この記事では、「不登校の状態とその要因」についてお伝えしています。不登校のことをまだよく理解できていないという方にとって入門編としてご活用いただけます。

 

この記事でわかること

▶︎不登校の定義

▶︎不登校の要因

▶︎不登校の5つのステップ

 

この記事を書いた人
▫️不登校・ひきこもり専門公認心理師なかがわひろか
▫️学校・PTA・自治体での不登校・ひきこもり講演多数
▫️12年に渡って数々のご家族をサポート

 

▶︎不登校とは?

文部科学省は毎年学校基本調査を行い、不登校の統計を発表しています。そこで言われる「不登校」とは以下の状態を指します。

長期欠席者(年間30日以上 の欠席者)のうち『何らかの心理的,情緒的,身体的あるいは社会的要因・背景により, 登校しないあるいはしたくともできない状況にある者』ただし,病気や経済的な理由に よる者を除いた者

「なるほど、30日以上休むと不登校になるのだな」「うちの子は通知表を見ると欠席日数が少ないから不登校ではないのかな?でも放課後しか行っていないのにどういうことだろう?」と思われた方もいらっしゃると思います。

 

例えば「校門タッチ」と言われるような校門まで行き、先生にプリントをもらう、という場合も「学校には登校した」と見なされます。また保健室や別室で1時間自習をした、という状態も同様です。

 

文部科学省の統計では、あくまで「まったく学校の敷地内に足を踏み入れていない状態もしくはオンライン授業も出ていない状態」を欠席として、その状態が30日以上ある児童生徒のことを「不登校」と定義しているということです。

 

つまり以下のような場合は欠席とはなりません。

 

・校門タッチや、放課後登校、別室や保健室登校

・オンラインによる授業参加

・イベント(運動会や音楽会、文化祭など)を見学した

・適応教室や学校と提携しているフリースクールへの出席

 

そのため、通知表を見ると欠席日数が思っている以上に少ない、ということが起こります。その代わり早退や遅刻の数が多くなっていると思います。

 

【不登校の数(2024年度:調査年は2023年度)文部科学省

 

この定義を持って算出された、小中学校の不登校数(2023年度)は415,252人となっています。

 

この数字だけではピンと来ない方もいると思いますので、もう少し身近な数字に置き換えてみます。

 

【不登校の人数】

小学校:130,370人(2.14%) 47人に1人

中学校:216,112人 (6.71%)  15人に1人

高校 :  68,770人(2.35%) 43人に1人

 

いかがでしょうか。中学校の場合15人に1人が不登校状態にあると考えると、クラスに2人以上いる計算になります。

 

そして冒頭にお伝えしたように、この数はあくまで「30日以上まったく学校の敷地内に足を踏み入れていない」、「オンラインでも授業を受けていない」かつ「適応教室にもフリースクールにも行っていない」数になります。

 

しかし別室教室だけに行ってすぐに帰ってくる、放課後だけ先生に会ってすぐ帰る、というお子さんを心配されない親御さんはいません。

 

校門タッチや別室登校などを含めると、この数は少なくとも1.5倍以上になると考えます。つまり今の日本には60万人以上の不登校、もしくはそれに準ずる子どもたちがいるということになります。

 

▶︎学校に来させる、から「休んでいい」時代に

 

 

以前は不登校になると「学校にどうやったら行かせられるか」に主眼が置かれていました。そのため朝学校の先生が家まで迎えに来て、部屋まで入り連行するかのように生徒を連れていくということも行われていました。

 

しかしながら、2018年の文部科学省の通達により、大きな変革を迎えたのです。その通達にはこのように書かれています。

 

「不登校児童生徒への支援は、「学校に登校する」という結果のみを目標にするのではなく、児童生徒が自らの進路を主体的に捉えて、社会的に自立することを目指す必要があること。」文部科学省

 

この言葉が大きな転換点となりました。この文言が通達されたことで「学校に来させる」から「それだけがゴールではない」という認識に大きく変化したのです。

 

2014年時点に比べて不登校の数が2.4倍に増えているのはこのことが大きな要因になっていると考えられています。

 

私自身は、無理やり学校に行かせることには反対の立場を取っています。その意味で「登校する」という結果「のみ」を目標にしないという方針には大いに賛同しています。

 

ただ、危惧しているのは「タイミングによっては、登校を提案することも大切ではないか」という点です。

 

休息を取ることで、お子さんの気持ちもだんだんと落ち着いてきます。家庭内では規則正しく過ごすことができ、そしてだんだんと「暇」を感じるようになります。

 

そのタイミングにおいては「ちょっと行ってみる?」と提案することは有効なことが多いのです。

 

あくまでここで言われていることは「登校するという結果のみ」に固執しないということです。登校することの意義までが否定されているわけではないという点には注意が必要です。

 

ちなみにこの通達はこのように続きます。

 

「また、児童生徒によっては、不登校の時期が休養や自分を見つめ直す等の積極的な意味を持つことがある一方で、学業の遅れや進路選択上の不利益や社会的自立へのリスクが存在することに留意すること(下線は著者)文部科学省

 

不登校の時期を経験することで、児童生徒が自分とじっくり向き合う時間である一方で、勉強の遅れなどが生じることもリスクも存在します。

 

学校に通うこと「だけ」がすべてとは考えません。ただ学校と「うまく付き合えるようにしていくこと」までが否定されるものではないということです。

 

お子さんの状態によって、「ちょっと刺激があってもいいかな」というタイミングが訪れます。再登校という視点はなくすのではなく、選択肢に常に置いた上で対応することが重要です。

 

\不登校の関わり方は👇もご覧ください/

 

▶︎不登校の要因にはどのようなものがあるだろう?

 

「どうして不登校になるのか?」と疑問に思われる方も多いと思います。特に学校に通えていた親御さんは「どうして行けないのか本当にわからない」という気持ちを抱かれることが多いです。

 

文部科学省の調査によると、不登校の要因は以下のものが挙げられています。

▫️小中学校の不登校の要因(上位5つ):文部科学省(2024)

 

①学校生活に対してやる気が出ない等の相談があった(32.2%)

 

②不安・抑うつの相談があった(23.1%)

 

③生活リズムの不調に関する相談があった(23.0%)

 

④学業の不振や頻繁な宿題の未提出が見られた(15.2%)

 

⑤いじめ被害を除く友人関係をめぐる問題の情報や相談があった(13.3%)

 

「学校生活に対してやる気が出ない等の相談があった」「不安・抑うつの相談があった」「生活リズムの不調に関する相談があった」が上位3つを占めます。

 

ただこれでもまだ「どうしてやる気が出なくなったのか」「どうして不安・抑うつになったのか」「どうして生活リズムが不調になったのか」についてはわからない状態のままです。

 

不登校の要因

この図の上部分の「表面化」の部分が、文部科学省が挙げている「不登校の要因」と考えると、その背景にはさまざまな思いが隠されています。

 

 

1. 心理面

勉強へのやる気がなくなったり、趣味を楽しむことができなくなったりなどの心の要因です。

 

特に好きなことに取り組むことができなくなるのは大きなサインになります。心が疲弊している状態となります。

 

心理面の背景には、ここに挙げているような他の要因が関わっていることが考えられます。

 

 

2. 身体面

起立性調節障害と呼ばれる、朝起きたら貧血のような状態になり、起きることができなくなるものや、過敏性腸症候群のように緊張したりストレスを感じるとお腹を下しやすくなってしまうものなどがあります。

 

不登校というと心理面の要因が強調されがちですが、実は背景には身体的な病気が隠れていることがあります。

 

そのため、まずは小児科など病院に相談に行くことが重要です。そこで原因がはっきりしないときに「心理面の影響が大きい」と考えることになります。

 

 

3. 社会面

主に人間関係を指します。クラスメイトとの関係性はもちろん、そこから発生するいじめや、学校の先生との関係性も関わってきます。

 

クラスメイトとの関わりは一番のストレス要因になります。問題がないように見えても、気を遣いながら関わるため、疲れている場合があります。

 

また学校の先生との関係性というものも、念頭に置く必要があります。いい先生ではあるけれど熱血さがストレスになったり、他の生徒さんを大声で叱りつけるのが強い負担になることもあります。

 

特に思春期の場合、不登校には何かしらの人間関係が関わっていると考えておくことが必要になります。

 

 

4. 個人面

自閉スペクトラム症(ASD)や注意欠如・多動症(ADHD)、限局性学習症(LD)などの発達障がいや、非常に繊細な性格傾向であるHSP(Highly Sensitve Person)が背景にある場合もあります。

 

また誰にも相談していないけれど、LGBTQ+αを抱えているケースもあります。

 

個人面の特性が、社会面に影響を与えて、身体面、心理面に影響を与えることも十分に考えられるものとなります。

 

 

5. 家庭環境

親子関係に不具合があったり、夫婦関係が悪かったり(離婚したり)、また虐待が背景にある場合もあります。

 

親に相談したいけれど、話を聴いてくれない、夫婦がしょっちゅう喧嘩をしている、また暴力や暴言など身体的や心理的な虐待、一切関わろうとしないネグレクトなどが虐待の種類となります。

 

ただ家庭環境に影響がある場合、家庭から避難するために学校に行く場合もあります。不登校にならないこともあるため、実は見過ごされやすい要因の一つでもあります。

 

誤解のないようにいただきたいのは、不登校を親の責任だけに押し付けてしまうのは間違いであるという点です。

 

明らかな虐待がある場合を除いて、親だけに原因がある考え方は私は賛同していません。要因は学校にもあるし、人間関係にもあるし、当人の特性にもあります。

 

家庭環境が要因の一つだからといって、家族だけに責任を押し付けることはあってはならないことなのです。

 

【不登校のお子さんとの向き合い方はこちらもご覧ください】

 

▶︎要因は一つに絞られない

 

ここに挙げた要因は、一つだけが影響しているわけではありません。お子さんの特性によって虐待が起こることもありますし、コミュニケーションがうまく取れず孤立し、心理的に負担を感じるということも十分に考えられます。

 

犯人探しをすることが大事なのではありません。いろんな要因を考えながら、改善を加え続けることが重要な対応になります。

 

学校と家庭が対立することには意味はありません。それよりもお互いに情報を共有しながら、お子さんのタイミングによって今は休ませるべきなのか、それとも提案をしてみた方がいいのかを一緒に考えていくことが最もお子さんのためになることです。

 

▶︎不登校の5つのステップ

お子さんが学校に行きづらくなったとき、今後どのように進んでいくのか不安を感じられると思います。不登校の5つのステップについてお伝えします。

 

不登校の5つのステップ

 

 
1. 抑うつ期

食欲が落ち、うまく寝付けなかったり、朝起きづらくなったり、趣味を楽しむことができなくなることをサインとして、行きしぶりが起こる時期です。

 

家の中で笑うこともなく、反応が鈍くなります。かと思うとイライラしやすくなったり、急に泣き出すこともあります。

 

【この時期のサイン】

◻︎お腹が痛い・頭痛がすると言う

◻︎眠れない、熟睡感がない

◻︎朝が起きづらい(夕方には元気になる)

◻︎ゲームやネットなど趣味の時間が減る

◻︎イライラし、感情的になりやすい

◻︎会話が減る

 

これらのサインの中で特に重要なことが「食欲・睡眠・趣味」の3つです。これらの状態が悪くなってくると、身体・行動・気分・考え方も悲観的になりやすくなります。

 

この時期に必要なことは、まずサインが出ていないかを確認することです。不登校が始まり出す頃には必ずサインが出ています。今のお子さんが置かれている状況を知ることを第一に考えます。

 

 
2. 休息期

抑うつ期の状態を見て、学校に行ける状態ではないと判断できる場合は、無理をさせないことです。

 

まずは遅刻早退などで様子を見つつ、どうしても辛そうであれば、休息を取ることを考えていきます。

 

最初は一週間休んでみて、そこから一週間ごとに様子を確認し、その間に先生やスクールカウンセラー(民間のカウンセラーも活用できます)に相談しながら状態を共有するようにします。

 

「学校に行かせた方がいいのではないか」という思いが湧いてくるかと思います。その場合は、親御さんがこれまでお会いされてきた「メンタルダウンをした人」を思い起こしてみましょう。

 

例えばうつ病で休職した方に、「ちょっとでも出社したら?」とは言わないと思います。まずはしっかりとした休息を取り、状態が良くなってからお試し出社をし、徐々に勤務時間を増やしていくことになります。

 

子どもたちも同じです。まずは十分に休息を取ります。要因が何であれ、お子さんが日々の生活や学校に疲れているのは事実です。昼夜逆転してもいいので、寝たいだけ寝て、心と体をしっかりと休めます。

 

ただずるずると進むことは避けたいので、最低でも週に1回は今の状態を話す機会を作ります。話す相手はまずは先生です。その後専門家というように広げていきましょう。

 

 
3. 安定期

休息が十分に取れるようになると、家庭での生活が落ち着いてくるようになります。この時期には昼夜逆転をしている場合は生活リズムを整えるようにします。

 

また家事など家の中でできることを増やしていきます。勉強への焦りも出てくると思いますが、勉強はもう少し後です。朝起きて、ご飯を食べて、夜眠るという生活ができるようにしていきます。

 

 
4. 登校準備期

勉強を始めるとしたこの時期になります。家庭での生活が十分落ち着いてきたら勉強のことを一度話し合ってみましょう。

 

お子さんも学校のことを再び考える時期になります。勉強のことも当然に気にしていますので、まずは一緒にやってみることから始めてみましょう。

 

最初から継続的に勉強することはできませんが、続けることで徐々に時間も増えるようになります。

 

親子だけで勉強のフォローが難しい場合は、家庭教師や塾なども検討してみましょう。

 
 
5. 再登校期

最初は部活だけ、放課後だけというように学校に行き出す時期が再登校期です。別室や保健室登校、体育祭などのイベントに出席するようになります。

 

お子さんが学校に行き出すとつい「毎日行ってほしい」と思いがちですが、それはもう少し辛抱しましょう。

 

週に1回から始め、少しずつ時間を増やしていきます。大人の場合のお試し出勤です。目標としては一週間のうち6~8割が行ければ十分という思いを持っておきましょう。

 

あえて「週に1日には休んで買い物に行こう!」と決めても構いません。最初はその休みを活用しますが、徐々にそれをやめ、学校に行く頻度が増えていくようになります。

 

再登校した場合は、学校の先生にもしばらくの間は様子を伝えてもらうようにしておきます。不登校は行きつ戻りつを繰り返しながら、だんだんと慣れていくようになります。

 

毎日行ったと思ったら、しばらく休むということもあります。しかし俯瞰してみると、お子さんなりに考えながら通えるようになります。

 

▶︎3歩進んで2歩下がる、でも1歩進んでいる

不登校対応はどれだけ良い対応を取ったとしても、右肩上がりに順調に進むわけではありません。

 

調子がいいときもあれば、ガクッと落ち込むこともあります。しかし、これは覚えておいてください。

 

不登校を経験したからと言ってお子さんの成長が止まっているわけではないのです。

 

お子さんなりにストレスの向き合い方や、気持ちの折り合いというものをつけられるようにお子さんも成長しています。

 

一年前のお子さんと、今のお子さんはやはり違うのです。学校に行けない=成長しない、ということにはなりません。

 

むしろ行けなかった経験を積むことで、これからの人生にとって大事なこと(心のケアの方法や、力を抜いて生きること)を学びます。そしてそれは親御さんも同じです。このことは忘れないでくださいね。

 

【不登校の親の心理については👇をご覧ください】

 

▶︎今、ここからできることを考えよう

 

もし誰にも相談することができないと思われたら、そんなときはぜひお声がけください。いい相談相手がいないときのために私が存在します。

 

「でもどんな人がカウンセラーか不安だなあ」と思われる方も多いと思います。まずは無料相談(30分)をご活用ください。そこで私の人となりを見ていただいてからじっくりと今後のご相談をお考えいただけたら嬉しいです。

 

お子さんの不登校が始まったとき、親御さんも真っ暗闇の中に落とされたような気持ちになります。

 

しかしどんな方でもそこから脱け出すことができます。はじめはみなさんどうしたらいいかわからない状態でご相談にお越しいただきました。


不登校だからと言って何も諦めないでください。「今、ここから」できることを考えていきましょう。

 

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■略歴:
中学時代に不登校を経験。その後学校復帰。関西学院大学に合格する。大学卒業後、人材紹介会社にてマーケティング・人事を経験。
 
あるひきこもりの青年に出会ったことから、起業を決意し、専門的なカウンセリング・学習サポートを行うOFFICE NAKAGAWAを2011年2月に設立。公認心理師、産業カウンセラーの資格を有する。
 
ひきこもりや不登校、発達障がいのご当人、並びにご家族のカウンセリング、学習サポートを行う。PTA、学校関係、行政関係など講演も行う。
 
得意としている分野は次の3つです。

1. 不登校やひきこもり、またそのご家族のケア

2. 心理療法を応用した学習サポート

3. 親子の関わり方
 

今が一番辛い時期だと思います。でもきっと脱け出すことができます。どうやったらいいのかという「具体的な方法」について一緒に考えていきましょう。

 

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この一年間に、不登校が始まった方もいれば、何年か経験されている方もいらっしゃると思います。

 

新年度から学年が上がるだけでなく、小学校から中学校、中学校から高校と学校そのものが変わる方もいらっしゃるでしょう。

 

新学期に向けての春休みの過ごし方の子と親編を考え、学校との関わりについてもみていきましょう。

この記事でお伝えしていること

・春休みの過ごし方:子ども編

・春休みの過ごし方:親編

・新学期に向けて学校との連携について

この記事を書いた人
▫️不登校・ひきこもり専門公認心理師なかがわひろか
▫️大人のひきこもり・発達障がいの就労相談多数
▫️学校・PTA・自治体での不登校・ひきこもり講演多数

 

▶︎春休みの過ごし方:子ども編

 
① 睡眠時間を安定させる

新学期から学校に行かないといけないと、気負う必要はありません。ただ、生活リズム、とりわけ睡眠時間を安定させるのは、こころと身体の健康においても有効なものとなります。

 

睡眠が安定することで、気持ちにも変化が訪れます。落ち込みやすかったり、悩みやすい部分も改善する可能性もあります。

 

長期の休みを活用して、起床時間に幅を持たせながら、調節していきます。

 

昼夜逆転をしていたり、就寝・起床時間が一定化していない方は、まず「午前中に起きる」ことをスタートにしていきましょう。

 

例えば、朝11時に起きる、というようにです。

 

すでに午前中には起きられる方は、まずは9時の起床を目指しましょう。そして5日〜1週間ごとに1時間ずつ早めるようにしてみましょう。

 

3月中は9時に起きて、4月に入ってから8時に起きるというようにです。毎日10分ずつ早めるのもいいでしょう。

 

最初から頑張りすぎて朝6時に起きることを目標にする場合もありますが、それはなかなかうまく続きません。

 

最初は学校がある日に比べても遅い時間からで構いません。その代わり同じ時間に起床することを続けるように心がけましょう。

 

朝起きる時間が一定化していくと、夜寝る時間も自然と規則正しくなっていきます。

 

 

② 軽い運動を取り入れる

夏は暑くて外に出るのは危険です。一方冬は寒くて出たくありません。

 

しかし春は、比較的暖かくなり、外に出やすい気候になります。

 

激しい運動をする必要はありません。散歩をしたり、できる人はジョギングをしたりしてみましょう。

 

朝に10分〜20分の運動をすることで、身体の目覚めが良くなり、意欲が増すと言われます。また太陽の光を浴びることで、夜の睡眠にも効果的になります。

 

花粉症がある方もいると思いますので、長時間ではなく短時間で軽い運動を取り入れてみましょう。

 

③ 勉強するなら「基本から」

勉強を気にするお子さんは多いです。もしできそうであれば、「基本」を大事にしましょう。

 

同級生に追いつくために早く応用が解けないといけない、と焦ることもあるかと思います。しかし勉強は基礎が何より大事です。基礎とは初級という意味ではありません。家作りで言うと土台作りになります。基礎がしっかりしていないと、いくらいい家を建ててもすぐに倒れてしまうのと同じように、勉強も基礎がないと、積み重ねてもすぐに忘れてしまうようになります。

 

私は大学受験のサポートもしていますが、難関大学を目指す方にも「まずは基礎。とにかく基礎」と言います。これがないと成績が伸び悩むのがわかっているからです。

 

まずは教科書の例題を解けることを目標にしていきましょう。教科書はバカにできません。丁寧に読むことを大事にしていきましょう。

 

【不登校と勉強法については👇をご覧ください】

 

 

④ 気持ちを整理する時間をとってみる

新学期に不安を感じるのは当たり前の感情です。「新学期からは毎日通いたい」「もう一度やり直したい」そんな気持ちも出てくるでしょう。一方で「学校に行けるかわからない」「行かないと進路に影響するのはわかっているけれど不安が強い」という気持ちもあると思います。

 

今自分が何を感じているか、どんな不安があるのかについて、整理する時間をとってみましょう。

 

紙を用意して、そこに思いつくままに思いを書いてみるのです。スマホを使ってもいいですし、タブレットに書き込んでも構いません。自分が書きやすいような形で思いを出し切っていきます。

 

思いを出し切ったら、少し時間を置いてから、それらをもう一度見直してみましょう。「これはそこまで重要なことじゃないな」と思うものもありますし「これはやっぱり一番気にしているな」というものもあるでしょう。

 

不安を書くだけで意味があるのかと思われるでしょうが、私たちは自分が抱えている不安を明確には意識できていないのです。ぼんやりとなんとなく不安という捉え方をしています。

 

何について悩んでいるのかをはっきりさせると「じゃあどうしたらいいか」を考えるきっかけになります。

 

まずは整理することを大事にしてみましょう。お子さんが一人で難しい場合は、親御さんも一緒に取り組んでみましょう。

 

 

 

⑤ 学校での居場所づくりを考えてみる

これは学校の協力も必要ですが、不登校を経験したお子さんが学校に行き出したとき、1日授業を受けるのはかなり体力的にもしんどくなりがちです。

 

辛くなってきたら、避難できる場所を作ることは、安心して学校に通うためにも必要なことになります。

 

別室で気分転換する、保健室を使う、校長室で過ごす、職員室で他の先生と話をする、など学校の中の居場所を学校と一緒に考えてみましょう。

 

学校に居場所があると感じられるだけでも、実際に活用するかどうかに関わらず、学校生活の不安を和らげる効果があります。後で話す、学校との連携の際に学校にお伝えするようにしてみましょう。

▶︎春休みの過ごし方:親子編

 
① お子さんの不安を聴く

「新学期になったら学校に行く!」と意思表示するお子さんも多いです。しかし春休みが終わりに近づくにつれて、だんだんとお子さんの表情が曇りがちになります。

 

新学期を前に、心機一転したい気持ちと、やっぱり無理かもしれない、という思いがぶつかり合う状態になります。

 

お子さんがどんな不安や心配を抱えているか、新学期からどうしたいと思っているかについて話し合う時間を取ってみましょう。

 

まずはお子さんの率直な思いを聴くことが重要です。親の意見は後からでいいので、じっくりと聴いてみましょう。

 

【親子の傾聴のコツは👇の記事をご覧ください】

 

 
② 春休みの目標を立てる

学校に行く行かないに限らず、休みの過ごし方をどうしていくかを決めることは充実した日々を過ごす上で有効です。

 

どこかに旅行に行くのもいいですし、日帰りで買い物に行くのもいいでしょう。

 

あまり予定を詰め込みすぎると疲れてしまうので、1日行ったら2日休むくらいの気持ちでスケジュールを組み立てます。

 

お手伝いのルールを決めるのもいいです。日々の生活にメリハリがつけつつ、盛り込みすぎないようにスケジュールを組んでみましょう。

 

 
③  勉強面について話し合う

勉強については親御さんはもちろん、子どもたち自身もかなり気にしています。

 

とはいえ、なかなか一歩を踏み出せないものでもあります。ここでもお子さんの勉強に対する不安を確認するようにしていきます。

 

その上で「できることから」を目標に取り組んでみましょう。1日10分程度を一緒にやることからやってみるのがいいでしょう。

 

学校から宿題が出ることもありますが、こちらもできるところだけで構いません。「春休みの間に勉強を追いつかせたい」という思いも出てきますが、春休みで大切なのは勉強よりも生活リズムの安定です。

 

睡眠をきちんと摂り、ほどよく運動し、趣味の時間を充実していくことです。焦る気持ちが出てしまうのは当然の思いです。ただここで勉強勉強となると、お子さんは親と顔を合わせるのが嫌になり、夜型の生活になってしまう可能性があります。

 

ここでも不安を確認した上で、できることから、を意識しましょう。

 

【長期休み明けの対応については👇の夏休み明けの対応もご参考ください】

 

▶︎新学期に向けて

 

① 学校との連携

新学期になると担任の先生が代わることもあります。また進学の場合は、学校環境そのものが変わることになります。

 

これまでのお子さんの様子は、前担任からも引き継がれていますが、直接親御さんも先生とお会いされ、お伝えになるとなおお子さんの安心につながります。

 

具体的には、これまでのお子さんの様子をA4用紙1〜2枚程度にまとめたものを用意します。

 

書くことは以下のような内容です。

・これまでの様子

・お子さんの特性・性格・得意なこと、苦手なこと

・仲のいい友達

・今後の希望

 

特に気をつけておいてほしいことや配慮を希望することは重点的に記載します。

 

年度が明けてから(旧年度内だと担任の先生が決まっていないことが多いです)学校に連絡を取り、早い段階で担任の先生との面会を申し込みます。そこで心配な点などをお伝えください。

 

先生の都合が悪い場合は、新学期が始まってからでもいいので、連絡を取り会うようにしておきましょう(もちろん担任が持ち上がりの場合は不要です)。

 

また先に述べた「学校での居場所」についても検討してもらうようにお伝えしましょう。

 

【子どもは同席した方がいいの?】

お子さんの同席は、お子さんが新しい担任の先生に不安を感じている場合は、検討していきましょう。事前に個別に会っておくことで、先生の印象を感じることができます。どんな人かがわかるだけでも安心感は違います。学校との折り合いがついたら、お子さんの気持ちも確認してみましょう。

 

【不登校と学校との関わりについては👇をご覧ください】

 

 

② 最初はスロースタートで

新学期はどうしても気負ってしまうものです。そのため張り切りすぎ、フルパワー以上に頑張りすぎてしまうことがあります。

 

しかしフル回転は長続きしません。途中で息切れを起こし「やっぱり自分は学校に通えない」と自信を失うことにもつながりやすいです。

 

お子さんは「やれる!」というかもしれませんが、最初は周りからも「あえて」スロースタートを提案していきましょう。

 

春休み前の状態をスタートとしていきます。放課後登校をやっていた方は、まずはそこから再開です。

 

学校に行けていない場合は、まずは先生の家庭訪問を受け入れることから始めていきましょう。

 

それでもお子さんは「やれる!」という場合もあります。そこまで言っても強い意志がある場合は、一度任せてみましょう。そしてしんどそうにしたらすぐにサポートするようにしていきます。

 

最初はスロースタートで、徐々に段階を引き上げるイメージで捉えていきましょう。

 

③ あえて休みの日を作っても構わない

例えば毎週水曜日は学校を休む日、と決めてしまいます。水曜日だと週の真ん中なので「月・火頑張って休んで、木・金また頑張る」という流れを作りやすくなります。

 

「丸一日休むのは……」と躊躇される場合は、「この曜日は昼から登校でOK!」という形でも構いません。

 

あえて休みを作ることで、調整しやすくしていきます。

 

やってみてお子さんが「今週は全部行きたい」となったら、それはそれで良しとします。まずはリハビリ登校です。休みをうまく取り入れながら進めていきましょう。

 

【補足】

高校に進学される方は「休んだら単位が取れなくなる」と不安になる方も多いと思います。しかし高校は5分の1までは休んでも補習も留年もありません(それ以上だと補習があり、3分の1以上休むと留年になるところが多いです)。5分の1であれば週に1回休むイメージです。「有休」くらいに捉えて、うまく活用していきましょう。

 

④ 休日は「休息」を第一に考えよう

特に4月の間は、お子さんも気が張っている状態です。またその分テンションも上がり、これまでの遅れを取り戻そうと、勉強に部活に遊びに全力を尽くすことがあります。

 

しかし度がすぎてしまうと、一気に疲れが押し寄せ、ゴールデンウィーク明けあたりから学校に行きにくくなります。

 

土曜日は遊んでもいいけれど、その代わり日曜日は家でゆっくり過ごすというように、何も予定を入れない日を作るようにしましょう。

 

疲れは「溜まる前に癒す」が最も効果的です。お子さんとも話し合って、休息を積極的に取るようにしていきましょう。

 

【平日もこまめな休息を】

学校に行くようになると、疲れると共に、頭が興奮して宵っぱりになることがあります。睡眠リズムが狂うと、朝起きづらくなり、意欲が減っていきます。

9時以降は睡眠に向かうルーティンを行うようにしましょう。お風呂→スマホを切る→テレビではなく読書、というようにです。寝るための儀式を作っておくと就寝しやすくなります。

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▶︎不安な方は一緒に考えましょう

特に1学期の始まりは、一年の中でも大切なスタートの時期になります。

 

不安と心機一転したい気持ちがどちらも強く現れる時期です。

 

気持ちが不安定になることがあったら、一度一緒に考えてみましょう。きっとヒントが見つかります。

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■プロフィール■
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■略歴:
中学時代に不登校を経験。その後学校復帰。関西学院大学に合格する。大学卒業後、人材紹介会社にてマーケティング・人事を経験。

 

あるひきこもりの青年に出会ったことから、起業を決意し、専門的なカウンセリング・学習サポートを行うOFFICE NAKAGAWAを2011年2月に設立。公認心理師、産業カウンセラーの資格を有する。現在大阪市スクールカウンセラー、丹波市看護専門学校非常勤講師を務める。

 

ひきこもりや不登校、発達障がいのご当人、並びにご家族のカウンセリング、学習サポートを行う。PTA、学校関係、行政関係など講演も行う。

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ひきこもりの拒否は「反応」であるお子さんがひきこもるようになると、親子の対話が難しくなります。何を言っても「拒否」されることも多くなるでしょう。しかしながら、実は拒否は大事な「反応」と言えます。「拒否」から始まるひきこもり対応について見ていきましょう。
 
盲点になっていることもあると思います。お子さんの対応に苦慮されている方はぜひお読みください。

この記事でお伝えしていること

・ひきこもりにおける「拒否」の意味

・今からできること

この記事を書いた人
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▶︎お子さんの「拒否」

ひきこもりのサポートにおいて、親の役割は重要です。ひきこもり状態になると社会との関わりが極端に少なくなります。

 

社会の窓口になるのが親の存在となります。ひきこもり支援は家庭から始まります。

 

【ひきこもりの家庭での支援については👇をご覧ください】

 

けれどもお子さんと話をしようとしても、お子さんから拒否されることもあります。拒否されると、「何をやっても無駄だ」と親の方が諦めてしまうことがあります。

 

しかし、親がお子さんとの関わりをなくしてしまうと、お子さんは誰とも関わることができなくなります。社会との窓口がなくなることで、お子さんのひきこもりはより長期化する恐れが出てきます。

 

ここで拒否の意味を考えてみましょう。

 

▶︎親を拒否する意味

お子さんの親に対する拒否はいくつか理由が考えられます。

 

 

① 過去のことを恨んでいる

過去に親に言われたことが思い返され「自分がひきこもったのは親のせいだ」という思いが強くある場合です。

 

「本当は中学受験なんかしたくなかったのに、無理やりさせられた」

「いつもお酒を飲んだら暴れて、八つ当たりしてきた」

 

中には、ほんの些細なことを取り上げることもありますが、親に対して我慢してきた思いが拒否につながっていることが考えられます。

 

 

② 今の自分を受け入れてほしい思い

もしかしたら親御さんたちは「そろそろ働いてみたら?」「今から大学受験してもいいんだよ?」「病院に行ってみない?」という提案をしているかもしれません。

 

提案が悪いわけではないのですが、お子さんからすると「まず自分を受け入れてほしい」という思いがあります。

 

どこかへ連れて行こうとしたり、何かをさせようとするという行為は「今のお子さんの否定」になります。つまり親の良かれと思った行為が、今のお子さんを受け入れていないメッセージとして伝わってしまいます。

 

何か提案をする前に大事なことは「今のお子さんと向き合うこと」です。お子さんが抱えている思い、辛さ、不安、それらを受け入れようとすることです。

 

【お子さんの思いの聴き方は👇をご覧ください】

 

 

③ 親に対して申しわけない思い

実はこれが一番大きな感情と考えています。周りから見るとひきこもっているお子さんは「わがままだ」「嫌なことから逃げている」と感じることでしょう。

 

このことはお子さんもよく理解しています。ひきこもるお子さんは親に対して「こんな自分でごめんなさい」という思いを強く持っています。

 

いい大学に行って、稼げる仕事について、親を安心させたい。親が自慢できるような子でありたい。しかし今それはできていない。そんな自分のことをお子さん自身悔しく感じています。

 

親に迷惑をかけている、親に呆れられている。そう思うからこそ「拒否」の態度を示すことがあるのです。

 

 

▶︎拒否反応は「反応である」ということ

 

ここで大事な考え方が「拒否も立派な『反応である』」ということです。

 

お子さんの拒否には意味があるのです。意味があることがわかると、拒否は終わりではなく「対話の糸口」になることがわかります。

 

親に対して不満があるのかもしれません。

誰よりもお子さん本人が今の自分を否定しているからこそ、受け入れてほしいと思っているかもしれません。

そして、本当は申しわけない思いでいっぱいなのかもしれません。

 

お子さんは親を無視しようと思えばできるはずです。全く無反応に接することもやろうと思えばできます。部屋のドアの前で話されてもヘッドフォンをつければ声は聞こえません。テレビを大音量で流せばいいのです。

 

それでもお子さんが何かしらの「拒否」を示してきたら。

 

それは本当は自分の思いを知ってほしいサインだと言えるのです。

 

 

対話は拒否されてからがスタート

拒否反応も「反応」と捉えることができると、そこからお子さんの本音が見えてくるようになります。

 

「本当は親に対して思っていることがあるんじゃない?」

「誰にも今の自分を理解してもらえないと辛いよね」

「迷惑かけてるって思ってるかな?」

 

このように語りかけると、お子さんはきっと自分が抱えている本音の思いを吐き出してくれるようになります。

 

私自身、お家を訪問させていただき、ドアの外からお子さんに話しかけることがあります。そのときに「帰ってください!」「もう来ないでください!」と言われることがあります。

 

そのとき私はこう考えます。「無視しようと思えばできるのに、反応してくれている」。

 

ここからお子さんが思いを話してくれ、しばらくすると自ら出てきてくれることもあるのです。もし「帰れ!」と言われて帰っていたら、そのチャンスもなくなっていたことでしょう。

 

 

▶︎本当は誰かと関わりたい、わかってもらいたい

ひきこもり状態にあるお子さんは「本音の部分では誰かと関わりたい」思いを強く持っていらっしゃいます。

 

そして一番受け入れてほしい人、わかってほしい人は、他ならぬ「親」です。

 

このことを知っておくだけでも、お子さんの拒否の意味がこれまでと全く違って見えるのではないでしょうか。

 

お子さんがあえて拒否を伝えてきているという点が重要だということです。何かを伝えたい気持ちを持っていらっしゃるということです。ひきこもりのサポートは「拒否されてから始まる」のです。

 

拒否は終わりではなく、始まりの態度です。

 

反応するということは、その人の存在を認められているということでもあります。その人の子を意識できているのです。これは対人関係を取り戻していくための第一歩にもつながっていきます。

 

【お子さんの暴力に悩まれている方は👇をご覧ください】

 

 

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▶︎「拒否」を第一歩にしていきましょう

拒否を終わりではなく、始まりにできることがひきこもりをサポートしていくための大きな鍵になります。

 

お子さんとの対応でお困りの場合は、ぜひ一度ご相談ください。これまで何度も諦めてきた方こそ、ご連絡いただきたいと思っています。

 

 

■プロフィール■
プロフィール写真

■略歴:
中学時代に不登校を経験。その後学校復帰。関西学院大学に合格する。大学卒業後、人材紹介会社にてマーケティング・人事を経験。

 

あるひきこもりの青年に出会ったことから、起業を決意し、専門的なカウンセリング・学習サポートを行うOFFICE NAKAGAWAを2011年2月に設立。公認心理師、産業カウンセラーの資格を有する。現在大阪市スクールカウンセラーを兼任。

丹波市看護専門学校非常勤講師を務める。

 

ひきこもりや不登校、発達障がいのご当人、並びにご家族のカウンセリング、学習サポートを行う。PTA、学校関係、行政関係など講演も行う。

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この記事では、現在ひきこもっているお子さんに対して親御さんの関わりで大切なことをお伝えしています。

 

親子の関わりがなくなってしまうと、お子さんの思いを汲み取る人がいなくなることになります。そうなることで時間が経過してしまい8050問題に突入するケースもあります。

 

今日から何ができるかを具体的に見ていきましょう。

 

この記事でお伝えしていること

・ひきこもりについて

・親の関わりの重要性について

・今からできること

この記事を書いた人
▫️不登校・ひきこもり専門公認心理師なかがわひろか
▫️大人のひきこもり・発達障がいの就労相談多数
▫️学校・PTA・自治体での不登校・ひきこもり講演多数

 

▶︎ひきこもり対応で一番大切なこととは何か?

それは「親子の関わり」に他なりません。ひきこもるようになると社会から孤立する状態になります。職場や学校のクラスメイトはもちろん、仲の良い友達との関わりも激減します。

 

ひきこもるまではどちらかというと親子の関わりは薄くなります。しかし一度ひきこもりが始まると、お子さんが直接やりとりできる人は親以外にいなくなります。

 

以下の図は、親子の関わりの違いについて表したものです。色のついた部分が親との関わりの度合いの強さです。

 

もし親子の関わりがなくなってしまったら、どんなことが起こるでしょうか。

 

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きっかけをつかむことができなくなる

唯一関わることのできる親御さんとの関わりがなくなることで、お子さんはひきこもりから脱け出すための「きっかけ」をつかむことができなくなります。

 

私たちは普段他者との関わりの中で生活しています。買い物をするときも、病院に行ったときも、運転するときも、もちろん学校や職場においてもをそこには何らかの「他者」が関わっています。

 

もし世界に自分一人だったら、進学も就職もしないかもしれません。他者と関わることで自分と他者を比較し、その比較によって今の立ち位置を押し計りながら生活していると言えます。

 

この他者との関わりがひきこもり状態ではほぼ0になります。いくらSNSが発達したとしても見ないようにすれば他の人がどうしているかを知ることはありません。(そしてひきこもる方(特に男性)は意外にSNSを使っていないことが多いです。)

 

良くも悪くも私たちは他者から刺激を受けながら、今の立ち位置を見直し、環境を変えようと思ったり、新しいことに挑戦しようと思ったりしています。ひきこもりはその刺激がなくなることになります。

 

ここで親子の関わりもなくなってしまうと、外から情報を持ってきてくれる人がいないことになります。お子さんは刺激を受けることなく日々を暮らします。そうしていつしか時が過ぎ、あっという間に年月を経ていくことになります。

【傾聴の仕方については👇をご覧ください】

 

▶︎ひきこもりが長期にわたることで起こること

そしてひきこもりが長期間にわたることで「ひきこもりスパイラル」という状態になります。

 

ひきこもりが長期に渡ることで、就学や就労の壁がさらに高くなります。二十歳の方が大学に行くのと三十歳の方が行くのとでは心理的ハードルがまるで異なります。

 

壁が高くなることで一歩を踏み出すことができず、そしてまた長期化します。8050問題は70代以上の親が、40代以上の子どもの世話をしている状態を指しますが、このような形で、お子さんと共に親御さんも歳を取っていきます。

 

おそらく長期に渡ってのひきこもりのお子さんがいらっしゃる親御さんはこのように思われているのではないでしょうか。

 

「あっという間に数十年が過ぎた」と。

 

 

ひきこもりは一年過ぎると加速する

私がよく講演会などでお伝えするのは「ひきこもりは四季が一巡すると加速する」ということです。

 

ひきこもり出した最初の一年は、まだ「時間」を意識することができる時期です。しかし、一度春夏秋冬を一巡すると、あの桜がいつの桜だったが、あの大雪がいつの頃だったのかという記憶が曖昧になります。

 

ついこの間桜を見たつもりが、また新たな桜の季節になります。ひきこもりは一年も十年も感覚的には差がなくなってしまうのです。

 

そのため先ほどお伝えしたように「あっという間に月日が過ぎた」という状態になります。「8050問題なんて、先のこと」と考えていた方が、「目前になっている」と感じるようになります。

 

人と関わらないということはこれほどまでに時間の経過も麻痺させてしまうことになるのです。

 

▶︎親が関わることの重要性

 

人と関わらないことでひきこもりスパイラルがさらに回り続けることになります。この悪循環から脱け出すために必要なことは人との関わりに他なりません。

 

しかしひきこもるお子さんが外部の支援者に自分から声をあげることはなかなかあることではありません。お子さんが動き出すのを待つ間ににまた時が経ちます。

 

お子さんが人と関わることができるようになるためにも、親御さんが積極的に関わろうとする姿勢を見せることが必要になります。

 

 

ひきこもりはお子さんからの「メッセージ」

これまでも親御さんが関わってくださらないケースの場合ご本人とだけやりとりをするケースはありました。

 

それでも元気にはなっていくのですが、一度私の元を離れると、しばらくするとまたひきこもりに近い状態になることがあったのです。

 

結局親子の関係性が改善されないと、同じことを繰り返すことにもつながります。ひきこもりという状態は、お子さんからの「親子関係を見直したい」というメッセージでもあるのです。

だからこそ、私は親の関わりの重要性を強調するのです。

 

【3つの力についてはこちらで詳しく説明しています👇】

 

 

対応の目安は「半年を過ぎた頃」

ひきこもりが始まった当初はうつ的な症状もあり、何かやろうとする気力も湧きません。この時期は休息が必要となります。

 

ただいくら休息が必要だからといって放任していいことにはなりません。概ね半年を目安に考えるようにします。半年休むことができれば状態はかなり良くなっていると考えられます。

 

もちろん症状が重い場合はもうしばらくかかることもありますが、それでも半年を一つの境としてお子さんの様子を見るようにします。

 

この休息の時期を終えたら、例えば家庭の中でできることをお願いしたり、家の中での役割を担ってもらうようにするという方法があります。

 

もし暴力行為がある場合は、決して我慢せずすぐに第三者(警察やカウンセラー)に頼るようにします。家族だけでとどめてしまわないことが重要になります。

 

【お子さんの家庭内暴力についての記事は👇をご覧ください】

 

お子さんの「自己責任」にするのではなく、親御さんから「積極的に」関わる姿勢を見せることが必要になります。

 

 

随分と時間が経っている場合

この記事をお読みの方の中にはすでに長期に渡ってひきこもっている状態のケースもあると思います。もしかしたら今お読みいただきながら「うちはもう遅いんだな……」と思われたかもしれません。

 

その場合においても原則は同じです。今日からでもいいので、お子さんと関わる姿勢を見せるようにしましょう。

 

親は決して放っておかないという意思表示を見せることが重要になります。

 

▶︎「今さらやっても」ではなく「今から」

確実に言えることは、今現在のお子さんがこれからのお子さんよりも「若い」ということです。これから時間が経つとお子さんの人生の選択肢はさらに狭まる可能性があります。

 

遅過ぎるということはありません。それよりも何もしないことの方が後で苦しむことになります。

 

この記事をお読みいただいたのならば、今日から何ができるかを考えましょう。聴き方を学び、お子さんに挨拶だけでもいいから話しかけるようにしましょう。無視されるかもしれません。しかしそれでも続けてみましょう。

 

鬱陶しがられても「親なんだから心配して当たり前」と押し切ってしまいます。そして押し切れるのは親だけなのです。今からできることはあります。

 

本当に諦めている方だったら、最後までお読みいただくこともなかったと思います。このブログに辿り着いてくださったということはまだ可能性をほんの少しでも信じていらっしゃるからだと思います。

 

その気持ちがあるならば、今からでもできることがあります。そして困ったときは一緒に考えましょう。ここから一歩を踏み出しましょう。

 

▶︎お困りの方は一度お話ししましょう

誰にも相談することができないと思われたら、そんなときはぜひお声がけください。いい相談相手がいないときのために私が存在します。

 

「でもどんな人がカウンセラーか不安だなあ」と思われる方も多いと思います。まずは無料相談(30分)をご活用ください。そこで私の人となりを見ていただいてからじっくりと今後のご相談をお考えいただけたら嬉しいです。

 

 

■プロフィール■
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中学時代に不登校を経験。その後学校復帰。関西学院大学に合格する。大学卒業後、人材紹介会社にてマーケティング・人事を経験。

 

あるひきこもりの青年に出会ったことから、起業を決意し、専門的なカウンセリング・学習サポートを行うOFFICE NAKAGAWAを2011年2月に設立。公認心理師、産業カウンセラーの資格を有する。現在大阪市スクールカウンセラーを兼任。

丹波市看護専門学校非常勤講師を務める。

 

ひきこもりや不登校、発達障がいのご当人、並びにご家族のカウンセリング、学習サポートを行う。PTA、学校関係、行政関係など講演も行う。

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この記事では、大人のひきこもりと、発達障がいの関連性についてお伝えし、課題を乗り越えていくヒントについてお伝えしています。

 

「子どもとどう接していいかわからない」「もしかしたら発達障がいがあるかもしれない」と思われている方に関わりのヒントをお届けします。

 

この記事でわかること

▶︎大人のひきこもりと発達障がいについて

▶︎解決へのアプローチ

▶︎まとめとメッセージ

この記事を書いた人
▫️不登校・ひきこもり専門公認心理師なかがわひろか
▫️学校・PTA・自治体での不登校・ひきこもり講演多数
▫️自身も一人娘の父

 

1. はじめに

 
大人のひきこもりの数

2023年度に発表された内閣府の調査によると、15歳〜39歳の若年層のひきこもりは約64万人、一方40歳〜64歳の高年齢層、つまり「大人のひきこもり」は約82万人と、若年層を超えています。

 

2016年の調査によると、15歳〜39歳のひきこもりが約54万人、2018年の調査によると、40歳〜64歳のひきこもりは約61万人となっています。それぞれ約10万人、20万人が増えています。「大人のひきこもり」の数の方が増え幅が大きくなっています。

 

【参考データ】

 
ひきこもりの定義

ひきこもりの定義(厚生労働省)は以下の通りです。

 

様々な要因の結果として社会的参加(就学、就労、家庭外での交遊など)を回避し、原則的には6ヵ月以上にわたって概ね家庭にとどまり続けている状態を指す現象概念(他者と交わらない形での外出をしていてもよい)(厚生労働省)
「6ヶ月」に渡り、外部の人と関わらない状態を指します。
 

大人のひきこもりが増加している背景

ひきこもりには種々の要因があると考えられます。

 

大人のひきこもりの場合考えられるのは、以下のものです。

 

①心理面:精神疾患などで長期の職場からの離脱によるもの

②社会面:いじめなどの理由によるもの

③個人面:個人の性格傾向などで、職場でうまく適応できない場合

 

これらの中で、近年「発達障がい」が背景に存在することで、職場の関係性が悪くなり、離職からひきこもりにつながるケースも増えてきました。

 

本記事の目的

この記事では、大人のひきこもりと発達障がいの関連性について述べ、現在の課題を乗り越えるためのヒントについてお伝えしていきます。

 

2.ひきこもりと発達障がいの関係とは?

 

 
発達障がいの種類

代表的な発達障がいの種類としては、次の3つが挙げられます。「ASD(自閉スペクトラム症)」「ADHD(注意欠如・多動症)」そして「SLD(限局性学習症)」です。

 

ASD(Autism SPectrum Disorder)自閉スペクトラム症

ASDの主な特徴は「社会的コミュニケーションの障がい」「限定された反復的な行動様式」の2つです。

 

A:社会的コミュニケーションの障がい

 

思ったことを相手の気持ちを考えずに言ってしまったり、言葉通りに受け止めて、起こり出したり、表情の読み取りが苦手で、相手の考えを推測することが苦手である側面を持ちます。

 

対人関係に困難さを感じるため、孤立することがあります。

 

B:限定された反復的な行動様式

 

いわゆる「こだわりの強さ」を示します。時間や、場所、特定の食べ物や着衣などにこだわりが強く、急な変更への対応が難しい側面があります。

 

【ASDの詳しい説明についてはこちらの記事もご覧ください👇】

 

ADHD(Attention Disficit/Hyperactivity Disorder)注意欠如・多動症

ADHDは「不注意」と「多動性ー衝動性」の2つが存在します。

 

A:不注意

 

掃除や片付けができない、指示を達成することができない、予定を忘れてしまう、遅刻を繰り返すなどがあります。

 

B:多動性ー衝動性

 

いつも体がそわそわと動いていたり、じっと席に座るなどが難しい場合を指します。

 

【ADHDについての詳しい説明は👇をご覧ください】

 

SLD(Specific Learning Disorder)限局性学習症

これまで「学習障害」と言われてきたものです。読み書きに苦手さを抱えたり、計算や、書くことが苦手な場合もあります。知的な問題はありません。

 

【SLDについての詳しい説明は👇をご覧ください】

 

 

発達障がいがひきこもりにつながりやすい理由

一番は「人間関係」が理由として挙げられます。特にASDを抱えている方は、対人関係に適応することが難しい場合が多いです。

 

職場では、仕事の話以外にも、何気ない雑談の時間もあります。ASDを抱える方はこの雑談を苦手にしている方が多いです。

 

しかし本音の部分では、「みんなと仲良くしたい」という思いも持っていることもあります。仲良くしたいけれど、それが叶わないことで、人間関係に疲弊することがあり、これがうつなどの精神疾患につながることもあります。

 

またADHDを抱える方の場合は、忘れ物が多かったり、重要な打ち合わせを忘れてしまうことも多いです。職場での信頼を失い、そのことで自己批判が強くなり「自分は何をやってもダメだ」という思い込みが強くなることがあります。

 

SLDを抱える方の場合も、知的な問題はないものの、資料の読み込みが苦手だったりする琴があります。これもまた、自分は「できない」と考えるきっかけとなりやすくなります。

 

こういった発達障がいの特性があることから、人間関係や、仕事がスムーズにいかなくなり、精神疾患を引き起こしたり、人と関わることが強い負担となり、次第に家にひきこもるようになります。

 

 
ひきこもりスパイラル

 

ひきこもりは、一度始まると、期間が長くなることで、社会とのつながりが減少し、「こんなに長くひきこもっていたら、もう何もできない」と感じ、より長くなりやすくなります。

これを「ひきこもりスパイラル」と呼んでいます。スパイラルとは「らせん」、の意味で、延々と悪循環が続くことになることを指しています。

 

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3.具体的な事例

(個人の特定を防ぐために、いくつかの事例を織り交ぜておりますことをご了承ください)

 

A子さんは、学生時代まで特に問題なく過ごすことができていました。ASDの診断は受けていましたが、学校は授業のカリキュラムも決まっており、決まったことを行うことが得意なA子さんにとっては、授業を受けていればいいだけの学校は過ごしやすい場所でもありました。

 

対人関係においては、心から深く付き合う友達はいないものの、「ちょっと変わった子」という立ち位置で、いじめられることもなく、付かず離れずの関係を保っていました。

 

就職活動も学業の優秀さがあることで、それほど苦労することはなかったのですが、働き出してから、トラブルが増えるようになりました。

 

上司に対して、辛辣なことを言ったり、イレギュラーな変更等があったときに、不機嫌になり、ときに大きな声で怒鳴ってしまうこともありました。職場からも何度か注意を受けましたが、改善されることはありませんでした。

 

やがて職場に居づらくなり、A子さんは眠ることができなくなります。医療機関を受診すると「うつ病」と診断され、休職することになりました。このことをきっかけに会社を辞め、それ以来自宅の一室に閉じこもるようになりました。

 

昼夜逆転の生活をし、ときおり部屋から怒鳴り声も聞こえてきます。壁を蹴っている音も聞こえます。

 

当初はご両親も、そろそろ働いたらなどと言うこともありましたが、やがて親への暴力も始まり、どう対応していいか分からず、5年の日々が過ぎていきました。

 

 

家族や周囲の支援の難しさ

発達障がいの有無に限らず、ひきこもりの対応はご家族にとって非常に負担が大きいものです。特に暴力行為や暴言があると、冷静に話し合うことも難しくなります。

 

発達障がいが見過ごされたまま大人になっているケースもあり、「どうしてこうなってしまったのか」が分からないまま、何年も経過してしまうケースが多くなります。

 

病院への受診を勧めても、本人が拒否するケースもあり、地域の支援につなげることも難しくなります。

 

4.解決へのアプローチ

 

第一歩を踏み出すためにできること

「早く仕事をした方がいい」「大学に向けて勉強を始めた方がいい」と言われたとしても、すぐに動けるわけではありません。

 

まず「小さな一歩」を踏み出すことが必要です。

 

そのためにできることが「100%できることから始める」ことです。

 

例えば「一日一回シャワーを浴びる」「必ず一度起きて顔を洗う」などです。「必ずできること」が「100%」ということです。

 

できたことに「⚪︎」をつけて、毎日チェックしていくと、⚪︎が増えることがモチベーションにもつながります。

 

注意点としては、最初に目標を高くしてしまうことです。例えば「朝7時に起きる」などです。昼夜逆転している方が、7時に起きるのは大変なことです。ハードルを上げずまずは「100%」から考えるようにします。

 

1ヶ月継続できたら、翌月は90%できること、さらに翌月は80%できること、というように負荷を上げていきます。最初は簡単にできることから始まりますが、だんだんとレベルは上がり、一年も経たないうちに、かなりハードルの高い目標にも取り組めるようになります。

 

 

周囲の理解を深める

発達障がいやひきこもりについては、名称は広まってきましたが、その中身まで詳しく知る人はほとんどいないと言っていい状況です。

 

人は「知らない」と勝手なイメージを膨らませてしまいます。まず「知る」ことから始めましょう。

 

ひきこもりとはどのような状態か、発達障がいにおいてASD、ADHD、SLDとはどのようなものか。その特性にはどのようなものがあるのか、そして対処法のヒントとなるものは何か、そのことを周囲が知ることが効果的なサポートとなります。

 

 

専門機関の利用

発達障害者支援センター

発達障害者(児)への支援を総合的に行うことを目的とした専門機関になります。各都道府県知事が指定した社会福祉法人・特定非営利法人(NPO)が運営しています。

▶︎全国の発達障害者支援センターの一覧

 

地域のひきこもり支援団体

お住まいの地域のNPOなどが行なっている支援団体です。子どもたちだけでなく大人の発達障がいについてもサポートしている機関もあります。

 

カウンセリングや心理療法

カウンセリングは、その方の持つ悩みを整理し、課題を乗り越えるために何を改善すればいいかを一緒に考え取り組んでいくものです。私の事業もここに含まれます。

 

こういった専門機関は、まずは親御さんだけでもご相談してみることをお勧めします。話を聴いてもらうだけでも、安心感を持つことができます。

 

5.支援者の視点

 

家族ができること

ひきこもりの場合、社会の関係が持てない状態が長く続きます。お子さんにとって一番関わり合うことができるのはご家族です。

 

長らくひきこもっているお子さんを見ると「早く働いてほしい」「同級生はもう自立している」など言いたくもなります。

 

しかしながら、顔を合わせるたびにこのようなことを言われると、お子さんは家族とさえも関係を断つようになります。そうなると、お子さんと関われる人がいなくなります。

 

批判ではなく、お子さんの思いを聴くことがスタートとなります。

 

そのために必要なことが次の「3つの力」になります。

 

 

▫️受容力

 

お子さんの考えている思いを「丸ごと受け止めること」を指します。「そんな風に考えているんだね」と一旦キャッチすることです。

 

よく「受容するということは、子どもの言いなりになるということか?」と捉える方もいらっしゃいますが、そうではありません。

 

言いなりは「言われたことをやること」、受容は「まず言いたいことを受け止めること」です。受容した上で、親の率直な意見を伝えることは両立します。決して言いなりになることではありません。

 

▫️共感力

 

「それは辛かったな」「しんどかったね」とお子さんの気持ちを受け止めることです。特に「感情の気持ち」に着目するようにします。自分の気持ちを理解してもらえたと感じられると「親は味方なんだ」ということを実感できるようになります。

 

▫️率直力

 

受容力のところでもお話ししましたが、お子さんの思いを受け止めた上で「私はこのように思う」とはっきりと伝えるのが率直力です。しっかりと受け止め、共感した後であれば、親の思いにも耳を傾けてくれるようになります。

 

【より詳しい傾聴術についてこちらをご覧ください👇】

 

 

社会全体で取り組むべき課題

▫️偏見や差別の解消

 

「ひきこもり」や「発達障がい」という言葉は、世間にも知られています。しかし言葉が一人歩きしている実態もあります。

 

「ひきこもりや発達障がいは人とうまく付き合えないんでしょ?」

「犯罪とかするんでしょ?」という偏見もあります。

 

寝ているときにキッチンで物音がしたら「泥棒か?」と不安になります。しかし電気をつけて確認すると、立てかけていたまな板が倒れていただけだということがわかります。何が起きたかがわかると安心できます。

 

「知らない」ことが疑心暗鬼を生みます。そしてそれが偏見につながります。まず「知ること」。そのために、私のような立場の人間がどんどん発信していくことも必要なことと考えています。

 

発達障がいを抱えていらっしゃる方の中には「職場には黙って就労したい」と思われる方が少なくありません。それは世の中に偏見があることをわかっているからです。「差別されない」「過度な特別扱いをされない」ことがわかると、就労へのハードルが下がり、ひきこもりから脱するきっかけになります。

 

▫️働きやすい環境の整備

 

これはひきこもりや発達障がいに限ったことではなく、働く方全てにとって大切なことです。あるひきこもり経験者を積極採用している会社の社員さんがインタビューを受けられていました。このような会社としての取り組みをどう思うか?という質問でした。

 

「もし自分が鬱になってしんどくなったとしても、この会社は助けてくれると思える。それが安心につながって仕事ができている」

 

もし自分がしんどくなって休職をしても、安心して戻ってこられる場所がある。そのことが結局は全ての働く人の心のケアにもつながっていきます。ひきこもりや発達障がいについて理解し、環境を整えることは、誰にとっても良い影響を与えるものになるのです。

 

 

6.まとめ

 

一人一人異なるひきこもりと発達障がい

「ひきこもり」「発達障がい」は「ひとくくり」にされてしまいやすい言葉です。「ひきこもりはこんな人だ」「発達障がいは、他者と関われない」。こういったものは一面的なもので、ときに思い込みと言ってもいいものです。

 

私たち一人一人が違うように、ひきこもりも発達障がいも、みなさんそれぞれに違います。お子さんはどういう人なのか。何が得意で何が苦手なのか。そのことを知ることがスタートになります。

 

小さな変化が大きな進展につながる

ある日突然にひきこもりが終わった、というものではありません。ドラマやドキュメントではそのように演出されることもありますが、実際はもっと地道なものの積み重ねです。

 

対話を見直し、100%できることから取り組み、それを続ける。そうすると必ず小さな変化が訪れます。この積み重ねが、ひきこもりから脱する基盤となっていきます。

 

 

支援を受けることは恥ずかしいことではなく、より良い未来へのステップとなる

誰かの助けを求めることを恥じる方もいらっしゃると思います。ひきこもりや発達障がいのことを誰にも相談したことがない方もいるでしょう。

 

ただご相談したことがある方はきっとこう思います。「もっと早くに相談すればよかった」。

 

今まで相談してもどうにもならなかったこともあったかもしれません。諦めのような気持ちを持つこともあると思います。

 

そんな方たちこそ、私はお会いし、話をし、一緒に取り組んでいきたいと考えています。

 

悩まれているときこそ、一度ご連絡ください。

 

【無料カウンセリングのご案内は👇からです。一緒に考えましょう。】

 

ひきこもり経験を通して家族の力がぐっと深まることはよく起こることです。まずはご家族が一歩を踏み出すことから始めてみましょう。

 

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■略歴:
中学時代に不登校を経験。その後学校復帰。関西学院大学に合格する。大学卒業後、人材紹介会社にてマーケティング・人事を経験。

 

あるひきこもりの青年に出会ったことから、起業を決意し、専門的なカウンセリング・学習サポートを行うOFFICE NAKAGAWAを2011年2月に設立。公認心理師、産業カウンセラーの資格を有する。現在大阪市スクールカウンセラーを兼任。

丹波市看護専門学校非常勤講師を務める。

 

ひきこもりや不登校、発達障がいのご当人、並びにご家族のカウンセリング、学習サポートを行う。PTA、学校関係、行政関係など講演も行う。

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