こもれび大和田図書館(渋谷区文化総合センター大和田内) | 図書館利用促進プロジェクト

図書館利用促進プロジェクト

永遠に残していかなければならない人類の知的所産「図書」。
さまざまな図書が集積する「図書館」のあり方が
近年、著しく変貌を遂げています。
図書館の魅力を再発見!
それが「図書館利用促進プロジェクト」の狙いです。


文化総合センター(全景③)

クローバー概要


渋谷駅にほど近い文化総合センター大和田の2階にあり、平成22年(2010年)にオープンした渋谷区でいちばん新しい図書館です。3階までの吹き抜けの高い天井と大きな窓の開放的な閲覧スペースを備え、利便性に優れています。
センター内のコスモプラネタリウム渋谷、女性センター・アイリス、こども科学センター・ハチラボ、シニアいきいき大学などの施設と連携し、関連分野の図書資料コーナーを設置。また、各施設の催物にも趣旨に応じて参画しています。
図書館入り口の手前には東急文化会館8階にあった五島プラネタリウムで昭和32年(1957年)から平成13年(2001年)まで使われていた投影機(カールツァイヌⅣ型プラネタリウム)を展示。五島プラネタリウム閉館後、渋谷区に寄贈されたものです。


◆所蔵資料

一般書 37,335冊
児童書 10,626冊

クローバー施設
図書館フロア図
館内①
総合カウンターの前から続く文庫本・一般図書の書架

館内②
(左)総合カウンターに隣接する自動貸出機。(右)天文関連の図書を集めたコーナー


館内③ (左)子どもたちだけの特別な閲覧スペース。(右)書架の高さを抑えた児童図書のコーナー


館内④ 開放的な窓に面した閲覧席は20席。奥の8席(右)はパソコンの電源が使用できる


クローバー図書館からのメッセージ


渋谷区教育委員会 渋谷区立中央図書館
図書館運営主査 兼 こもれび大和田図書館館長
高澤由美さん


この図書館の特徴は、文化総合センター内にあるため、館内の施設に関する書籍コーナーを設けていることです。各施設の催しに合わせた書籍を展示するなど、その興味や知識をより深めていただけるような工夫をしています。コスモプラネタリウム渋谷に沿った宇宙の関連本やこども科学センター・ハチラボの実験や企画展に関わる本の紹介も積極的に行っています。
また、「@シブヤ」というコーナーでは、渋谷が舞台となった小説や渋谷のことを取り上げた本を展示したり、図書館のオープンに際して「東京恵比寿ロータリークラブ文庫」から寄贈された希少な外国語の資料と日本語資料を並べた展示コーナーもあったりと、大人にもオススメの書籍が並んでいます。
子ども向けには、不定期に開催する「体験!1日図書館員」や、夜の図書館を子どもたち愛用のぬいぐるみたちが過ごす「ぬいぐるみおとまり会」などの催しも企画しています。「ぬいぐるみおとまり会」はぬいぐるみが図書館に1泊しながら図書館の活動にいそしむ姿を写真で紹介するという趣向で、大好きなぬいぐるみが本を楽しんでいる姿を見ることで、子どもたちの図書館への興味を深めることを狙いにしています。
当館はオープンして間もなく、規模も大きくはありませんが、文化総合センターと連携をはかりつつ、ほかの図書館とは異なる“楽しさ”を追求していきたいと思っています。


ぬいぐるみ

愛用のぬいぐるみが図書館でお泊まりする「ぬいぐるみおとまり会」

クローバーここがポイント!~複合施設ならではの図書館


こもれび大和田図書館は渋谷区文化総合センター内にあり、センター内の各施設と連携しながら図書館運営を図っています。図書を閲覧する、借りるだけではなく、図書館で得た情報や知識を他施設で利用できる、他施設で興味をもった対象の知識を図書館でさらに深めるといった複合的に活用できるのは、こもれび大和田図書館ならではの長所といえるでしょう。


◆渋谷区文化総合センター大和田

渋谷区の文化、教育、健康、福祉の区民活動の拠点として、多様な文化活動の発表、鑑賞、参加の場を提供する複合施設です。旧大和田小学校跡地に建設された施設で、平成19年(2007年)10月に着工、平成22年(2010年)6月に完成しました。
地下1階、地上12階建てのセンター内には多様な施設がありますが、以下の施設が主にこもれび大和田図書館と連携を図っています。

文化総合センター(図②))


・コスモプラネタリウム渋谷
プラネタリウム プラネタリウム投影機と全天周デジタル動画投影システムを備え、美しい星空と臨場感あふれる映像空間を演出し、宇宙と地球、生命や文化についての話題を提供するなど、子どもから高齢者まで楽しめる施設です。「番組ラインナップの多彩さが当館の自慢です。NHKとコラボした特別編集の番組を上映する機会もあります。ロビーには貴重な天文資料も展示しています」と解説員の永田美絵さん。迫力あるCG番組を観た後、解説員が案内する星空“生”解説も好評です。こもれび大和田図書館に設置した天文・科学分野の図書コーナーと併せて活用すれば、宇宙への好奇心がさらに深まります。


・女性センター・アイリス
アイリス 男女共同参画社会の実現をめざし、さまざまな問題を解決するための学習・活動・交流の拠点となる施設です。弁護士や心理カウンセラーなどの専門の相談員が、女性問題を中心とした法律相談、 悩みごとなどの相談を受け付けています。男女が共に考え、共に行動できる社会の実現のために広報紙を発行したり、専門講座を開講、また毎年、「しぶやフォーラム」も開催。男女共同参画のための団体活動や、交流のための場も提供しています。こもれび大和田図書館と連携した図書コーナーとして情報ライブラリーを設置。男女共同参画や女性問題関連の図書、行政資料などの情報資料閲覧、貸し出し、情報検索ができます。


・こども科学センター・ハチラボ
ハチラボ 学校の授業では体験できない化学・数学のプログラムを大学や研究機関等と連携して実施しています。子どもたちの科学的思考力を高め、ものづくりへの意欲の向上を図るための活動を行っています。「なるほど実験室」では、実験やものづくりをとおして科学や数学について学んだり、「ひらめき工房」では、毎月テーマを決めてワークショップを開催し、楽しく活動したりしています。ハチラボ講座では、こもれび大和田図書館の蔵書から講座の内容に関連する本の読み聞かせを行うとともに図書館の職員が講座の中で本の貸し出しを行っています。また、区内の図書館の蔵書であった子ども向けの科学図書を集めたコーナーを常設しています。

・シニアいきいき大学
渋谷区が平成11年(2011年)に全国に先駆けて設置した「渋谷区シニアいきいきコミュニティ条例」の目的に従い、区民が楽しく学びながら共に助け合う仲間を作り、地域社会の中で豊かに暮らせることをめざして誕生。パソコン、俳句、コーラス、カラオケ、フラダンスなど多彩な講座を行っています。どの講座も人気があります。「カラオケやフラダンスなどの講座のほか、環境講座では、米や野菜をつくりながら子どもと大人の交流を持つことで食への教育『食育』を深められるようにしていきたいと思っています」と事務局長の江頭基子さん。教養・文化講座においては、こもれび大和田図書館の蔵書を活用するのに最適なロケーションにあります。


クローバーEDITORIAL NOTE① 見て、さわって、考えるワクワク感がたまらない!


渋谷の街からノーベル賞をもらうような子どもを出したい! ということでオープンした「ハチラボ」。子どもたちの科学的思考やものづくりへの意欲を育てるための施設で、館内にはあっと驚く実験や不思議な現象の実演を見ながら、科学や数学について楽しく学べるスペースだ。ただ“体験ができる科学館“というだけでなく、そこで得た知識をさらにもっと深めるための工夫がなされている。「ひらめき工房」「なるほど実験室」などで行うプログラムの関連図書を事前にこもれび大和田図書館から持ち込み、その場で貸し出せるようにしたり、こもれび大和田図書館がほかの図書館に声をかけて科学図書の旧シリーズを集めたコーナーを設置し、関連図書を手軽に読めるように工夫を凝らしている。図書館へ移動することなく実験について調べたり、知識を深めたりすることもできるので、子どもと一緒に来た大人たちにも喜ばれているとか。理数というと、とかく敷居が高くなってしまいがちだが、謎を解く鍵が隠されたさまざまな展示品にふれながら真相を解明するワクワク感は文化総合センターならではのものだろう。こもれび図書館とハチラボ、そして最上階のプラネタリウムをめぐったならば、いっぱしの科学者になったような気持ちにさせられる。(Tipsy chico)


ハチラボ

さまざまな面白科学が体験できる「こども科学センター・ハチラボ」


クローバーEDITORIAL NOTE② 星と本の素敵な出会い


「プラネタリウム」という言葉の響きに夢と希望を抱く人は少なくないだろう。筆者もそのひとりで、70年代の終わりに日本海側の田舎町から上京した際に、もっとも楽しみにしていた施設のひとつが都会にあったプラネタリウムだった。
渋谷駅前にあった半球体のドーム。「天文博物館五島プラネタリウム」には学生時代に何度か足を運んだ。どういうわけか、いつもひとりで、丁寧なアナウンスに聞き入るわけでもなく、ただ漫然と曲面スクリーンの投影させる星々に見入るだけの時間を過ごした。そういえば、あの頃、既にプラネタリウムの人気は斜陽で館内は閑散としていたように記憶している。映画館ほどではないにしても広々とした空間をプライベート感覚で使えたのは贅沢なことであった(施設運営者側には困ったことであったかとは思うが)。
天文博物館五島プラネタリウムは平成13年(2001年)3月に閉館となり、筆者の記憶からもいつしか忘れ去られてしまった。この「図書館利用促進プロジェクト」に携わることで、若き日の記憶が呼び覚まされるとは夢にも思わなかった。
渋谷区文化総合センター大和田12階の「コスモプラネタリウム渋谷」には五島プラネタリウムの貴重な資料が引き継がれている。また五島プラネタリウムのツァイスIV型投影機は渋谷区に寄贈され、「こもれび大和田図書館」の入り口近くに常設展示されている。図書館には天文図書の蔵書も多く、コスモプラネタリウム渋谷との連携の良さがうかがえる。
今回の取材ではコスモプラネタリウム渋谷も見学させてもらった。最新の複合型天体投影機で映し出された映像は臨場感にあふれ、番組によっては3Dを彷彿させるほどの迫力であった。星々は未知なるものの象徴。そこに夢や希望を見出すのは当然のことのように思う。星と本はどこか似ていないか? 図書館で書架を眺めていると安寧な気持ちにさせられる。(上原由迩)


投影機
「天文博物館五島プラネタリウム」で使われていた投影機


ビルこもれび大和田図書館


利用案内

休館日第2月曜日とその前週の火曜日

      第4月曜日とその前週の火曜日

      第2木曜日(館内整理日)

      (上記が祝日にあたる場合は直後の平日)

      年末年始 特別整理期間

開館時間月~土曜日 11:00~21:00

        日曜・祝日 10:00~17:00


アクセス

住所東京都渋谷区桜丘町23-21文化総合センター2階 地図

電話番号03-3464-4780

ホームページ
http://www.lib.city.shibuya.tokyo.jp/hp/intro_kan07/top/kan-oowada-top.html
http://www.shibu-cul.jp/index.php




取材協力_渋谷区文化総合センター大和田 取材_湘南文学舎