この記事では、不登校中のお子さんとの「お父さんの関わり」についてお伝えしています。通常お母さんとの関わりが多くなる不登校ですが、お父さんの存在も重要です。
「どう接していいかわからない」「自分は嫌われているから何もできない」と思われているお父さん方に関わりのヒントをお届けします。
この記事でわかること
▶︎不登校のお父さんの役割
▶︎お母さんとの関係づくり
▶︎お子さんとの関わり
▶︎お父さんの役割
お子さんが学校に行きづらくなったとき、最初に行動されるのはお母さんであることが多いです。
ネットで情報を集めたり、学校の先生とやりとりをしたり、スクールカウンセラーや自治体の相談場所に行かれるのも9割はお母さんです。私のオンラインセミナーにお越しいただく方も、同様の割合になっています。
不登校=お母さんが対応する、という図式が多いのは事実です。しかしお父さんには役割はないのでしょうか?
もちろんそんなことはありません。お父さんにも大事な役割があります。それが「家族を守ること」と「断ち切ること」です。
▶︎1つ目の役割:家族を守る
お子さんとお母さんとの関わりはお父さんよりも深くなりやすいです。ただ一方で、お母さんはお子さんのことで頭がいっぱいになられることがよくあります。
そのために、視野がどうしてもお子さんだけに向くことがあります。
学校と話し合いをしたり、おじいちゃん、おばあちゃんや親戚に説明をしたりという役割はお父さんの役割です。
ここをすべてお母さんに任せてしまうと、お母さんがパンクしてしまいます。お母さんにはお子さんに集中してもらえるような環境を作ることが父親の役割になります。
お母さんの思いを聴く
お子さんとの関わりが多くなるのはやはりお母さんです。お母さんはお子さんのことで頭がいっぱいになります。
お子さんの一挙手一投足に一喜一憂したり、ときに怒りを感じたりもします。そんなお母さんの思いを聴く役割が必要です。
ときに愚痴になることもあるし、お子さんに対して厳しい言い方になることもあります。しかしそれだけお母さんも思いを溜め込んで、我慢しています。
「そんなに気にせず子どもに任せよう」という発言をされるお父さんも多いですが、自分が産んだ子のことを「気にせず」など無理なのです。
些細なことでも気になってしまうお母さんの思いを労い、お母さんの溜まっている思いを受け止めるようにします。
【傾聴の仕方については👇をご覧ください。お子さんだけでなくお母さんに対しても有効です】
お母さんと考え方を対立させる前に、まず思いを受け入れながら聴くことです。その上でご自身の意見も伝えるようにし、二人でお子さんにどう向き合っていくかを考えていきます。
▶︎2つ目の役割:断ち切る
日本は「母性の国」と河合隼雄先生は言います。母性とは「包み込む」ことです。お子さんのことを丸ごと受け入れ、包み込む。ただこれが行き過ぎると「飲み込んでしまう」ことにつながると言われます。
母性が強すぎると、お子さんの自主性を奪い、お子さんを「自分の所有物のように」考えてしまうことにつながります。
お子さんが不登校状態になったとき、お母さんはお子さんのことでつきっきりになります。そのため母子の関係性が強くなりすぎてしまい、お子さんの悩みにお母さんが引きづり込まれることが起こります。
例えばお子さんとお母さんの関係性があまりにも強くなりすぎる可能性があるときに、お子さんに対して「ここからは一度自分の力で考えてみよう」と伝え、お子さんが一人で考えられるようにする役割です。
ただこの「断ち切る」役割を、お父さんが担えていないことが問題になります。河合先生は40年以上も前に危惧されていました。それは「家庭の中にお母さんが二人いる」ということです。
つまりお母さんもお父さんも母性が強く、どちらも包み込むことで「断ち切る」存在がいなくなることを示唆していました。そしてその状況は40年以上前に比べても、進んでいると私も感じています。
優しいお父さんは理想ではあるのですが、お母さんが包み込む役割を果たしている場合は、お父さんは「断ち切る」ことを意識する必要があります。
▶︎勇気を持って率直な思いを伝える
お父さんに必要な役割は「勇気ある率直な思いを伝えること」です。家の中で好きなように過ごすことも不登校の一時点においては必要です。
ただそれがずるずる続くことは望ましくありません。しかしお母さんにはなかなか厳しく伝えることが難しいことがあります。
そんなときにお父さんの役割が必要なのです。話をする機会を作り、率直な思いを伝えます。「学校に通えるようにするために、これから取り組んでいくことを話し合おう」と伝える役割です。
「いつかタイミングが来たら」と逃げてしまうお父さんも多いですが、それだと不登校は長引き、やがてひきこもりにつながることになります。
お子さんの状態を見て、十分に休息が取れていると判断できたときは、包み込む段階から、チャレンジの段階に入っていきます。
「断ち切る」というのは親子の縁を切ることではありません。お子さんが自分の力でこれからの人生を歩んでいけるように、挑戦ができるように促していくことが「断ち切る」ことです。
▶︎お父さんも傾聴力を高めよう
「断ち切る」ことを間違って捉えて「厳しく伝える」ことだけに注力してしまうケースもあります。
お子さんの思いを聴き、受け入れ、その上で率直な思いを伝える「傾聴力」はお父さんにも当然に必要なことです。
一般に、特に男の子の場合、お父さんとの関係性に距離が生まれることがあります。その理由は頭ごなしに批判されることがあるからです。
お父さんは理詰めで説得することが多く、それはまた正論であるため、お子さんも言い返せなくなり話していても疲れてしまうのです。
お子さんの話を聴き、お子さんの意見を受け入れた上で、率直な意見を伝え、それについてまた話し合う。この流れはお母さんもお父さんにとっても必要なことなのです。
こちらに傾聴のポイントをまとめています。まずここを押さえるようにしましょう。
▶︎困ったときはこの3つの力を思い出しましょう
対話に必要な3つの力
この概念図は傾聴において必要な3つの力について示しています。「そんな風に考えているんだね」と受け入れること(受容力)、お子さんの話を「しんどかったね」と共感すること(共感力)、そして私が最も重要と考えているご自身の意見を率直に伝える「率直力」の3つです。
まず受け入れることがあってから、親としての意見を伝えるとお子さんも耳を傾けてくれるようになります。
大事なのは順番です。よくある間違いは「まず伝える、それから聴く」です。しかしこれだとお子さんは「無理やり押し付けられた」という思いになります。
まずお子さんの話を反論せず、しっかりと聴き、受け入れることです。その上で「自分はこう思うけれどどうかな?」と話をするのが効果的な順番となります。あとはこれを繰り返していきます。
傾聴が苦手とするお父さんは多いですが、傾聴なんてプロのカウンセラーでも易々とできることではありません。
苦手であることは当然のことで、それは言い訳にはなりません。だから練習するのです。プロのカウンセラーであっても、傾聴は日々トレーニングしながら鍛えているのです。
【3つの力についてはこちらで詳しく説明しています👇】
▶︎本当はお父さんとも仲良くしたい
ここでお子さん側のお父さんに対する思いをお伝えします。お子さんが思春期に差し掛かると、お父さんを毛嫌いするようになります。それは男女ともに起こります。
お父さんとしては「自分は必要とされていない」思いになると思います。しかしもちろんそんなことはありません。
お子さんとしても、本当はお父さんと仲良く話したいのです。何気ない話をしたいのです。
しかし思春期というのは、ついイライラしてしまうものです。お子さん自身もうまく自分の気持ちをコントロールできない時期なのです。
お子さんとの関わりを諦めないでください。あとでお子さんがこの時期を振り返ったとき「お父さんは諦めずに接してくれた」という思いが、生涯の関係性を築いていきます。
逆に毛嫌いされているからと、お子さんとの関わりをなくし、なんでもお母さんを通じて話す関係になると、「父親は大事なときに逃げた」と思います。これを後から取り返すのはまず無理です。
今は嫌われているかもしれませんが、それはうっとうしがっているのであって、嫌いなわけではないのです。
「自分は関わらない方がいい」と及び腰になってしまうこともあると思いますが、それは間違いです。うっとうしがられても、うざがられても、関わりを切らさないこと。なんでもお母さん任せにしないこと、お母さんを通じてお子さんに意見を伝えることをしないこと、ちゃんと自分が向き合うことを忘れないようにしましょう。
▶︎お父さんの役割は重要
ここまで不登校のお子さんに対してのお父さんの役割について述べてきました。お父さんの役割は「家族を支えること」そして「断ち切ること」です。
お母さんとお子さんを周りの雑音から守ること、そのためにお母さんの話に耳を傾けること、そしてお子さんがある程度元気になってきたら「チャレンジ」ができるように促進すること。そのためにお子さんの話しを聴く傾聴力を鍛えることです。
なかなか大変です。いえ、相当大変です。ただここを逃げずに取り組まれたご家庭は、その後の親子の関係性においても良好な関係を築かれます。親子が率直に思いを伝え合うことができるので、喧嘩をしたとしても、自然と仲直りしていきます。
逆に頑張るところで何もしなかった場合、お子さんはお父さんを見限るようになります。それはお子さんだけでなくお母さんもです。
「一番しんどいときに何もしてくれなかった」この思いは一生涯残ることになります。
お父さんも大変なのはわかります。ただお母さんだって、そしてお子さんだって本当に辛いのです。自分だけ逃げてはいけないのです。
お母さん任せにせず、自分にも役割があることを知っていただけたら嬉しいです。
▶︎お父さんのことで悩まれたらご連絡ください
お父さんとお子さんとの関わりに困っていらっしゃるお母さんも多いです。ここに書かれていることをやってほしいけれど、なかなか積極的に関わろうとしないお父さんが多いのもまた事実です。
なかなか理解が難しい場合は、一度ご連絡ください。お父さんが関わっていただくことの重要性について、私からもご説明いたします。
親子の関係は「包み込む」ことと「断ち切る」ことの両方が必要になります。それをお母さんが一人で抱え込むのは至難の業です。
お子さんのためにも、そしてこれからの家族のためにも、お父さんにご理解いただけるようにお伝えいたします。
「子どもと父の関係性が悪い」「旦那さんとうまく連携が取れない」そしてお父さんご自身が悩まれているときは無料カウンセリングをご利用ください。まずは課題を整理することから始めましょう。
不登校はお子さんからのメッセージでもあります。不登校やひきこもり経験を通して家族の力がぐっと深まることはよく起こることです。この機会に家族のあり方を一度見直してみましょう。
■略歴:
中学時代に不登校を経験。その後学校復帰。関西学院大学に合格する。大学卒業後、人材紹介会社にてマーケティング・人事を経験。
あるひきこもりの青年に出会ったことから、起業を決意し、専門的なカウンセリング・学習サポートを行うOFFICE NAKAGAWAを2011年2月に設立。公認心理師、産業カウンセラーの資格を有する。現在大阪市スクールカウンセラーを兼任。
丹波市看護専門学校非常勤講師を務める。
ひきこもりや不登校、発達障がいのご当人、並びにご家族のカウンセリング、学習サポートを行う。PTA、学校関係、行政関係など講演も行う。
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