ゴルフ直線打法 -68ページ目

「EKC打法」の完成(!?!)

最近の話の要点は、右前腕回内、左前腕回外の「魔法の動き」で腕とグリップを固め、こうして出来上がる腕と肩の仕組みを背骨の動きに繋ぎ、脚腰の動きに繋ぐというものでした。特に大切なのが、両肘と両膝、それに両手と両足の動きの対応を意識することで、その感覚は、チップショットで十分確認できました。

この複雑な腕、脚、背骨の繋がりを利用する打法をごく簡単に表現すると、「肘と膝の連結を意識する打法」になります。イメージ的には「肘膝連結打法」ということになります。しかし、これではあまりに面倒な感じがしますから、横文字を利用して短縮することを考えます。

肘はelbow 膝は knee 連結はconnection ですから、頭文字を大文字でならべれば、EKC打法ということになります。どこかの会社のロゴのような感じですが、覚えやすくて動きに直結するイメージは、かなりよいものではないでしょうか?

バンカー・ショットの動きを作る

チップショットで確認した、足と膝の動きと手と肘の動きの繋がりは、右前腕回内と左前腕回外の「魔法の動き」で固めた両腕の仕組みを振ることで、背骨の動きを通じて現れます。この繋がりはガタのないしっかりしたものですから、両手をグリップの形に握り合わせて振るだけで明瞭に確認できます。

この動きで見ると、普通のスイングでは、ダウンスイングでグリップが右脇前に引き下ろされ、そこから左に直線的に引かれることが分かります。この動きで、インパクト圏では僅かにフェースが閉じる形の動きが現れます。この動きがあると、一旦砂に入ったヘッドは出てきません。これを避けるには、右脇にヘッドが下りた所から左へ引く動きを消す必要があります。

このために、バックの左腕の右への動きを止めて、右腕の上下の動きを利用して打つことになります。結局、アドレスの構えから、直ちに右手を上に引き上げ、これを引き下ろす動きで打つことになります。実際にこの動きを確認してみると、フェースが左前方を向く形でボールに近づきます。そこで、このフェースの向きが目標方向に一致するまで両足を左向きに回します。

この状態で、前から上げたヘッドを体の前の線に沿って引き抜く動きを確認します。両手と両腕の固めは一貫して変えません。こうするとグリップエンドを左へ引き抜く形の動きになります。(この時「魔法の動き」を崩すと、肘を痛める危険があります)

この動きの要領が確認できたら、実際の動きでヘッドがボールに近づく時、フェースの角度(ロフト)が、ボールをバンカーの顎を超えて打てるように脚腰の体勢を固めます。これが確認出来たら、ボールの上10センチ程の所にヘッドが来るようにアドレスの体勢を作り、ここから右腕の引き上げ、そこから確認済みの脚腰の体勢にヘッドを引き下ろして左へ引き抜きます。動きのリハーサルが大切です。

もちろん、ソールの前端をボールの手前で砂に打ち込むように振ります。ヘッドのソールの膨らみ(バウンス)がヘッドを押し上げてくれますから、安心して真っ直ぐ左へ引き抜けばよいのです。案ずるより産むが易しです。試してみて下さい、バンカーは怖くなくなります。

足と膝の動きに対応する手と肘の動き

バンカー・ショットでは、強力な腕の仕組みでヘッドを引き抜く必要があります。そこで、バンカー・ショットの全体的な動きを確認する前に、スイング全般にとって基本的な腕の仕組みと、その動きを確認します。

一本の腕でクラブを振ると、ヘッドを安定に引く動きの確保は難しい。そこで両腕を組み合わせて、安定かつ強力にヘッドを引く仕組みを作ります。このために、右前腕回内(内側回し)と右手のコック(親指側への引き)で右腕を固め、左前腕回外(外側回し)と左手のアンコック(小指側への引き)で左腕を固め、この両腕を引き締まったグリップで繋ぎ合わせます。

バックのスタートの重要な動きは、この両腕の仕組みを作り上げることです。こうして出来上がった両腕の仕組みは、スイングの動きの間、一貫して体の動きに対応するヘッドの動きを確実に生み出します

これを確認するために、「足と膝の感覚でチップショット」(06-08-19)の話を思い出しながら、固めた両腕の仕組みでボールを打ってみて下さい。両膝の動きが両肘の動きに、両足の動きが両手の動きに対応して、狙った所にボールを打つ感覚が明瞭に掴めます。

これが分かれば、バンカー・ショットの動きの捉え方も簡単になります。その詳細は次回に回します。

腰を回さないスイングの簡単練習法

まずベッドに天井を向いて伸び伸びと寝ます。ここで両手をグリップの形に握り合わせ、天井を向いたまま、グリップを大きくバックスイングの形に右に引き、上に引き上げ、そこから体の右前に引き下ろして左へ一杯に引き切ります。

この状態では腰が回せませんから、腰を回さない飛ばし屋風(タイガー風?)の動きでクラブを振る背骨の動きが無理なく体感できる筈です。実はこれが「魔法の動き」の出発点だったのです。

それでは、先ず右手を上に引き上げ、そこから引き下ろしたらどうなるでしょう。これがバンカー・ショットの腕の振りになります。その実用法については次回に検討します。

足と膝の感覚でチップショット

「魔法の動き」と脚腰の踏ん張りで、スイングのイメージが固まることは分かりました(06-08-18)。問題はこの脚腰の踏ん張りの感覚を身につけることです。

アドレスの構えで両手をグリップの形に握り合わせ、軽く右前腕を回内(内側回し)してグリップを右膝前の上辺りまで引きます。ここで両膝を固め、両足の踵が地面を後に押すように、両膝を引き込みます。この動きで脚腰背骨が緊張し、両腕がグリップを強く左へ引きます。

アプローチ・ウェッヂを握り、この動きでチップショットを打ってみて下さい。方向、距離ともに安定し、ダフリには無関係のショットを経験する筈です。フルスイングも、ダウンをこの感覚で振ればよいわけです。

「魔法の動き」と脚腰の踏ん張りで、スイングのイメージを固める

スイングの動きを決めるのは前腕の動きです。アドレスの構えで両腕を下げて立ち、右前腕を内側に回してみます(回内;プロネーションの動き)。この動きで体全体の動きが現れます。膝を緩めずに、この動きで右手の握り(グリップ)をトップの位置まで上げます。ここで更にこの動きを強めると、右肩が背骨の方に引き込まれ、胸の正面が右足前方向に引かれます。

この時、両膝が踏ん張ってこの動きに逆らうと、両足はグリップを右と後に引く体の動きに抗して踏ん張り、腰から肩にかけて緊張が生まれます。この緊張を利用してダウンを実行すると、両踵が地面を後に押しながら両足が地面を右に押します。これで、両足がグリップを前に引き下ろして左へ引くように働きます。胸の向きを戻さずにグリップを一気に引き下ろせば、この動きが実現します。

この動きの間中、右前腕は回内の動きを保ちます。当然、対応する左腕の動きは、左前腕回外(外側回し;スピネーション)になります。この左右両腕の動きとこれを体に繋ぐ肩周りの動きが「魔法の動き」で、これまでこの動きの利用法の話が繰り返し登場して来ました。この動きが生み出す背骨の動きを利用してバック、切り返し、ダウンを実行することで、「直線打法」が実現するのです。

簡単に纏めて書けば、「魔法の動き」を脚腰の踏ん張りで受けてバックからトップの切り返しを実行し、発生した背骨と脚腰の緊張を利用して、一気にグリップを引き下ろしてダウン、となります。これで一貫して右前腕回内、左前腕回外の「魔法の動き」が保たれ、強力なインパクトの左への引き抜きが実現します。原理的には極めて簡単な動きになります。

バックのスタートの「魔法の動き」は、右グリップにコック、左グリップにアンコックの動きを生んでグリップを固め、その後はグリップが体の動きと一体化して動きます。右前腕回外、左前腕回内の「反魔法の動き」でバックに入ると、腕の動きが体から切り離されて、その後の動きが難しくなります。

「魔法の動き」と背骨と脚腰の動きとの繋がりを確認すれば、スイングの動きの構造が明確になり、すっきりしたスイングのイメージを自分で作り上げることができるようになります。

首筋の動きに注目

体の正面を保って、左手を右の極限まで大きく引き、左の極限まで大きく引く動きと、右手を極限まで引き上げ、極限まで引き下ろす動きの組み合わせで、スイングの基本型が決まります。この動きを支えて脚腰が踏ん張れば、完全に実用的なスイングになります。難しい背骨の動きなど気にもしないで動きが作れます。簡単なことです。

ところが、矢張り背骨の動きが問題なのです。これを確認するには、先ず左手を首の後に当て、指先を首筋の右側、手の平を左側に当てます。首を後から前に引くような形になります。この状態のまま、右腕を引いてスイングの動きを作ってみます。バックで首と共に頭が右に動き、ダウンで左に回れば「腰回し」スイングです。

右、左、上、下、の動きを限度一杯に大きく実行すると、バックでは首の左側が緊張して、頭を正面向きに保ちます。トップの極限の切り返しで、首の右側が緊張して、頭を右に引きます。頭と首の体勢をそのままに保って、ダウンの動きが実行されます。これが「正しい」スイングの動きです。ゆっくりした静かな動きで、自分の動きの型を確認してみて下さい。

インターネット上で見られるスイングの画像を見る場合には、インパクトの瞬間に注目します。ここで頭が左へ回れば「腰回し型」、頭が正面向きに保たれれば正しいスイングです。このように見ると、スイングを教える多くの人に「腰回し型」が見られます。方向性の確保もパワーの発揮も難しい動きで振っているのです。並のゴルファーには危険な動きに見えます。

危険と言えば、実際のスイングでは絶対に頭や首を意識しないで下さい。大変な傷害が発生する危険があります。頭や首の動きは、体全体の動きに自然に従うのが正しいのです。体の動きが頭の動きを決めるのです。自分の頭や首の動きを観察する時には、静かな動きで確認して下さい。

ゲシュタルト再生(!):左手を右の極限まで引き、左の極限まで引く

何れにしても、背骨の話が入ると分かり難くなります。これで崩れた心の中の体の動きの形(ゲシュタルト!)を再生させ、統一された動きのイメージを確立するには、アドレスの構えで立ち、左手を右に一杯に引き、そこから左へ一杯に引いてみればよいのです。

この動きを試すと、左手の平が上を向く形で腕を右に引き、左に引かなくてはならないことが分かります。この動きで腰を右に回すと手の平が下を向き、右の遠くまで手を引き出せません。腰を左に回して手を引くと、肘が引き込まれて左の遠くまで手を引けません。結局体を正面向きに保つ意識で、手を右に引き左に引くことで、最大の動きの幅が確保されることが分かります。

右手の動きの特徴を見るには、同じ要領で、右手を限度一杯上に引き上げ、限度一杯引き下ろす動きを試します。この動きで、始めに少し手が右に引かれてから上がり、引き下ろされてから左へ引かれる動きが現れます。これが確認できた所で、両手をグリップの形に握り合わせ、限度一杯右から上に引き、次いで下、続いて左へ限度一杯引いてみます。これでスイングの動きのイメージが固まります。

ここで大切なことは、手を「体で引く」ことです。上に上げる時も、体で「引いて上げる」のです。手を「押して上げる」と意識すると、肘が伸びて腕が緩んでしまいます。(これまでにも「手の中の小地球を体で押し上げ、腕でボールに投げつける」(06-06-26)などの表現がありますが、ここでも「体で」押し上げています。ただ「押し上げる」と言うと、腕で押し上げる気になります。手は常に体の動きに結びつけて動かす必要があります)

ゲシュタルト崩壊(?):上体を右に回して腕を引く

両膝の踏ん張りを使って腕を右から左へ引くと、「上体が右に回る感じ」の動きが現れます。背骨を軸とした体の回転で腕を振ると思い込んで来たゴルファーは、ここで心の中の体の動きの形(ゲシュタルト!)が崩れるのを感じる筈です。難しい場面です。

ところが、更に話を難しくするのは、腰の辺りに意識を集中して同じ動きを実行してみると、どうも腰が左に回って腕を引いているように感じられることです。腰が左に回れば上体も左に回る筈ではないか、と混乱が強まります。

インパクト圏で腕を左に引く動きでは、「腰は左、胸は右に回る」のです。背骨の胸の部分(胸椎)を構成する椎骨には右回りの(微小な)動き、腰の部分(腰椎)を構成する椎骨には左回りの(微小な)動きが現れて背骨が踏ん張るのです。背骨全体としては「回らない」のです。(注意:腰で腕を振るという意識で動きを実験するのは危険です。簡単に腰椎に傷害を発生させます)

背骨が回れば首が保たないことを考えれば、背骨全体が回らないのは当然です。肩を回して振れとか、腰の回転で打つなどという教えがゴルファーの頭を混乱させ、難しい動きを試し続けることになったのです。

両膝の動きがスイングの動きを確保する

前回、「縁の下の力持ち」としての両膝の動きに注目しましたが、これは背骨の動きを通じて両腕の動きに繋がります。したがって、腕の動きを見れば、膝の動きの内容が分かるわけです。

アドレスの構えで両腕を下げ、左手の親指を右手の平の内側で握り、両腕を繋ぎます。両腕を固めたまま両肘を右に引き、グリップを5センチ程引きます。この動きで、両膝が右に引かれてテークバックの構えができます。そのままグリップを右に引き、その限界でグリップを上に引く動きに入ります。この動きで両膝が更に右に引かれ、尻が左へ引かれます。

グリップの上への動きの限界で、更にグリップを右後ろ上方に引くと(右前腕回内の動きが発生して)腰が右に引かれ、この動きで両膝が逆に左へ引き込まれ、腰が左への動きに入ります。ここでグリップを引き下ろすと腰が左へ前進し、その限界で両膝が踏ん張って腰を右に押し返し、グリップが左へ引かれます。

その先ではグリップが更に左へ引かれ、その限界で上に引かれるように両膝が動き、フィニッシュに入ります。言葉で説明すると面倒ですが、骨盤とその回りの筋群の仕組み(骨盤帯)が脚腰の動きを生み、肩甲骨とその回りの筋群の仕組み(肩甲帯)が肩と腕の動きを生み、骨盤帯と肩甲帯の動きが背骨の動きで繋がることから、試してみれば全てが自然な動きになります。

この引き締まった脚腰の動きと肩と腕の動きの繋がりでクラブを振れば、タイガー・ウッヅのように無駄な動きのないスイングが出来上がります。どこかの動きを誤ると、スイングの体の仕組みは緩んでしまいます。両膝の動きとグリップの動きの繋がりを、動きの転換点ごとに確認してみて下さい。全ての動きの合理的な繋がりを自分で確立することができます。