2025年10月末に文部科学省より、2024年度の小中高の不登校数について発表されました。今の日本の不登校の実態について、整理してみましょう。

 

※データの出典は全て文部科学省,令和6年度児童生徒の問題行動・不登校等生徒指導上の諸課題に関する調査結果概要より

この記事を書いた人:なかがわひろか
▫️不登校・ひきこもり・発達障がい専門カウンセラー
▫️学校・PTA・自治体での不登校・ひきこもり講演多数
▫️何年、何十年にも渡るひきこもり対応の実績を持つ

 

▶︎小中高の不登校数

 
2024年度において、不登校の数は小中高を合わせて421,752人となり、初めて昨年の41万人を超えました。10年前(2015年度)は同合計で175,554人だったので、この10年で2.4倍に増えています。
 
 

各学校の不登校数

各学校における不登校数は以下の通りです。
(%は全児童・生徒の中の割合)
 

【不登校の人数】

小学校:137,704人(2.3%)    43人に1人
中学校:216,266人 (6.8%)  15人に1人

高校 :  67,782人(2.3%)    43人に1人

 

【小中の不登校児童生徒数の推移】

 

不登校数の増加という観点からは、昨年度に比べると中学生についてはほぼ横ばい、小学校については微増といったところです。ただし10年前と比べると特に小学校は5倍以上に増えています。

 

【小中学年別不登校児童生徒数】

不登校の学年別の人数としては、中学3年生が一番多くなっています。

 

【小中の新規不登校児童生徒数の推移】

 

小中の新規の不登校数が9年ぶりに減少しました。不登校の増加がこの辺りで鈍化していく可能性もあるかもしれません。

 

 
不登校の定義(文部科学省)

ここで改めて文部科学省の提示している不登校の定義について見ておきましょう。

不登校の定義

 
定義の読み方

統計は定義をもとにして取らないと、基準がなくなりデータを取得することができなくなります。そのため不登校においては上記のような定義となっています。

 

そのため「年間30日以上欠席した者」とされています。しかしながら、ここには注意が必要です。

 

通常学校は年間35週ほど通うことになります。例えば週に1日に休む子は、年間35日休むことになりますので、「年間30日以上欠席した者」に入り定義上は「不登校」となります。

 

週に1回は休むけれど、他の曜日の授業に出席できていれば、授業に大きく遅れることはないでしょう。全体の8割通えていることになるので、おそらくそこまで心配はされないのではないでしょうか。

 

一方、毎日学校には行くけれど、それは放課後の数十分であったり、別室や保健室で1時間ほど過ごして帰るというパターンの場合は欠席とはならず、遅刻、もしくは早退扱いとなります。欠席ではないので、通知表を見ると「欠席は0日」となります。この場合定義上は不登校には入らないことになります。

 

しかしこのようなお子さんのことは心配される方がほとんどではないでしょうか。定義は統計を取る以上必ず必要になるものなのですが、もし遅刻、早退も含めると、この数は少なくとも1.5倍から2倍(60万人から80万人)くらいになるのではないか、と考えられます。

 

▶︎不登校の要因

小中の不登校の要因として考えられる主なもの(上位5つ)は以下のものが挙げられます。

 

【小中学生】

①学校生活に対してやる気が出ない等の相談があった(30.1%)

 

②生活リズムの不調に関する相談があった(25.0%)

 

③不安・抑うつの相談があった(24.3%)

 

④学業の不振や頻繁な宿題の未提出が見られた(15.6%)

 

⑤いじめ被害を除く友人関係をめぐる問題の情報や相談があった(13.2%)

 

高校生の不登校の要因として考えられる主なもの(上位5つ)は以下のものが挙げられます。

【高校】

①学校生活に対してやる気が出ない等の相談があった(26.9%)

 

②生活リズムの不調に関する相談があった(26.2%)

 

③不安・抑うつの相談があった(16.0%)

 

④学業の不振や頻繁な宿題の未提出が見られた(12.8%)

 

⑤選択肢に該当なし(11.9%)

 
不登校の主な要因

不登校の場合、一つの要因で不登校が起こるというよりは、いくつかの要因が重なりあっておこることの方が多いと言えます。大きく以下の5つに分けられます。

 

不登校の要因

 

この図を見ていただくと、「やる気が出ない」や「不安・抑うつ」などというのは「表面化」の部分に当たります。

 

どうしてそうなったのか?の部分には、さまざまな要因が考えられます。大きく①心理面②身体面③社会面④個人面⑤家庭環境が挙げられます。

 

そしてそれぞれにもまた細かいものが考えられます。

 

 
不登校の理由のシフトチェンジ

 

 

不登校の本当の理由というのは、実はすぐにはわかりません。「友達に嫌なことを言われた」「勉強についていけない」など何らかのきっかけで不登校が始まります。

 

それが長期化し、当初の「きっかけ」が解消としたとしても学校に行けない場合は、きっかけはきっかけに過ぎず本当の理由ではないことがわかります。

 

元々の理由が本来の理由ではなく、時間が経つことで初めてわかることもあります。

 

 
いじめという背景▶︎スクールカウンセラーの上手な活用方法
【小中高のいじめ認知件数の推移】
 
不登校の理由として、いじめが上がることは実は多くはありません。しかしながら、追跡調査によると、後になってから「実はいじめがあった」と話されるケースも少なくないのです。統計データを算出するのは学校の役割です。学校の捉え方と本人の捉え方が離れている可能性を示唆しています。
 
不登校の理由はそう簡単にわかるものではありません。時間が経ってから初めてわかることもあります。
 
安易な犯人探しに意味はありません。理由はあるけれど、簡単に結論づけず、今のお子さんに対して何ができるか、という視点を大事にしていきましょう。
 

▶︎90日以上の欠席者

調査においては、日数による分類もなされています。

 

【不登校児童生徒のうち90日以上の欠席者( )は不登校児童に占める割合】

小学校:60,737人(44.1%)

中学校:131,221人(60.7%)

高校:10,088人(14.9%)

※高校で中途退学に至った生徒:10,566人(不登校の15.6%)

90日以上休んでいる子どもたちは、小学校で44. 1%、中学校で60.7%、高校で14.9%となっています。ただ高校の場合、ほぼ同数の人が、中途退学になっています。

 

▶︎相談をした児童・生徒

 

【小中学校】

学校外の機関等で専門的な相談を受けた:34.3%

学校内の機関等で専門的な相談を受けた:43.7%

学校内外の機関等で専門的な相談を受けていない:38.3%(そのうち教職員に相談をしている:89.0%)

 

【高校】

学校外の機関等で専門的な相談を受けた:19.3%

学校内の機関等で専門的な相談を受けた:41.4%

学校内外の機関等で専門的な相談を受けていない:43.4%(そのうち教職員に相談をしている:79.1%)

専門的な相談は受けていないものの、先生と継続的に関わっている児童・生徒の様子が伺えます。先生の存在の大きさを示唆するデータです。

 

▶︎小中高の自殺児童・生徒は527 人(暫定値)

 
 
この数値は、諸外国と比べても高い数値となっており、若者の心の健康が冒されていることを示唆する数字となります。
 

▶︎今後の展望〜不登校対応にできること〜

 

 
① 早期の発見

 

不登校は休みだしてから、一気に進むこともあります。そのため、できるだけ早くその子が抱えている悩みや不安、苦しみに気づくことは重要になります。

 

自治体によっては、タブレットで毎日の心の健康を入力し、学校側がメンタル不調の子どもたちを見つけ出す仕組みを作っているところもあります。

 

また先生方や親御さんの「勘」も重要なものになります。「ちょっといつもと違うな」という小さな違和感を大事にしていきましょう。

 

【不登校の親御さんの心理について👇をご覧ください】

 

 
② 子どもたちの気持ちを聴く体制づくり

子どもたちの社会は、大人が思っている以上に複雑であり、毎日のように関係性に変化が訪れます。

 

小学校高学年や、中学生くらいになると、親や先生よりも友だちとの関係性の方が重要になります。

 

大人に気づかれないような行動も増えていきます。一方で、まだ大人の庇護されないと生活していけない部分もありますし、また甘えたい思いも持っています。

 

「話したいことはいつでも聴く」という体制づくりを普段から見せておくことは重要ですし、また大人の方から「なんかあった?」と聴くことも必要です。「お話タイム」と称して、ドライブなどに出かけるのもいいです。「頼れる人がいる」と子どもたちが実感することが子どもたちの心の支えになります。

 

【お子さんとの傾聴方について👇をご覧ください】

 

 

③ 家庭と学校の協力体制づくり

不登校対応において最も重要な観点と言っても過言ではありません。学校とご家庭が密に連携することができると、学校が安全な場所として機能しやすくなります。

 

気になることがあったら、担任の先生と話をすることも必要です。「今何ができるか」「それはどこにつなげていくためのものか」をお互いに共有することが、子どもたちの安心につながります。

 

また、スクールカウンセラーの活用も検討していきましょう。担任の先生や管理職の先生に伝えると、段取りをつけてくれます。

 

【スクールカウンセラーの活用法は👇をご覧ください】

 

④ 不登校は「その子にとって必要な休息期間」

不登校は決してサボりではなく、「これ以上頑張ったらもうおかしくなってしまう」という状態を避けるための行為だと言えます。そのため学校を休むのはお子さんにとって必要な時間になります。

 

ただ、その期間が長すぎてしまうと、お子さんは学習の機会や、友だちと関わる時間を減らすことになります。

 

これだけ休んだら大丈夫、と明確な期間は言えませんが、1ヶ月〜2ヶ月を一つの目安とし、お子さんが暇を感じられるようになってきたら、再登校に向けての準備を考えていきましょう。その際に、専門家や、スクールカウンセラー、担任の先生方と話し合いながら役割分担し、関わるようにしていきましょう。

 

【不登校対応の基本については👇をご覧ください】

 

▶︎数字から見る子どもたちが置かれている社会

これらの数字を見ることによって、今の子どもたちが置かれている状況が垣間見えてきます。
 
今の学校生活を送る中で、やる気を失い、生活のリズムが崩れることを要因として、不登校になっていることがわかります。
 
また、4割近い子どもたち(そしてそのご家族)が、「どこにも相談できない状態」にいることがわかります。
 
不登校を「怠け者だ、サボっている」というふうに見る風潮は弱まってきたと感じます。一方で、まだまだサポート体制が万全とは言い難い状況です。少なくとも、不登校を経験する人たちの多くが「相談できる場所がある」ことが求められます。
 
不登校を容認する雰囲気があれども、相談の受け皿が整備されていない現状を、少しずつ変えていく必要があります。
 
 

▶︎不登校のご相談は無料カウンセリングをご利用ください

 
いくら統計が整備されたとしても、数が多いから珍しくないから大丈夫、とはなりません。お子さんのことでご心配されている方は、一度ご相談ください。
 
不登校の対応についてご相談されたい方は、無料カウンセリングをご利用ください👇
 
 
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■プロフィール■
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■略歴:
中学時代に不登校を経験。その後学校復帰。関西学院大学に合格する。大学卒業後、人材紹介会社にてマーケティング・人事を経験。

 

あるひきこもりの青年に出会ったことから、起業を決意し、専門的なカウンセリング・学習サポートを行うOFFICE NAKAGAWAを2011年2月に設立。公認心理師、産業カウンセラーの資格を有する。現在大阪市スクールカウンセラーを兼任。

丹波市看護専門学校非常勤講師を務める。

 

ひきこもりや不登校、発達障がいのご当人、並びにご家族のカウンセリング、学習サポートを行う。PTA、学校関係、行政関係など講演も行う。

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みなさん、新年あけましておめでとうございます🎍

 

今年は、元旦の町(というか村)を軽く散歩してきました。

ちらちらと雪も舞います。

車もほとんど通らず、静かな朝でした。

 

昨夜の紅白では、私の推しのHANAのパフォーマンスと

プロデューサーであるちゃんみなとのコラボに心震えました。

 

2025年はカウンセリングはもとより、

スクールカウンセラーの勤務校も4校に増え、

また看護学校での講師もありと充実した日々を過ごすことができました。

小学生を前にした授業の数も増え、わかりやすく心理学を伝えるという

経験を積むことができました。

 

プライベートでも子どもが思春期に差し掛かり

親としても鍛え直されている一年です。

カウンセラーと言っても、家庭では戸惑い、試行錯誤する一人の親に変わりありません。

みなさんこうやって向き合っていいるんだなと改めて感じる期間です(まだまだこれから本領発揮なのでしょうが。ひえー💦)

 

今年はさらに、多くの方の前でお話しする機会を持てたらと思います。

年々増える不登校に学校も、親御さんも、そして本人も不安を抱えていらっしゃいます。

表には出ないけれど、長年のひきこもりで疲弊しているご家族もあります。

 

社会がこれらの課題に「慣れて」しまい

あまり大きく取り上げられなくなっていると感じます。

 

しかし困っている人たちはたくさんいらっしゃいます。

どこに相談していいか迷っている方もいらっしゃいます。

何をどう相談していいかもわからない方もいます。

 

一人の人間ができることはほんのわずかなことです。

けれど、蝶の羽ばたきが、大きなうねりを起こすように

小さな行動が、大きな変革につながっていくこともあります。

このことを忘れずに、日々に取り組んでいきたいと思います。

 

今年も昨年よりさらにブログの頻度を上げて(頑張るぞ🔥)

お届けしていきます。

お付き合いのほどよろしくお願いいたします。

 

2026.1.1 お雑煮を食べた後に なかがわひろか

 

 

 

この記事を書いた人
▫️大人のひきこもり専門公認心理師なかがわひろか
▫️学校・PTA・自治体での不登校・ひきこもり講演多数
▫️児童期から成人期のカウンセリングを得意とする

 

1. 不登校・ひきこもりに「する」方法

  ① 努力を認めず、結果だけで評価する

 

どれだけ一生懸命にテスト勉強をしたからと言ってもそこを評価せず、結果だけを見るようにします。

 

一定の点数以下しか取れていなかったら「ダメだったね」とため息をつきながら伝えるようにします。仮に満点を取っても「このくらいのテストでは取れて当たり前」と伝えるようにします。

 

「どう努力をしても、認めてくれないんだ」と無気力になり、何事にも前向きに捉えることができなくなります。やがて学校に行く力が奪われ、不登校・ひきこもりに進んでいきます。

 

  ② 全てのことを親が決める

 

進路や将来の職業はもちろん、明日着ていく服や付き合う友達、習い事なども本人の意思を無視して、親が決めます。

 

人生の大事な決断を親が代わりに行うことによって、お子さんは自分のことを自分で決めることができなくなり、決めてもらわないと動けない人間になります。

 

それだけならまだいいのですが、やがて不登校・ひきこもりになると「親のせいで自分はこうなった」と親を攻撃するようになります。攻撃は言葉だけでなく暴力にも繋がります。

自立したいのに親に依存して生きるしかないというジレンマを抱き、長期のひきこもりに繋がります。

 

  ③ 偏った価値観を植え付ける

 

いい大学を出たり、一流企業に勤めないと人生が終わる、という偏った価値観を常に言い続けます。

 

偏った価値観を植え付けることで柔軟に考えることができなくなります。一度つまづくと「もう人生は終わった」と考えるようになり、立ち上がる気力を失うようになります。

 

  ④ 常に周りと比較する

 

本人の努力に目を向けず、同級生やきょうだい、はたまた同年代の有名人とお子さんを比べるようにし、できていないところを指摘するようにします。

 

「お兄ちゃんはもっとできたのにあなたはダメね」「⚪︎⚪︎さんは委員長もやるのに、あなたは器がないのね」と言い続けることで、お子さんは自分を卑下した存在として認識し、他者を妬み、嫉む人生を送ることになります。

 

  ⑤ 人格否定を行う

子どもを叱責する際に、過去にあったことを持ち出して「だからお前はできない」「生まれ持った能力が足りない」というように徹底して人格否定を行います。

 

人格を否定されることで、脳が萎縮するようになり、知的にも遅れるようになります。勉強にも身が入らず、そもそも授業についていけなくなり、人生の選択肢を狭めるようになります。やがて何をするにも無気力になり、引き続き人格否定をされても反論することもなくなります。

 

  ⑥ そもそも子どもとコミュニケーションを取らない

 

子どもが話しかけても反応しません。相手にせず、無視するようにします。何か伝えたいときだけ一方的に要求し、子どもの意見には耳を傾けないようにします。

 

親に相手にされないことで「人は自分に関心がない」と考えるようになります。やがて他者に対して期待することがなくなり、人を頼ることができなくなります。クラスでも孤立するようになり、友達にも恵まれず、不登校、ひきこもりと進んでいくでしょう。

 

 

  ⑦ 子どもの言いなりになる

 

お小遣いや学校の送り迎えなど、子どもの要求に応え続けます。あれを取って、これを取って、あれを買っておいてと言われたら言われるがままにします。

 

お子さんは我慢することができなくなり、忍耐力が身につきません。何をやっても人任せで、長続きせず、やがてできないことをまた親の責任になすりつけるようになります。自分の力で道を切り開くことを諦め「社会がダメだ、政治がダメだ」と言い続けるようになります。

 

2. これらの「逆」を行うようにする

ここまで読まれて、驚いた方もいらっしゃるでしょう。「この人は何を言っているのだ!?」と思われたと思います。

 

もちろんここに挙げた7つの方法をやってほしいわけではありません(そしてやりたい人もいないと思います)。

 

どうしてこのような形で述べているかというと「悪い方向に向かうこと」を考えた上で、それらをまるっきり逆転させた方法を取ると、自然に「良い方向に向かうこと」につながり、対応のヒントとなるためです。

 

私はこの方法を「逆転法」と呼んでいます。

 

お子さんの向き合い方に困った方ほど、まず最悪の道に進む対応を考えてください。そしてその真逆のやり方を挙げてみるのです。自ずと「こうすれば良いのではないか」という方法w見えてくるようになります。

 

ではここから、上記で挙げた方法の「逆」について見ていきましょう。

 

 

  ① 努力を認めず、結果だけで評価する→プロセスを認め、結果は後からついてくる、と考える

 

成果はおまけで、大切なことは目標を達成するために「努力した」ということに焦点を当てるようにします。

 

例えばテスト前に「このテストに向けて一生懸命頑張ったね。あとはなるようになる。頑張って受けておいで!」というように労います。

 

成果だけを見られると「良い点数を取らないと自分は能力がない」と考えるようになり、より高い目標へのチャレンジ意欲が失われます。

 

【ポイント☝️】
プロセスを評価されると「もっと努力しよう」と思えるようになります。やがてより難しい課題にチャレンジするようになります。

 

  ② 全てのことを親が決める→決断は「本人が」行う

 

お子さんが小さな頃は、親が決めざるを得ないこともあります。しかし小学生中学年くらいになると、お子さんは自分で決めることができるようになります。

 

意見を伝えることはあっても、決断を左右しないようにします。お子さんが自分で考えて出した結論は、親から見たら失敗する確率が高いものかもしれません。しかし自分で決めて行うということに意義があります。

 

またダメだと思っていたことをお子さんなりのやり方で乗り越えることもあります。お子さんが自分で出した決断は、なんであれ応援するようにします。この経験があることで「親に信頼されている」という思いが芽生え、自立に向かうようになります。

 

【ポイント☝️】
自分の決断を応援してくれると、自信を持って物事に取り組むことができるようになります!

 

  ③ 偏った価値観を植え付ける→世の中に多様な価値観があることを親も学ぶ

 

一流と言われる大学を出て、一流と言われる企業に勤める人生プランがあるのも事実です。しかしそういった大学を出たとしても自分なりの道を歩んでいく人もいます。

 

世の中には私たちの知らない多様な生き方があります。自分の知識だけでお子さんに話すのではなく、親も自分の世界を広げるようにしていきます。親がこの姿勢を見せることでお子さんも柔軟な考えを持つようになり、困難にぶつかってもしなやかに乗り越える力を自分で見出すようになります。

 

【ポイント☝️】
世の中にはいろんな生き方が存在します。固まった価値観ではなく、親も視野を広げてみましょう。

 

  ④ 常に周りと比較する→比較するのは「過去のお子さん」

 

今のお子さんは、過去と比べてどうでしょうか。一年前と比べても随分成長したのではないでしょうか。人の成長はそれぞれ違います。大事なことは過去と今を比べることです。

 

さらにいうと、そもそも比較する必要もありません。お子さんが生きているのは「今、この瞬間」のみです。そのお子さんそのものを受け入れることが何より大切なことになります。

 

【ポイント☝️】
生まれたときは、満足に歩くこともできませんでした。小学校に入学するときは計算もできませんでした。お子さんは今、確実に以前よりも成長しています。

 

  ⑤ 人格否定を行う→注意するときはその行為だけにとどめる

 

もちろん親としてお子さんをしつけることも必要です。ときに注意することもあるでしょう。その際人格や過去のことを持ち出さず「今、目の前のこと」にとどめるようにします。

 

人格否定にまで及んでしまうと、お子さんは自分の存在そのものに疑問を抱くようになります。誰だってミスをします。そのミスの改善をすることが大切なことなので、その行為のみにとどめるようにしましょう。

 

【ポイント☝️】
怒っているとつい言ってしまいそうになりますよね。「今目の前のことを伝える」と意識してみましょう。

 

  ⑥ そもそも子どもとコミュニケーションを取らない→親の役割は「子どもと関わること」

 

親の一番大切な役割は「子どもと関わること」に尽きます。忙しいときは「今手が離せないから、10分後にね」というように「後で関わる」という意思を伝えるようにします。

 

お子さんからの相談に、良い返事をしようとか、励まそうと思わなくてもいいのです。ただ話を聴くということだけでもお子さんは自分を見つめ直すきっかけになります。お子さんが話しかけてきたら、お子さんの方を向いて話を聴くということを意識しましょう。

 

こうすることで、お子さんは「困ったときは向き合ってくれる人がいる」ことを学びます。これがのちに、困ったときに誰かに上手に頼るということにつながっていくのです。

 

【ポイント☝️】
忙しくて長時間関わることは難しくとも、限られた時間にしっかりと向き合ってくれたらお子さんも理解してくれます。いざとなったら頼れる存在でいいのです。

 

  ⑦ 子どもの言いなりになる→ダメなことはダメとはっきり伝える


お子さんと向き合う上で傾聴は重要です。ただ、親としての意見を伝えてはいけないことにはなりません。むしろ、話を聴いた上で「私はこう思う」と自分を主語にした「アイメッセージ」で自分の意見を伝えることは重要です。
お小遣いも、せがまれるたびに渡すのではなく、毎月定額を渡すようにします。こうすることでお金を効率的に使う金銭感覚を学ぶことにつながるのです。

【ポイント☝️】
いけないことをやったとき、ちゃんと叱ることも親の仕事です。お子さんの思いを聞いた上で、ご自身の主張を伝えるようにしましょう。

 

3. 困ったときこそ逆転法を使ってみる

 

子どもたちの対応は、迷うことばかりです。困ったときこそ、まず良くない方向に進むことをあえて考えてみましょう(きっと考えやすいはずです)。

 

それからそれを逆転してみます。そこには「これをやったらいいのではないか?」というヒントがたくさん隠されています。

 

困ったときは一度最悪を考えてみて、逆転する。

 

ぜひ活用してみてくださいね。

 

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【ブログ著者:なかがわひろかについて】
 
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■略歴:
中学時代に不登校を経験。その後学校復帰。関西学院大学に合格する。大学卒業後、人材紹介会社にてマーケティング・人事を経験。

 

あるひきこもりの青年に出会ったことから、起業を決意し、専門的なカウンセリング・学習サポートを行うOFFICE NAKAGAWAを2011年2月に設立。公認心理師、産業カウンセラーの資格を有する。現在大阪市・京都府でスクールカウンセラーならびに、看護専門学校にて発達心理学の講師を務める

 

ひきこもりや不登校、発達障がいのご当人、並びにご家族のカウンセリング、学習サポートを行う。小中高生や、PTA、学校関係、行政関係など講演も行う。

 

前回愛着についての理論編では、愛着とはどのようなものか、どうして今愛着に注目されているのかについてお伝えしました。

 

この記事では、愛着をうまく形成できなかった子に対して、どのように再形成を行えばいいか、またその対応についてお伝えします。

 

 

【愛着についての理論編はこちらです👇】

 

この記事を書いた人
▫️大人のひきこもり専門公認心理師なかがわひろか
▫️学校・PTA・自治体での不登校・ひきこもり講演多数
▫️児童期から成人期のカウンセリングを得意とする

①  愛着の必要性を理解する

幼少期の愛着形成に課題があることで、成長してからの人間関係に大きな影響が与えられるようになります。

 

他者を信用できず、些細なことで相手を徹底的に攻撃し、修復不能な関係に陥ることもあります。また過度に依存することで、相手に振り回される場合もあります。

 

愛着形成は、適切な人間関係(ときに頼ったり、頼られたり、憤ったり、また許したり)を築く上で重要な役割を果たします。

 

「けれど、今から愛着について考えても遅いのではないか?」このような疑問をいだく方もいるでしょう。幼少期の愛着形成ができなかった場合、大きくなったらもう修復が不可能なのではないか?そのようなご質問はもっともです。

 

しかしながら、愛着は、いくつになっても、再形成することが可能と言われます。お子さんへの関わりにもしご自身に至らないことがあったと思われたら、今からできることを実践してみましょう。

 

それでは実践のヒントについて見ていきましょう。

② 愛着形成に課題がある子どもへの対応 つのヒント

  1. 一対一の関係づくり

 

複数の大人が関わりすぎると、子どもたちは混乱を来します。まず大切なことは「一対一」の関係づくりからです。

 

一対一の関係を築くことができると、そこをハブとして、人間関係を広げていくことができます。愛着とは、情緒的な絆のことです。これは一度に大勢の人と形成できるものではありません。まずは「一対一」を原則に考えます。

 

 

  2. 自分の考えをつかまえる練習

 

愛着形成に課題がある場合、自分を客観的に見ることを苦手とする場合があります。そのため、今自分が何を考えているか、何を感じているかがわかっていないことがあります。

 

そのため行き当たりばったりな対応をして、周りを混乱させてしまうことがあります。今自分は何を考えているかをつかまえる練習をしていきます。

 

あめ玉のワーク

自分が感じていること、考えていることをつかまえる練習の一つに「あめ玉のワーク」があります。

 

簡単にできるものなので、実践してみましょう。

 

【手順】

①あめを用意する(どのようなものでも良い)

②そのあめをじっくりと観察する

・色は?形は?光にかざすとどんな反射をする?

③舌の上に置きその感覚を感じる

・どんな感触がするだろう?

・味は?

・舐めているとどんな風になっていくだろう?

 

実際にやってみるとよくわかるのですが、意識を向けると実に色々な思いを感じ取ることができます。私たちの多くはこの感情を無意識のうちに感じています。しかし愛着形成がうまくいかなかった方の場合、感情をつかまえることを苦手にしていることがあります。

 

それは感情(泣いたり怒ったり)を出したときに、反応してもらえなかったという経験があるためです。感情を出しても意味がないという無気力状態になり、感じ取ることもやめてしまうのです。

 

あめ玉のワークを使うことで、「今、ここ」で感じていることを自分自身が認識することができます。これが「自分が考えていることをつかまえる」ということになります。

 

 

どうして自分の考えをつかまえないといけないか?

自分が何を考えているのか、感じているのかを理解していないと、それを「伝える」ことができなくなります。伝えられないということは、相手はどうしてそうなったのかを理解することができないということにつながります。

 

何を考えているかがわかることは、周りの人に対しても「自分はこう考えている」ということを伝え、理解を促すことにつながるのです。

 

  3. 感情に適切な名前をつける

 

愛着形成に課題がある方は、自分が何を考えているかを把握することが難しく、また今の気持ちがどのようなものかを自覚することを苦手としています。

 

愛着が形成されている場合は、自分がある感情を抱いたときに、そのことを養育者に訴え、そこに共感し名前づけをしてもらうことで「これは悲しいという感情なのだ」ということを理解します。私たちはこのようにして、悲しい、楽しい、寂しい、嬉しいという感情を学んでいくのです。

 

しかしこのやりとりが乏しいと、どの感情が「悲しく」どの感情が「寂しい」のかがわからないまま成長することになります。

 

 

感情がわからないと何が問題か?

悲しいという感情がわからないと、相手が悲しい思いをしたときに、その思いを想像し共感することができなくなります。

 

そのため、相手を傷つけるような言動を行っても、どうして相手が怒るのかが理解できず、改善することにつながります。そのため人間関係に大きな溝を作ることにつながります。

 

今感じているのは「悲しい」思いなのだということ、「寂しい」とはこのような状態のことなのだということ、そして「嬉しい」「楽しい」ときはどのような状態なのかを身につけていくことも人間関係を構築する上でも、また、自分の思いを適切に相手に伝えるためにも必要なことなのです。

 

  4. 自分の気持ちの伝え方を学ぶ

 

自分の考えを理解し、感情をつかまえることができたら、それを相手に伝える練習が必要になります。

 

伝える努力をして初めて、相手はその人の気持ちを知ることができます。「言わなくてもわかる」は幻想なのです。「言わないと伝わらない」のです。そのために伝える努力が必要になります。

 

 

アサーティブな発言を学ぶ

アサーティブとは、自分の意見を的確に、かつ相手を傷つけずに伝える方法です。手順を追いながら伝える内容を考えてみましょう。

 

【手順】

①ある感情が動くシチュエーションを考える(怒ったときや悲しいとき)

 

②まず「攻撃的な言い方」を考えてみる

例)(嫌なことを言われて)「そんなこと言うなんて、本当にお前は腐っている!」

 

③次に「受け身な言い方・態度」を考えてみる

例)(嫌なことを言われて)しゅんと何も言えずに泣く

 

④ ②と③を踏まえて、より良い言い方を考える

例)そんなことを言われてとてもショックだったよ。私はあなたと仲良くしたいから、もう言わないでほしいな

 

攻撃的な言い方は、自分の伝えたいことをストレートに伝えることはできます。しかし相手は不快な思いをして、人間関係は修復不能な状態になることもあります。

 

受け身な態度は、相手は不快になりませんが、自分が辛い思いを抱えたままになります。

 

そこで双方の重要な点を見つめ直して、言い方を考えてみるのです。上の例で言えば

「ショックだった」ということ、そして「仲良くしたい」という思いを伝えることです。

 

これがアサーティブな言い方であり、自分も溜め込まず、相手にも嫌な思いをさせず伝える方法になります。

 

  5. 過保護になりすぎないようにする

 

基本的には傾聴に軸を置いた対応が重要になりますが、決して「言いなり」になってはいけません。

 

甘えさせた方がいいと考え、本人の思いを受け入れるだけになってしまうと、愛情欲求をさらに求めることにつながります。その欲求に対応できている間は落ち着いています。しかしエスカレートする要求に対応できなくなると、一気に攻撃性を向けるようになり、一対一の関係が崩壊してしまう恐れがあります。

 

傾聴はするが、自分の意見は率直に伝えることを大事にします。できないことや、距離感を詰めすぎないことを明確に伝えるようにします。距離は取るのだけれど、あなたのことは見捨てない、という姿勢が必要になります。

 

  6. 主導権を握る

 

愛着に課題がある子どもたちは、自分の思い通りに物事を進めようとする傾向があります。このパターンになってしまうと、対応する人は振り回されてしまうようになります。

 

子どもに主導権を取られそうになったら、同じような内容でもいいので「⚪︎⚪︎しよう」とこちらから再提案するようにします。

 

キーパーソンは、思い通りになる人、ではなく、自分に向き合い、教えてくれる人である認識を持ってもらうことが必要となります。

 

  7. 明確な連携を取る

 

発達障がいの対応でも同じことが言えますが、「こっちでは違う方法、あっちでも違う方法」になると一貫性がなくなり、子どもたちは適切な行動を身につけるのが難しくなります。

 

まず一対一の関係性を重視し、キーパーソンを中心に対応を進めていきます。キーパーソンの方法を連携し、そのほかに関わる方も同じ対応を一貫して行います。そしてその子の情報はキーパーソンに集約していきます。迷ったときもキーパーソンが中心となり対応を考え、周りもそれに合わせていくようにします。

 

一方ではダメなことが、一方では甘えても良い、となると、甘えさせてくれる人に依存するようになり、一対一の関係性が不安定になっていきます。

 

発達障がいとの違い

ここで愛着の課題と、発達障がいの違いについて述べておきます。愛着に課題がある子どもたちの言動は、発達障がいの中でも特にADHD(注意欠如・多動症)に似ている行動をとります。

 

落ち着きがなかったり、攻撃性があったり、不注意があったりします。医師でも弁別が難しいと言われます。

 

ケースバイケースになりますが、おおまかな指標として「人によって態度が変わるかどうか」を軸に見るようにします。

 

相手が誰であっても、基本的に一貫した行動をとる場合は、発達障がいの可能性が高くなります。発達障がいも相手によって多少の行動の減少・増加が見られますが、概ね一貫して落ち着きがなかったり不注意が出ます。

 

愛着に課題がある場合は、例えば厳しい親の前では規律正しくしますが、甘えてもいい先生の前では集中力がなく、授業中でもだれたり、攻撃になることがあります。必ずそうだとは言い切れないのですが、指標にしてみてください。

 

③  タイプに限らず、この方法をベースに考える

理論編でもお伝えしましが、愛着形成には4つのパターンがあると考えられています。

この中で、回避型、アンビバレント型、無秩序型で、人間関係に課題が出ることが多いです。

 

共通点は人間関係です。人間関係を適切に維持していくためには、言葉を使ったコミュニケーションが不可欠です。またときに我慢する関係も必要になりますし、相手の立場に立って考える力も必要となります。

 

どの型であっても、対応のヒントで述べたことをベースに考えていきましょう。
 

④  対応は「行きつ戻りつ」を繰り返す

 

不登校でも、ひきこもりでも、発達障がいでも同じですが、対応を始めたら、一直線にうまくいく、ということはありません。

 

うまくいったかな?と思ったら、逆戻りすることもあります。場合によっては、バースト行動と言って、一時的に以前よりもひどい状態になることもあります。

 

しかし長期の視点で見ると、数ヶ月前、一年前と比べて落ち着いていくようになります。そのため、対応のコツは「階段」を意識します。

 

一段上がったら、それを継続して、そこから次の一段、というように順番に階段を上がっていきます。うまくいかないときは、一段下に戻って、しばらくそれを続け、もう一度チャレンジします。

 

できないことがあったとしても、それは「タイミング」の問題であることが多いです。一度前の段階に戻ってから再チャレンジすると、スムーズに進むようになります。

 

ちょうど数学で一次関数がわからないときに、一度比例の問題や、方程式の問題に戻って復習してから取り組むとスムーズに進むようにです。

 

⑤ これからをどう対応するか

愛着形成のお話しをすると「子どもの頃にもっと構っておけばよかった。もうどうしようもない」と思う方もいらっしゃいます。

 

しかし、愛着は「いくつになっても再形成できる」ものです。

これまで幅広い年齢の方のカウンセリングをする中で、年齢に関係なく親を思う気持ちは生涯続くものです。それだけ親の存在は子どもたちにとって大きなものなのです。

 

「今さら」の「さ」を「か」に変えて「今から」やっていきましょう。

 

どうしていいかわからないときは、私もいます。「今から」一歩を踏み出しましょう。

 

 

参考図書

 

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近年「愛着障害」などの言葉で、聞く機会も増えている方も多いでしょう。

幼少期の愛着形成が、その後の長い人生の人間関係に大きな影響を与えると言われています。

愛着の重要性と、これから再構築していくためにできることについてお伝えします。

 

【愛着についての実践編はこちらからどうぞ👇】

 

 

この記事を書いた人
▫️大人のひきこもり専門公認心理師なかがわひろか
▫️学校・PTA・自治体での不登校・ひきこもり講演多数
▫️児童期から成人期のカウンセリングを得意とする

 

① どうして今「愛着」が取り上げられるのか

幼少期に養育者(親、それに類するもの)との間に安定的な愛着が形成されていると、その後の良好な人間関係に結びつくと考えられています。

 

身近な人との愛着形成があることで、他者に対しても適切な距離を取り、時には我慢づよく関わることができ、互いに成長し合い、また信頼し合える人間関係を形成できると言われます。

 

反対に適切な愛着形成がなされなかった場合、他者に依存傾向になったり、反対に少しの行き違いで拒絶するような人間関係につながることがあります。

人によっては他者を信用することができず、孤立した生活を送る場合もあります。一方で優しくしてくれる人に全てを許し、心も体もお金も支配されてしまうケースも存在します。

 

「たかが幼少期の親との関係性だけで、そこまで影響するわけがないだろう」

このような疑問もあるかもしれません。

私も愛着について学ぶ前は、そこまで重視するものではありませんでした。

親との関係性がどうであれ、それが人格形成にまで影響するとは思えない。そう思っていました。

 

しかしながら、10代、20代はもちろん、30代や40代のかたでも、親の影響を強く受けているかたがたくさんいらっしゃいます。

 

愛着形成があるかどうかで全てが決まるわけではありません。適切な愛着が形成されない状況にあったとしても、健全に過ごされている方もいるでしょう。

ただ他者を信じることができず、他者に裏切られることに怯え、そのことで精神を病み、より孤立する生活を送る人の中に、幼少期の親との関係が影響していることがあるのです。

 

大人になっても、強く影響する可能性があるもの、それが愛着です。だからこそ今、愛着について学ぶ意義があるのです。

② 愛着とは何か?

  愛着の定義

 

愛着理論の提唱者である、ジョン・ボウルヴィ(John Bowlby:1907-1990)はこう定義しています。

"愛着とは、人が生まれてから数ヶ月のあいだに特定の人(母親や父親など)との間に結ぶ情緒的な絆"

その昔、生まれたての赤ちゃんは「ミルクをくれるから、その相手に愛着を感じる」と考えられていました。つまり自分の欲求を満たしてくれるから、という条件づきで感じていたということです。

 

その後の研究で、赤ちゃんは生理的な欲求を満たしてくれるからではなく、温もりなど「自分を受け入れてくれる存在、安心できる存在」に対して愛着を感じることがわかってきました。

 

ボウルヴィは、そこからさらに愛着について発展的な研究を行い、愛着とは欲求を満たしてくれることが前提ではなく、赤ちゃんが出すシグナルを養育者が受け取り、応答していくプロセスの中で形成されるとしました。

 

つまり赤ちゃんが微笑んだり、泣いたり、不安なサインを出したときに、抱き締めたり、声をかけたりするというやり取りの中で育まれるものなのです。

 

衣食住が満たされていたとしても、そこに養育者との愛着関係がないと、身体発育が悪くなると言われます。中には栄養も満たされているのに死んでしまう子もいます。愛着を形成することは、赤ちゃんが成長していく中で、命を維持するためにも必要なものなのです。

 

  愛着の発達過程

 

愛着は4つの段階で形成されると言われます。

 

 

第1段階:前愛着期 0歳〜2,3ヶ月頃

愛着が形成される「前」の段階です。周囲の人すべてに対して、にっこり笑いかけたり、じっと見つめたりする時期です。

愛着が形成されているわけではありませんが、その準備段階と言っていいでしょう。

 

 

第2段階:愛着形成期 2,3ヶ月歳〜6ヶ月頃

特定の人、多くは養育者(多くは母親や父親)に情緒的な絆である愛着を形成してく時期です。この時期から「人見知り」が起こります。

 

人見知りができるということは、自分にとって身近な人と、そうではない人の区別がついている状態だということです。

特定の人との関わりが密になるからこそ人見知りは起こると言えます。

 

 

第3段階:明確な愛着期 6ヶ月歳〜2,3歳頃

愛着対象者と、それ以外を明確に区別するようになります。

愛着対象者(養育者)を「安全基地」として捉えるようになります。

 

 

第4段階:目標修正的協調関係期 3歳頃以降

愛着対象者を「安全基地」と捉えることで、愛着対象者の姿が見えなくても、泣かなくなります。活動範囲も広がるようになります。

 

  愛着の「安全基地」とは何か?

 

ここで「安全基地」の考え方について言及しておきます。

 

例えば、ご自身が宇宙飛行士になったと想像してみてください。これからロケットに乗って、遠くの星に行くとします。

 

そのときにもし「もう帰って来れる場所がない」と思ったら、安心して飛び立つことができるでしょうか?

 

危険な冒険に出られるのは「戻って来られる場所があるから」です。

 

愛着における「安全基地」とは、新たな経験をする中で、不安や恐怖にぶつかったときにいつでも甘えたり、頼ったすることができる場所のことを指します。

物理的な場所を指すのではなく、精神的に安心できる存在のことを指します。

 

子どもたちが養育者に対して安全であると認識できると、怖いことや、不安なことが起こっても「きっと守ってくれる」と安心できます。この安心があるからこそ、見知らぬ人と関わったり、やったことのないことにチャレンジできるようになるのです。

 

 

 

愛着形成の3つの基地機能

①安全基地

 

恐怖や不安、怒りや悲しみなどのネガティブな感情が出てきたときに「大丈夫だと守ってくれる」と感じられることです。

 

守ってくれる場所があると避難することができます。愛着形成の基地機能において、最も基本的で重要な基地になります。

 

②安心基地

 

嬉しい、楽しい、チャレンジしようというポジティブな感情を生じさせてくれる基地になります。つながりを持てることで、安心を感じられるようになります。

 

③探索基地

 

安全基地から離れて、未知の場所に行ったり、新しい出会いを体験するために必要な基地です。

 

安全基地があるからこそ、安心して離れることできます。親から離れても自分は見守ってもらえているから大丈夫と思えるようになったときに完成すると言われます。

 

③ 子どもの4つの愛着パターン

アメリカの発達心理学者であるエインズワース(Mary Dinsmore Salter Ainsworth)の研究をもとに、子どもの愛着には4つのパターンがあると言われます。

 

 

①安定型

 

子どもの発するサインに敏感に親が反応し、過不足のない関わりを行うことができる養育者との関係性があります。

 

安全基地機能も健全に形成され、養育者に甘える時期と、次第に自立を目指して成長することができます。

 

人間関係も良好な関係を築くことができます。相手の置かれた状況も想定し、相手の立場に立った考え方や、建設的な議論で人間関係を発展させることができます。ときに諍いが起こることもありますが、それを修復させる力も持ち合わせています。

 

②回避型

 

子どもの働きかけに拒否的に振る舞ったり、子どもが泣いて近づいてきても自分から離れてしまうような養育者との関係性の中で生まれる型です。

 

人を頼りにしても、拒否されることを経験することで、他者との親密な関係を築くことが難しくなります。心と心を通わす関係性に慣れておらず(またやっても無駄と感じてしまう)、相手に対して「気持ちが伝え合えない」「何を考えているかわからない」「冷たい」と感じられることがあります。

 

③葛藤型(アンビバレント型)

 

子どもへの応答が気まぐれな養育者との関係性の中で生まれる型です。

 

養育者はその日の気分によって子どもへの対応を変えます。養育者の機嫌が良いときは、好きなものを買ったり、いたずらをしても寛大な態度をとりますが、期限が悪いときはいつもと同じことをしても腹を立てて冷たく対応してしまうことで、子どもは養育者の顔色を見て振る舞うようになります。

 

他者の顔色を見ながら嫌われないようにと、ときに不当な要求に従うこともあります。相手に拒否反応を示されると、混乱し、激しい不安に駆られることがあります。

 

④無秩序・無方向型

 

養育者や虐待やマルトリートメント(不適切な関わり)を受けている場合に起こりやすい型です。

 

過度に対人関係を拒否したり、反対に、初めて会った人に馴れ馴れしく接してしまうことがあります。行き過ぎた関わりを行い、トラブルを起こしてしまうことも少なくありません。虐待の影響がある場合、常に恐怖心を持ち合わせているため、ちょっとしたことでも混乱することがあります。

④ 愛着に課題がある子どもの特徴

 学校生活

・注目されたい気持ちが強く、本来できないこと(委員長や、文化祭のリーダー)を先を考えずにやろうとする

・距離感が近すぎるため、過度に相手にボディタッチしたり、近くにいようとする

・些細なことで、相手のことを罵り、関係を断とうとする

・気に入らないことがあると、徹底して相手をこき下ろすことがある

・こだわりが強く、会話の流れと関係の無い点を何度も指摘する

・自信を持つことができず、「やってみよう」が響かない

・落ち着きがなく、授業中にソワソワすることが多い

・先生からの注目を浴びるために、ことあるごとに先生を呼ぶ

・指吸いや、体の一部を触る

・姿勢の維持が難しく、授業中にだれたような座り方になる

・自作自演で物を隠して、探偵のように見つけたりする

・気分のムラが大きく、日によっても、また一日の中でも気分が大きく変化する

・明らかに自分に非があるときでも、認めようとしない

・回避傾向がある場合は、他者と密に関わろうとしない

 

 家庭内

 

・抜毛(髪の毛を抜く)などの行為がある

・指吸いがある(学校でもする場合がある)

・ゲームやネットに依存気味である

・性的な関心が強く、親に隠れて、もしくは親の前でも性的な会話をする

・性器いじりがある

・適正カロリーを摂取しない、もしくは適正を大幅に超えたカロリーを摂取する

・自傷行為がある

・チック、吃音がある

 

ただし、家庭内においては、親の前で従順にすることもあり、学校生活と大きく異なる場合があります。家庭では従順だけれど、学校では問題行動が多い場合は、親子関係の関わり方を見直すことが改善につながります。

 

⑤ これからをどう対応するか

 

ここまで愛着に課題がある子どもたちの特徴を見てきました。もしかしたらご自身も思い当たるところがあるかもしれません。

 

愛着に課題がある子どもたちにどのように接していくことが重要か、この点について「愛着:対応編」でお話ししていきます。

 

保護者の方はもちろん、子どもたちに関わる先生方や、保育士の先生方にもヒントになることをお伝えします。

 

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■略歴:
中学時代に不登校を経験。その後学校復帰。関西学院大学に合格する。大学卒業後、人材紹介会社にてマーケティング・人事を経験。

 

あるひきこもりの青年に出会ったことから、起業を決意し、専門的なカウンセリング・学習サポートを行うOFFICE NAKAGAWAを2011年2月に設立。公認心理師、産業カウンセラーの資格を有する。現在大阪市・京都府でスクールカウンセラーならびに、丹波市看護専門学校にて発達心理学の講師を務める

 

ひきこもりや不登校、発達障がいのご当人、並びにご家族のカウンセリング、学習サポートを行う。小中高生や、PTA、学校関係、行政関係など講演も行う。