港区立麻布図書館 | 図書館利用促進プロジェクト

図書館利用促進プロジェクト

永遠に残していかなければならない人類の知的所産「図書」。
さまざまな図書が集積する「図書館」のあり方が
近年、著しく変貌を遂げています。
図書館の魅力を再発見!
それが「図書館利用促進プロジェクト」の狙いです。

麻布(外観)


クローバー概要


港区立麻布図書館は1991年(明治44年)に東京市立麻布簡易図書館として南山小学校敷地内に開設しました。1913年(大正2年)に書庫を開放して開架式図書館となり、1950年(昭和25年)に港区に移管され、現在の名称となりました。麻布図書館は区立図書館の中では最も古い歴史を誇っています。
その後、1973年(昭和48年)に現在地に移設(地下1階地上3階建て)され、2009年(平成21年)に建て替えのため休館。今年7月にリニューアルオープンした都内で最も新しい図書館です。


◆所蔵資料

一般書 68,400冊
児童書 15,600冊
CD 2,600点
DVD 780点

平成26年9月1日現在


クローバー施設


2階児童専用フロアでは、絵本や紙芝居の「読み聞かせ」のイベントを開催し、児童・乳幼児とその保護者が本に触れる機会を提供しています。今後、1階に併設する「あっぴぃ麻布」と連携していきます。
麻布図書館周辺は外国籍住民や企業に勤める外国人が多いという地域特性があります。英語、韓国語、中国語、フランス語、ドイツ語、イタリア語、スペイン語といった外国語資料も充実しています。


1階◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇

子育てサービス関連施設 / あっぴぃ麻布


2階◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇

子どものフロア / おはなしコーナー / しらべものコーナー(2席) / 対面朗読室 / 授乳室 / バギー置き場

フロア図2階②


麻布2階① (左)児童書専用フロアのカウンター。(右)カーペット敷きの広々とした「おはなしコーナー」


麻布2階②

(左)緩いカーブを描く書架。高さも子ども目線。(右)奥は「ちしきのコーナー」。手前の閲覧席の机、椅子も子どもサイズで可愛らしい

麻布2階③

(左)子育てのための雑誌も揃えた「こども雑誌・新聞コーナー」。(右)パソコンが利用できる「しらべものコーナー」


3階◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇

一般公開書架 / 雑誌・新聞コーナー(20席) / ヤングアダルトコーナー(13席) / 閲覧室(21席) / 閲覧カウンター席(24席)


フロア図3階②


麻布3階① (左)総合カウンター。(右)一般公開書架(日本の小説)

麻布3階② (左)左側は外国の小説を揃えた書架。通路を挟んだ右側は閲覧席。(右)一般公開書架

麻布3階③

(左)「雑誌・新聞コーナー」の閲覧席。(右)閲覧室


4階◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇
一般公開書架 / 視聴覚コーナー(CD2席、DVD2席) / インターネット利用コーナー(3席) / 閲覧カウンター席・パソコン利用コーナー(20席) / 閲覧室(9席)


フロア図4階②


麻布4階① (左)手前はインターネットが利用できるパソコン。奥はレファレンス(図書相談)用のサービスカウンター。(右)一般公開書架。外国語図書も充実している

麻布4階② CD、DVDを揃えた「視聴覚コーナー」。隣接したブース(右)での視聴が可能

麻布4階③

(左)閲覧席。(右)閲覧室


5階◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇
視聴覚室


視聴覚室(5階)

クローバーここもポイント!~環境に配慮した施設


港区では2011年10月から建築物への国産木材の使用を推進する「みなとモデル二酸化炭素固定認証制度」を開始しました。この制度は区内で建てられる建築物等に国産木材の使用を促すことで、区内での二酸化炭素(CO2)固定量の増加と国内の森林整備の促進によるCO2吸収量の増加を図り、地球温暖化防止に貢献することを目的としています。麻布図書館は間伐材等活用促進協定を締結している岐阜県高山市の杉材を閲覧用の机や椅子、児童専用フロアの書架など各所で活用しており、区有施設としては6番目となる「みなとモデル二酸化炭素固定認証」を受けています。
そのほか、緑化の推進(屋上緑化・壁面緑化)、太陽光発電、LED照明の採用など、環境に配慮した施設設計が施されています。


外観

外壁に施した植物や木材。これからの時代の建築物のあり方を示唆する建物だ


クローバーここもポイント!~館内を彩る流麻二果氏のオリジナルアート


5階建ての麻布図書館の各階の壁面には流麻二果氏の絵画が施されています。トータルコンセプトは「紙の重なりが本となり、本の重なりが図書館となり、知識が重なり、訪れる人々の姿が重なり、時が重なる。それが、絵画の中の色の重なりに込められています。季節を表していたという十二単の色目を参考に、各階の作品と色彩が表現されています」。
作品名は1階が「重なる」、2階が「春、紅梅匂」、3階が「夏、杜若」、4階が「秋、青紅葉」、5階が「冬・色々」。絵画の施された場所は各階で異なるので、それぞれの作品を見つけるための館内散策も楽しみです。

●流麻二果(ながれ・まにか)1975年大阪生まれ。女子美術大学絵画科を卒業後、2000、2006年には若手作家の登竜門である「VOCA」に出品。2002 年からは文化庁新進芸術家在外研修員、ポーラ美術財団などの助成を受け、ニューヨークを拠点に、アメリカやトルコで作品を発表。近年はファッションデザイナーとのコラボレーションなど活動の幅も広げている。


1階絵② 壁画

(上)1階のエントランス正面に描かれた「重なる」。(中左)2階の「春、紅梅匂」。(中右)3階の「夏、杜若」。(下左)4階の「秋、青紅葉」。(下右)5階の「冬・色々」


クローバー図書館からのメッセージ


港区立麻布図書館館長

村井美紀さん


館長

港区立麻布図書館は、2014年7月にリニューアルオープンした図書館です。建物には壁面緑化を取り入れ、電力の一部には自然エネルギーを利用しています。また、一部の書架や閲覧席には国産木材を使うなど環境に優しい図書館として生まれ変わりました。

オープンの際には、地域の皆さんからはげましのお言葉をいただき、この街への愛着心を実感しました。麻布にはたくさんの「坂」があります。開館当初行った「坂」をテーマとした歴史講座が好評でしたので、そういう地域情報をエッセンスとしたイベントを今後も催していきたいと思っています。
また、麻布はほかの地域と比べて外国籍の居住者が多いので、児童書も含め、さまざまな外国語の資料を取り揃えるよう努めるとともに、外国の方が一緒に参加できるような催しなども行い、国際的にも開けた図書館をめざしていきたいです。

図書館は“知のインフラ”です。図書館の基本業務もおさえつつ、地域密着型で、地域の役に立つ、地域に愛される図書館づくりをめざして、トライしていこうと思います。


クローバーDITORIAL NOTE① 想像力を膨らませる生物多様性コーナー


港区は赤坂御用地、自然教育園、有栖川宮記念公園、芝公園など、区全体の5分の1が緑に囲まれたところで、そこにはさまざまな生物がその生育や生息地の拠点として重要な役割を果たしている。そこで港区では、平成26年3月に「港区生物多様性地域戦略」を策定。地域の人たちとともに在来の草花を植えたり、種の飛来によって増えすぎる植物を除去することで生物多様性の保全に取り組んでいる。その根底にあるものは生き物とともに暮らす町づくり、コミュニティづくりということだ。
麻布図書館でも、こうした取り組みに賛同して、8月から「生物多様性コーナー」を設け、子ども向けから大人向けまで、生物多様性の分かりやすい本を展示している。関連本を手にしてみると、自身が幼い頃に川で小さなエビやドジョウを釣ったり、虫取りに野山を走り回ったり、草花で首飾りを作ったりしていた懐かしい頃のことを思い出す。麻布という土地柄の今昔に想像力を膨らませる企画コーナーだ。(中嶌文庫)

生物多様性コーナー

クローバーEDITORIAL NOTE② ヤングアダルトコーナーの書架に並ぶPOP


今年7月1日にリニューアルオープンした麻布図書館。収蔵資料は最大で図書約165,000冊、雑誌約160タイトル、CD・DVD約6,500タイトルとなるようだが、取材時点では図書数は半分にも及んでいなかった。当然ながら書架の空きスペースが気になったが、それは今後徐々に解消されると思う。
その空きスペースの現時点での活用方法がユニークであった。ヤングアダルトコーナーの書架の空きスペースに並んでいたのは「港区の中高生がおすすめする図書」。それは書店で見かける、書店員が好みの本に立てた手書きの推奨文(POP)を模したものであった。
子どもたちの書いたPOPは、いわゆる読書感想文的ではあるが、思考回路が固まってしまった大人たちが評するものとは異なり、柔軟性に富み、ストレートかつ繊細な文章であった。なかには手書きのイラストを添えるものもあって非常に清々しかった。

最近読んだ「書店ガール」という本の影響もあるが、なにとはなしに書店に入ると目につくようになったPOP。それがきっかけでベストセラーも生まれたということもあるのだとか。書店員という本を販売するプロの薦める本だけに、目的もなく書店内を歩くと、このPOPが本選びに大きく影響するようになったと、個人的には思っている。
中高生たちのPOPが本の販売売上に影響するとは思えないが、目的もなく図書館内を歩いていて、このPOPを目にしたら、本への愛着心の向上と読書習慣の裾野の拡大につながることが容易に想像できる。
中高生たちの若々しい感性(POP)が書架に並んでいる様子は、まだリニューアルオープンして3カ月の図書館だからこそ似つかわしい。(上原由迩)


POP


ビル港区立麻布図書館


利用案内
開館時間:月~金曜9:00~20:00 土日祝休日12月28日9:00~17:00
休館日:年末年始(12月29日~1月3日)。館内整理日(原則、毎月第3木曜日。祝日にあたる場合は開館し、第3水曜日に休館)。特別整理期間(年1回10日以内)


アクセス
住所:〒106-0032 東京都港区六本木5-12-24
電話番号:03-3585-9225
ホームページ:http://www.lib.city.minato.tokyo.jp/j/azabu.cgi



取材協力/イラスト提供_港区立麻布図書館 取材_湘南文学舎