ヒロです。
すでに紅葉盛り。
さて、フラを習っている方々から同じような相談が届きました。
しかも、けっこう頻回です。
基本、相談はご自分のクムに話をしてください、とお返ししていますが、
この頃は、そうでもなく、ご自分のクムのことでの相談です。
「クムに色々買わされるのですが…」
「これって普通なんでしょうか?」
以前もブログで一度書いたことがありますが、あらためてまとめておきます。
せっかくフラが好きなのに、余計な負担で、フラが嫌いにならないように。
① 踊る曲を勝手に販売する問題
昔は、1曲500円でCDやカセットを売るクムが普通にいました。日本人の先生も然り。
でも今は、YouTube・Apple Music・Spotify でほぼ無料。
スマホさえあれば、AirDrop、LINE、共有リンク、なんでもできます。
今、音源そのものを“売る”必要はありません。
中にはCDしか聴けないという人がいると思いますが、無料で焼いてあげればいいのに。
(余談ですが、この前知人がMDデッキを探していたので、使っていないものを譲りました。時代ですね~。)
② 自主制作DVDの購入
「振り付け動画を作りました。1本◯千円です。」
——いまだにある DVD 商法。
一世代前の在庫処分なのかな?と思うこともあります。
ただし、“補助的に YouTube にあげて、不足分だけ DVD に入っている”
というパターンもあり、これは内容によっては悪いことではありません。
YouTubeだと大事なところが映っていなかったりするやつです。
本来は、レッスンで見せて、スマホで撮らせれば済む話。それなら無料では?
要は、レッスンが一番大切で、動画は補助ツール、ということ。
そこが逆転してしまうと問題です。だから、問題はご自分にもあるかもしれません。
YouTubeは広告収入が入るからで、著作権がどうこう、という話ではないですよね。
すでにそういう時代です。
③ 指定衣装の高額販売
衣装を指定すること自体は悪くありませんよね。
問題は——原価の2〜3倍で売られるケースが多いこと。
数千円のものが、日本人だけ3万円以上。それが、TemuやSHEINの同じものだったり。
クムのデザイン料や特別な工程が入っているなら理解できますが、
そうでないなら、ただの負担の押し付けです。
ハワイだから、特別なもの、という神話は既にありませんよ。
ハワイで作っているハワイのものや、フラ関係の商品は、輸入に頼っていますよね。自給率は低い。
日本だって、日本で作っている日本のものってどれぐらいありますか?
クムが持ってくるククイのレイは、ハワイから持ってきた、のかもしれませんが、そもそも中国製や東南アジア製です。
ハワイでククイのレイを作って、売っている人はいません。
④ 日本に存在しない植物のレイの指定
「この踊りには絶対この植物を使ってね」
と言われれば断れません。
しかし——
日本では存在しない植物を平然と指定してくる問題。
冬の日本でプルメリアなんて、物理的に無理。
ハワイでもティーを1000枚単位で安定供給している農家なんて存在しないのに、なぜか日本の生徒にはそれを課してくる。
レフア用意して。
プルメリア用意して。
これ、本当に謎です。
ハワイ人だってアジアの国から仕入れていますよ。
⑤ クム指定の楽器の上乗せ価格
ウリウリ、イプヘケ、プーイリ、ククイ…
「このメーカーで揃えてね」はよくある話ですが、クム経由だと店頭より高いことが珍しくありません。
クムから買う=敬意
という文化的背景もありますが、それは買ってあげることが敬意なのかな?
私はハワイのクムに頼まれて楽器を作るとき、ちゃんと説明します。
自分の大切な楽器だから。誠実に扱ってほしいからね。
⑥ イベント乱立で、生徒がチケット代を補填する構造
最近、深刻なのがこの問題。
日本ではハワイアンイベントが増えすぎて、
純粋に“イベントを見に来る一般客”が激減しています。
踊る人向けに、チケットを売る。
結果——
・空席が大量に出る
・チケットが捌けない
・出演する生徒が自腹で負担(補填)
ハワイからのゲスト費用やバンド代は理解できます。
しかし、イベントが多すぎて、レア感も価値も薄れてしまった。
ホールで踊るのに「1曲いくら」という時代、
この構造、本当に続けられますかね?
心配なのは、
こういうものに、出演できる人はお金の払える人だから、
となると、フラはお金が掛かる、ということになり、
気軽にスタートしたい、という人の敷居が高くなり
フラ人口のすそ野が広がらない。
高齢化が進んでいき、新規に習い事をやりたいという人口は少ない中で、
日本人のフラやハワイへの向き合い方は、手軽さを失う。
⑦ ホーイケをやりたがるクムのビジネスモデル
私の知っているクムで、日本で新規クラスを始めた方がいました。
最初は普通のレッスンだったのに、気づけば あっという間のホーイケ開催。
衣装もレイもアクセサリーも全部クム指定。
クム本人も来日。
ワークショップもやる。
するとどうなるか?
“すべての負担項目”が一気に揃う。
衣装
アクセサリー
楽器
レイ
チケット
クムが絶対、クムが全て。
でもそのクムは、これが、一通り終わり、しばらくすると飽きて来日しなくなり、
クラスは縮小。
もう日本に来てない。
これは、文化イベントではなく
完全にビジネスモデル化してしまっていた例ですが
ビジネスにならず終息してしまいました。
飽きっぽいからかな。
最後に
クムを敬うことは、ハワイ文化の核心です。
しかし、
生徒を疲弊させる構造は、文化の伝承とは程遠い。
私の今まで師事したクムは、生徒の生活を守り、
無理のない範囲で文化を伝え、
お互いに成長できる関係をつくってくれました。
「何か不安なことがあったら相談してね」
と言える関係こそ、本物の信頼関係です。
フラが持つ本来の喜びや美しさが、
お金の負担で曇ってしまうのは、本末転倒かもしれません。
文化を文化として伝え続けるために、
一度立ち止まって考えることも必要です。
きっと、読んでいる人の中には、
「また余計なことを言っている」と思う人もいるでしょう。
でも——
ご自分が置かれている状態から一歩離れて、自分の考えを整理する。
リセットボタンを押し、
再起動する。
これはとても大事です。
ハワイのクムフラの生活を養っているのは私達だから、
クムは私たちがお世話をしないと、ダメだから。
というプライドは、ご自分の正しい判断を鈍らせるかもしれません。
ただ、そんな自負に酔うのも、私にはどうでもよい。
私自身は、同じ歩調で共に歩いてくれるクムフラこそが先生であり、師匠であると、思います。
時には辛辣なことをいいながらも、必ず一緒に見守ってくれる、ということです。
ハワイのクムフラにも、本当に色々な考え方の人がいますから、それは良く肝に銘じて欲しいことです。
どちらが将来の自分にとって、良い選択になるかは、ご自分でお考えください。
相変わらず生徒募集をしています。
ご興味のあるかたは、ご連絡ください。



















