千代田区立日比谷図書文化館 | 図書館利用促進プロジェクト

図書館利用促進プロジェクト

永遠に残していかなければならない人類の知的所産「図書」。
さまざまな図書が集積する「図書館」のあり方が
近年、著しく変貌を遂げています。
図書館の魅力を再発見!
それが「図書館利用促進プロジェクト」の狙いです。

外観


クローバー概要


明治41年(1908年)、東京市立日比谷図書館として開館。以降、東京市立図書館の中心としての機能を果たし、昭和18年(1943年)には東京都制施行により東京都日比谷図書館となりました。
関東大震災によって建物が一部破損。再建物資の不足などを理由に、昭和12年(1938年)3月末までの閉館が発表。市民からの抗議が相次いだため応急修復工事が認可されましたが、昭和20年(1945年)5月25日の空襲で全焼し、20万冊以上の蔵書を焼失。激動する時代と運命を共にしてきました。
昭和32年(1957年)、都立日比谷図書館として落成。区画整理で残された土地が三角形だったため、建物も独特の形状となりました。平成21年(2009年)7月1日に千代田区に移管。平成23年(2011年)11月4日、日比谷図書文化館として開館。日比谷図書館を全面改装し、「本を読み、調べる図書館」「歴史や多彩な文化情報を展示するミュージアム」「さまざな講座やイベントを行うカレッジ」という3機能が融合した総合文化施設として生まれ変わりました。


三つの特徴


◉伝統ある「旧・都立日比谷図書館」の図書館サービスを継承しつつ、ビジネス支援やアート情報など幅広く資料を提供し、さらなる発展をめざしています。


◉千代田区立四番町歴史民俗資料館の機能を移管し、郷土「千代田」の歴史と文化を学ぶ場を提供しています。


◉講座、セミナー、シンポジウムなどさまざまな情報交流の場を展開し、区民をはじめとした利用者の「知識への入り口」として役割を担っています。


所蔵資料


日比谷図書文化館は、南側にオフィス街、西側に官公庁が連なる日比谷公園の園内に位置しています。この立地条件と千代田区立図書館収集方針を踏まえて、「ビジネス・法情報、アート情報、地域資料(江戸東京関連資料)」を主軸とした蔵書構成をめざしています。


クローバー施設


1階◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇
1F


常設展示室 縄文~近代の江戸・千代田の歴史
常設展示室「環境・人間・都市」をテーマに、千代田区の原始・古代から近代にいたる歴史を文化財と映像を駆使して紹介。現在の首相官邸建築前の発掘調査で剥ぎ取った深さ5mの「地層標本」や最新の印刷技術により複製した国立歴史民俗博物館所蔵の「江戸図屏風」など、貴重な文化財を展示しています。デジタル技術を駆使したバーチャル侍による江戸城の儀式案内も見ものです。入場無料。


特別展示室
学術的なテーマから芸術的なテーマまで、年間4~5回の特別展示を行っています。


コンシェルジュカウンター
館内情報をはじめ、区内美術・博物館、周辺エリアの情報などを案内します。


Library Shop & Cafe Hibiya(ライブラリーショップ&カフェヒビヤ)
カフェ日比谷 図書館フロアの書籍を持ち込めるカフェです。サンドイッチやスイーツ、ドリンク類を販売。蓋付きのドリンクは各フロアでもテイクアウトが可能です。カフェ内のショップでは書類や雑誌、特別展示の関連商品を販売しています。
営業時間:(平日)11:00~19:00 (土・日曜・祝日)11:00~17:00

問い合わせ:TEL.03-3502-3347


2階◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇
2F

図書館総合カウンター
貸出・返却や利用登録を行う総合窓口。本や資料に関する質問、相談にも対応しています。自動貸出機、コピー機もあります。


図書フロア
ビジネス、アート、地域、ライフスタイルなど、約17万冊の蔵書を四つのゾーンに分類して配架しています。旬の話題に合わせた各種展示も行っています。


・オレンジゾーン
グリーンゾーン 政治、法律、経済、産業、商業関係の資料のほか、各種統計、白書、年鑑などを集めたビジネス情報コーナーや調査・研究に役立つ参考図書コーナーやインターネット端末、オンラインデータベース端末があります。米国務省、大使館による文化交流の一環としてアメリカンシェルフ(本棚)を設置しています(写真左)。




・パープルゾーン

パープルゾーン 新聞、雑誌、地域・行政資料、江戸・東京関連書籍、住宅地図、千代田区に拠点を置く企業の社史などのほか、江戸城を築城した太田道灌についてのコーナーがあります。電源の利用と有線LAN接続ができる席(申込制)もあります。





3階◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇
3F

・グリーンゾーン
グリーンゾーン 哲学、宗教、歴史、地理、教育、自然科学、医学、工学、生活、農業など、ライフスタイルや科学技術に関する資料のほか、新書・文庫コーナーや、セミナーなどを開催する部屋(ライブラリープラス)もあります。






・ブルーゾーン

ブルーゾーン 絵画、写真、映画、工芸、音楽、演劇関係の資料、語学書や辞書、日本文学や外国文学のほか、アートの鑑賞、制作、教育、運営、記録に関するさまざまな情報を提供するアート情報支援コーナーや、大きな文字で読みやすい大活字本などがあります。アートについての興味深い資料を揃えたアート情報支援コーナーもあります(写真左)。




閲覧席
閲覧席
テーブル席や椅子席など約300席を設置。全席で無線LANが利用でき、申し込みが必要な電源席も18席設けています(LANケーブルの貸出有)。全席で蓋付きの飲み物(ペットボトルや蓋付きカップなど)が持ち込み可能です。






4階◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇
4F

特別研究室
特別研究室 内田嘉吉文庫や江戸・東京の地域資料、和本など、貴重な古書2万冊を直接手にとって閲覧できます。夜間には蔵書の内容を紹介するセミナーも開催しています。






特別研究席

特別研究席 図書フロアや特別研究室の蔵書を自由に閲覧できます。全席に電源コンセントと無線・有線LANを完備。読書や研究、ビジネスに没頭できる快適なスタディルームとして好評を得ています。
利用時間:(平日・土曜)10:00~18:00 (日曜・祝日)11:00~16:00
利用料金:2時間枠ごと300円 終日利用1,200円




スタジオプラス(小ホール)

スタジオプラス会議テーブルと椅子(60席)を設置できる小ホール。無線LANを完備。会議やセミナー、ミニコンサートなどにおすすめです。
利用料金:3,900円より






セミナールームA・B(会議室)

A・Bともに会議テーブルと椅子(24席)があり、無線LANを完備。Aは有線LANの利用も可能です。会議や研修などの利用目的に最適です。
利用料金:2,500円より


B1階◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇
B1F


Library Dining Hibiya(ライブラリーダイニングヒビヤ)
ダイニング日比谷 本が楽しめる落ち着いた雰囲気のレストラン。パスタからヒレカツ膳・ヒレカツカレーなどメニューも豊富です。
営業時間:(平日)10:00~21:30 (土曜)10:00~19:00 (日曜・祝日)10:00~17:00

問い合わせ:TEL.03-3502-3346




日比谷コンベンションホール(大ホール)
コンベンションホール ステージと207席を備えた本格的なコンベンションホールです。講演会や学会、発表会、各種イベント、コンサートなど、多目的で利用できます。
利用料金:12,000円より





クローバーここもポイント!~振り返る千代田の歴史


千代田区は東京23区のほぼ中央に位置し、徳川幕府が開かれて以来、日本の政治や経済、文化の拠点としての歴史があります。「千代田」の区名は江戸城の別名「千代田城」にちなんだもの。区の中央には皇居があり、国会・首相官邸・最高裁判所などの三権をはじめとする首都機能、大企業の本社、国際機関なども千代田区に集中しています。単なる図書サービスだけではなく、「歴史や多彩な文化情報を展示するミュージアム」としての役割を担う千代田区立日比谷図書文化館のポリシーは常設展示「千代田にみる都市の成立と発展」にも表れています。江戸時代は遥か、原始時代からの千代田の歴史を貴重な出土品や資料、そして映像を駆使して、「環境・人間・都市」を基本軸にした歴史を全5室の構成で紹介。
明治維新、廃藩置県、東京遷都、関東大震災、東京大空襲…。千代田の都市空間は常にドラスティックに変化して来ました。第Ⅴ室「まちの歴史」は現在につながる歴史の息吹を感じさせ、未来の千代田の姿を想像させます。
日比谷図書文化館では常設展示のほかに特別展示も催しています。3月3日まで開催された「千代田“新発見”―新収蔵・新発見資料展―」では、昭和47年(1972年)から始まった千代田区による歴史民俗資料の収集と資料調査の成果を「新収蔵」と「新発見」に分けて紹介。資料だけではなく炭を使ったアイロン、氷を使った冷蔵庫など、かつての生活の中で身近にあった懐かしいモノが展示され、好評を得ました。


クローバーここもポイント!~学びと交流~


日比谷図書文化館は大ホール、会議室で「日比谷カレッジ」と題し、ビジネススキルアップや江戸・東京の歴史文化、アートなどを学ぶ機会を提供しています。講座やセミナー、ワークショップ、音楽会、映画上映会などを開催。さまざまな「学び」と「交流」の促進を図っています。
参加申込:電話(03-3502-3340)またはEメール(college@hibiyal.jp )。


3月の講座

The Sankei Archivesで産経新聞の記事検索とデータベースについて学ぶ
日時:3月14日(金)19:00~20:00
会場:3階ライブラリープラス 定員:10名 参加費:無料


日比谷コトづくり塾 第6回
「やりがい」を「生きがい」にその種を育てよう~元気な若者は地域を元気にする~
講師:加留部貴行、岡幸二郎、定野司、岩田勉、納富洋子
日時:3月14日(金)13:30~16:30
会場:4階スタジオプラス 定員:60名 参加費:5,250円


世界の図書館シリーズ
シンガポールを中心に東南アジアの図書館事情
講師:宮原志津子
日時:3月16日(日)14:00~16:00
会場:4階スタジオプラス 定員:60名 参加費:1,000円


「JPタワー学術文化総合ミュージアム インターメディアテク」の施設づくり
日時:3月20日(木)19:00~20:30
会場:4階スタジオプラス 定員:60名 参加費:1,000円


クローバー図書館からのメッセージ

中澤氏 千代田区立日比谷図書文化館

企画広報部門営業統括リーダー

中澤裕行さん


今は図書館も利用者のニーズに合わせ、館ごとに特色のある施設が増えてきました。当館では図書館としての機能だけではなく、ミュージアムやアカデミー機能を効果的に運営しながら、利用者の利便性を図るもののひとつとしてレストランとショップ&カフェも設けました。地下1階には、ライブラリーダイニング日比谷、1階にはライブラリーショップ&カフェ日比谷があり、来館者の嗜好に合わせたメニューを楽しんでいただけけます。
移管された当初は利用者も戸惑いがあったようですが、今は特徴を生かして使っていただいているのではないかと思います。リピーターも増えましたし、現在年間約60万人の来館者があるので、だいぶ浸透してきたのではないかなと思っています。

ビジネス街ということもあり、利用者の年齢層は比較的高く、圧倒的に男性が多いのも当館の特徴ですね。江戸関連の蔵書や講座も多く、、ビジネスやアート関連も充実しているので、大人向けの文化施設として活用していただいています。

今後の課題として、特別研究室をもっと知ってもらうこと。蔵書の魅力がまだまだ知られていないのが現状です。今後も、快適な空間を維持しながら、情報発信の場としてめざしてゆきたいと思っています。


クローバーEDITORIAL NOTE① 都会のオアシスに、知の拠点


千代田区立日比谷図書文化館は、歴史と伝統のある旧日比谷図書館を東京都から移管を受け、千代田区が2011年11月4日に新たにオープンした文化施設。勉強や読書をするためだけの場所から、新しい図書館として生まれ変わりました。
「図書館」ではなく「図書文化館」であることが最大の特徴です。図書館としての機能に加え、カレッジ(講座)機能、千代田区の文化財産を紹介する常設展示や特別展示などのミュージアム機能があり、また借りた本を持ち込めるレストラン&カフェ、ショップなどもあって、大人向けの滞在型・回遊型の複合施設として人気を高めています。
最大の魅力は、日比谷カレッジ(講演会)。毎月五~七つの講座があり、本、江戸・東京、センスアップ、スキルアップ、芸術のテーマでレクチャー。知識の入り口として活用されています。昭和26年3月より15年にわたり千代田区図書館で行われた「千代田学術講座」の志を継承するために発足した「特別研究室ナイトセミナー」は、ワークショップ形式の歴史探究セミナーで、昨年12月には100回を迎えという実績からも、その人気の高さをうかがわせます。
フロアの構造は、ビジネス(オレンジゾーン)、アート(ブルーゾーン)、地域(パープルゾーン)、ライフスタイル(グリーンゾーン)に分類して配架。2月22日の「ネコの日」に合わせた関連本を展示など、旬の話題に合わせたさまざまなミニ展示も行っていますし、クイズラリーも企画。それが回遊型の図書館ならではの特徴といえるでしょう。
4階の特別研究室には、逓信官僚として日本の海事関係に関する法律の整備などに尽力した内田嘉吉氏の蔵書、約16,000冊が並べられています。外国語図書や東洋交通関係の古刊書が多く、古地図なども手に取にとって閲覧でき、ノスタルジーに浸れる場所です。
珍しい点では“コンシェルジュ”が常駐していること。来館者に館内の案内をする“コンシェルジュ”というのは時々耳にしますが、ここでは、館内の案内のほか、千代田区内の文化的スポット、日比谷エリアの情報を提供してくれる嬉しい存在です。今回の取材をアテンドしてくれた並木百合さんは「役割は地域と連携です。知識の入り口として、当館で明治時代の洋書や古書、千代田の文化財にふれ、いろいろな興味や発見をして、外に出かけていただきたい。それにより単なる街歩きにもプラスアルファの感動が芽生えるようなら嬉しいですね」。
まさに大人の好奇心を満たすための空間がここには存在。ゆっくりと館内をめぐりながら、歴史ある日比谷の街を歩いてみるのもいいものです。(Tipsy chico)
NOTE①
(左)コンシェルジュの並木百合さん (左)旬の話題に合わせたミニ展示


クローバーEDITORIAL NOTE② 古書を手にする喜び


以前、国木田独歩のことを調べていて「病牀録」という本にいきあたった。奥付には「明治四十一年七月十五日発行」とあった。ついでながら発行所は新潮社で、住所は「東京市麹町區土手三番町二十七番地」と記載されていた。「東京市」も「麹町區」も現在はないし、新潮社が移転していなのであれば神楽坂あたりの地名ということになる。100年以上も前のこと。その頃の社会はどうだったのだろうか、などと考えると、本の伝えることは、その内容だけではなく、多岐に及ぶことに気づく。
新装丁の本ではその効果が薄れるのではないか。たくさんの人が手にし、そして歳月という光陰に晒された古書は褪せていても厳かな輝きを放っている。惜しむらくはそういった本は今はミュージアムのケース越しに見ることができても実際に手に取ることはかなわないことだ。
その点でいえば日比谷図書文化館の方針は異色かもしれない。特別研究室にある約2万冊の貴重な古書を実際に手に取ることができるのだ。特別研究室には逓信官僚として海事行政に携わり、渋沢栄一とともに産業振興に尽力した内田嘉吉が収集した和漢洋書約16,000冊を所蔵。また、東京市立一橋図書館(1913~1929年)で所蔵していた明治期から昭和初期発行の図書や、「江戸名所図会」「西洋草花図譜」など江戸期から大正期発行の和製本、江戸・東京の地域資料、斎藤吉之旧蔵資料や國塩コレクションなど戦前を生き抜いた官僚の旧蔵資料を所蔵し、それらを気軽に閲覧できるのである。
取材時には「明治演説史」(宮武外骨著/1926年)に記載されていた挿絵をどこかで目にしていることを思い出し、日本で最初の近代的百科事典「日本百科大辞典」(三省堂書店/1908年)に書き込まれた「伯爵 大隈重信」の直筆サインに驚かされた。「日本百科大辞典」は三省堂社長・亀井忠一が大隈に編集総裁を依頼し、井上円了、新渡戸稲造、加納治五郎、幸田露伴、島村抱月ら錚々たるメンバーが執筆にあたったが、莫大な資金を要したため三省堂が倒産したという逸話が残されている。
インターネットが普及し、貴重な資料を容易に目にする機会は増えたが、実際に手にすると、“貴重”の意味合いが何倍にも深まる。そこで発見したことは人生の財産にも匹敵するのではなかろうか。(上原由迩)
特別研究室の本
(左)挿絵が懐かしい「明治演説史」 (右)大隈重信のサインが記された「日本百科大辞典」



ビル千代田区立日比谷図書文化館


利用案内
休館日毎月第3月曜日、年末年始、特別整理期間
開館時間平日10:00~22:00 土曜10:00~19:00 日曜・祝日10:00~17:00


アクセス
住所東京都千代田区日比谷公園1-4 地図
電話番号03-3502-3340(代表)
ホームページhttp://hibiyal.jp




取材協力_千代田区日比谷図書文化館 取材_湘南文学舎