娘が今話題の映画「ラストマイル」を見てきました。
解剖医たちの活躍を描いたテレビドラマ「アンナチュラル」と
機動捜査隊の活躍を描いたテレビドラマ「MIU404」の、
メインキャストをわき役に添えた超豪華な映画です。
その娘の帰宅後の感想の第一号が、
「資本主義って人を幸せにしないんだね」
どういう映画?
「月刊日本」9月号の「羅針盤」にこのような記事がありました。
共産主義の元祖であるマルクスとエンゲルスは、
「成熟した資本主義が限界に達して社会主義・共産主義に移行する」
「資本主義から共産主義への革命の目的は、
独占資本によって奪われた人間の自由の回復である」と明記しています。
ところが戦後に暴力革命で成立した共産主義の国々は、
自由と民主主義とは全く無縁の抑圧国家でした。なぜそうなったのか。
<革命前のロシアは資本主義が高度に発達しておらず、
専制君主が全権を握っており国民の識字率が低く、
民主主義も人権も経験していなかった。
そのような時代環境の中で共産主義を標榜する革命が断行されたが、
それは帝政に対する暴力革命にならざるを得なかった>
レーニンやスターリンも帝政ロシア育ち、
自由と民主主義の社会を知らないですから、
指導者になっても暴力的な国家運営しかできません。
中国の事情も同じようなものでした。
<資本主義では資本が無限に利益を追求することが正しいことなので、
利益第一主義で、必然的に労働者の搾取と環境の破壊に陥ってしまう。
そこで生産手段の私的独占を許さず、
それを国民の共有にし協同組合のように管理していけば、
利益第一主義により労働者を搾取することも予防できる。
それを可能にする条件は、
高度に発展した資本主義の成果である高い生産力と、
人権と民主主義を掲げて戦った経験を持つ国民の存在である>
ラクをしたい人間が増えるほど配送業がブラックになるように、
どんな社会構造であっても人々が理想を失うと格差は広がるのです。
日本のように人権と民主主義を掲げて戦った経験を持たず、
国民自身が本来の権力者であることを忘れているような国では、
資本主義であれ共産主義であれ専制君主国家であれ、
民の幸せは権力者次第、ということになるのでしょう。