お子さんが不登校やひきこもり状態にあるとき「学校の話はしてはいけないのかな?」と迷う方も多いと思います。

 

しかし勉強のことや、友達付き合いのことは、親も、そしてお子さん本人も気にすることです。特に進学を控える年齢であればなおさらです。

 

今日は不登校中のお子さんと「学校の話」について考えてみましょう。

 

 

この記事を書いた人
▫️大人のひきこもり専門公認心理師なかがわひろか
▫️学校・PTA・自治体での不登校・ひきこもり講演多数
▫️不登校やひきこもりの進学・就労をサポートする

1. 学校の話はしてはいけないのだろうか?

  不登校が始まった頃は控えよう

 

例えば旦那さんなり奥さんなりが、うつ病にかかり、仕事を休んだときに「一日も早く仕事に戻って!」と言うでしょうか?

 

病気にかかったときは、まず治療が必要です。特に心の病気の場合は、日常生活もままならないこともあります。その状態で「仕事に行け」とは言わないと思います。

 

これは不登校が始まった時期においても同じです。以下の図を見てください。

 

【不登校初期から、再登校までの5つの段階】

 

不登校が始まり出した頃は、食欲も落ち、睡眠も乱れます。それまで楽しんで取り組んでいた趣味もできなくなります。

 

これは大人でいう、うつ病の診断がなされた初期と同じです。何ごとにもやる気を持つことができず、無気力な状態になります。ぼーっとしたような様子を示し、勉強に取り組んでも集中することができません。また気分も上下しやすい時期です。

 

このような状態のときに「学校はどうするの?」「行かないと勉強に遅れるよ?」と伝えたとしても、冷静に受け止め考えることはできません。

 

上の図のように1の抑うつ期から3の絶望期においては、学校の話をしてもお子さんの気持ちも乱れやすく、冷静な話し合いは難しくなります。

 

 

2. 学校の話をするタイミング

  安定期に入ったらまず「学校への思いを聴く」

 

 

家庭でお手伝いをしたり、趣味を楽しんだりすることができるようになった4の安定期に入ったら、どん底の状態は脱け出せている状態です。気持ちも上向いてくる頃なので、この時期には学校の話をしてみていいタイミングです。

 

とはいえお子さんは「行きつ戻りつ」を繰り返しながら気持ちが安定していきます。安定期に入ったと思ったら、一時的に怒り出すこともありますし、抑うつ的になることもあります。

 

「そう考えたら、タイミングを見計らうのが難しいじゃないか」と思われるでしょう。この場合は「一度話してみて様子を見る」ようにしてみてください。

 

切り出し方は、余計な前置きはせず「学校のことをそろそろ話したいんだけど、一度学校への気持ちを聴かせてもらっていい?」という形で始めます。

 

このときに、お子さんが「強い」拒否反応を示したら、一度切り上げます。この場合はまだタイミングが早かった状態です。この場合はすっと引きます。そしてしばらく(少なくとも一週間以上)間を空けて様子を見てみましょう。

 

ただ、それほど拒否が強いわけではない場合は、お子さんも「話さないといけないこと」と思っている状態でもあります。この場合は、まずお子さんの気持ちを聴くことから始めてみましょう。

 

 

3. 話の仕方

  まず思いを「受けとめる」

 

お子さんが学校のことを話し出したら、口を挟まずまず聴くことに徹しましょう。きっとかなり細かいことなども口にします。ただ、それはお子さんが思いを吐き出すことで、自分の中の疑問や迷いを整理しようとしている段階なのです。

 

例えば「担任の先生の話し方が、偉そうで嫌だ」ということが出てきたとします。「先生も生徒のことを思って言い方が強くなることもあると思うよ」とつい言いそうになります。

 

ただこの発言はお子さんの中のたくさんある思いの一つなのです。それを出し切ろうとしている段階なので「偉そうで嫌だったんだね」と受けとめるように聴いていきます。

 

お子さんが話し出した段階においては、まず聴くことに徹し、意見を言うのは後回しにしましょう。

 

お子さんも先生が偉そうだから、という理由だけでいけないわけではないこともわかっています。でも話したい段階なのです。外に思いを出すことで「でもこれじゃないよな」と自分で確認していきます。自分でも理解できているので、口を挟まなくてもいいのです。

 

どうしても口を挟んでしまいそうになるときは「今日はとにかく聴く日にして、意見を伝えるのは別日にしよう」と心構えを持ってみましょう。その方が聴くことに徹しやすくなります。

 

【お子さんとの対話方法については👇をご覧ください】

 

  聴いてから親の思いも伝える

 

もちろん話を聴くだけではなく、十分に聴いたら「じゃあちょっと意見も伝えさせてね」と親の意見も伝えるようにします。

 

このときに注意点があります。

 

①一般論は話さない

 

「学校に行かないと人生の選択肢が減る」「勉強が遅れて勿体無い」など世間一般で言われていることは言いません。お子さんが聴きたいのは世間の声ではなく親の意見です。親はどう思っているのか、そのことを伝えます。

 

②自分の意見を整理しておく

 

親の意見を伝えるためには、まず自分の考えを整理しておくことが必要です。学校に行ってほしいという思いがあるなら「どうしてそう思うのだろう?」と自問を繰り返して、自分の本音を整理するようにします。

 

学校に行ってほしい→「どうして?」→友達と仲良く過ごしてほしい→「どうして?」→素敵な思い出を作ってほしい→「どうして?」→幸せな日々を過ごしてほしい

 

このようにできるだけ深い思いまで掘り下げます。「あなたには幸せに過ごしてほしいから、そのために学校というのは一つの場所だと思うよ」というように伝えます。

 

③伝えるときは「アイメッセージ」で

 

「私はこう思う」というように私=アイを中心とした言い方を心がけます。①で述べたようにお子さんが聴きたいのは「お母さん、お父さんの思い」です。「世間では〜」「世の中では〜」は一切必要ありません。

 

  思いを伝えたら、お子さんの思いも再度聴く

 

親の意見を伝えたら「どう思うかな?」というようにお子さんの感想も聴きます。この際は再び「受けとめる」ようにします。思いを聴いてから、それに対してまた自分の考えを伝えます。

 

このやりとりが「対話」なのです。どちらか一方の話だけ聞かせるのが対話なのではありません。無理にゴールを目指すのではなく「やり取りすること」に意味があります。

 

対話ができれば、お子さんはまた考えます。親の意見も踏まえて、自分はどう思うのかについて考えるようになります。そしてまた話し合っていくのです。

 

話し合いは一回で終わるものではありません。また無理やり答えを出すものでもありません。率直な思いを伝え合い聴き合うこと。この行為に意味があるのです。

 

4. まとめ

「不登校状態にあるときは学校の話をしてはいけない」と杓子定規に考えてしまうと、タイミングを失い時間が過ぎていくばかりになります。

 

話していいタイミングと、そうでないタイミングがあります。お子さんの状態が今どの状態にあるかを把握しながら、声をかけるようにしてみましょう。

 

お子さんも学校のことを話し合わないといけないと内心では思っています。しかし自分からきっかけは切り出せないこともあります。

親御さんの方から一度投げかけてみてほしいと思います。

 

 

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【ブログ著者:なかがわひろかについて】
 
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■略歴:
中学時代に不登校を経験。その後学校復帰。関西学院大学に合格する。大学卒業後、人材紹介会社にてマーケティング・人事を経験。

 

あるひきこもりの青年に出会ったことから、起業を決意し、専門的なカウンセリング・学習サポートを行うOFFICE NAKAGAWAを2011年2月に設立。公認心理師、産業カウンセラーの資格を有する。現在大阪市・京都府でスクールカウンセラーならびに、看護専門学校にて発達心理学の講師を務める

 

ひきこもりや不登校、発達障がいのご当人、並びにご家族のカウンセリング、学習サポートを行う。小中高生や、PTA、学校関係、行政関係など講演も行う。