あなたが事業主であるならどんな理由にも関係なくあなた自身がもし何かあったときには責任を問われますよと、恐れがありますよということで説明を受けました。


甲第25号証(報告書)を示す


今あなたがおっしゃられた国税局で相談した内容をまとめたのがこの甲25号証ということでよろしいですか。


はい、間違いないです。


この国税局の税務相談担当者ということですか。


はい、そうです。


領収書等保管しないと税務上問題があると。そういうふうにあなたは説明を受けたということですか。


はい、受けました。


この請求書、領収書の問題といわゆるオープンアカウントという仕組みがとられていますけれども、その関係では何か問題があるんでしょうか。


オープンアカウントというものは、もともとが月末に全て支払ったという形で債権債務を決定させるものになっていると私は認識しております。実際問題として普通の商売をしていく上で、小売業というのは掛け売り、後払いというのが基本になっていると私は思っております。要するに仕入れた後にお金を払うと。仕入れた後にお金を払うんだから、月末最終日にすべてのお金を支払うことは絶対にあり得ないと思います。しかし、セブン-イレブンジャパンは月末にすべてのお金を払ったということで損益計算書を作成して、もし債務が発生した場合にはそれに対して金利をかけるという行為を行ってきます。現実的にあり得ないはずなのにそれを計算して金利まで取ると。それ自体がオープンアカウントとして私は間違っていることだと思います。


詳しく聞きますけれども、まず加盟店はその売上金を本部に送金する義務があるわけですよね。


はい。


そうすると、日々売り上げたお金は全部本部に送金するということ。


毎日送っております。


それは預けているということになるんですか。


毎日毎日送って、本部に預けているという形になっていると思います。


通常のベンダーとの取引も後払いとおっしゃいましたけれども、どういう形で行われているかあなたはご存じなんでしょうか。


通常であれば、例えば月末までに仕入れたものについては翌月の15日払いとか20日払いとかそういった形で後払いになっているのが通常の取引です。


そうすると、今あなたがおっしゃった問題は、翌月の15日払いのはずなのに当月末で支払が完了したということになっていると。


そうです。それがセブン-イレブンのオープンアカウントシステムだということが後から気づきました。


どこで計上するかの問題が利息にかかわってくるということですか。


そういうことです、はい。


そうした問題は、あなたはいつ頃お気づきになって。


私は昨年気づきました。


それはきっかけは何かあったんでしょうか。


その問題について掲載されている方のホームページを見まして気づきました。


あなたが今回被告として訴えているベンダー3社ございますね。


はい。


     尋問(6)へ

尋問(1)  尋問(2)  尋問(3)

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( 黒細字:原告代理人の発言 )
( 黒太字:原告Mの発言    )


あなたからすると、じゃ、実際加盟店であるあなたに100円入っているのか160円入っているのかそれとも別の金額なのか、それを確かめることもできないということですか。


一切できないです。すべがないです。


甲37号証の記載を読むと、他チェーンでもコンビニ本部が実際加盟店に支払っている金額とベンダーが作成した資料の金額に大きな違いがあったという内容の記載をあなたはしていますけれども、これについてちょっと簡単に説明してもらえますか。


ホームページで掲載されていた内容はミニストップの内容だったんですけれども、それについては宅配便のやはり手数料が相違があるということで掲載されているのを確認いたしました。また、ファミリーマートにおきましては証拠保全が決定し、実行したときに差額があることをそのときに同行した弁護士が確認したという話も聞いております。


甲第34号証(ホームページプリントアウト)を示す


あなたが今言ったホームページのプリントアウトというのはこの34号証。


はい。


このようにある方がホームページで情報を発信しているのをあなたが見つけたということですね。


はい。


甲第35号証(報告書)を示す


これは佐藤弁護士からこのような報告書をいただいたということですね。


はい、そうです。


あなたが今現時点ではその請求書や領収書の交付がないといろいろと問題にされていますけれども、それ以前は何か問題には感じなかったんでしょうか。


常々私ども加盟店は本部と常に信頼関係を持っていると思っていました。だから、もし私たちが疑念を抱いたことについては、本部は真摯に対応して必ずその疑念を払拭してくれると思っておりましたので、まさかこんなことになるとは一切思わずにずっと本部を信じ続けて営業してまいりましたので。


信用したんで数字を疑うこともなかったと。


疑うことは全くありません、はい。


税法上の問題があるというふうに気づいたのはいつ頃だったんですか。


     尋問(5)へ

尋問(1)  尋問(2)

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( 黒細字:原告代理人の発言 )
( 黒太字:原告Mの発言    )


ほかには何かありますか。


領収書、請求書がないことによって私がずっと依頼をし続けてきました税理士からも、それがなければ申告書類を作ることができないということで私の依頼のほうを拒否されました。



その依頼を拒否されたのはいつの話ですか。


平成11年度です。


それまではその方にずっとお願いしていたんですか。


お願いしていました。創業依頼(原文ママ)ずっとお願いしてきましたが、その事実を知って説明をしましたらそういった形で拒否されました。


甲第26号証(陳述書(原告M作成))を示す



今言ったお話がここで陳述書として書かれている内容だと。


そうです、はい。


こうした理由で会計士に以後の申告業務は拒否されたとこういうことですか。


はい、そうです。


あなたが今回出された甲37号証にヤマト運輸の手数料に関する記載がございますね。


はい。


これについて簡単に説明してもらえますでしょうか。


2種類の手数料の金額が私の計算上出てきてしまいます。一つは宅配便の月次報告書というものがありまして、そのものを計算していくと1個当たりの単価が100円になります。そしてもう一つ、値引き高明細書というものが発行されてまして、そちらのほうで私の計算によりますと1個当たりが160円になります。手数料の相違があるということです。



甲第37号証(陳述書(原告M作成))を示す


4枚目に宅配便サービス品目月報とありますね。


はい。こちらで計算すると27個の宅配便の受付で、手数料が2700円になっています。これを単純に割ると1個当たりの手数料が100円ということになっております。


これは要するにセブン-イレブンジャパンから送られている資料でそのように読めるということですね。


そうです、はい。


もう一つの今あなたがおっしゃった仕入値引高明細書ですか。この陳述書に添付の5枚目に商品動向分析という表がありますけれども。


こちらがちょっと私のほうで勘違いしまして違ったものを出してしまったんですけれども、本部のほうから送られてくるものがもう1つありまして、そちらの。


甲37号証の1枚目の下から4、 「サービスショウヒン仕入値引高」 この数字がもう1つの仕入値引高書(原文ママ)と見ると数字が出てくる。


そうです、この金額になっています。



その単価を計算すると160円だったということですか。


そうです。はい。



これはどういうことを意味しているんでしょうかね。


2種類の金額が存在しているということを本部自体が認めていることだと思います。ただ、それについて何も確証を得ることが私にはできないということです、今の現状では。


あなたからすると、じゃ、実際加盟店であるあなたに100円入っているのか160円入っているのかそれとも別の金額なのか、それを確かめることもできないということですか。


一切できないです。すべがないです。


     尋問(4)へ

第2陣裁判 本人尋問(1)の最初から読む場合はこちら。


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( 黒細字:原告代理人の発言 )

( 黒太字:原告Mの発言    )


それは契約時点でということですか。


ありません、はい。


加盟後はどうですか。


加盟後もそういう話自体がされたこと自体がありません。


請求書とか領収書の発行について、直接仕入先とやり取りをしたことはあるんでしょうか。


現金仕入れという形で商品を仕入れることはありました。それについては私どもが直接それをお金を支払いますので、当然請求書のほうもその問屋さんからは来ますし、領収書のほうも私の手元に届いております。



いわゆるセブン-イレブンシステムを通して仕入れた場合はどうなんでしょうか。


全く発行されません。


そのことについて仕入先と直接やり取りをしたことはないんですか。


直接出してくださいということで各仕入先にお願いをしましたが、すべて拒否されました。


一般的に小売業界の慣習として、請求書とか領収書がどのように取り扱われているかはあなたはご存知ですか。


通常は商品を仕入れ、支払をするときにまず請求書のほうが仕入先から送られてきまして、それに基づいて支払をいたします。その後、その支払の証明として領収書のほうが発行されてくるということと認識しております。


なぜ通常そのような形を取られているかあなたは知るところがありますか。


領収書、請求書を発行していただかないと、まず帳簿というものが私自身が基本的にはつけられないと。それが一緒になって初めて帳簿として私どもが税法上申告するときに正式な書類となると。それがないわけですから、現実問題としてはそれがない場合には申告もできないということになる可能性もあると思います。また、消費税法でも規定されておりますので、帳票類の保管義務というのが私のような事業主というのは必要と言われております。


現時点ではあなたはオーナーとして現在もお店を経営されているわけですけれども、現実にその請求書が来たり、領収書が発行されたりということはないわけですよね。


本部を通しての取引の場合はありません。


具体的にそのようなものが交付されないということによる具体的な不都合は何かございますでしょうか。


例えば税務申告の場合には、青色申告をした場合に税額控除が受けられないそういった恐れがあります。


ほかには何かありますか。


領収書、請求書がないことによって私がずっと依頼をし続けてきました税理士からも、それがなければ申告書類を作ることができないということで私の依頼のほうを拒否されました。


     尋問(3)へ


明後日、12日に東京地裁で13:10に判決言渡が予定されています。その原告の本人尋問を紹介したいと思います。非常に迫力ある尋問でした。

■□■□■ 平成18年9月15日 ■□■□■□

( 黒細字:原告代理人の発言 )

( 黒太字:原告Mの発言    )


原告代理人

甲第32号証(陳述書(原告M作成))及び甲第37号証(陳述書(原告M作成)を示す。


1枚目の署名、これはいずれもあなたの署名押印であることに間違いありませんね。


間違いありません。


あなたがご自身で作成された陳述書とお聞きしてよろしいでしょうか。


はい。


後で読み返してみて何か事実と相違する点はございましたか。


いや。ございません。


甲25証(報告書)及び甲第26号証(陳述書(原告M作成))を示す


これもあなたご自身が作成されたもので間違いありませんね。


間違いありません。


あなたは平成○年○月○日付けでセブン-イレブン・ジャパンと契約し、現在もセブン-イレブン○○○店を経営しているということで間違いありませんね。


はい、間違いありません。


加盟店としてのセブン-イレブンの取引についてお聞きしますけれども、お店が商品を仕入れる先というのはどこなんでしょうか。


セブン-イレブンジャパンの推奨ベンダーであるところからです。


推奨仕入先ということですか。


そうです、推奨仕入先です。


確認ですが、セブン-イレブン本部から商品を仕入れるわけではない。


違います。


あなたが本件で問題としている請求書や領収書、これが本部からも仕入先からも発行や交付がされないということが問題だと考えるようになったのはどういう経緯ですか。


もともとセブン-イレブンジャパンと契約する以前に説明を受けたときに、巨大なバイイングパワーがありどこよりも有利な条件で商品を仕入れられるという説明を受けてセブン-イレブンジャパンと契約いたしました。しかし、その後、近隣のディスカウントストアなどで多数の当店の原価価格よりも安い売価価格で売られているのを見て、これはおかしいと思いましてそれについて疑問に思いました。


そうした疑問をあなたが感じるようになって、具体的に何か行動は取られましたか。


本部にその旨を説明しまして、本当に本来支払っている金額というのが正しいのかどうかをはっきり教えてくれということで問い合わせをしましたが拒否されました。


具体的にどのような理由で拒否されたんでしょうか。


システム的にそういったものを発行するようになっていないとか、出したことがないとか、そういった形で理由自体を非常にあいまいにされて断られました。


あなた自身、請求書とか領収書の交付を求めるというこの本件については何か考えられたことはありましたか。


商行為を行う上で領収書、請求書というものが発行されるものが当然だと私は常々思っておりましたので、全く私としては想像できないことでした。


発行を拒否されるということは想像できない。


想像できないことでした。


セブン-イレブン本部から加盟店に対しては、本部も仕入先も請求書とか領収書を発行しないんだとこういう説明を受けたことはなかったんですか。


一切ありません。


第2陣裁判 本人尋問(2)へつづく

 本事件は、コンビニエンスストアーフランチャイズ加盟店の経営不振の原因として、被告が提供する簿記会計の数字に誤りがあるのではないかという疑問から簿記会計書類を調査していた途中に分りました。


 請求書・領収書の取引相手への開示は一般常識であり、商慣習ですから、加盟店基本契約書に明記する必要がないため規定されていません。例えば、本契約書では「貨幣単位は日本円とする。」という規定がありません。韓国の貨幣ウォンも漢字で書けば「円(圓)」ですが、この契約は国際取引ではないので、甲乙(被告と原告)間で、日韓どちらの貨幣単位であるかという争いが起きないだけです。


 被告の主張とは逆に、請求書・領収書等の開示を省略することは常識外のことですから、契約書にその旨明記されていなければならなかったと言えます。


 簿記会計計算を確認するための証憑である、請求書・領収書等が加盟店に開示されていないことが分ってから、原告らは数年間をかけて開示を要求してきましたが、開示を被告が拒み続けたため本事件の提訴にいたりました。もちろん、ピンハネ(仕入価格と支払代行金額の差額)を解明したいと考えて提訴しています。


 「被告が各仕入先の売掛金データと各仕入先からの買掛金データとを照合したうえ、各仕入先に対して各仕入先代金の総額を支払うという効率的かつ合理的システム〔被告平成16年10月13日付準備書面(1)21頁〕を無視したうえ、加盟店基本契約上、何らの根拠を有しないにもかかわらず、新たなシステムを構築しなければ、作成が不可能な各セブン-イレブン店に対する個別の請求書等を要求するものに他ならない。」(被告準備書面(3)2ページ)と被告は主張しましたが、主客転倒の議論です。


 売掛金と買掛金データの照合は税務申告を行う原告ら加盟店がしなければならないことであり、被告がいくらこれらを照合したと主張しても、税務会計上は照合したことにはなりません。


 原告伊藤が小学校3年生の自分の息子に買い物を頼み、買ってきた品物とお釣りの合計が、予め渡したお金と一致しないのではないかと感じて「お店からもらったレシートを見せてごらん。」と質問した時に、「お店で売っている値段とお父さんから預ったお金を比べて、僕が適切と思った金額をお店に払ってきて、このお釣りになったのだから、お店のレシートを見せなくてもいいの。僕を信じて。疑わないで。」と息子が理屈をこねたとすると、親は叱らねばなりません。このまま大人になって詐欺を働きかねないので、厳重に注意します。


 東証一部上場企業がまじめに主張してきた内容は、子どものお使いに例えても、筋の通らぬ理屈であります。

 本年1月24日から2月2日にかけて、原告伊藤が主要取引先について請求書・領収書の発行を要請したところ以下のような結果を得ました。


・ ヤマト運輸(宅急便): 井田営業所(川崎主管事務所の見解)
「被告と相談したが、フランチャイズ各店に対して請求書・領収書は発行できない。」


・ トーハン(雑誌書籍): 特販2課
当社と被告との一括取引であり、フランチャイズ各店に対して、請求書・領収書は発行したことがない。コンビニ以外の当社取引先の書店には請求書・領収書を発行している。被告商品部と相談して各店舗に対する請求書・領収書の発行の結論を出す。


・ 三井食品(加工食品): 経理部
当社と被告との一括取引であり、各店舗のデータは1年以内のものであっても保存していないので要請に応えられない。フランチャイズ各店への請求書・領収書の発行が税法上必要ならば、発行を今後考える。


 これらの仕入先からの回答は、いずれも被告と取引をしていると思い込まされていることを示しています。しかし被告の有価証券報告書にも明記されている通り、被告は加盟店に一切商品を販売していないのですから、卸業者として機能しているのではなく、合計金額を一括して支払う代行業者として機能していうだけです。

 タバコに関して、JTおよびTSネットワークは、加盟店が発注したわずか1日後の納品ごとに独自の「タバコ納品表」を発行し、原告ら加盟店に配送しています(甲20 号証)。また、酒販卸会社では、毎月リベート計算書類を原告ら加盟店に送付し、リベートを支払っています。


 これが意味することは、現状システム下でも、各仕入先は原告ら加盟店に請求書・領収書等を発行できるということです。各仕入先が発行することを阻害しているのは被告であり、阻害することで利益を得ていることを隠さなければならない事情があるからです。

 オープンアカウント残高計算が虚偽であることは複数の会計専門家によって解明されています。複数の虚偽計算のうち、原告らのような会計学について素人でもすぐ分るものを一つ挙げます。


 原告伊藤の横浜三ツ境南店のオープンした月、1994年6月はオープンアカウントが開始する月です。その月の損益計算書(甲19号証)には、支払利息(原告伊藤から被告への支払う利息)が18,418円計上されています。これは開店時点で既に、オープンアカウントに借方の金額があることを意味します。


 加盟店基本契約書18条③には
「乙は、各会計期間(毎月初日から末日までの1暦月間。ただし開業の場合は、その月末、清算支払の場合は、その完了日とする。)ごとに借方残額が存在するとき(その残額相当額は、乙の甲に対する負債にほかならない。)は、その会計期間について、その期首借方残額にたいし、年7パーセントの割合による利息を負担するものとし、その額は、その会計期間の期末に、オープンアカウントの借方に計上される。」
という規定があります。


 上記規定によれば、開業時点の「期首借方残額」が0円なので支払利息も当然0円でなければなりません。しかし現実は18,418円の利息が附加されており、契約違反となっています。この支払利息以外のオープンアカウント計算が全て正しかったとしても、1994年6月のオープンアカウント残高は、2,730,661円から18,418円を差し引いた2,712,243円でなければならず、その後も誤りが繰り越されています。

 イトーヨーカ堂やイオン等の大手スーパーと中小零細小売業との間で、卸業者やメーカーからの提示卸価格は表面的にはさほど差がありません。これは、卸価格の値崩れを防ぎたいメーカー、卸業者の心理と、「荒利率がそんなに大きいなら儲かっている分を値下げに回せ。」という消費者からの声が上がるのを避けたいという大手小売業者の利害が一致したために出来上がった商慣習です。


 実際には、大手スーパーは、物流センター使用料、受発注システム使用料、催事キャンペーンへの協賛金、メーカー協賛金等、各種名目でリベートを受け取り雑収入(営業外利益)として計上するか、販売員、商品説明員を派遣させるという形で人件費を肩代わりさせて売上高原価率は下げずに実質的な粗利益を確保します。


 大手スーパーの仕入の実態を知る被告が、セブン-イレブンのフランチャイズビジネスを開始する時点で、これらの隠れリベートの旨みを最大限に活用し、ピンハネを確実に行なうために、請求書・領収書・リベート計算書を仕入先に発行させず、加盟店に実際の仕入原価を知らせない仕入決済システムを構築しました。

 被告と親会社のイトーヨーカ堂は同じ本社ビルに同居しています。仕入商品を決定する両者のバイヤー部門も同居し、仕入価格情報も共有化しています。


 原告伊藤が被告商品本部マーチャンダイザー○田氏に本年1月27日午前10時に電話で確認したところ、加工食品卸である三井食品株式会社はイトーヨーカ堂とも取引があるとのことです。


 したがって、三井食品はカップ麺を、小売価格68円で販売可能な卸価格でスーパーに卸し(甲12号証)、一方で原告らコンビニエンスフランチャイズ加盟店に卸価格119円70銭を提示したことになります(甲12号証)。このような卸業者は「イトーヨーカ堂グループに対しての誠意がない。」として取引を停止されるか、低いほうの価格への値下げを求められます。


 買い手側が卸価格情報を共有化している(または共有化しうると売り手側が推定する)場合には、卸業者はイトーヨーカ堂グループとの取引から排除されることを恐れて、配送コストに関係なくほぼ同じ卸価格をイトーヨーカ堂各社に自主的に提示するという価格決定のメカニズムが構築されます。


 被告が、バイヤー部門を調査もせず、現状のこの異常に高いカップ麺の卸価格で良しとしているのは、被告がバックマージンやリベート(言い換えれば加盟店からのピンハネ)でスーパー部門と同等以上の利益を得ていることを示しています。