ゴルフ直線打法 -40ページ目

腕が引かれるイメージで振る?

地球に働きかける足(脚)の働きに対する地球の反作用がクラブに現れ、クラブが腕を引くような感じでスイングの動きが実行されるという見方を前回に書きました(「腕が引かれるイメージで振る」(07-09-02))。しかし、こう言われるだけでは動きの作りようがない、と思われるでしょう。

そこでもう一段話の内容を具体化しようとすると、このイメージに直接繋がる体の動きは、実は腕がクラブを振る動きであることが分かります。これは分かり切ったことのように思われますが、体の動きで強引に腕を振ってみると、腕でクラブを振る形になります。これではクラブに腕が引かれるイメージは生まれません。

結局、体(脚腰背骨)の動きでクラブを振るという意識の動きでは、腕がクラブに引かれる感覚は得られないことが分かります。ここまで考えると、腕が引かれるイメージで振るという動きは、体の動きではないものがクラブを振っていることが分かります。これは腕の動き以外にありえません。結局腕でクラブを振るのではないかという気になります。

ところが腕を振る仕組みには、肩周りの筋群の動きで振るものと、腕を後背下部に繋ぐ広背筋の動きで振るものがあります。スイングの大きな腕の動きを作るのは後者の広背筋の働きで、「魔法の動き」に関わるのは肩周りの筋群です。

このように腕の動きを区別すれば、「腕が引かれるイメージ」に関わるのは広背筋の感覚だと考えられます。もう一方の肩周りの筋群による「魔法の動き」は、広背筋の「腕が引かれるイメージ」とは別の、右上腕内旋、左上腕外旋の動きを生みます。

というわけで、足とグリップを繋ぐ体の動きが生む、「腕が引かれるイメージ」のバックスイングでは「魔法の動き」の転換点の動きを確認しながら進み、「深いトップ」への動きでしっかり「右上腕内旋、左上腕外旋」の動きの動きを確認し、ここから更に「右上腕内旋、左上腕外旋」の腕の動きで、ダウンとこれに続くインパクトに向けた腕の振りを一気に先導するのです。

これで広背筋の効果的な利用が実現し、急速でしかも伸び伸びと腕が引かれる、「腕が引かれるイメージ」のスイングが実現します。これは試してみる価値があります。

腕が引かれるイメージで振る

これまでの「核心打法」実用化の試みは、「腕で上げ、脚で引き下ろす」という見方を生み(「真髄イメージ」(07-06-06))、その具体化のために様々な試みが進められて来ました(「反射的な「螺旋」の動き」(07-06-24)、「背骨の動きは作らない」(07-08-07)など)。

ここで基本となるのは、体の動きを地球に繋ぐ、脚の「螺旋」の動きに対する地球の反作用が、体を通じてクラブ・ヘッドの動きを生むという事実です。体を安定に保ってこの動きを実現する仕組みは体の中に組み込まれていますが、これは直接見ること出来ません。

このために、実際のスイングでは、「足の「螺旋」の動きに対応するクラブの動きが腕を引っ張って行く」という感覚になります。腕がクラブを引くのではなく、クラブが腕を引くというのは一見奇妙な感じがしますが、腕の力で直接クラブを振るのではなく、体の動きが足を通じて地球に働きかけ、その結果としてクラブが走るために、腕の感覚で見るとこのようになるわけです。

この見方に慣れると、クラブが上手く腕を引いて走るように、体の動きを作ればよいことが分かります。腕で強引にクラブを振り回すのではなく、腕を引っ張るようなクラブの動きが現れるように体全体の動きを作ればよいのです。

このような体の動きは、クラブの流れるような動きを追求すれば、ごく自然に実現できます。ただしそれには、これまでに検討した「魔法の動き」を有効に利用するスイングの動きに体が慣れている必要があります。

今回の話は、以前に検討した、足の「螺旋」の動きとヘッドの動きとの繋がりだけに意識を集中して振るという動作を(「「螺旋」とクラブ・ヘッドを繋いで振る」(07-08-08))、体の安定保持とクラブを振る動きに関わる筋群の働きにより直接的に関係する、腕の引かれる感覚に繋げることによって、更に具体化したものです。

これで、重いクラブを振る場合でも力不足を感じることもなく、一貫して腕が伸び伸びと引かれるイメージでクラブを強力に振り抜くことができるようになります。

「深いトップ」にしっかり振り込む

「体を動かさずにクラブを振る」(07-08-31)と言っても、クラブは体の動きで振るわけで、この言葉は無駄な動きの危険を排除することを目指したものです。そこで無駄な動きがなくて強力なスイングを実現する動きが問題になります。

これを実現する決め手は、「深いトップ」にしっかり「振り込む」動きです。漠然と方向転換の動作で「深いトップ」に入れるのではなく、クラブが腕と体を引くように、しっかり「深いトップ」に振り込むのです。

これまで「深いトップ」に入れる動きの重要性を繰り返し指摘し、その動きの内容を議論して来ました(例えば、「盲点?:右腕の動き」(07-08-16))。しかし、強力なダウンスイングの動きの準備動作としての「魔法の動き」の役割の捉え方は不十分でした。

そこで登場したのが「「深いトップ」にしっかり振り込む」動きです。一番クラブを振りやすい動きでバックスイングを実行し、その最後の「深いトップ」への動きで、しっかり腕とクラブを振り込むのです。ここからグリップを右脇前に放り出すように振り、ダウンスイングを実行するわけです。

これは名手として知られたトミー・アーマーの「トップでは間(pause)をおく」という教えに真っ向から立ち向かう考え方のように見えます。しかし、ダウンスイングの立役者である広背筋の引き伸ばしを目指しているものと考えれば、狙っている動きの仕組みは同類であると思われます。

体を動かさずにクラブを振る

優れたゴルファーの華麗なスイングを見ると、体が大きく動いてクラブが振り抜かれます。これを眺めるわれわれ普通(以下?)のゴルファーは、何としてもこの大きな動きで振り抜くことを身につけたいと思ってしまいます。これは危険です。

各人の体力以上の力は発揮できる筈がないことを考えれば、普通の体力のゴルファーは、まず無駄のない動きで振ることに集中すべきです。

この考えを受け入れると、クラブを振る腕の動きを作ることだけに意識を集中することになります。ここで、クラブを振る腕の動きは、体が地球を押す動きに対する地球の反作用が生む、という動きの原理を思い出す必要があります。

これに気がつくと、スイングの準備動作としては、脚の「螺旋」の動きの効果を確保するために、足首の角度と膝の角度を確保し、体がふらつかないように安定に保持する体勢を作ることが最重要であることが分かります。われわれ普通のゴルファーは、これを忘れやすいのです。

こんなに体がしっかり固まっていて良いのだろうか、と思うほどしっかりしたアドレスの構えを作り、そこでバックスイングを実行すれば、自然に体はダウンの準備に入ります。そこで脚腰が地球に張り付いた体を動かして腕を振れば、しっかりしたダウンスイングの動きが現れます。

しばらく練習の機会を失い、動きの細部を点検する中に体全体の動きがばらばらになり、途方に暮れた経験のあるゴルファーは多いと思います。こんな時には、「体を地球に縛り付けて腕を振る」というイメージを試してみる価値があります。

スイング面を見てもヘッドの走りは見えない

これまでにスイング面無用論を唱えて来ましたが、矢張りスイング面を気にする人は多いと思います。そこで、スイングのクラブの動きを横から見て、インパクトに向かう時の傾きなどを観察する場合の注意点を指摘したいと思います。

スイング面をあれこれ議論する場合の要点は、インパクト圏でのクラブの動きに注意することです。シャフトの傾きだけに気をとられ、インパクト圏でヘッドがどのように走るかを見ない危険があります。

背中を左に向けてバック、背中を右に向ける動きでダウンからインパクトという、「回転打法」の振り方では腰も回ります、したがって、インパクト圏でも腰が左に回りながらクラブが振られます。この場合のヘッドの軌道は前に膨らむ円周状の動きになります。

これに対して「核心打法」では、「深いトップ」から急速にヘッドが引き下ろされ、インパクト圏では腰が固定されて、伸びた両腕がヘッドを直線的に引き抜きます。「回転打法」の動きとは全く異なります。

デジカメなどを利用してこの動きを観察すれば、どちらの動きの方が方向性の良いショットを生むかが明確に理解できます。腰を回してクラブを振るのは気分的には楽ですが、急激なダウンに続いて腕とクラブがスパッと直線的に振り抜かれる「核心打法」の動きを経験し確認すれば、「回転打法」に引き込まれる危険は完全に消える筈です。

インパクト圏の動きの構造:続論

前回(07-08-28)には、右脇前にグリップを引き下ろした所で、腕を左に引くインパクトの直線的な動きに入るという、インパクト圏の動きの構造を確認しました。この動きが実際に方向性のよい打球を実現することも、チップ・ショットの実験で確認しました。

しかし、前回の確認では、重要な動きの説明を忘れていました。右腕を内側、左腕を外側に回す「魔法の動き」では、バックのスタートでグリップが固まります。このグリップを固める動きで、グリップが右脇前まで引かれます。この場合、このグリップで握られたクラブのヘッドは、先端が外に引かれながらフェースが地面の方向に回ります。

そのままの体勢で腕を左に引き戻すと、ヘッドが外向きにシャンク風の動きで引き戻されす。実際のダウンではこの位置でヘッドがボール方向を向く必要があります。そこで、「魔法の動き」でグリップが右脇前まで引かれた所で、更に「魔法の動き」を加えると、リストが左回りに回ってヘッドの先端が左に引き戻され、フェースが真っ直ぐボールを見る形になります。

この動きを実行してみると、「上体が右に回る」ように動き、両腕が伸びて固まることが分かります。更に注意して見ると、この動きで腰が左に引かれて固定することが分かります。実際のスイングでは、「深いトップ」に入れる動きで、このダウンの動きの脚腰の準備に入り、ダウンの引き下ろしに続く両腕の伸びで、この右脇前のグリップの体勢に入るわけです。

ダウンで「上体を右に回す」という分かり難い動きが、実はインパクトの直線的引き抜きを実現する要(かなめ)の動きであることが、この実験で体感的に確認できます。

ダウンでボールに向けてヘッドを振ろうとすると上体が左に回ってしまいます。実際にウェッヂで、直接ボールに向けてヘッドを振ってみれば分かります。結果はダフリです。ボールを左目で見て打て、という教えがありますが、これは上体を右に回す動きに誘っているものと考えられます。

大事な所でダフリに泣くことを避けるには、このインパクトの動きの構造を、体にしみ込ませる必要があります。これには「魔法の動き」の忠実な実行が求められます。

インパクト圏の動きの構造

ダウンスイングでは右脇前にグリップが引き下ろされてインパクトに入ると理解しています。この場合にヘッドがどの位置に来るのかを具体的に検討してみましょう。

実際のフル・スイングでは、動きが急激なために、この辺りのことは直接的には確認出来なさそうです。そこでウェッヂを握り、ゆっくりバックのスタートの動きを確かめます。バックのスタートでは、「魔法の動き」の右前腕回内、左前腕回外の動きで、リストが左回り(反時計回り)に回りグリップが固まります。

この動きでヘッドがボールの位置から右足前方向に直線的に引かれ、これで腕の体勢が固まります。ここからバックの動きに入るわけです。このグリップを固める動きで、昔から、スタートではヘッドを真っ直ぐ水平に30センチ引く、などの表現で呼ばれたヘッドの動きが現れるわけです。

そこで、もし頭が安定に保たれてスイングが実行され、「魔法の動き」によるグリップの固めが確保され続けてダウンの終期に両腕が引き伸ばされるならば、バックのスタートで右に引かれた位置にヘッドが戻り、そこから固定された両腕が広背筋の働きで左に引かれることになる筈です。

この考え方は単純過ぎるように思われます。そこで実際に、グリップを固めたままウェッヂを振り、この位置にヘッドを落とすようにダウンしてみると、たしかにこれで真っ直ぐボールを打つ動きが実現します。十分実用的なチップ・ショットの動きになります。

長いクラブで振れば、当然ヘッドの水平に動く区間も伸びますが、矛盾は感じないで振れます。チップの方向性は極めて良いので、アプローチで苦労している人は試してみる価値があると思います。

脚と腕の繋がりを確認する

肩と腕の「魔法の動き」でスイングの動きを作ることができるのは、この動きに対応する脚腰の動きがあるからです。ここでは以前に検討した左右が交叉して繋がる「交叉連結」が働きます(「左右交叉する手と足の繋がり」(06-05-31))。

前には手と足の繋がりを検討しましたが、実際には脚と腕の全体的な動きが対応することが確認できます。この確認には、アドレスの体勢から右腕でバックスイングとダウンスイングの動きを実行し、この時の左脚の動きを観察します。これで肘の動きに対応する膝の動きが確認できます。バックの右肘の曲がりに対応して、左膝の曲がりが発生することが分かります。

ダウンでは右肘の伸びる動きに対応して、左膝が伸びて踏ん張ることが分かります。同じ要領で左腕の動きと右脚の動きの対応を確認します。これでバックとダウンの右脚の踏ん張りが確認できます。この確認の動きで分かることは、無駄な体の動きは一切ないことです。これに対して腰を左右に回す動きでは、腕と脚の繋がりが確定しません。

このように左右が交叉する「交叉連結」の動きを確認すると、グリップの動きが足の「螺旋」の動きに対応することも分かります。もちろん大前提は、肩と腕の「魔法の動き」です。

再び初心に返る

これまで何度も「初心に返る」という話を書いてきました(例えば、「初心忘るべからず:両肩の「魔法の動き」」(07-04-29))。この場合の「初心」とは何か。それは肩と腕の「魔法の動き」の完全実行です。

この肩と腕の「魔法の動き」は、両手をグリップの形に握り合わせ、脚腰を固定したまま、右に引き、上に上げ、「深いトップ」に入れ、ダウンで引き下ろし、両腕を伸ばしてインパクトに入る、という動きを実行してみることで確認できます。脚腰の動きは自然な動きに任せます。椅子に腰掛けたまま、両足を床に付けて実行してもよいのです。

これで肩と腕の「魔法の動き」に対して、脚腰がどのように反応するかが分かります。この動きを実験して、体の右脇前で両腕を伸ばし切る動作で、グリップがインパクト圏を引き抜かれる動きが現れることを確認します。この動きではグリップが直線的に左へ引かれることが分かります。

立ってアドレスの構えから、これらの動きを実行すれば、それぞれの段階で、右脚,左脚が、どのように踏ん張る必要があるか、それぞれの足の「螺旋」の動きがどうなるか、などが確認できます。

これでスイングの動きの全てが完了と思いたくなりますが、実際にはクラブを振るので、クラブの応答特性が問題になります。これも併せて肩と腕の「魔法の動き」の実行を考えるとなると、余りにも複雑な問題になり考え切れません。そこで、ヘッドの動きと足の「螺旋」の動きとの対応だけに意識を集中し、思うような軌道でインパクトを振り抜くことだけに意識を集中します。

こうなると、足の「螺旋」の入力に対するヘッドの動きという出力に注意をするだけでよく、スイングの動きを監視ししながら実行することが可能になります。振ってみたらばこうなったというのではなく、ヘッドが望む動きをするように、足、すなわち脚、の動きを調整すればよいことになります。あとは実験の繰り返しで良い動きの感覚を掴めばよいわけです。

こうしてみると、肩と腕の「魔法の動き」の完全実行という「初心」に返るだけで、「直線打法」は実現できることが分かります。

足の掴みと高校野球

ホテルのロビーで見た、日本人と外国人の歩き方の違いについて書いたことがあります(「歩行動作と脚の使い方:強力なダウンの前提」(07-06-10))。日本人は交互にぺたぺたと足先部分を床に着け、腕を左右に振って歩く人が殆どで、一方西洋人と見られる人は、踵をぺたっぺたっと床に着け、背筋が伸びて背筋の活動するゆったりとした動きになるというものです。

今年の高校野球選手権大会の初日、選手の入場行進の場面をテレビで見ました。各校の選手を先導する女生徒の歩き方は、内股歩きで足の外側に体重が掛かるようにして、ぺたぺた歩いていました。これに対して、選手らは踵を踏みつけて歩くものと期待したのですが、この期待は外れました。

選ばれた選手らにも、ホテルで見た日本人特有の歩き方がしっかり現れていたのです。ところが行進の終わりに近く、しっかり地面を踏みしめて歩く選手らが現れました。佐賀北高校です。思わず家人に向かい、これは素晴らしいと指摘したのです。

期待に違わず佐賀北高校は勝ち進みました。脚がしっかり固定し、体の動揺の少ない打球フォームは見事でした。ところが、決勝戦では点が取れません。見ると体が大きく動く、いわゆる大振りになっています。諦めてしばらく仕事をしてテレビの前に戻ると、8回裏の満塁の場面で打者が構えています。

打者の両足はしっかり地球を押して一瞬飛び上がったかのように見え、打たれたボールはゆっくりスタンドに向かって行きました。見事なホームランでこれが決勝打でした。入場行進で見た脚の踏ん張りは、矢張り間違いなく選手らの実力の証明であったのです。

翌日の新聞の記事を見ると、佐賀北高校では下半身強化を中心にしたトレーニングを続けて来たと書かれていました。監督の信念に基づいた練習法であったのです。ゴルファーも良い成績を目指すなら、大振りの練習は止め、足の「螺旋」の動きを固めて振り抜く練習をするのがよいのではないでしょうか。