ようこそお参りくださいました。
鋭い感受性を持った
家庭祭祀の教室を主宰しています
口寄巫女・神職 松井久子と申します。
あの世からの助け舟
↑こちらの記事の続きです。
亡き父の17回忌の
法要のお供物を用意するために、
一家総出で、父の好みの
うどん探しの旅に出かけた私達。
京都市内から高速道路を使って、
3時間程かけて、
京丹後の「小塚製麺」を訪問。
そこは素敵な古民家風の場所でした。
住まいのようにも見えましたが、
その日の製麺所には人気がなく、
「やっぱり、いきあたりばったり過ぎた・・・。
入手できないかも・・・。」
と、途方に暮れそうになっていたところ、
たまたま通りかかったご近所の男性の方が
助け舟を出してくださいました。
「どうしました？
小塚製麺さんなら、
こちらのお宅にお住まいですよ。」
と言って、見ず知らずの私たちを
製麺所の方々が住んでいる
お宅に案内してくださったのです。
私たち夫婦は、普段、
東京の人達のドライでそっけない対応に
慣れているので、
見ず知らずの人に、
向こうから声をかけて、
親切に対応していただけることの
ありがたさと、人の温かさをシミジミ感じました・・。
無事、小塚製麺の方に
お目にかかることができましたが、
残念ながらこちらでうどんの直接販売は
されていないとのこと。
そのかわりに、
「地域の”スーパーにしがき”に卸しているので、
そちらでなら購入していただけます。」
と教えていただけました。
早速、地元の方ご用達の
「スーパーにしがき」を二店舗訪問し、
無事、亡き父が好きだった
「つねよしのうどん」
を入手することができました！
父が亡くなってから、
1６年ぶりに目にしたそのお品。
母と妹は懐かしさを感じて、
感動し、お供え用の他に
買いだめしていました。
お目当てのうどんを
入手できるかどうかわからない状態だったのに、
土地の人々の親切さに助けられて
目的を果たすことができたのは、
そこにご先祖さまのご加護や
お計らいがあったからなのでしょう、と
家族皆で感じ入ったひと時でした。
父のために、皆で一致団結して
行動したことで、法要の準備の段階から、
沢山の恵みを受け取ることができました。
ところで、
生前、父は本当にうどん好きな人でした。
今までは、なぜ？とその理由を
考えてみたことがなかったのですが、
後日、皆でこのうどんを
いただいた時に、
父がなぜうどんが好きだったのか、
その理由を察することができました。
家族の会話をきっかけに、
父の出身地である山梨県の風習に
ついて調べたところ、
山梨県では、ハレの日、冠婚葬祭の日に
うどんでもてなす習慣があったそう。
また、母曰く、
養蚕業をしていた父の実家では、
手打ちうどんを自宅で作っていたそうです。
亡き父にとって、「うどん」には、
大ぜいの家族と親戚が一堂に集まって、
ワイワイ言いながらいただく
幸せな記憶が結びついていたのでしょう。
山梨県の山奥の広々とした日本家屋で、
住み込みのお手伝いさんを
含めた大家族で育った父は、
京都で所帯を持った後、
核家族になったことを
どこか寂しく思っていたのかもしれません。
亡くなって16年経ってから、
思いがけなく父の心に近づくことができたのは、
大きな恵みでした。
続きます。
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