この記事では、不登校中のお子さんとの「お父さんの関わり」についてお伝えしています。通常お母さんとの関わりが多くなる不登校ですが、お父さんの存在も重要です。

 

「どう接していいかわからない」「自分は嫌われているから何もできない」と思われているお父さん方に関わりのヒントをお届けします。

 

この記事でわかること

▶︎不登校のお父さんの役割

▶︎お母さんとの関係づくり

▶︎お子さんとの関わり

この記事を書いた人
▫️不登校・ひきこもり専門公認心理師なかがわひろか
▫️学校・PTA・自治体での不登校・ひきこもり講演多数
▫️自身も一人娘の父

 

▶︎お父さんの役割

 

 

お子さんが学校に行きづらくなったとき、最初に行動されるのはお母さんであることが多いです。

 

ネットで情報を集めたり、学校の先生とやりとりをしたり、スクールカウンセラーや自治体の相談場所に行かれるのも9割はお母さんです。私のオンラインセミナーにお越しいただく方も、同様の割合になっています。

 

不登校=お母さんが対応する、という図式が多いのは事実です。しかしお父さんには役割はないのでしょうか?

 

もちろんそんなことはありません。お父さんにも大事な役割があります。それが「家族を守ること」と「断ち切ること」です。

 

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▶︎1つ目の役割:家族を守る

 

お子さんとお母さんとの関わりはお父さんよりも深くなりやすいです。ただ一方で、お母さんはお子さんのことで頭がいっぱいになられることがよくあります。

 

そのために、視野がどうしてもお子さんだけに向くことがあります。

 

お父さんの役割の一番大切な一つ目は、家族全体を守ることです。周りから心無いことを言われることもあります。そういったものから家族を守るのです。

 

学校と話し合いをしたり、おじいちゃん、おばあちゃんや親戚に説明をしたりという役割はお父さんの役割です。

 

ここをすべてお母さんに任せてしまうと、お母さんがパンクしてしまいます。お母さんにはお子さんに集中してもらえるような環境を作ることが父親の役割になります。

 

 

お母さんの思いを聴く

 

お子さんとの関わりが多くなるのはやはりお母さんです。お母さんはお子さんのことで頭がいっぱいになります。

 

お子さんの一挙手一投足に一喜一憂したり、ときに怒りを感じたりもします。そんなお母さんの思いを聴く役割が必要です。

 

ときに愚痴になることもあるし、お子さんに対して厳しい言い方になることもあります。しかしそれだけお母さんも思いを溜め込んで、我慢しています。

 

「そんなに気にせず子どもに任せよう」という発言をされるお父さんも多いですが、自分が産んだ子のことを「気にせず」など無理なのです。

 

些細なことでも気になってしまうお母さんの思いを労い、お母さんの溜まっている思いを受け止めるようにします。

 

【傾聴の仕方については👇をご覧ください。お子さんだけでなくお母さんに対しても有効です】

 

お母さんと考え方を対立させる前に、まず思いを受け入れながら聴くことです。その上でご自身の意見も伝えるようにし、二人でお子さんにどう向き合っていくかを考えていきます。

 

▶︎2つ目の役割:断ち切る

 

日本は「母性の国」と河合隼雄先生は言います。母性とは「包み込む」ことです。お子さんのことを丸ごと受け入れ、包み込む。ただこれが行き過ぎると「飲み込んでしまう」ことにつながると言われます。

 

母性が強すぎると、お子さんの自主性を奪い、お子さんを「自分の所有物のように」考えてしまうことにつながります。

 

お子さんが不登校状態になったとき、お母さんはお子さんのことでつきっきりになります。そのため母子の関係性が強くなりすぎてしまい、お子さんの悩みにお母さんが引きづり込まれることが起こります。

 

ここでお父さんの「断ち切る」役割が必要とされます。断ち切るとは家族の関係を断ち切るということではなく「子どもは子、親は親」とそれぞれ別の人間であることを認識させることです。

 

例えばお子さんとお母さんの関係性があまりにも強くなりすぎる可能性があるときに、お子さんに対して「ここからは一度自分の力で考えてみよう」と伝え、お子さんが一人で考えられるようにする役割です。

 

ただこの「断ち切る」役割を、お父さんが担えていないことが問題になります。河合先生は40年以上も前に危惧されていました。それは「家庭の中にお母さんが二人いる」ということです。

 

つまりお母さんもお父さんも母性が強く、どちらも包み込むことで「断ち切る」存在がいなくなることを示唆していました。そしてその状況は40年以上前に比べても、進んでいると私も感じています。

 

優しいお父さんは理想ではあるのですが、お母さんが包み込む役割を果たしている場合は、お父さんは「断ち切る」ことを意識する必要があります。

 

▶︎勇気を持って率直な思いを伝える

 

お父さんに必要な役割は「勇気ある率直な思いを伝えること」です。家の中で好きなように過ごすことも不登校の一時点においては必要です。

 

ただそれがずるずる続くことは望ましくありません。しかしお母さんにはなかなか厳しく伝えることが難しいことがあります。

 

そんなときにお父さんの役割が必要なのです。話をする機会を作り、率直な思いを伝えます。「学校に通えるようにするために、これから取り組んでいくことを話し合おう」と伝える役割です。

 

「いつかタイミングが来たら」と逃げてしまうお父さんも多いですが、それだと不登校は長引き、やがてひきこもりにつながることになります。

 

お子さんの状態を見て、十分に休息が取れていると判断できたときは、包み込む段階から、チャレンジの段階に入っていきます。

 

休息の間は親子の距離が強くなります。それはお子さんの安心のために必要な時間です。しっかりとくっついてから、今度は「離れる」段階に入るのです。これが「断ち切る」ということです。

 

「断ち切る」というのは親子の縁を切ることではありません。お子さんが自分の力でこれからの人生を歩んでいけるように、挑戦ができるように促していくことが「断ち切る」ことです。

 

▶︎お父さんも傾聴力を高めよう

 

 

「断ち切る」ことを間違って捉えて「厳しく伝える」ことだけに注力してしまうケースもあります。

 

お子さんの思いを聴き、受け入れ、その上で率直な思いを伝える「傾聴力」はお父さんにも当然に必要なことです。

 

一般に、特に男の子の場合、お父さんとの関係性に距離が生まれることがあります。その理由は頭ごなしに批判されることがあるからです。

 

お父さんは理詰めで説得することが多く、それはまた正論であるため、お子さんも言い返せなくなり話していても疲れてしまうのです。

 

お子さんの話を聴き、お子さんの意見を受け入れた上で、率直な意見を伝え、それについてまた話し合う。この流れはお母さんもお父さんにとっても必要なことなのです。

 

こちらに傾聴のポイントをまとめています。まずここを押さえるようにしましょう。

 

 

▶︎困ったときはこの3つの力を思い出しましょう

 

対話に必要な3つの力

 

この概念図は傾聴において必要な3つの力について示しています。「そんな風に考えているんだね」と受け入れること(受容力)、お子さんの話を「しんどかったね」と共感すること(共感力)、そして私が最も重要と考えているご自身の意見を率直に伝える「率直力」の3つです。

 

まず受け入れることがあってから、親としての意見を伝えるとお子さんも耳を傾けてくれるようになります。

 

大事なのは順番です。よくある間違いは「まず伝える、それから聴く」です。しかしこれだとお子さんは「無理やり押し付けられた」という思いになります。

 

まずお子さんの話を反論せず、しっかりと聴き、受け入れることです。その上で「自分はこう思うけれどどうかな?」と話をするのが効果的な順番となります。あとはこれを繰り返していきます。

 

傾聴が苦手とするお父さんは多いですが、傾聴なんてプロのカウンセラーでも易々とできることではありません。

 

苦手であることは当然のことで、それは言い訳にはなりません。だから練習するのです。プロのカウンセラーであっても、傾聴は日々トレーニングしながら鍛えているのです。

 

【3つの力についてはこちらで詳しく説明しています👇】

 

 

▶︎本当はお父さんとも仲良くしたい

ここでお子さん側のお父さんに対する思いをお伝えします。お子さんが思春期に差し掛かると、お父さんを毛嫌いするようになります。それは男女ともに起こります。

 

お父さんとしては「自分は必要とされていない」思いになると思います。しかしもちろんそんなことはありません。

 

お子さんとしても、本当はお父さんと仲良く話したいのです。何気ない話をしたいのです。

 

しかし思春期というのは、ついイライラしてしまうものです。お子さん自身もうまく自分の気持ちをコントロールできない時期なのです。

 

お子さんとの関わりを諦めないでください。あとでお子さんがこの時期を振り返ったとき「お父さんは諦めずに接してくれた」という思いが、生涯の関係性を築いていきます。

 

逆に毛嫌いされているからと、お子さんとの関わりをなくし、なんでもお母さんを通じて話す関係になると、「父親は大事なときに逃げた」と思います。これを後から取り返すのはまず無理です。

 

今は嫌われているかもしれませんが、それはうっとうしがっているのであって、嫌いなわけではないのです。

 

「自分は関わらない方がいい」と及び腰になってしまうこともあると思いますが、それは間違いです。うっとうしがられても、うざがられても、関わりを切らさないこと。なんでもお母さん任せにしないこと、お母さんを通じてお子さんに意見を伝えることをしないこと、ちゃんと自分が向き合うことを忘れないようにしましょう。

 

▶︎お父さんの役割は重要

ここまで不登校のお子さんに対してのお父さんの役割について述べてきました。お父さんの役割は「家族を支えること」そして「断ち切ること」です。

 

お母さんとお子さんを周りの雑音から守ること、そのためにお母さんの話に耳を傾けること、そしてお子さんがある程度元気になってきたら「チャレンジ」ができるように促進すること。そのためにお子さんの話しを聴く傾聴力を鍛えることです。

 

なかなか大変です。いえ、相当大変です。ただここを逃げずに取り組まれたご家庭は、その後の親子の関係性においても良好な関係を築かれます。親子が率直に思いを伝え合うことができるので、喧嘩をしたとしても、自然と仲直りしていきます。

 

逆に頑張るところで何もしなかった場合、お子さんはお父さんを見限るようになります。それはお子さんだけでなくお母さんもです。

 

「一番しんどいときに何もしてくれなかった」この思いは一生涯残ることになります。

 

お父さんも大変なのはわかります。ただお母さんだって、そしてお子さんだって本当に辛いのです。自分だけ逃げてはいけないのです。

 

お母さん任せにせず、自分にも役割があることを知っていただけたら嬉しいです。

 

▶︎お父さんのことで悩まれたらご連絡ください

お父さんとお子さんとの関わりに困っていらっしゃるお母さんも多いです。ここに書かれていることをやってほしいけれど、なかなか積極的に関わろうとしないお父さんが多いのもまた事実です。

 

なかなか理解が難しい場合は、一度ご連絡ください。お父さんが関わっていただくことの重要性について、私からもご説明いたします。

 

親子の関係は「包み込む」ことと「断ち切る」ことの両方が必要になります。それをお母さんが一人で抱え込むのは至難の業です。

 

お子さんのためにも、そしてこれからの家族のためにも、お父さんにご理解いただけるようにお伝えいたします。

 

「子どもと父の関係性が悪い」「旦那さんとうまく連携が取れない」そしてお父さんご自身が悩まれているときは無料カウンセリングをご利用ください。まずは課題を整理することから始めましょう。

 

 

不登校はお子さんからのメッセージでもあります。不登校やひきこもり経験を通して家族の力がぐっと深まることはよく起こることです。この機会に家族のあり方を一度見直してみましょう。

 

■プロフィール■
プロフィール写真

■略歴:
中学時代に不登校を経験。その後学校復帰。関西学院大学に合格する。大学卒業後、人材紹介会社にてマーケティング・人事を経験。

 

あるひきこもりの青年に出会ったことから、起業を決意し、専門的なカウンセリング・学習サポートを行うOFFICE NAKAGAWAを2011年2月に設立。公認心理師、産業カウンセラーの資格を有する。現在大阪市スクールカウンセラーを兼任。

丹波市看護専門学校非常勤講師を務める。

 

ひきこもりや不登校、発達障がいのご当人、並びにご家族のカウンセリング、学習サポートを行う。PTA、学校関係、行政関係など講演も行う。

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家庭内暴力からの脱出ガイドお子さんが不登校やひきこもり状態になると、最初は落ち込んだ状態から、やがて暴言や暴力行為がエスカレートすることがあります。

 

暴力行為について、どのようにお子さんへの向き合えばいいか、その対応の仕方についてについてお伝えします。

この記事でわかること

▶︎暴力行為の心理

▶︎暴力の向き合い方

▶︎これからの対応

この記事を書いた人:なかがわひろか
▫️不登校・ひきこもり専門カウンセラー
▫️学校・PTA・自治体での不登校・ひきこもり講演多数
▫️カウンセラーとして親に対する暴力行為を収めるなどの経験を持つ

 

【家庭内でよくある不登校のあるあるについてはこちらをご覧ください】

 

▶︎暴力行為を振るうまで

お子さんの暴力行為は、お子さんの不登校やひきこもりが始まり、数ヶ月ほど経った頃に現れます。

 

下の図をご覧ください。不登校やひきこもりを経験するお子さんがその状態から脱するまでの道筋です。

 

不登校・ひきこもり 立ち上がりまでの5段階

 

この図を見ると、どうして不登校やひきこもりが始まった頃に暴力が起こらないのかがおわかりだと思います。

 

不登校やひきこもりが始まった当初は、気持ちも落ち込み、趣味にも手をつけられず、睡眠もうまく取れない時期になります。そのため気力が減退し、何をやるのも億劫になったり、また急に涙ぐんだりと気持ちも不安定になります。

 

暴力を振るうのは体力が必要です。それをするだけの気力・体力が湧いてこないため、始まった当初は暴力行為に移ることは少ないと言えるのです。

 

良くも悪くもですが、ある程度元気がないとも言えます。もちろんだからと言って「暴力を振るえるほど元気になっている」と思ってほしいわけではありません。「おとなしい子だったのに」と思うようなお子さんが、間違った方向に元気さを振り回してしまうことがあることを知っておいてほしいのです。

 

【不登校の対応の基本についてはこちらの記事👇もご覧ください】

 

▶︎暴力を振るう心理背景

 

ではどうしてお子さんは暴力を振るうようになるのでしょうか。一つのモデルを提示します。

 

【暴力を振るうまでの心理】

 

①何らかのきっかけで不登校やひきこもりが始まる

②当初は「自分が弱いからだ」と自分を責める抑うつ状態になる

③過去のことを今の自分の状態を繋ぎ合わせ「あのときのことがあったからこうなった」と考えるようになる

④自分がひきこもっているのは「親が子育てを失敗したからだ」と考える

⑤親を責め、責任を取れと言う

⑥言葉だけでは足らず暴力行為に発展する

⑦暴力行為が継続される

これはあくまで一例になりますが、最初の頃は、自分を責めるようなことが続きます。しかしやがて今の自分の状態について「理由づけ」を行うようになります。

 

不登校の理由

こちらの図を見ていただくと、不登校にはさまざまな理由が存在します。本当はいろんなことが複雑に絡み合って起こるのですが、心理面、身体面、人間関係、また自分の性格に関連することの全てを「親の育て方」に転嫁するようになります。

 

過去の些細な親子のやり取りなどが思い起こされ、「あのとき本当はこうしてほしかったのに親は何も聞く耳を持たなかった」「あの発言は生涯許せない。あんなふうに言われたからこうなったのだ」と考えるようになります。

 

つまり「子育て」という原因があり「不登校・ひきこもり」という結果に繋がったと考えるようになるのです。

 

子育ての失敗の原因は親、と考えます。しかし父親は力も強いということもありますが、あまり関わりが少ない場合そちらに暴力が向かうことは少なくなります。そこでターゲットとなるのは力も弱く、そして一番自分と関わり、そして話しやすい「母親」に向かうようになります。

 

 

暴力は「一番弱い人に向かう」

お子さんの暴力行為や暴言というのは、家庭の中の「強い者」には向かいません。多くの場合その矛先が向くのは「お母さん」です。特に男の子の場合が多いと言えます。

 

最初は暴言です。「うるさい、さっさとやれ」「自分の言われた通りにしろ」「自分はこうなったのはお前のせいだから言うことを聞け」「お金をくれないと、万引きする」など直接母親に向かう言葉もあれば、⚪︎⚪︎をしなければ、犯罪を犯す、などと脅しの言葉を使うこともあります。また実際に脅しではなく、その行為を行うこともあります。

 

やがて、物に当たるようになり、自室の壁が穴だらけになります。それがリビングにまで及び、ドアの開け閉めをするだけでも大きな音を立てるようになります。

 

そしてついに対人に向かいます。最初は当たらないように投げていたものも当たるようになり、直接的に殴りつけたり、蹴りつけたりという暴力に発展していきます。これらが強い者(一般的にはお父さん)に向かうことはまずありません。また家族以外の人に及ぶこともないので、親戚のおじさんおばさんや、カウンセラーに対して振るわれることはありません。

 

家庭の中で一番弱いお母さんに向かうことが圧倒的に多くなります。

 

どうして「お母さん」に向かうか?

暴力を振るうお子さんの共通点は、もともと暴力的だったわけではないということです。どのくらい殴るとどうなるかという加減がこれまで喧嘩の経験がないのでわかりません。そのため、もし自分より強い人に殴り掛かったら、返り討ちにあう可能性があります。そのため自分の力でねじ伏せられる「母親」に向かうようになります。

 

また心理的な背景としても「母親は自分のことを警察に売らない」というある種ねじれた「信頼感」が存在します。

 

自分がこうなったのは親のせいだ、特に母親のせいだ、責任を取るために殴られても仕方がない。そして殴ってもどこかに訴えることはない。という思いがあるためより一層助長されることになります。

 

お母さんに暴力行為が向かうのは、お子さんの強い「甘え」が間違った形で表出された状態だと言えます。裏返すと、母親に甘えて一緒の布団で寝たがったりするのと種類は同じだと言えます。どちらも一定ラインを超えた「甘え」の現れでもあるのです。

 

 

暴力はいきなりは始まらない

ここでお気づきの方もいらっしゃるかと思いますが、暴力は最初は対人に直接及ぶわけではないのです。最初は暴言、そして物にあたるというところから始まります。それがやがて対人に直接的な暴力行為として行われるようになります。

 

実はここに暴力を収めるヒントが隠されているのです。それが「小さな暴力からNOの意思を伝える」ということになります。ここからは暴力に対する対応について考えていきましょう。

 

【家庭内暴力にかかわる自己肯定感について👇をご覧ください】

 

▶︎暴力の対応の仕方〜どんな暴力も認めないという意識を持つこと〜

 

暴力が継続されてしまう理由は「暴力を振るっても結局許される」からです。DVでも同じですが、例えばパートナーがもう一方のパートナーを殴ったり言葉の暴力で支配しようとするとき、「暴力を振るっても許された」経験があるから継続してしまいます。

 

結局は許されるのであれば、いろんな方法を用いることになります。よく聞かれることがあると思いますが、暴力を振るった後に過度に優しくなる、または「お前がいないとダメなんだ」と泣き落としをされることがあります。

 

こうすることで「許される」ことがわかっているため、このような態度に出るのです。そしてまた暴力は繰り返されます。以前よりもより酷い形となって。

 

暴力行為に向き合っていくためには「どんな理由であれ暴力は絶対に許さない」というマインドを持つことから始まります。ここがぶれてしまい「今の自分の発言が悪かったから怒らせてしまった」「この子は悪くない。悪いのは全部私」になると暴力行為は継続されることになります。そしてそれはよりエスカレートしていきます。

 

大事なお子さんのことだし、お子さんにも理由があると考えてしまう気持ちは特にお母さんは強く持たれます。ただ、暴力行為で気持ちを発散する方法が常態化するのは結局のところお子さんのひきこもりを長引かせることになります。外の世界では誰も暴力で屈服しないからです。

 

家の中でしか王様になれない状態になると、お子さんはより外の世界に一歩を踏み出すことができなくなります。

厳しい言い方になりますが、お子さんのためを思うならば、やはり暴力には断固として拒否の姿勢を示すことが必要となるのです。

▶︎暴力を抑える方法

暴力に対して断固たるNOの姿勢を見せるために必要なことがあります。それが「結果に重点を置く」という考え方です。

 

次の図をご覧ください。私たちの行動というのは以下の3つのポイントで「継続」もしくは「断念」されると考えられます。

 

三項随伴性

例えば私は今頑張ってブログを書いています。「①きっかけ:多くの人にひきこもりの暴力について知ってほしい」→「②行動:ブログを書いて知っていただく」という段階になります。

 

しかしもしせっかく書いたもののアクセスが0で誰も読んでいないということになるとどうなるか。おそらくもう書かなくなるでしょう。つまり「③結果:誰も読まない」ことでその行動は継続されなくなります。

 

専門用語で三項随伴性という言い方をしますが、結果次第で私たちの行動は増えたり減ったりするということを示しています。

 

暴力の対応に応用する

これを暴力の対応に応用して考えてみましょう。なんらかのきっかけでお子さんが暴力を振るいます。①きっかけ→②行動:暴力の流れです。

 

ここで「③結果:許す」ということになると、お子さんの暴力はさらに継続することになります。この「結果」の部分に変化を与えるようします。例えば以下のようにです。

 

暴力への対応 離れて暮らす

暴力を振るわれたら「お母さんは一週間ホテルで暮らします」と宣言して家を出てしまうのです。

 

こうなるとお子さんは「大変なことをしてしまった」と感じます。過去には「警察を呼ぶ」という結果を示すことで、暴力行為がぴたりと止んだこともあります。

 

「許す」という行為は暴力を助長させてしまいます。そのため、明確なペナルティを見せるようにすることが効果的となります。

 

 

ただし罰だけではいけない

「要するに罰を与えればいいんだな」と感じた方もいらっしゃると思います。端的に言えばそうなのですが、罰だけで人は行動を変えるわけではありません。また罰は与える側にも相応の心理的負担がのしかかります。

 

さらに上級編として、次の方法を推奨しています。

 

暴力の対応

例えばお子さんが怒るきっかけがあり、いつもなら暴力を振るうところを抑えたとします。そのときに「よくやった」「よく我慢できたね」と伝えるのです。罰の反対の「報酬」です。つまり「ご褒美」です。

 

私たちは罰だけを与えられると行動を変えることはありますが、気持ちとしては窮屈に感じストレスフルになります。罰も大事なのですが、それよりも大事なことが「できたときにちゃんと評価する」ということです。

 

どうしても私たちはよくない行動に目を向けてしまうので、うまくいっているときには思いが巡らないことがあります。そのためここは意識して見るようにする必要があります。

 

注意されるばかりではなく、褒められること。これが脳に「ご褒美」として作用します。これを「快感」と感じるようになり、その行動をより取ろうと思うようになります。

 

暴力の対応はNOを示すとともに、お子さんがうまく対応したときにはちゃんと「YES」の姿勢を見せることが効果的です。

 

▶︎他の発散方法を身につける(おすすめの3つの方法)

 

暴力に頼らず、気持ちの発散方法を身につける方法についても考えておきましょう。

 

①暴力の「代替行動」を身につける

例えば、クッションに顔を埋めて「ふざけるな!!!」と叫ぶ、柔らかいものに思い切りパンチする、という方法は、周りにうるさくもなく、ものも破壊しません。

 

また暴力は「ある程度元気があるからできる」とお伝えしました。有り余ったパワーを他に向けることも効果的です。例えばランニングをする、ボクシングなどのハードなスポーツを習ってみる、スイミングをする、筋トレをするなどです。これらは暴力とは関係なく心の元気をキープするためにも効果的です。

 

 

②呼吸法を身につける

深い呼吸法を身につけることで、気持ちの揺れを抑えることができるようになります。簡単にできることなので、ぜひ身につけてほしい方法です。

【呼吸法】

1.    まず椅子に姿勢よく座り、息を吐き出す

2. 鼻からゆっくりと息を吸う(4秒くらい)

3. 鼻、もしくは口(どちらか楽な方)からゆっくりと息を吐く(8秒くらい)

4. 吐ききったら、また息を吸う(5分〜20分ほど繰り返す)

※色々なことが頭に浮かんでも、考えないようにしようと思わず全て受け入れていく

日常的に取り組むことで、落ち着いた状態をキープすることができます。

 

 

③他の考え方が浮かぶ方法を身につける

暴力の源には「怒り」が存在します。そして怒りには「背景になる思い」が存在します。例えば嫌なことがあったときに過去のことがフラッシュバックし、それが怒りにつながり暴力を振るうことがあります。

 

そんなときに「これは過去とは関係のないことだ」と思えるようになると、怒りにまで達さなくなる可能性があります。私たちは数ある考え方の中の一つを選んでいるに過ぎません。他の考え方、捉え方があるということを身につけるのも有効な方法となります。

 

【不登校やひきこもり対応に疲れた親御さんへのメッセージはこちらです】

 

▶︎これからの付き合い方

以上暴力の心理や対応についてお伝えしてきました。暴力に関してはどんな些細なものであっても、それはやめさせるように働きかけることがお子さんのためにもなります。

 

一方で、お子さんも暴力を振るわないといけないほどの心理的な負担を抱えています。暴力はダメだけれど、お子さんの思いを聴き、お子さんが抱えていることを知ろうとすることは必要なことになります。この姿勢は忘れないようにしましょう。

 

【お子さんとの対話のコツはこちらの記事をご覧ください】

 

▶︎お子さんの暴力に悩まれている方はご連絡ください

お子さんの暴力で、家族の対話がうまく進まない方は是非一度ご連絡ください。当事業所は無料カウンセリングをご利用いただけますので、まずはそちらで私の人となりを知っていただき、今後の対応について具体的な道筋を見つけていきましょう。

 

過去に怪我をするほどのひどい暴力関係があったけれど、対応を進めることでぴたりとなくなり、今では良好な親子関係を築かれている方々もいらっしゃいます。

 

方法は見つけ出せます。行き詰まっている方は一緒に考えましょう。

 

\無料カウンセリングは👇からどうぞ/

 

■プロフィール■
プロフィール写真

■略歴:
中学時代に不登校を経験。その後学校復帰。関西学院大学に合格する。大学卒業後、人材紹介会社にてマーケティング・人事を経験。

 

あるひきこもりの青年に出会ったことから、起業を決意し、専門的なカウンセリング・学習サポートを行うOFFICE NAKAGAWAを2011年2月に設立。公認心理師、産業カウンセラーの資格を有する。現在大阪市スクールカウンセラーを兼任。

丹波市看護専門学校非常勤講師を務める。

 

ひきこもりや不登校、発達障がいのご当人、並びにご家族のカウンセリング、学習サポートを行う。PTA、学校関係、行政関係など講演も行う。

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人間関係を深める3つの傾聴力

 

この記事では、傾聴を学ぶ方にとって意識しておきたい「3つの力」についてお伝えしています。

 

傾聴について、基本編である「9つのコツ」をご覧いただいてから読んでいただけるとより理解が深まります。

 

【傾聴の基本9つのコツについて👇】

 

お子さんのより深い思いを聴くための方法を学んでいきましょう。

 

この記事でわかること

▶︎傾聴に絶対に必要な3つの力

▶︎3つの力の詳細について

▶︎それぞれのポイントについて

この記事を書いた人
▫️不登校・ひきこもり専門公認心理師なかがわひろか
▫️学校・PTA・自治体での不登校・ひきこもり講演多数
▫️自治体やNPO団体にて傾聴トレーニング研修を行う

 

▶︎傾聴に必要な「3つの力」について

 

傾聴には絶対に不可欠な3つの力が必要とされます。それが「受容力」「共感力」そして「率直力」です。

 

傾聴の3つの力

この3つの力がうまく発揮されることで、お子さんとの向き合い方に変化が訪れるようになります。

 

逆に今お子さんとの話し合いがうまく進まない方は、このうちのどれか、もしくはすべてが欠けている状態の可能性があります。

 

それぞれの力について詳しく見ていき、今のご自身の傾聴力をチェックしてみましょう。

 

第1の力:受容力

受容力とは「まず相手の考えをすべて受けとめること」です。「まず」という点がポイントです。

 

実はお子さんとの対話において最も重要なことがこの受容力だと考えています。以下の項目をチェックしてみましょう。

 

【受容力チェック項目】

1. お子さんの話を「まず」丸ごと受けとめているか

2. つい「いやそれは違うよ」と反論していないか

3. 親としての意見を伝えてはいけない、と思っていないか

 

細かく見ていきましょう。

 

 

1. お子さんの話をまず丸ごと受けとめているか

受容のポイントは「丸ごと受けとめているか」です。「学校が嫌だ。行きたくない。」とお子さんが言ったときに「そうか、嫌で行きたくないんだね」というのが受容です。

 

まず大事なことはお子さんの思いを「受ける」ことです。対話はキャッチボールに例えられますが、対話がうまくいっていない親子関係には間違いなくこの受容が無いことが挙げられます。

 

お子さんが投げてくれたボールを無視して、自分が投げたいボールを投げつけている状態です。

 

そうではなく「まず」「受ける」のです。どんな思いを発言したとしても「そうか、そう思っているんだね」と受けとめることが、受容の鉄則になります。

 

 

2. つい「いやそれは違うよ」と反論していないか

ここでやってしまいがちなことが、「行きたくないって、そんなことを言っていたら高校に行けなくなるよ?」とつい反論していないでしょうか。

 

お子さんの「行きたくない」という思いを受けとめる前に、ご自身の意見をぶつけ反論している状態です。

 

「まず」「受ける」ができていない状態です。お子さんが「行きたくない」という不安を、勇気を出して思いを伝えてくれたのに「そう思うのは間違いだ」と反論されたら、みなさんだったらどう感じるでしょうか。

 

反論をしてはいけないということではありません。自分の意見を伝えることは大事です。ただその前にやるのは「まず」「受ける」です。この「まず」の部分を何よりも意識するようにしましょう。

 

 

3. 親としての意見を伝えてはいけない、と思っていないか

先ほど「反論してはいけないわけではない」とお伝えしました。受容=自分の意見は伝えないと感じてしまう人が多いのもまた事実です。

 

しかし親の意見は伝えてはいけないものでしょうか?私はそう思いません。むしろ親としての意見も伝える必要があると思っています。

 

「まず」「受ける」ができてさえいれば、むしろ親の意見は伝えてほしいと思います。この率直力については3つ目の力でご説明します。

 

よくある受容の誤解

 

受容のお話をすると、必ずこのような意見が出てきます。「子どもの言うことを全部受けとめていたら、言いなりになってしまう」。

 

実はこのご意見は、受容の本質を誤解していることから生じています。

 

言いなりとは「子どもから言われたことにただ従うこと」です。「学校に行きたくない」と言われたら「じゃあ行かなくていいよ」と言うのが「言いなり」の状態です。

 

受容は違います。

 

「学校に行きたくない」と言われた「行きたくない」という気持ちを「そうか、行きたくないんだね」とありのままに受けとめることです。

 

受けとめたあとに「お母さんはこのように思うよ」と親の率直な意見を伝えます。これだと言いなりになることはありません。親の意見も伝えられているからです。そして子どもさんも自分の気持ちを受け止めてもらえた、と感じられます。

 

繰り返します。受容することと言いなりになることは、全く別物です。受容した上で、お子さんの要望に対して意見を伝えることは両立できるものです。この誤解をしないように気をつけましょう。

 

第2の力:共感力

 

受容した上で、さらにお子さんの思いに耳を澄ませることができると、お子さんの安心感はさらに大きくなります。その際に必要なことが「共感力」です。

 

共感とは「あたかも自分も感じているように感じること」を指します。まったく同じように感じることではなく「あたかも」という点がポイントです。

 

お子さんの「悲しい」「辛い」「苦しい」という思いを「しんどいよね」「悲しいよね」と受けとめることが共感です。

 

共感がどうして必要かというと、「自分のことをわかってくれる」という安心感・信頼感につながるからです。

 

親子のベースはこの「安心感」にあります。安心を感じられることで、心に余裕を生み出すことができます。余裕があれば、チャレンジしようという行動力も生まれてきます。

 

ではその共感力を高めていくために必要なことを考えてみましょう。ここで共感力のチェック項目について挙げてみましょう。みなさんはいくつ当てはまるでしょうか。

 

【共感力チェック項目】

1. 自身が共感された経験を持っている

2.   お子さんの「感情の言葉」を伝え返している

3.   共感できるところについてきちんと共感し、そうでないところを無理やり共感しない

共感力を高めるためには、ここにあげたチェックポイントを一つでも多く体験できていることが重要になります。

 

もし一つも当てはまらなかったという方がいらしたら、今日から一つ一つ押さえていくようにしましょう。

 

 

1. 自身が共感された経験を持っている

共感力を高めるために、一度振り返っていただきたいことがあります。それが「過去に共感された経験」です。

 

どんなときに「共感してもらえている」と感じられたでしょうか。友達、恋人、パートナー、親、先生……過去に相談した相手に対して信頼感を持てたのはどんな人だったでしょうか。

 

共感するために必要なことは「共感されたことがある」という経験です。どうしてこれが必要かというと、共感してもらえた経験がない限り、何が共感されている状態かがわからないからです。

 

雪国の寒さを知らない東南アジアの人に「そんな格好じゃ生きていけないよ!」と言ってもピンとこないでしょう。冬の寒さは体感した人でないとイメージできません。

 

もし共感の経験がない方は、一度カウンセラーに相談してみるのもいいでしょう。カウンセラーは共感のプロなので「なるほどこれが共感か」と感じることができるでしょう。

 

2.   お子さんの「感情の言葉」を伝え返している

共感で気をつけないといけないのが「自分が共感している」ことと「相手が共感してもらっている」と感じるのは別だということです。

 

いくらこちらが共感していると思っていても、相手はそう感じていないこともあります。ではどうやったら「共感してもらえている」と相手が感じてくれるでしょうか。

 

ヒントは「感情の言葉」にあります。感情の言葉とは「悲しい」「辛い」「苦しい」という一語で表現できるものです。もちろん「楽しい」「嬉しい」という言葉も入ります。

 

この言葉が話の中で出てきたときに「苦しいんだね」「悲しいんだね」「それは嬉しかったね!」と伝え返してみましょう。

 

私たちはどうして人に話を聞いてもらいたいかというと、感情に動きがあったからです。嫌なことや嬉しいことがあるときに誰かに話を聞いてもらいたくなります。

 

だからこそ感情を汲み取ってもらえると「共感してもらえた」と感じやすくなるのです。

 

 

3.   共感できるところについてきちんと共感し、そうでないところを無理やり共感しない

ここまで共感の重要性についてお伝えしてきましたが、何でもかんでも共感すればいいということにはなりません。共感で一番やってはいけないことがあります。それは「嘘をつくこと」です。

 

例えばお子さんが「学校は嫌だ。行きたくない。」と言ったとき、親として学校には行ってほしいと思っているのに「そうだね。嫌だね。行きたくないね」というのは「嘘」になります。

 

表面上だけ合わせていても、こういった嘘はふとしたきっかけで見破られます。嘘はつかないことが共感の鉄則になります。

 

共感できない部分については受容力を発揮するようにします。「そうかそう考えているんだね」と受けとめるにとどめるようにします。

 

第3の力:率直力

 

率直力とは「自分の思いをありのままに話す力」です。お子さんが不登校状態になると、どうしても親子の対話に緊張感が生まれます。

 

率直力について以下の項目をチェックしてみましょう。

 

【率直力のチェック項目】

1. 学校や勉強のことを遠慮していないか

2. 本当に伝えたい思いを掘り下げられているか

3. 自分を主語にした言葉で伝えられているか

 

 

1. 学校や勉強のことを遠慮していないか

「学校のことを話してはいけないのではないか」「勉強や進路のことを話すと辛くなってしまうのではないか」親御さんはこのように思います。

 

そしてこれはお子さんも同じです。「親は本当は学校のことを話したいけれど、遠慮しているんじゃないか」「本当は勉強をしてほしいけれど、無理しているんじゃ無いか」と感じます。

 

お互いが表面上は仲良くできていたとしても、「腹の底では何を思っているんだろう?」と勘ぐり合う状態が生まれてしまいます。

 

この状態があると「今は休もうね」と親に言われても「でも本当は行ってほしいと思っているんじゃないか?」と疑心暗鬼の思いが出てきてしまいます。

 

この状態を避けるために、親子の対話において「率直さ」は重要なものになります。私はむしろ学校や勉強のことを話せるようになることが大事だと考えています。ただし率直な思いを伝える前にぜひやっていただきたいことがあります。

 

 

2. 本当に伝えたい思いを掘り下げられているか

例えば本音として「学校に行ってほしい」と思っていた場合、「どうしてそう思うのか?」と自分に問いかけてみましょう。

 

「勉強してほしいから?」「友達と楽しく過ごしてほしいから?」「学校にはみんなが行っているから?」「将来のことを考えて行く方がいいと思うから?」このように何度もご自身に問いかけてほしいのです。

 

最低でも5回は問いかけてみましょう。どうしてそう思うのか、何がそう思わせているのか、問いかけます。何度も問いかけた先にあるのが、親としての本音の思いになります。

 

しっかりと掘り下げることができたら「ただ学校に行ってほしい」が「自分の人生の選択肢を広げるために、多くの人と出会って刺激を受けてほしい。そのために学校という場にも行ってほしい」とより具体的に整理されます。

 

伝える前に、どうしてそう思うのかについて、しっかりと掘り下げることが重要なのです。

 

 

3. 自分を主語にした言葉で伝えられているか

自分を主語とにした言葉とは「私はこう思う」と「私は」を主語にすることです。世間の一般論ではなく「私はこう思う」と伝えることです。英語で「アイメッセージ」と言います。

アイメッセージの「アイ」は英語の「I」です。

 

どうして自分を主語にした言葉が大事でしょうか。お子さんも、学校に行った方がいい、勉強した方がいいというのはよくわかっているのです。世間の常識としてもそれらが存在することを知っています。

 

だからこそ親には、世界で唯一の自分だけの親としての意見を伝えてほしいのです。世間の一般論を言われても正論にしか聞こえず、響くことはないのです。

 

世間の声を聞きたいのではなく、親の意見を聞きたいのです。だからこそアイメッセージが必要になります。

 

より良いアイメッセージの方法としては「私はこのように思うよ」と自分を主語について伝えるようにします。そしてその後に「あなたはどう思う?」と意見を尋ねるようにします。

 

こうすることで親としての意見を伝えてくれた上で自分の意見も聴こうとしてくれているとお子さんは感じられるようになります。

 

▶︎3つの力を常に意識しましょう

 

 

「受容力」「共感力」そして「率直力」の3つについて詳しくお伝えしてきました。この3つの力については、常に意識しておいてほしいなと思います。

 

「今日はうまく話が進まないな」と感じるときは、この3つの力のどれか(またはすべて)が欠けているときです。そんなときこそ、このブログを読み返してみてほしいと思います。

 

対話力、傾聴力を高めるのは日々の意識が何より重要です。意識して話そうとするのとそうでないのとでは、数ヶ月後、一年後の関わり方がまったく異なってきます。

 

まず「受ける」こと。そして感情の言葉に着目すること。そしてご自身の考えを深掘りしておくこと。今からできることがあります。早速実践してみましょうね。

 

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傾聴がうまくできない、子どもの気持ちがわからない、そんなお悩みをお持ちの方は、一度ご連絡ください。当事業所では無料カウンセリング(30分)を実施しております。こちらをご活用いただき、課題を整理していきましょう。

 

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■略歴:
中学時代に不登校を経験。その後学校復帰。関西学院大学に合格する。大学卒業後、人材紹介会社にてマーケティング・人事を経験。

 

あるひきこもりの青年に出会ったことから、起業を決意し、専門的なカウンセリング・学習サポートを行うOFFICE NAKAGAWAを2011年2月に設立。公認心理師、産業カウンセラーの資格を有する。

 

ひきこもりや不登校、発達障がいのご当人、並びにご家族のカウンセリング、学習サポートを行う。PTA、学校関係、行政関係など講演も行う。

 

初めまして、不登校・ひきこもりカウンセラー(公認心理師)なかがわひろかです。

 

今このブログをお読みいただいている方は、お子さんの不登校のことで日々悩んでいらっしゃると思います。

 

私はあるひきこもりの青年と出会ったことをきっかけに「心の問題で悩む人たちの助けになりたい」と思い心理相談室OFFICE NAKAGAWAを2011年に立ち上げました。これまで12年以上にわたって親子のサポートや8050問題にも取り組んでいます。

 

学校に行けなくなったとき、お子さんも親御さんもどうしていいかわからなくなると思います。

 

私が得意としている分野は次の3つです。

1. 不登校やひきこもり、またそのご家族のケア

2. 心理療法を応用した学習サポート

3. 親子の関わり方

今が一番辛い時期だと思います。でもきっと脱け出すことができます。どうやったらいいのかという「具体的な方法」について一緒に考えていきましょう。

 

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41万人の不登校

先日2024年10月末に文部科学省より、2023年度の小中高の不登校数について発表されました。今の日本の不登校の実態について、整理してみましょう。

(出典:文部科学省,令和5年度児童生徒の問題行動・不登校等生徒指導上の諸課題に関する調査結果概要

【この記事でわかること】

▶︎2023年度の不登校の実態

▶︎不登校の要因

▶︎不登校の展望

この記事を書いた人:なかがわひろか
▫️不登校・ひきこもり・発達障がい専門カウンセラー
▫️学校・PTA・自治体での不登校・ひきこもり講演多数
▫️何年、何十年にも渡るひきこもり対応の実績を持つ

 

▶︎41万人を超えた不登校数

2023年度の不登校数
 
2023年度において、不登校の数は小中高を合わせて415,252人となり、初めて40万人を超えました。10年前(2014年度)は同合計で176,053人だったので、この10年で2.4倍に増えています。
 

各学校の不登校数

各学校における不登校数は以下の通りです。
(%は全児童・生徒の中の割合)
 

【不登校の人数】

小学校:130,370人(2.14%) 47人に1人
中学校:216,112人 (6.71%)  15人に1人

高校 :  68,770人(2.35%) 43人に1人

 

 
不登校の定義(文部科学省)

不登校の定義

 
定義の読み方

統計は定義をもとにして取らないと、基準がなくなりデータを取得することができなくなります。そのため不登校においては上記のような定義となっています。

 

そのため「年間30日以上欠席した者」とされています。しかしながら、ここには注意が必要です。

 

通常学校は年間35週ほど通うことになります。例えば週に1日に休む子は、年間35日休むことになりますので、「年間30日以上欠席した者」に入り定義上は「不登校」となります。

 

週に1回は休むけれど、他の曜日の授業に出席できていれば、授業に大きく遅れることはないでしょう。全体の8割通えていることになるので、おそらくそこまで心配はされないのではないでしょうか。

 

一方、毎日学校には行くけれど、それは放課後の数十分であったり、別室や保健室で1時間ほど過ごして帰るというパターンの場合は欠席とはならず、遅刻、もしくは早退扱いとなります。欠席ではないので、通知表を見ると「欠席は0日」となります。この場合定義上は不登校には入らないことになります。

 

しかしこのようなお子さんのことは心配される方がほとんどではないでしょうか。定義は統計を取る以上必ず必要になるものなのですが、もし遅刻、早退も含めると、この数は少なくとも1.5倍から2倍(60万人から80万人)くらいになるのではないか、と考えられます。

 

▶︎小・中学校における不登校の状況について

不登校の要因として考えられる主なもの(上位5つ)は以下のものが挙げられます。

 

①学校生活に対してやる気が出ない等の相談があった(32.2%)

 

②不安・抑うつの相談があった(23.1%)

 

③生活リズムの不調に関する相談があった(23.0%)

 

④学業の不振や頻繁な宿題の未提出が見られた(15.2%)

 

⑤いじめ被害を除く友人関係をめぐる問題の情報や相談があった(13.3%)

2022年度までは、「無気力・不安」が要因として過半数を超えていたのですが、「なぜ無気力になるのか?」についてが統計ではわかりませんでした。

 

2023年度においては、もう少し詳しく検討されるようになりました。

 

「学校生活に対してやる気が出ない等の相談があった」「不安・抑うつの相談があった」「生活リズムの不調に関する相談があった」が上位3つを占めます。

 

ただこれでもまだ「どうしてやる気が出なくなったのか」「どうして不安・抑うつになったのか」「どうして生活リズムが不調になったのか」についてはわからない状態のままです。

 

不登校の要因

 

この図を見ていただくと、「やる気が出ない」や「不安・抑うつ」などというのは「表面化」の部分に当たります。

 

どうしてそうなったのか?の部分には、さまざまな要因が考えられます。大きく①心理面②身体面③社会面④個人面⑤家庭環境が挙げられます。

 

そしてそれぞれにもまた細かいものが考えられます。

 

 
不登校の理由のシフトチェンジ

 

 

不登校の本当の理由というのは、実はすぐにはわかりません。「友達に嫌なことを言われた」「勉強についていけない」など何らかのきっかけで不登校が始まります。

 

それが長期化し、当初の「きっかけ」が解消としたとしても学校に行けない場合は、きっかけはきっかけに過ぎず本当の理由ではないことがわかります。

 

元々の理由が本来の理由ではなく、時間が経つことで初めてわかることもあります。

 

 
いじめという背景▶︎スクールカウンセラーの上手な活用方法
2023年度 いじめの認知件数
 
不登校の理由として、いじめが上がることは実は多くはありません。しかしながら、追跡調査によると、後になってから「実はいじめがあった」と話されるケースも少なくないのです。
 
不登校の理由はそう簡単にわかるものではありません。時間が経ってから初めてわかることもあります。
 
安易な犯人探しに意味はありません。理由はあるけれど、簡単に結論づけず、今のお子さんに対して何ができるか、という視点を大事にしていきましょう。
 

▶︎19万人以上の90日以上の欠席者(小中学校)

調査においては、日数による分類もなされています。

 

【日数別の欠席者数】

30日〜49日:77,426人(小学校:38,640人 中学校:38,786人)

50日〜89日:78,664人(小学校:34,119人    中学校:44,545人)

90日〜   :190,392人(小学校:57,611人 中学校:132,781人)

90日以上休んでいる子どもたちは、小学校で44.2%、中学校で61.4%となっています。

※%は、不登校児童・生徒における割合

 

ご覧いただいてわかるように、不登校児童・生徒の中で、90日以上の欠席者が最も多い割合を占めていることがわかります。

 

【90日以上欠席している児童・生徒の出席日数】

11日以上:154,124人(小学校:47,654人 中学校:106,470人)

1〜10日  : 25,537人(小学校:6,606人 中学校:18,931人)

0日   :   10,731人(小学校:3,351人 中学校7,380人)

全く出席できない状態でいる児童・生徒が、小学校で2.6%、中学校で3.4%います。

 

 なお、"「児童生徒指導要録」の「出欠の記録欄」のうち、「備考」欄に、校長が出席扱いと した日数が記録されている場合は、その日数に ついては「欠席日数」に含める。"とされています。

これは学校が提携を結んでいるフリースクールや適応教室への出席は、ここでは欠席日数としているということになります。

 

▶︎専門的な相談をした人は61.2%

スクールカウンセラーや、学校外の施設(病院・カウンセリングルーム・フリースクールなど)に相談した人の割合は、61.2%となっています。

 

不登校を経験している子どもたちのおよそ6割が相談していることになります。実はこの数字は、年々減っています。

 

【学校内外の機関等で専門的な相談・指導等を受けた児童・生徒】

2019年度:70.4%

2020年度:65.7%

2021年度:63.7%

2022年度:61.8%

2023年度:61.2%

コロナの影響もあり、2020年度には大きく減っており、そこから微減している状態です。急増している不登校に、対応しきれていない現実が浮かび上がってきます。

 

▶︎高校生の不登校

 

高校生の不登校は、およそ5万人台が横ばい状態だったのですが、2023年度に68000人を超える状態となっています。

 

高校生の不登校の要因として考えられる主なもの(上位5つ)は以下のものが挙げられます。

①学校生活に対してやる気が出ない等の相談があった(32.8%)

 

②生活リズムの不調に関する相談があった(26.7%)

 

③不安・抑うつの相談があった(16.7%)

 

④学業の不振や頻繁な宿題の未提出が見られた(15.4%)

 

⑤いじめ被害を除く友人関係をめぐる問題の情報や相談があった(11.0%)

小中学校に比べて、②と③の順位が入れ替わっています。

 

日数による分類は以下の通りです。

【日数別の欠席者数】

30日〜49日:39,360人(57.2%)

50日〜89日:18,606人(27.1%)

90日〜   :8,839人(12.9%)

高校生の場合は、出席日数が足りないと留年になります。このことを理由に中途退学に至る場合もあります。

 

【中退・留年】

不登校生徒のうち中途退学に至った者:11,746人(17.1%)

不登校生徒のうち原級留置(留年)になった者:3,384人(4.9%)

高校で不登校になった生徒さんの約20%は中退、もしくは留年する傾向があります。

 

▶︎小中高の自殺児童・生徒は397人

 
小中高の自殺数(2023年)
2022年度(令和4年度)をピークとして、微減しています。しかしながら、文部科学省の数字と、警察庁の数字は異なります。
 
警察庁の統計を見ると、500人が超えている状態です。今日本の10代の方の死因の一位に来るのが、「自殺」となっています。
 
この数値は、諸外国と比べても高い数値となっており、若者の心の健康が冒されていることを示唆する数字となります。
 

▶︎今後の展望〜不登校対応にできること〜

 

 
① 早期の発見

 

不登校は休みだしてから、一気に進むこともあります。そのため、できるだけ早くその子が抱えている悩みや不安、苦しみに気づくことは重要になります。

 

自治体によっては、タブレットで毎日の心の健康を入力し、学校側がメンタル不調の子どもたちを見つけ出す仕組みを作っているところもあります。

 

また先生方や親御さんの「勘」も重要なものになります。「ちょっといつもと違うな」という小さな違和感を大事にしていきましょう。

 

【不登校の親御さんの心理について👇をご覧ください】

 

 
② 子どもたちの気持ちを聴く体制づくり

子どもたちの社会は、大人が思っている以上に複雑であり、毎日のように関係性に変化が訪れます。

 

小学校高学年や、中学生くらいになると、親や先生よりも友だちとの関係性の方が重要になります。

 

大人に気づかれないような行動も増えていきます。一方で、まだ大人の庇護されないと生活していけない部分もありますし、また甘えたい思いも持っています。

 

「話したいことはいつでも聴く」という体制づくりを普段から見せておくことは重要ですし、また大人の方から「なんかあった?」と聴くことも必要です。「お話タイム」と称して、ドライブなどに出かけるのもいいです。「頼れる人がいる」と子どもたちが実感することが子どもたちの心の支えになります。

 

【お子さんとの傾聴方について👇をご覧ください】

 

 

③ 家庭と学校の協力体制づくり

不登校対応において最も重要な観点と言っても過言ではありません。学校とご家庭が密に連携することができると、学校が安全な場所として機能しやすくなります。

 

気になることがあったら、担任の先生と話をすることも必要です。「今何ができるか」「それはどこにつなげていくためのものか」をお互いに共有することが、子どもたちの安心につながります。

 

また、スクールカウンセラーの活用も検討していきましょう。担任の先生や管理職の先生に伝えると、段取りをつけてくれます。

 

【スクールカウンセラーの活用法は👇をご覧ください】

 

④ 不登校は「その子にとって必要な休息期間」

不登校は決してサボりではなく、「これ以上頑張ったらもうおかしくなってしまう」という状態を避けるための行為だと言えます。そのため学校を休むのはお子さんにとって必要な時間になります。

 

ただ、その期間が長すぎてしまうと、お子さんは学習の機会や、友だちと関わる時間を減らすことになります。

 

これだけ休んだら大丈夫、と明確な期間は言えませんが、1ヶ月〜2ヶ月を一つの目安とし、お子さんが暇を感じられるようになってきたら、再登校に向けての準備を考えていきましょう。その際に、専門家や、スクールカウンセラー、担任の先生方と話し合いながら役割分担し、関わるようにしていきましょう。

 

【不登校対応の基本については👇をご覧ください】

 

▶︎数字から見る子どもたちが置かれている社会

これらの数字を見ることによって、今の子どもたちが置かれている状況が垣間見えてきます。
 
今の学校生活を送る中で、やる気を失い、生活のリズムが崩れることを要因として、不登校になっていることがわかります。
 
また、4割近い子どもたち(そしてそのご家族)が、「どこにも相談できない状態」にいることがわかります。
 
個別の状態については、一人一人を見ていく必要があります。しかしながら社会の傾向を見る上ではこういった統計は必要となります。数字を読み解く力をつけていきたいですね。
 

▶︎不登校のご相談は無料カウンセリングをご利用ください

 
不登校の対応についてご相談されたい方は、無料カウンセリングをご利用ください👇
 

 

■プロフィール■
プロフィール写真

■略歴:
中学時代に不登校を経験。その後学校復帰。関西学院大学に合格する。大学卒業後、人材紹介会社にてマーケティング・人事を経験。

 

あるひきこもりの青年に出会ったことから、起業を決意し、専門的なカウンセリング・学習サポートを行うOFFICE NAKAGAWAを2011年2月に設立。公認心理師、産業カウンセラーの資格を有する。現在大阪市スクールカウンセラーを兼任。

丹波市看護専門学校非常勤講師を務める。

 

ひきこもりや不登校、発達障がいのご当人、並びにご家族のカウンセリング、学習サポートを行う。PTA、学校関係、行政関係など講演も行う。

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スクールカウンセラーの活用法

現在日本全国の小中高のほとんどにスクールカウンセラーが配置されています。お子さんが学校に行きづらくなったとき、勉強の課題があるとき、生活面で心配があるときに、スクールカウンセラーに相談することを検討されることもあると思います。

 

今日はスクールカウンセラーとの上手な付き合い方についてお伝えします。

この記事でわかること

▶︎スクールカウンセラーの役割

▶︎上手な活用の仕方

▶︎引き継ぎの際にやっておくこと

この記事を書いた人:なかがわひろか
▫️発達障がい・不登校・ひきこもり専門カウンセラー
▫️学校・PTA・自治体での不登校・ひきこもり講演多数
▫️何年、何十年にも渡るひきこもり対応の実績を持つ

 

▶︎スクールカウンセラーとは?

 
1990年代後半から、日本ではスクールカウンセラーが配置されるようになりました。現在小中高のスクールカウンセラーの配置は9割以上の学校でなされている状況です。
ただし勤務時間は、4時間のところもあれば6時間、8時間とまちまちです。また週に1度のところもあれば、2週間に1度、月に1度程度の学校もあります。
 
このブログをお読みの皆さんも、「スクールカウンセラーはどんな人がよくわからない」と思われている方も多いと思います。勤務の日時が限られているため、よほどタイミングが合わない限り会うこともないと思います。
 
ではスクールカウンセラーは何をする人でしょうか?実際の役割を見ていきましょう。
 
 

スクールカウンセラーの主な業務

スクールカウンセラーは具体的にどんなことをやっているのか、疑問に思われる方も多いと思います。

 

文部科学省では、"スクールカウンセラーは、1~7のような児童生徒が抱える問題に学校ではカバーし難い多くの役割を担い、教育相談を円滑に進めるための潤滑油ないし、仲立ち的な役割を果たしている。 "としています。

 

 

【スクールカウンセラーの主な役割】

1.  児童生徒に対する相談・助言

2. 保護者や教職員に対する相談(カウンセリング、コンサルテーション)

3. 校内会議等への参加

4. 教職員や児童生徒への研修や講話

5. 相談者への心理的な見立てや対応

6. ストレスチェックやストレスマネジメント等の予防的対応

7. 事件・事故等の緊急対応における被害児童生徒の心のケア

この中でみなさんが関わる場合は、1.と2.の場合ですが、実は児童生徒さんや、保護者の方の相談というのはスクールカウンセラー業務の一部なのです。

 

相談がないからと言って暇なわけではなく(実は結構忙しいです)、気になる生徒さんがいるクラスの巡回や、休み時間や給食の時間、掃除の時間などに学校をまわり、生徒さんと関わることもあります。また教職員の先生方の相談も重要な役割です。

 

心の専門家として、さまざまな相談業務に当たるのがスクールカウンセラーの役割になります。

 
学校の黒子としての存在

スクールカウンセラーの役割は、児童生徒さんや保護者の方のカウンセリングだけではありません。先生へのコンサルティングも仕事内容になります。

 

直接的にスクールカウンセラーと関わりがなかったとしても、実はみなさんの目には見えないところで、先生方に心の専門家としてアドバイスをしていたり、会議に出席して方向性を助言したりもしています。

 

「スクールカウンセラーに相談してもあまり意味がなかった」というご意見も親御さんからお聞きすることはあります。ただ直接的にアドバイスがなかったとしても、先生を通して間接的にサポートしている場合もあります。

 

スクールカウンセラーは公立学校の場合多くとも週に1回、少ないと月に1回程度しか学校に来ることはありません。一方で先生方は、毎日子どもたちに接しています。子どもたちへの対応の主となるのはあくまで先生方です。学校の「黒子的存在」としてスクールカウンセラーは存在していると言えます。

 

 
学校と児童生徒・保護者との中間の存在

スクールカウンセラーは多くの自治体において、準公務員扱いになり、学校の一員となります。しかし先に述べたように多くとも週に1回、多くは隔週から1ヶ月に1度の勤務になるため、学校の一員とは言いながらも、程よく学校と距離が置ける存在でもあります。

 

児童生徒さんや保護者の方と学校をつなぐ中間的な存在としても位置しています。そのため学校に言いづらいことを相談することもできます。スクールカウンセラーには守秘義務があるため、いじめや子どもたちの命に関わることではない限り秘密は守られます。

 

学校に言いにくいことも相談し、うまく学校と関わりを持たせる機能も持ち合わせているのです。

 

▶︎スクールカウンセラーを活用するメリット

 

スクールカウンセラーを活用するメリットとして、以下のものが挙げられます。

 

▫️無料で継続的な相談ができる

▫️学校の先生との関わりをスムーズにつなげてくれる

▫️市の相談機関や病院にもつないでくれる

▫️子どもたちにとって学校に居場所的な存在にもなる

民間のカウンセラーは費用がかかります。しかしスクールカウンセラーは、日時が限定されているとはいえ利用は全て無料です。先生方とも密接に関わっているため、活用するのはメリットの方が大きいと感じています。迷われたらぜひ活用いただきたいと思っています。

 

▶︎スクールカウンセラーの上手な活用方法

1. すごく困ってからじゃないと相談してはいけない、わけではない

 
 
スクールカウンセラーの活用と聞くと「学校に長期に渡っていけなかったり、問題行動を起こすなどかなり深刻な状態じゃないと相談してはいけない」と思う方もいます。
 
「こんなことで相談してもいいんだろうか?」と迷われる時点でも一度お願いしてみることをお勧めします。一般的には担任や教頭先生を通して面談予約をすることが多いと思います。
 
相談してみて「そこまで心配はいらない」ということがわかればそれは安心材料となります。「こんなことで相談してはいけない」ではなく「相談するかどうか迷った時点で相談してみる」ようにしてみましょう。
 

2. 心理の専門家としてのアドバイスを受けられる

 
学校には教育のプロである先生がいます。また心身のケアをしてくれる養護の先生もいます。そしてスクールカウンセラーは「心理面のサポート」を行います。
 
心理面のサポートには、心の健康の他にも、集中力を高める方法や、学習方法について、またアンガーマネジメントなど怒りのコントロールの方法なども含みます。
 
また病院にかかっている場合は、病院の医師と専門的なやりとりを介し、わかりやすく教職員に伝えるという存在でもあります。
 
教育とも医療とも異なる心理面のアプローチを受けられるのもスクールカウンセラーの役割の一つです。
 

3. 中立の立場としての存在

 
スクールカウンセラーは教育委員会から派遣される場合が多いです。そのためあくまで学校の一員という形にはなるのですが、だからといって学校を代表する存在ではありません。
 
そのため、学校とも保護者とも児童生徒さんとも、「ちょうどよい距離感」にいる存在といっていいでしょう。
 
学校に伝えたい思いがあるけれど、なかなか直接は言えないこともあるかと思います。スクールカウンセラーに相談することで、上手に連携を取ってくれます。
 
学校も親御さんも、お子さんのため、という大きな目標は同じです。そこのすれ違いが生まれないように、調整の役割を果たすのもスクールカウンセラーの役割です。
 

4. 秘密を守る存在

 
お子さんや、周りの友達やクラスメイトの命に関わることについては例外ですが、秘密は厳守されます。すべての話が学校に共有されるわけではありません。
 
そのため、秘密についても安心してご相談いただける存在です。先生に伝えてほしくないことを勝手にスクールカウンセラーが伝えることもありません。共有が必要な場合は「共有するメリット・デメリット」について説明がなされます。何もかも筒抜けになるということはありません。
 

5. 定点観測ができる

 

スクールカウンセラーに定期的に相談することで、期間ごとの定点観測が可能になります。それも親御さんだけが行うのではなく、専門家と一緒に行えるというメリットがあります。

 

お子さんは1ヶ月、1週間でも何かしらの変化を起こします。定期的に面談を行うことで、お子さんの小さな変化にも気づけるようになります。

 

相談が多いスクールカウンセラーの場合時間を取るのが難しい場合もありますが、定点観測であれば30分もあれば十分に可能です。短い時間でも活用されることをお勧めします。

 

6. 繋げる役割

 

学習に苦手さがみられるお子さんの場合、知能検査を受けることで対応方針が明確になることもあります。

 

その場合にどこの病院に行けばいいか、検査結果の見方はどのように見ればいいか、という点についても専門機関に繋ぎ、また繋いだ後も連携を取り、アドバイスを受けることができます。

 

福祉的なサポートが必要な場合も、学校と連携しながら、自治体と繋がり、チームとしてサポートしていきます。

 

「どうしていいかわからない」「どこに相談していいかわからない」ということがあるとき

にも力になってくれます。

 

▶︎スクールカウンセラーのデメリット

 

ここまでスクールカウンセラーを活用するメリットや、活用方法についてお伝えしました。しかしながらもちろんデメリットと言えることもあります。

 

1. 頻度が少ない

 

一番の課題と言えるものです。多くの公立の小中、高校において、スクールカウンセラーは多くて週に1回、少ないと月に1回程度しか学校に来ることがありません。

 

これは各自治体の予算の問題に起因します。本当はスクールカウンセラーさんももっと学校に関わりたいのですが、予算に限界があります。そのため多くの中学校では週もしくは隔週に1回、小学校、高校では隔週から月に1回程度になります。

 

かつ一回の勤務時間は4時間〜7時間前後というところで、十分な時間とは言えません。そのため一度相談しても次の相談が1ヶ月後になったりします。仕事や病気などでキャンセルになると2ヶ月以上間が空いてしまうことも起こります。

 

2. 異動問題

 

スクールカウンセラーも学校の先生と同じように異動があります。異動については、原則年度が明けるまで保護者や生徒さんには伝えられないため、進級してカウンセリングを受けたら違う先生だった、ということが起こります。

 

せっかく関係性が築けたとしても、また一から築かないといけないこともあります。もちろん引き継ぎはなされているのですが、それでも細かい点については、再度お話しする必要があります。

 

前の先生には心を開いていたけれど、新しい先生は相性が悪い、ということも起こり得ます。

 

自治体によっては、他の学校でスクールカウンセリングを受けることも可能ですが、それはレアなケースだと言えます。スクールカウンセラーは代わることもあることは念頭に置いておきましょう。

 

3. 緊急連絡は基本的にできない

 

例えば、お子さんのことでどうしても気になることがあり学校に電話をかけてもスクールカウンセラーの勤務日以外の日程だと対応できません。勤務日以外の日程に連絡することは原則できないため、先生に伝言をお願いし、次回のカウンセリングの際に確認するという形になります。

 

どうしてもすぐに相談したいというときに、臨機応変の対応が難しいことがあります。スクールカウンセラーと個人的な連絡先も禁じられているため、あくまで相談は勤務日に、という形になります。

 

頻度の問題が大きな課題となりますが、すぐに連絡できないからこそ、問題をじっくりと整理し、検討する時間が設けられる、ということにもなります。デメリットを理解した上で活用することで、効果的な活用につなげることができます。

 

▶︎スクールカウンセラーに相談する際にやっておくといいこと

ここまでスクールカウンセラーの活用方法について見てきました。私としてはスクールカウンセラーについては、デメリットよりもメリットの方が大きいと感じています。そのためお子さんが在学中の方にはスクールカウンセラーの活用を勧めています。

 

「一度相談してみようかな」と思われた方は、相談がより充実するための方法についても知っていていただけたら嬉しいです。

 

1. お子さんの様子についてまとめておく

 

限られた時間での相談になるため、事前に情報を整理しておくと、早く本題に入ることができます。

 

まとめておくといいことは以下の内容です。

▫️家族構成(両親の仕事、同居人の数など)

▫️お子さんの生年月日

▫️生まれた頃の状態(体重・身長など)

▫️発語、立ち上がり、歩き出しなどの時期

▫️検診で指摘されたこと

▫️保育園・幼稚園・こども園等で指摘されたこと

▫️親御さんから見た性格

▫️これまでの困ったことについて

▫️現在の困りごとについて

▫️一番相談したいこと(一つに絞らなくても良い)

▫️親の希望(学力を上げたい、落ち着いた生活を送ってほしい、学校に通ってほしいなど)

▫️担任や学校との連携で気になること

▫️病院や専門機関にかかっている場合は、そこでの情報(検査結果など)

これらについて、箇条書きにまとめておくと、これまでの経緯がわかり、アドバイスの判断材料にもなります。

 

どうして生まれた頃の情報も必要かというと、発達障がいの可能性がある場合において、幼い頃から何らかの兆候が出ている可能性があるためです。そのことを知る材料となります。

 

これらの情報があるとスクールカウンセラーもより深く細かい相談に乗ることができるので、少し手間かもしれませんが、用意しておくと効果的です。

 

2. 相談ペースを決める

 

通常スクールカウンセラーは、多くて週に1回、少ないと月に1回程度になります。一回の相談で問題解決に見通しが立てばいいですが、継続的に活用することで、変化していくこともあります。

 

そのため、相談の頻度は、定点観測をするためにも、決めておくといいです。とはいえ週に1回は頻度として大変になるかと思います。多くとも隔週に1回、通常は月に1回程度でいいと考えます。

 

また最初の頃は頻度高く、状態が良くなってきたら、1月に一度から数ヶ月に1度というように間隔を伸ばしていく方法もあります。

 

共働きの場合、親御さんが時間を作るのも難しい場合があります。無理のない、維持できるペースで考えるようにしましょう。

 

3. 必要に応じて先生の同席も求める

 

基本的にはスクールカウンセラーと一対一で相談を受けることが多いですが、担任や学年主任、養護教諭、管理職の先生方に一緒に参加してもらった方がスムーズに進むこともあります。

 

同席を求めたい場合は、遠慮なく伝えるようにしましょう。日程調整に時間はかかるかもしれませんが、やりくりして対応してくれます。「オープンダイアログ」と言って、お子さんも交えて、当事者と関わる人たち全員が同じ場所で、話し合いを行う方法も近年注目されています。

 

スクールカウンセラーに尋ねるとオープンダイアログについてもご存知ですので、お子さんの行動面に気になることがある場合は、尋ねてみてください。

 

▶︎上手に活用して、お子さんにとっての環境を整えましょう

スクールカウンセラーは上手に活用すると、非常に効果が高いものです。「なかなかカウンセラーを活用することに気が引ける」という方もいらっしゃると思います。

 

心配な点があるときは担任の先生、もしくは管理職の先生に相談してみましょう。不安な点をスクールカウンセラーに伝え、安心して相談できるように配慮してくれます。

 

学校に心の相談ができる人がいることは、お子さんにとってもプラスに作用します。相談できる人がいるということがお子さんの心の居場所につながっていきます。

 

迷っている方は、一度相談を検討してみてください。日時については、スクールカウンセラーだよりや、学校に問い合わせることでわかります。

 

▶︎学校との連携に迷われる方はご連絡ください

 
学校との関わりについて悩まれている方は、一度ご相談ください。どこに相談していいかわからない方のために私は存在します。
 
学校に関わる方を上手に活用しながら、お子さんにとって、そして皆さんにとっても「安心できる場所」にしていきましょう。

 

 

■プロフィール■
プロフィール写真

■略歴:
中学時代に不登校を経験。その後学校復帰。関西学院大学に合格する。大学卒業後、人材紹介会社にてマーケティング・人事を経験。

 

あるひきこもりの青年に出会ったことから、起業を決意し、専門的なカウンセリング・学習サポートを行うOFFICE NAKAGAWAを2011年2月に設立。公認心理師、産業カウンセラーの資格を有する。現在大阪市スクールカウンセラーを兼任。

丹波市看護専門学校非常勤講師を務める。

 

ひきこもりや不登校、発達障がいのご当人、並びにご家族のカウンセリング、学習サポートを行う。PTA、学校関係、行政関係など講演も行う。

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