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コメントの補足7

1400兆円ものお金が使われる、すなわち消費に回れば、日本経済のフロー(GDP)は前代未聞の大成長を遂げることになります。何しろ、フローの一部である民間最終消費支出(個人消費。今は300兆円程度)に、一気に五倍の金額が追加されるわけです。

僕も最近まで、「お金が消えない」、「1400兆が使われると消費増」と信じていました。

このブロガーさんは特に説明も無く、突然?(ではないのかもですが)「お金は返済で消える」ことを主張。
これは、コメント欄で結構騒動になり、読者の方々の一部からは動揺の声もありました。

そして、今回の主張は後半部分を主張しなくなったというだけで、過去からの読者が「1400兆が使われると消費増」とミスリードするような内容になっています。

ミクロで起きる現象を述べることで、嘘ではないけれど話を摩り替えていると考え、そのことに異を唱えたことがきっかけとなっています。


では、僕の主張


1、「1400兆が使われると消費増」にはならない。
2、ストックからフローは不可能(マクロ、本質的に)


の二点の説明を試みたいと思います。






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図にしてみました。

GDP(総生産)は三面等価により=GDI(総所得)=GDE(総支出)です。


GDPというと三橋さんの影響で支出面(GDE)ばかりが、強調されて僕も含めその本やブログの読者は記憶していると思われます。

ですが、GDPはそれほど単純な指標ではありません。
それを説明したいと思います。



上の図はGDPつまり総生産からみたものです。

山(薄いオレンジ色の三角形が一応山のつもり・・・)の上流から説明します。
水がお金だとして、その水を岸辺で汲んだ企業などがその水に付加価値を付けて放流しています。

それに伴い、上流から下流に行くに従い水の量が増えていきます。

この水は一年かけて河口に集まりました。

それを見たものが、水色の逆三角形のGDPです。
つまり、その逆三角で見たものはすでに1年後の結果なのです。

そこから濃い青色部分の海に流れたものがストックになります。
ここまでは、おそらく共通な認識だと思います。



次に、GDIつまり総所得、分配面から見たものです。

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付加価値分の儲けも意味します。

儲けたお金は、消費、納税、貯蓄(使わない)の3つにしか行きません。
これは個人でも企業でも同様です。

GDPが増えるということは、僕たちの給与が増えるということでもあるのです。



次は、GDEつまり総消費、支出面から見たものです。

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これが有名な
国内総生産 = 消費支出 + 投資支出 + 政府支出 + 純輸出(輸出 - 輸入)
恒等式(所得恒等式)です。


総生産=総支出

つまり、総供給=総需要

とも言えます。


なぜでしょうか?

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この図は、別の面から見たGDE(総支出)です。

国民は、所得を使うか(消費)使わないか(貯蓄)です。

使われなかったお金は、その人には資産です。
資産を借りて、投資という消費をされています。

なので、総消費なのです。



負債を伴う消費なので、それと同額分の貯蓄はそのまま残ります。

そして、その貯蓄(金融資産)と投資(負債)が下図

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の濃い青色の海へ流れて溜まったものがストックになると言う訳です。

海水=塩+水とします。

塩は金融資産のバランスシートに相当します。水を国富と考えてください。

ここで、考えて欲しいのは海にあるのは塩分(金融資産=バランスシート)と水分(設備投資、公共投資)です。

海面から水分が蒸発して雲になり、雨となって還流するように国富である水(施設や機械など)だけが山に雨となって降り注ぎ、次の年のGDPを産み出します。



ストックからフローへは不可能というのは、この海に流れた水の本質を考えると理解できます。

ここでは海水は毎年繰り返される、負債を伴う、すでに投資として使われて、実体は次の年のフローへ降り注いだ後の抜け殻のようなものが、貯められた場所でしかないのです。(貯蓄をした人にとっては綺麗な海に見えていることでしょう)

この図で説明すると、川に当たる部分の二等辺三角形が1年間の水の流れ(フロー)と、河口の逆三角形部分は過去1年間の水の量(GDP)、流れた水がそれより過去から溜まった海(ストック)はそれぞれ関係があるように見えて、時間軸が違う世界なのです。

GDPは時間が止まっている(結果)なので、それが自体が動くことはありません。
海の海水も、過去の結果というストックからの水が雨(投資)になって降り注ぐものの、塩分(金融資産のバランスシート)は海の中(ストック)だけでしか動くことができないのです

つまり、実際に水が流れているのは川(フロー)だけなのです。

そして、その海の水を汲んで川に戻す行為、つまり貯蓄を取り崩すということは過去の水、つまり海水を水に戻す行為であり、それは今流れている水を汲み上げて、その人に渡しているに過ぎない行為なのです。


それこそが「取り崩すということは、ストックからのように見えてフローからしか取り崩せない」
ということなのです。

このとき海水(ストック)の塩分濃度(バランスシート)や海水量(国富)に変化を与えはしますけれども。

汲んだ水が少なければ(ミクロ)影響は少ないのですが、その量が増えるに従い、その他に流れる水の量は少なくなるだけです。(流れる水の量は変わらない=GDPは変化しない)

1、「1400兆が使われると消費増」にはならない。
のです。

三角の部分のGDPはあくまで、取り崩しを含め、利息や国債の購入までも含んだ結果でしか無いのです。

ちなみに海の水は、信用創造(投資)によってどんどん増えます。
ですが、当然負債も同じように増えていきます。

その川の水以上に広がる海のような金融資産を取り崩すには、

川の水(フロー)では間に合わないのです。

2、ストックからフローは不可能(マクロ、本質的に)
なのです。





川の水を増やし海の水を増やすには、負債を伴う投資という消費が必要になります。
つまり、使われなかったお金を借り、代わりに消費する主体が必要になります。

家計が負債を増やさず、企業も負債を増やさない。
残されたのは・・・。

つまり、政府が僕たちの代わりに負債を伴う消費をして所得を維持しているとも言えるのです。

コメントの補足6

銀行の起源

ゴールドスミスは自分に預けられている金が常に一定量を下回らないことに気付いた。これは、支払いに用いられた金を、受け取った業者がすぐに預けに来ることが原因であった。また、中にはキリのいい単位で金を預け、その預り証をそのまま取引に用いる金所有者も現れた。

ゴールドスミスは、預けられた金を運用しても預金支払い不能にならないことを知り、貸し出し運用を開始した。これが銀行の始まりであり、この過程で生まれた預り証が、現代の紙幣の起源である。紙幣(預り証)は金の預金証書であり、価値の裏づけがなされているから価値を持つことが出来た(金本位制も参照)。

また、貸し出した金も再び預け入れられ再度貸し出しに回ることにより、預り証が大量発行され、貨幣経済成長の原動力となった。このように、預り証を保証する金よりも、預り証の量が多くなることを信用創造と呼び、現代の銀行においても重要な機能である。


wikiより


堂免信義 著「日本を貧困化させる経済学の大間違い」P46より

社会全体において金融資産は無価値である

社会全体としてはいくら大量の金融資産があっても、カネが社会内を右往左往するだけであり、価値を生まずにコストが発生するだけです。

金融資産を持つ個人は・・・働かずにモノを増やすことができます。
しかし社会全体のモノを増やすには誰かが働かなければなりません。


この意味でも、社会全体において金融資産は無価値です。




金融資産は換金可能な抜け殻。

運用益とは他人を働かせて利益を貰うことですから働く人の利益にはなりません。



誰かが働くというのがフロー(新たな付加価値)。
金融資産は換金可能な抜け殻というのがストック。




三面等価

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GDPが一年間のフローの合計ということは、そこから金融資産のコストが生じる。
このGDPの中に、取り崩しのコストが含まれているということは、誰かが働いて支払ったものということです。
言い換えれば、誰かが働いた一年間の合計(所得とか儲けとか消費)から、金融資産の利子や取り崩しが行われてるといういうことです。

それこそが、金融資産はそこにはなく、新たな付加価値から生じているという意味なのです。


これらを踏まえた上でもう一度説明してみます。



「ストックを取り崩してフローが増加するか」


フロー=GDP(フローの一年間の合計)
GDP(生産、付加価値を付す)=GDI(分配、所得とか儲け)=GDE(支出、消費)


ストックを取り崩そうとすれば、資産=負債なのだから、すでにそこには無い。
ストック(金融資産と国富、ここでは主に金融資産)

ゴールドスミスは、預けられた金を運用しても預金支払い不能にならないことを知り、貸し出し運用を開始した。

金融資産は投資としてすでに何かしらに消費された後なので、手元には実体はありません。そこには無い。

金融資産は換金可能な抜け殻。

なのです。



フローから債務返済して返すしか無い。

金融資産を持つ個人は・・・働かずにモノを増やすことができます。
しかし社会全体のモノを増やすには誰かが働かなければなりません。



働かずにモノを増やすには、誰かが働く必要があります。


モノを増やす・・・生産。
誰かが働く・・・付加価値を付す行為、労働。
消費される・・・誰かの儲けに。

ストックを取り崩そうとすれば、資産=負債なので、負債も返済してもらわなければ取り崩すことが出来ない。
ですが、債務者が今年の働いた分から債務返済が出来れば可能になる。(ミクロではそれが可能。)

(フローから債務返済して返すしか無い。できなければ債務返済のたらい回しに。)




フローが減った分、消費される。(誰かの儲け)
フロー=GDPなので、消費増にはならない。(ここでそれが債務返済に使用されれば、消費減で信用貨幣は消滅する。)

本来、社会全体が得るはずの儲け分(フロー)が減るので、その分が消費減になる。
そして、払い戻しを受けた分が消費されても、消費が増えたことにならない。





「ストックを取り崩してフローが増加」はなりません。

コメントの補足5

GDP=(所得)給与

でもあります。

つまり、GDPが増えないということはゼロサムゲーム、誰かが多く消費したとしたらその分他の誰かは消費が少なくなります。
こういう風にも言えます。誰かが所得を増やしたら、誰かの所得が少なくなります。
なので、預金を取り崩して消費しても、全体では消費増にはなりません。


仮に雇用に変化がないとすれば給与は減ります。
減らないとすれば、雇用は調整されます。

どちらにせよ良いことではありませんよね。


「預金超過分で買っている国債を買わずに取り崩しに回せばいい」という意見をいただきました。

どうやって???

というか、銀行が取り崩しに応じたら負債である預金が減り、資産の現金が消えることなんですよ?

それに預金超過といっても銀行に現金がそのままあるわけじゃないのです。(単に、預金超過=預金-貸出金の額で、それは使われていないのではなくて他で運用されているのです)

資産を現金に代えるという時点で貸し剥がしが起きます。これは巡り巡って家計、企業、政府が負担することになり、貸し剥がしの途中でどこかの企業が返済不能に陥れば、信用貨幣はあっという間に消えていきます。

取り崩して消費してもGDP増にならない(経済成長しない)のに、国債買うのを銀行が辞めたらそれこそ国債が暴落です。

買う人が少ない=金利上昇

というか、ただでさえ税収が減っているのに政府はどうやって税収不足を補えばいいのでしょうか?
過去の借り換分は?


というか、ストックは過去に使われたお金です。
帳簿上に記載されているだけの幻のようなものなのです。

資産=負債

それを取り崩すということは、負債も返済してもらわないとなりません。
そして、それはフローつまりGDPからしかできないのです。

利払いも、国債購入もその年のフローにすでに含まれているのですから。






国債の金利の勘違いについて。

銀行が新規に国債を買ったとき額面(償還時にプラス金利分)で買っているはずです。
少しでも元本割れしたら買い手が群がる・・・わけがありません。


国債の原価は最低でも日本政府が保証している。
というのは、あくまで償還時のことです。

逆に現在が買い手が多いので、額面以上になる、つまり高値で買うので償還時に貰うはずの金利が少ない・・・つまり低金利なのです。

売れないと、額面割れします。
少しでも早く現金化するためです。

国債を額面割れで購入。
償還時に額面プラス金利分を受け取る
安く買った分が金利上昇分

買った人は得をしますが、売った人は損します。



「GDPなんて意味がない」という意見もいただきました。

GDPが増えるということは我々一人当たりの給与増ということにも等しい。
だからこそ、穴掘って埋めても、無人のビル建てても誰かの雇用と給与になります。

給与が減ってもいい、ということでしょうか?





もちろんその分配は、政治の調整を必要としますが。

コメントの補足4

取り崩すことは可能か不可能か?
ミクロでは可能でしょう。

取り崩すということは、ストックからのように見えて、誰かがその年に稼いだフローからしか受け取ることが出来ません。

それを取り崩せない訳じゃないというのなら、その通りでしょう。
ですが、いったいどこからそのお金を稼いでくるのですか?
借りるとしても、債務返済のために簡単に貸す所が見つかるでしょうか?

ミクロとマクロを混同しています。

ストック→フローは原理的に出来ないというのはそういうことです。


預金を取り崩しても消費増にならない。


の説明を試みます。

GDPの三面等価で分配面は

GDP=(所得)給与

でもあります。

個人でも、GDPの分配と同じように同じようにお金は使われていますよね。

消費、納税、貯蓄

つまり、GDPが増えないということはゼロサムゲーム、誰かが多く消費したとしたらその分他の誰かは消費が少なくなります。
こういう風にも言えます。誰かが所得を増やしたら、誰かの所得が少なくなります。
なので、消費増にはなりません。

ですから


家計が貯蓄を取り崩すことによって生まれた消費拡大は、企業側の生産能力を超えた時点で企業の自発的な投資拡大を生み出します。


という状況にもなり得ません。

ついでに言うと、現状の銀行経営は投資先がなくて困り果て、国債を買ってしのいでいる状況です。まず家計が取り崩され始めると、企業側からの貸しはがしよりも先に利率の低い国債を取り崩し始めるでしょう。

つまり、国債利率の上昇という形で社会への影響が現れます。




国債を取り崩すことがどういうことかというと、金融機関が売ります。
売りが多いので金利は上昇します。
金融機関は受けとる予定の額面以下で売ることになり、大損害でしょう。

資産がだだ減り。

さて、その状況で何が起こるかというと、自己資本比率低下による貸し剥がしでしょう。

家計の取り崩しが起こっていけば、赤字国債発行額の減額という社会的朗報として報道されるでしょうし(その際には家計貯蓄が減少し始めた! 破綻の危機だ!って報道になると予想はされますが)。

何よりも貯蓄の90%を65歳以上が占めている現状の貯蓄が取り崩され、雇用の対価として労働者層……つまりが若者へと財が流れるのは歓迎すべきだと思うのです。



なので、こんなことは起こりません。
FC2 Management

コメントの補足3

さて、もう一度おさらいです。

ミクロとは各家計や企業など単体での視点です。
マクロとは国全体の視点です。

フロー=GDPです。


ご存知のようにGDPの三面等価から

生産=分配=支出(どうもこの支出、消費面ばかり強調されすぎていますよね)
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総生産=総分配=総支出=GDP

要は一年間で生産したものの利益が分配されて、すべて消費されます。(貯蓄、預金ではなく使われなかったお金全部も投資された先で消費されます)


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この三面等価のうちの分配面に注目してみましょう。

分配(所得)=消費+税金+貯蓄

設けたお金は、消費されるか、納税するか、貯蓄(預金ではなく使われなかった残り分)しか向かうことができません。

このうち、上のグラフの黄色い部分、貯蓄は3つへ投資され消費されます。


貯蓄=公債+企業投資+海外投資

へ向かいます。
これらから

GDPは総需要=総供給=総消費ということが分かります。

貯蓄の内訳を見てみましょう。
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これを見ると、投資(債務)の主体が企業ということが分かります。

投資という形で消費された一部が

国富(非金融資産)+金融資産=ストック

になります。
ストックはすでに使ってしまったお金(債務)ということが分かります。

債権者が取り崩そうとすると、フローレベルで稼いだお金か、ストックをやはり誰かがフローレベルで稼いだお金で肩代わりできなければ、取り崩すことが出来ません。

分配≒所得なのですが、この中に利子なども含まれているのでストックの利子を消費に回してもGDPは変わりません。というか、すでにGDPの中に含まれているのです。

つまり、取り崩すお金もGDPに含まれていて(その年のフローで賄います)、それを超えるお金は取り崩すことができないというか、取り崩した(取り崩せた)としたらすでにGDPに含まれている(順番として企業がフロー増で稼ぐのが先)のです。

ミクロ(各家庭や各企業)で見れば、取り崩した家計は収入増ですし、それを消費すれば代金を得た企業は売り上げ増になり、あたかもストックからフローが出来たかのように見えます。

ですが、先程述べたようにすでにフローに含まれたお金を使っても、消費だけが増えることは無いのです。

仮に増えたとしたら、その取り崩す分以上に生産が必要になります(つまりGDPを増やす)
ですが、10兆円でGDPの約2パーセント?を増やすということは、現在の潜在成長率を越える成長が必要になります。


消費拡大しないのは、取り崩して得た収入分を誰かが肩代わりしているので、差し引きゼロになり消費が増えたことにならないという意味です。

もう一度GDP、フローの意味と、ストックについて、マクロでの視点で考えてみてください。

コメントの補足2

まず大前提として

金融資産の取り崩しはミクロ(各家計、企業)では可能。
マクロ(国全体)では不可能。

他には

・ストックからフローへ回すことは原理的にできません。

・貯蓄率の低下で金融資産を取り崩され始めると、海外からの投資が必要になります。

などです。



何故か、言っていないことをレスしてきた方が居たので、例を挙げますと・・・

「タンス預金」
「現金をかばん」
「火に投げ込まれて灰」

これらについては、まったく想定していないので的外れな反論です。

「お金を下ろして使われても、また企業から金融機関に戻るだけ」

これも、ミクロでは可能です。
だから否定していません。





次の例ですが・・・

金を使う
 ↓
消費増
 ↓
景気が上向く

これはミクロとマクロを混同しています。

ストックから使われた場合、お金は移動するだけ。なので、フロー増にはなりません。

ここは、移動するだけという意見もありましたが(しつこいですが、僕はそれは否定していません)、消費増という間違った認識の方が見受けられます。

バランスシートを移動した後に、それが何らかの形で運用されてバランスシートが拡大するという意見もありました。

これらの消費増、バランスシート増もその前段階で起きる事象を無視しています。

誰かの資産は誰かの負債。

家計が銀行の預金を下ろす→銀行の資産と負債減少
家計が消費→企業へ→金融機関→運用

移動するだけです。バランスシートに変化はありません。

投資増はそれとは別の、家計、企業、政府が借金をすることなので別の議論です。


資産=負債です。
それが取り崩しされはじめたら、対応する負債も減ります。

に対する反論、

その時は日銀がお金を刷って、渡せば良い。

というのも日銀は債務者ではありません。
金融緩和とは別の話です。



団塊世代が資産を取り崩して消費したら、バランスシートの借り方でお金が「家計の資産」から「非金融法人企業の資産」に移るだけです。



マクロでは取り崩せませんし、消費されてもGDP(フロー)増にならないのです。
FC2 Management

コメントの補足

人様のコメ欄で、自分の主張しても迷惑なので、自分のところでコメントの補足エントリを。


 下図は2008年のGDPの三面等価を模したグラフを筆者が作成してみたものです。

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ちなみに3面といいながら4面じゃ?の、支出面2は支出をさらに細分化したものです。

 


GDP
紺色のグラフの一番上のですね。

分配面

まずオレンジのグラフが消費です。

黄色が税金黄緑が貯蓄です。

つまり稼ぎ出された付加価値は、

消費税金貯蓄 と分配されます。

貯蓄とは銀行の預金とは違います。 消費と納税したあと使われなかった額です。


支出面
少し判りにくいですが、グラフでは

消費(オレンジ)政府支出(赤)投資(深緑)純輸出(緑) で表しました。


支出面2は投資部分を細分化したもので、

投資=民間投資+公債純輸出 を表しています。

つまり、投資先はこの3つのいずれかしかありません。

ちなみに公債費(国債など)は水色の部分。 純輸出が緑です。




GDPやバランスシートを見ているとコインの表と裏ということが分かってきます。

投資が増殖して莫大な金融資産になりますが、それは裏を返せば誰かの負債でもあるという。

つまり、毎年のGDPの投資から、ストック(バランスシート上でも)へ積み上がるのは、資産でもあり、負債でもあります。

国民は、1年間稼いだお金を税金を納め、モノとサービスに変えますが、使いきれない分来年への投資や政府への貸し出し、海外への投資など変わりに使い切っているとも言えます。

ということは、ストックは貯めているように思えて、すでに使ってしまった資産とも。

つまり、預金はすでにもう無いのです。

国債も将来世代への借金の先送りでも無く、ただ資産=負債の増加という見方もできます。




これを踏まえて・・・




ストックからフローへは(マクロだと)原理的に不可能。


フローは毎年のGDPで、その中から投資に回った分の過去の金融資産と非金融資産(国富)

年にすでに他の誰か、企業なら設備投資など、政府なら国債、または海外への投資などが使用したお金ということになります。(GDPの三面等価)

資産=負債

そのため、金融資産は国富に含めません。

銀行の預金は銀行の負債ですよね。

それを取り崩すと銀行の負債が消える=資産も消えます。

ですが、ご存知の通りその資産は株・社債・借金・国債などすでに運用されて使われています。

つまり、銀行は誰かから資産を回収しなければ預金者へ支払いができません。

取り崩しが起こり始めるのだから預金準備も不足してしまいます。金融機関の1100兆円と言われる預金に対して現金は0.7パーセントで約8兆円程度?しかありません。

日銀も債務者では無く、買いオペなどの金融緩和策もここでは関係がありませんし、買いオペもそもそもはベースマネーを増やすためのものですから。)

銀行が回収先を企業にしたとして、企業がそのお金を用意するには利益から支払います。
それもおそらく大金なので可能性としては低いですし、(その金額分のフローを新たに生み出さなければなりませんし、それは簡単でありません)それで損害を受けるのはそこで働く家計でもあります。
あとは債務不履行になるかです。(この時点で政府の支援も考えられます。ですがそれは政治的要素になります。)


企業が融資された、もしくは社債などを買ってもらったお金はすでに設備投資や運用資金で使われています。
設備や土地といった資産を売るにしても、買い手がいなければならず、運よく売れたとしても国家のバランスシート上を移動するだけです。(所有者が変わるだけ。)

実際の動きはもっと複雑だと思いますが、それでも貸し剥がしが起こることによる景気への悪影響は過去の経験からも理解できると思います。

もし企業の支払いが滞れば、信用収縮でバブル崩壊のような不況に。家計にも大ダメージ。

銀行も支払いが出来ない→破綻か?→取り付け騒ぎの可能性も(その前に政府の介入はあり得ますが、それでは取り崩せることにもなりません)。


政府だとしたら、企業や国民が税金で支払うか、国債などが売られるか・・・どちらにせよダメージは大きいことは想像できます。


GDPは国内の

支出(消費)の合計=生産(付加価値)の合計=分配(所得)の合計。

それで消費をしたとしてもフロー増とはなりませんよね?



ミクロでは資産を取り崩して消費したら、バランスシートの借り方でお金が「家計の資産」から「非金融法人企業の資産」に移るだけです。

たしかにお金は消えていませんが、フロー増で好景気にもなりません。



個人レベルでは可能ですが、社会全体では不可能というアレです。




結論として貯蓄率低下は好ましくない状況になります。
マクロでは取り崩せませんし、消費されてもGDP(フロー)増にならないのです。
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