概要
都立中央図書館は、1973年(昭和48年)に、都立日比谷図書館の蔵書を引き継いで有栖川宮記念公園内に開館しました。1908年(明治41年)に開設した日比谷図書館は東京の図書館の中心館としての機能を果たしてきました。その歴史を継承した都立中央図書館は、浮世絵・江戸城建築図面といった貴重な資料をはじめ、近代以降に刊行された約186万冊の蔵書があります。
新しい図書を中心に約35万冊を開架、また1,000席の閲覧席、無線LANやオンラインデータベース、司書によるレファレンスサービスもあり、有栖川宮記念公園の緑あふれる環境と相まって「都会のセカンドオフィス」としても活用されています。
◆所蔵資料(都立図書館)
図書 | 約186万冊(開架約35万冊) |
雑誌 | 約7,000種 |
新聞 | 約1,000紙 |
平成25年3月31日現在
来館利用サービス
来館者は資料の閲覧やコピーなどのサービスを受けることができます。ただし、貴重資料等、一部の資料はコピーできません。
◉個人に対する資料の館外貸出は行っていません。
◉来館者の年齢制限はありません。
◉入口カウンターで入館証を受け取ります。書庫に入っている資料の閲覧や複写の際に入館証が必要になります。
◉A4サイズ以上の大きな荷物は持ち込めません。コインロッカーで保管することになります。筆記用具やパソコンは持ち込み可です。
区市町村立図書館への協力支援事業
都立図書館は区市町村立図書館が地域に密着した図書館としての機能を十二分に発揮できるよう、協力支援事業の充実を図っています。
協力貸出事業
区市町村立図書館が所蔵していない資料に対し、利用者から要望があった場合、都立図書館の資料を区市町村立図書館に貸し出して、利用者の要望に応じています。
協力車(搬送車)の運行
◉東京都内の区市町村をいくつかのブロックに分け、各ブロックに週1回協力車を運行し、自治体の中心館に協力貸出資料を搬送しています。
◉図書館職員向けの研修会の実施(レファレンス研修、子どもの読書に関する講座、障害者サービス研修、製本研修等)
◉東京都図書館研究交流会の開催
◉研修講師派遣
◉短期研修生の受け入れ
施設
1階◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇
①受付カウンター・ロッカー室 受付カウンターで「入館証」を受け取り、A4サイズを超える荷物等は、ロッカーに入れて入館します。
②総合案内・相談カウンター 資料の探し方や調べ方など、わからないことは、専門の職員(司書)に相談できます。
③都市・東京情報コーナー 東京に関するさまざまな分野の資料と、国内外の都市に関する資料があります。
④ビジネス情報コーナー ビジネスに役立つ会社情報、業界・市場動向などの資料を中心に、資格取得や就職・転職活動に役立つ資料があります。業界情報、市場動向などが調べられるデータベースも利用できます。
⑤法律情報コーナー 身近な法律関係の入門書から専門書、各種判例集などを揃えています。法令や判例、法律関係の雑誌記事、官報の内容が調べられるデータベースも利用できます。
⑥健康・医療情報コーナー 病気・薬・病院に関する図書や雑誌を揃えています。闘病体験記録を集めた「闘病記文庫」もあります。医療情報に関する雑誌記事などが調べられるデータベースも利用できます。
⑦中央ホール 蔵書検索、新聞記事などのオンラインデータベース、インターネット専用のコンピューターが利用できます。基本参考図書コーナーでは、全国の電話帳、東京都及び近接県の住宅地図を備えています。
⑧案内ホットライン 専用電話で職員(司書)を呼ぶことができます。案内ホットラインは1階~3階にあります。
(左)受付カウンター。(右)ロッカー室
(左)中央ホール。手前は検索パソコン、奥は参考図書コーナー、左側に総合案内がある。(右)検索コーナー。「蔵書」「データベース」「マルチ検索」の3種類のパソコンを設置
(左)都市・東京情報コーナー。(右)重点情報コーナー。「ビジネス情報」「法律情報」「健康・医療情報」に分かれている
2階◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇
①国勢調査報告書、重要文化財等修理工事報告書コーナー 各都道府県の国勢調査報告書や全国的にも類がない重要文化財等修理工事報告書のコレクションがあります。
②電光掲示板 請求した書庫内資料の用意ができ次第、「入館証」の番号が表示されます。複写申し込みの場合は、受付番号が表示されます。電光掲示板は1階~5階にあります。
③一人机
④閲覧席
(左)技術工学コーナー。(右)重要文化財等修理工事報告書コーナー
①地方史コーナー 県史・市町村史約3万冊を自由に閲覧できます。
②美術情報 大型美術書約1万冊が閲覧できます。
③人物情報 人名事典・名簿・肖像など、人物に関する参考図書を調べることができます。
④視覚障害者サービス室 視覚障害者等に対して、対面音訳、録音資料の作成・貸出・点字図書の貸し出しを行っています。音声支援ソフトを利用したパソコンや音声拡大読書器で、墨字資料を読むことができます。
(左)地方史コーナー。(右)言語事典コーナー
(左)新着図書コーナー。(右)室内展示。テーマは「花鳥画でめぐる初夏の花々」(平成26年8月26日まで)
4階◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇
①企画展示室 都立図書館の豊富で多様な資料を紹介するため、話題性のあるテーマを取り上げた展示を行っています。
②閲覧室、グループ閲覧室 フロア全体が閲覧席です。ほとんどの席でパソコンが使用できます。4階の閲覧室では無線LANサービス事業者とあらかじめ契約している方は持参したパソコンからインターネット回線を利用できます。グループでの調査・研究にはグループ閲覧室が便利です。※パソコン席は、1階~4階にあります。5階閲覧室には、パソコン等の持ち込みは不可です。
①特別文庫室 江戸時代後期を中心とした古典籍・写本・古地図・錦絵など約25万冊の貴重な資料があり、デジタル化にも取り組んでいます。
②音声・映像資料室 歴史・伝統技術や東京に関するビデオ、DVD、CDなどがあり、室内で視聴できます。
③カフェテリア 広々とした窓からは、東京タワーや六本木ビル群が一望できます。
ここもポイント!~四季折々の風景が楽しめる、抜群のロケーション
都立中央図書館のある有栖川宮記念公園は、麻布台地の変化に富んだ地形を生かし、丘があったり、渓流や池があったりと、自然を大切にした趣きのある日本庭園と知られています。豊かな緑はもちろんのこと、春はウメやサクラ、ハナミズキ、初夏にはハナショウブ、夏はアジサイ、秋はイチョウ、紅葉など四季折々の季節の花木が園内を彩ります。抜群のロケーションが都立中央図書館の魅力のひとつです。
有栖川宮記念公園の瑞々しい風景が楽しめる2階閲覧席
ここもポイント!~企画展示
都立中央図書館では、年に数回所蔵資料の魅力を紹介するための企画展示を開催
しています。
これまでに東京駅、オリンピック、彩色写本、テレビ60年、発明・技術などをテ
ーマに展示を行っています。
企画展示「発明・技術―夢をかたちにする力―」
ここもポイント!~エコ意識を促す「多摩産材」の書架
東京都立中央図書館の書架には「多摩産材」が活用されています。
森林は二酸化炭素を吸収・固定し、地球温暖化防止に大きく貢献しています。その健全な整備を行うためには、森林の伐採・植栽・保育という「森林の循環」を確保する必要があります。循環を円滑に促進するためには、伐採した木材を有効に使うことが重要です。東京都では、東京の森林資源を活性化させ、東京都産の木材である「多摩産材」の利用の拡大を図るために、さまざまな事業を展開。2009年(平成21年)1月にリニューアルオープンした中央図書館の書架にも「多摩産材」が使われるようになりました。木材はなにも語りませんが、木目は目にやさしく、落ち着いた雰囲気を醸し、エコロジーの意識を促してくれます。
ここもポイント!~図書館をもっと身近に
東京都立中央図書館では、図書館をより身近に感じさせるイベントとして「図書館見学ツアー」を実施しています。年間を通じて「テーマ別ツアー」と「通常見学ツアー」を実施。「テーマ別ツアー」は資料保全を目的とした資料修理の実演見学と和装本づくりを体験。また、特別文庫を見学することができます。「通常見学ツアー」は地下書庫、特別文庫、資料保全、視覚障害者サービス室などをめぐります。
・参加費:無料
・申込:電話03-3442-8451(内線)1604 ※来館申込:1階総合案内・相談カウンター
地下書庫(写真)など、ふだんは見ることのできない場所をめぐる
ここもポイント!~専門情報機関を掲載したデータベース
都立中央図書館では、首都圏約450の専門情報機関(専門図書館)をデータベース化し、ホームページで公開しています。特定分野の専門的な資料を所蔵する図書館や特殊な文献・情報提供サービスを行っている専門情報機関を紹介しています。データベースは「いろいろなスポーツ新聞が見たい」「海外の鉄道時刻表を調べたい」「昔の教科書が見たい」など、テーマを選択して検索することも可能。検索結果の画面では、機関名、その機関が持っている資料やサービス内容も分かり、各機関のホームページにもリンクしています。
EDITORIAL NOTE 国内最大規模の図書館らしい重点情報サービス
日本全国の公共図書館で最大規模の蔵書数を誇る都立中央図書館だが、それをうまく活用したサービスも注目ものだ。1階で行っている重点情報サービスは「都市・東京コーナー」「ビジネス情報コーナー」「法律情報コーナー」「健康・医療情報コーナー」とジャンル別に区分け。中でも「ビジネス情報コーナー」は、無料で中小企業診断士に相談できる「ビジネス起業・創業相談会」も開催している。
ビジネス情報と並んで利用者が多いのが「法律情報コーナー」だ。“法律”といっても大仰なものばかりではない。離婚や相続、近所づきあいなど、身近な問題もその対象。解決の糸口となる本を司書が紹介してくれる。
「健康・医療情報コーナー」には「闘病記文庫」が併設され、病気を抱える人の不安や悩みを共有、治療につながる貴重な体験情報を得ることができる。かつて筆者も緊急入院し、退院した現在もその治療が続いている。仕事や日常生活への不安、病気を抱えながらどう生きてよいかという悩みは尽きることがないが、同じような病をもつ人の体験談は大きな励みや活力となる「健康・医療情報コーナー」で本を探すという行為は、病気と真剣に向き合うということに通じる。司書の的確なレファレンスも頼もしい限りだ。(中嶌文庫)
東京都立中央図書館
利用案内
開館時間:月~金曜10:00~21:00 土日祝休日10:00~17:30
特別文庫室:10:00~17:30
音声・映像資料室:月~金曜13:00~17:30 土日祝休日10:00~17:30
アクセス
住所:〒106-8575 東京都港区南麻布5-7-13 地図
電話番号:03-3442-8541
ホームページ:http://www.library.metro.tokyo.jp/
取材協力/イラスト提供_東京都立中央図書館 取材_湘南文学舎