からだに恥をかく体操〜えんぴつみがき〜 -250ページ目

ボツ台本花火と思い出

「花火と思い出」


『もうそろそろ大きな花火大会がありますね』
「そうだね、隅田川の花火大会とかね」
『おれんちからは隅田川のと荒川のが見えたんだよ』
「おれんちって実家の話ね」
『おれんちっつっても友達のマンションのベランダからだけど』
「全然おれんちじゃないだろ!友達んちだよ!」
『おれんちからも見えたんだけどね』
「なんなんだよ!もうわけわかんねえよ!」
『おれは荒川の花火のほうが好きだったな』
「え、なんで?お前隅田川のほうが地元だろ?それに隅田川のほうが有名だし」
『隅田川のなんて駄目だよ。テレビ中継があって派手に見えるけど、荒川に比べると土手も川幅も狭いし、周りにビルとか建物が多いからあんまり派手に出来ないんだよ、ヘリが飛んでてうるせえしな。実はそんなもんなんだ』
「え、そうなの?本当?」
『いや、自信は無いけど』
「なんだよ憶測かよ!お前本当に隅田川と荒川の花火見比べたことあんのかよ!」
『あるよ!バカ言うな!地元だぞ!時期的に荒川のほうが早いんだよね、一週間ぐらいかな?家にいると雷かって思うようなボーンボーンバラバラって音が聴こえてくる』
「わかるわかる」
『隅田川のもその日が来るとボーンボーンバラバラまるで雷かってぐらいの音がする。どっちかっていうと荒川のほうがいい音がするからさ』
「見比べてねえじゃん聴き比べちゃってるよ!ていうかせっかく近くに住んでんなら観に行けよ!一大イベントだろ!」
『通は音を楽しんでから観に行くんだよ』
「本当かよ、食い物じゃねえんだからよ、誘ってくれる友達がいなかっただけじゃねえのか」
『バカか?友達ぐらいたくさんいたよ。浅草周辺には不法就労とか不法入国してる外人がたくさんいたからね、よく証人として呼ばれたもんだよ』
「やめろよ!大体同級生の友達の話だよ!」
『いや友達だって言うと少しだけ入国管理のやつらの扱いがよくなるらしいんだよ。ああ、こいつはそんな悪い奴ではないんだなって』
「だからやめろって!それに不法就労はよしとしても不法入国した奴は十分悪い奴だよ!」
『友達だって言うとあとで知らないおじさんからお金が貰えるんだ』
「それ友達じゃなくて取り引きだろ!」
『学校の友達ぐらいいるよ、田中だろ、田中だろ、それに田中』
「田中ばっかだな!」
『いや本当なんだよ。双子の田中にウィンナーソーセージみたいなちんこの田中』
「なに言ってんだよ!双生児とソーセージなんかかける方が恥ずかしいわ!」
『双生児とソーセージかけたら4田中ですか?』
「4田中ってかけ算のかけるじゃねえよ!なんだよ4田中ってよ!一人増えてるだろ!しかも双子が2なのはわかるけどなにどさくさに紛れてウィンナーソーセージの田中を2にした!」
『ああ、あいつは一本しかウィンナーもってないもんな』
「大体の田中は一本しかもってないよ!」
『ってことは2田中ですか?あれ、1田中死んだ』
「死んでねえよ!別にかけ算する意味なんてないんだからな!数合わせたいんなら足し算しろよ!」
『だってウィンナーソーセージみたいなちんこの田中のウィンナーソーセージみたいなちんこが一本消えちゃたんだぞ?数学って不思議』
「わけわからねえよ!大体ガキのちんこなんてみんなポークビッツみたいなもんだろ!」
『いや中三の話だから、まだ毛すら生えてなかったんだよ、田中』
「ああ、そうなの?ああそう。それにしても田中が三人もいると大変だな」
『だからあだ名をつけたんだよ。双子の田中には山田と山口、ちんこの田中には山本』
「山ばっかだな!全部名字だし!別の名字があだ名ってどうなのよ!どうせつけるならもっとわかりやすくしろよ!」
『結局全員“やまちゃん”って呼ばれてさ』
「せっかくあだ名つけた意味ないだろ!」
『クラスには本当の山田山口山本がそれぞれいるからもんだからさ』
「もうわけわかんねえよ!余計混乱するだろ!」
『やまちゃーん花火観に行こうぜ、なんていったら六人のやまちゃんが集まるわけ』
「まあそうなるわな」
『ハリー・ポッターと六人のやまちゃん、なんつって』
「うるせえ!くだらねえこと言うな!」
『あはははは』
「なんだよ急に」
『いやだってやまちゃん達が魔法使うところ想像したら笑うしかないだろ』
「全然笑えねえよ!なぜならおれは六人のやまちゃんの一人も知らないからな!」
『やまちゃんっつっても特に田中の方な』
「わかんねえよ!」
『双子の兄の』
「どうでもいいんだよ!知ったこっちゃねえ!」
『まあその六人のやまちゃんのうちの一人が、後の南海キャンディーズの山ちゃん』
「嘘つけ!出身地も世代も違うだろ!」
『ウィンナーソーセージみたいなちんこの田中が後の山ちゃん』
「だから嘘つくなって!田中だろそいつは!なんで大人になってからも田中なのにわけわかんねえあだ名の山本引きずってんだよ!それに南海キャンディーズの山ちゃん山本ですらないし!山里だよ!」
『隅田川の中継で三流芸能人が集まるのよ』
「三流っていうな!中継番組のゲストとしてだろ?」
『隅田川沿いの中学校の屋上で撮影してんだよね。だからおれ達は花火なんか観ないで芸能人を見に行くことにしたんだ』
「三流って言ったくせに興味津々だな!せっかくなんだから花火観ろよ」
『いや隅田川の花火なんて毎年嫌でも視界に入るからね、しかも先に荒川観てるわけだし、もう花火なんてどうでもいいんだよ』
「ああ、でもそういうもんかもね」
『芸能人を見るためにその中学校に入る』
「ちょっと待って、その中学校に入るの本当は駄目なんだろ?」
『どうなんだろ?生徒には開放してたよ』
「でもお前達はその中学校の生徒じゃないんだろ?」
『まあな、でもこっちは地元民だからさ』
「そこは関係ないだろ」
『忍び込むなんてわけない』
「ああそうか」
『ロケバスとかあってさ、うわーすげーとか言って、視聴覚室が楽屋になってるんだよね、屋上にも近いからさ』
「まあ学校で撮影するならそうなってもおかしくはないな」
『視聴覚室の一画にはやっぱりスタッフが見張ってるんだよな、だからすいませーん宿題忘れました、っつって楽屋に入った』
「なんか主旨が違ってきたな」
『あるわあるわ宝の山。スタッフの目を盗んで金になりそうなものを次々と』
「おいなにやってんだよ!泥棒じゃねえかよ!」
『いやでも中学のガキの頃だから』
「関係ないだろ!泥棒は泥棒だよ!中学生だからって駄目なもんは駄目だ!」
『盗んだものを四次元ポケットに入れても?』
「急にメルヘンチックになったって駄目だよ!」
『でもスタッフに見つかっちゃってね。泥棒だ!って言われて、ほら、おれ達目出し帽被ってたし』
「スタッフもうちょっとしっかりしろ!」
『しょうがないから籠城して』
「なにやってんだよ花火大会の日に!」
『大人はなにもわかっちゃいない』
「全面的にお前達が悪いだろ!不法侵入に窃盗だよ!」
『そうしてぼくらの七日間戦争が始まったわけ』
「うるせえ!なに言ってんだよ!」
『水鉄砲にキンカン入れてピュー』
「お前ら用意良すぎるだろ!そういうシーンあったけど!」
『さすがに戦車はなかったから代わりにロケバス乗り回して』
「なにしてんだよ!名場面が台無しだよ!」
『盗んだバスで走り出す♪』
「シャレになんないよ!バイクでもそうだけど!」
『でも次々とやまちゃん達は捕まっていく』
「そりゃそうだろうな」
『残りはおれとやまちゃん』
「どのやまちゃんだよ!」
『山口』
「山口も二人いるだろ!」
『オリジナルの山口』
「田中全滅しちゃったよ!」
『おれあんま山口と仲良くなかったからさ』
「お前が誘ったんだろ!」
『いや、山口が勝手についてきたんだ』
「紛らわしい呼び方してるからだよ!でも友達同士で遊んでると、ふとあんまり仲良くない奴と二人っきりになって困ることはあるな」
『だからおれは山口を事件の首謀者に仕立て上げて逃げることにしたんだ』
「うわ最悪だなお前!ていうか山口よく仕立て上げられたな!」
『バカだからね』
「一言で片付けられちゃったよ山口」
『山口がうまい具合に大人達の注意を引きつけて、その間におれは金目のものを持って逃げた』
「バカにしては頑張ったな山口」
『結局芸能人は見れなかったな』
「もうそこはどうでもいいだろ!むしろお前達が有名人だよ!」
『で、金目のものを友達に売ってね、友達って不法入国の外人ね』
「逃げおおせちゃってるじゃん!なにやってんだよ!悪すぎだよ!悪ふざけなんてレベルじゃねえぞ!」
『悪すぎって、分け前はちゃんとやまちゃん達が出てきたら山分けにするつもりだったよ。やまちゃんだけに山分け、なんつって』
「なにうまいこと言ったみたいになってんだよ!友情の問題じゃねえよ!」
『まあ山口には分け前やるつもりはなかったけど』
「やれよ!一番の功労者だろうが!」
『でも結局親バレしちゃってね』
「なにAV出演がバレたみたく言ってんだよ!ああ、でもよかった」
『よくねえだろ!』
「よかったよ!世間的には!」
『こんな大金どうしたんだ!って怒られて』
「そうなるわなぁ」
『お前には早過ぎる!このお金は預かっておきます。って』
「お年玉かよ!どんな親だよ!」
『取られちゃってさ、二度とその金を見ることはなかったんだ』
「ああ、なんだかんだでも親が返したのかな」
『ただその日から毎日の夕飯はステーキだったな』
「使っちゃってるよ!もういいよ!」


終わり なーむー

読んだら損する「運命はテイクアウト」(10)

少し冷静になった僕の頭の中にいる妖精っぽい昆虫が脳のシワの奥からある情報を引き出した。昆虫というからには腹から六本の脚が生えているのだろう。ええい、そんなことはどうでもいい、情報だ情報。
「快楽殺人犯は捕まりにくい」
ただしこの情報は多分に希望的観測が含まれている。確かに快楽殺人犯のほとんどは目をつけたなら最後、縁もゆかりもない人物を襲う。よって被害者の人間関係からの捜査線上に犯人は浮かばない。捜査は次の被害者を待ち、犯行の共通点を見つけ犯人像をプロファイリングして犯人を探す。だから快楽殺人犯の連続殺人の場合被害者が一人二人なら捕まえようがないのだ。まあ僕は快楽殺人犯ではない、と思うのだが。しかし多分に希望的観測が含まれていると言ったように、証拠さえ残さなければ、の話だ。当然捜査は人間関係にとどまることはない。あの公園で僕の髪の毛一本でも見つかれば、僕の性別と年齢、血液型、また髪の毛の長さによって僕がニートであることは推測されるだろうし、足跡が特定されればおおよその体格はわかるだろう。あとはアリバイか。これはまあ後の話。
しかしまあこれらの点は、希望的観測によるところが非常に大きいが、大丈夫だろう。まず髪の毛は、少なくとも彼女の体にはくっついていないだろう。くっついていなければ見つかりはしまい。また彼女の長い黒髪は僕の長髪を隠す蓑になってくれる。足跡だって、仮に特定されてもなんだというのだ。僕の靴はサンダルだった。しかもそこいらに売ってるサンダルだ。第一、公園なのだ、不特定多数の人が行き来する公園なのだ。まああの時は誰もいなかったけど…。あの時間に誰も遊んでいないようなしみったれた公園だけど彼女みたく通路として利用する人達だっているはずだ。なにより僕は今までに警察の厄介になったことはない。目撃証言さえなければ僕を探すのは容易ではないはずだ。そしておそらくは僕の犯行を目撃した者はいない、はず。逃げ出してから悲鳴や怒号は聴こえなかったから。仮にプロファイリングの結果ルサンチマンなニートの若い男性の犯行によるものと断定されても、僕の街は田舎じゃない。僕みたいな奴はここいらにだってたくさんいる。範囲を東京に広めれば更に倍。ドーン。しかも僕は、厳密に言うとあの公園の地元じゃあない。駅にして二つぐ
らいある離れた場所だ。
「なにもしなければいい。なにも」
僕はいつも通り部屋に居ればいい。目立たなければいい。このままでいい。突然髪を切ったりしたら駄目だ。普段通りに、このままで。見つかるわけなんかないのだ。警察が僕に目をつけるわけないのだ。ただまた脳内の虫が脳内をシワに入っていった。あれよく見ると脚が八本あるな、ていうことは蜘蛛?または一部のカニ?それはやだなぁ。ってええい、そんなことどうでもいいのだ。その、なんだ蜘蛛的なやつが見つけてきた情報。それは最終的に快楽殺人犯は捕まっているという、どうしようもないほど当たり前な情報。そりゃそうだ。捕まったから快楽殺人犯についての情報があるわけで、日本でニートしている僕にも本とかで知り得たわけだ。まあしかしあいつらは何人も何十人も殺した末に捕まっている。しかも大概ガキの頃に性犯罪を犯してる。または、こんなことあまり言いたくないが、外から見て明らかに複雑な家庭の場合が多い。僕はさっき言ったように今までに警察の厄介になったことはないし、少なくとも外面は良い家庭なはずだ。それに快楽殺人犯、連続殺人犯でも逃げおおせた奴はいる。切り裂きジャックは捕まってないし、ゾディアックも捕まってない。捕
まるといっても、捕まった奴ってのは犯行を重ね、重ねるにつれ犯行が雑になったり大胆になったりしたからだ。やはり目撃者さえいなければ、僕が捕まるはずは無い。まず無い、はず、なんだ。
いわゆるゴールデンタイム。テレビはバラエティーとドラマの時間。NHKの存在を思い出してチャンネルをかえる。NHKは裏切ることなくニュースタイム。しばらく垂れ流しているとあのニュースを伝え始めた。

モヤモヤシリーズ都市伝説風?

新たな都市伝説でも創るかな…。元の部分だけ。

飛んでるカナブンをバドミントンのラケットで打つと誰かが死ぬ。

携帯電話のバイブ機能でアレをし過ぎると○○が腐る。(これを書いた当時倖田來未が謝ってた)

小さい頃トンボを殺し過ぎた人は大人になって凄い罪悪感にかられる。

神社で書いた絵馬が誰かに笑われている。

地デジはやってこない。

ため息をつくたびになんかやるせない気分になる。

江戸川の土手にはバゼシャン(UMA)がいる。

荒川の土手でホームランを打ってはいけない。

合わせ鏡の中に壊れた時計を置くと鏡に写った中の一個だけ動いている。それが止まるまで見ていると、次の日時計が止まった時刻に死ぬ。


ブリーフを初めて履いた日本人は中大兄皇子。

放送大学は面白い。

つむじが右巻きの人はハゲやすい。

子供の頃は目をつぶるとオリジナルのシューティングゲームが出来たんだ。今は出来ない。なんか悔しい。




だめだ。都市伝説じゃなくて全部事実だし……………





なんちて…てへ☆

ボツ台本夏休みのおもひで

「夏休みの重い秀明」


『もうすぐ夏休みだな』
「そうだね、いやぁ夏休みは楽しみだったなぁ、春休み冬休みにはない期待感があったよ」
『具体的には?』
「なんといっても長いからね。北海道とか雪国では冬休みの方が長いっていうけどおれ東京生まれだから、7月下旬から8月まるまる1ヶ月、しかもお盆休みがあるからね、田舎に帰ったり旅行に行ったり、うちに帰ればプールに行ったり、コンクリートジャングルの中熱射病ギリギリフラフラになって蝉捕ったり、蝉の幼虫捕まえてきて夜中観察したり、あとお祭りね。久しぶりにクラスメートと会ってさ、なんか気恥ずかしいんだよね」
『ああそう。もうなにも言うことなくなっちゃったよ』
「ああ…ごめんな、お前はどうだった、夏休み」
『もういいよ…』
「あ、いや、悪かったけどもさ」
『もう終わりだよ!終わり!夏休みなんかなくなっちまえばいい!』
「いや本当悪かったよ、ごめんなさい!頼むからなんか話してくれよ」
『どうせおれなんか夏休み明けに金髪で登校してもデビューしきれなかった男だよ!』
「いや、お前の中学高校厳しくてそんなことしたら即ボウズだっただろ!」
『女子にからかわれたりな、あらあなた、ふふふ、おめかししちゃって、なんて言われて』
「お前男子校だったろ!妄想だよ!それにおばさんくさくないかその女子」
『食堂のおばちゃんだからな』
「女子って呼ぶな!」
『おれなんてチャキチャキの江戸っ子だからね、爺さまが浅草に来ておれで三代目。浅草生まれの浅草育ち』
「まあ東京には1000万人以上いるけどその大半は他県の人達だからね。純粋な、江戸っ子というか東京出身のやつって意外に少ないよね」
『お前も含めてな』
「いやおれ東京で生まれ育ったんだけど」
『両親は東京生まれじゃないだろ!?三代続かなきゃ江戸っ子じゃねえよ』
「まあそう言うけど」
『江戸時代になって全国から江戸に人が集まったからね。当時既に100万都市になったわけ。………』
「…………」
『……………』
「………いやだからなんだよ」
『えっ、特になにもないけど』
「なんだよ!ないのかよ!ああもう、で?夏休みの思い出とかは?」
『ないね、田舎っつう田舎もなかったしね』
「爺さんの田舎とか母方のとかは?」
『爺さんの親戚とは交流がなかった。母方も東京だから。しかも日暮里』
「チャリンコで行けちゃうな」
『そうだなぁ、強いて言えばお年玉を夏休みまでとっておいて』
「ああ、やるよね、夏休み前に使っちゃうことも多いけど」
『お年玉をためておいて吉原に行ったことかな』
「ちょっと待って!それいつの話!?」
『小三』
「小三!?早過ぎるだろ!なにしてんだよ!高校ぐらいならわかるけど!小三ってお前!ていうか相手してもらえないだろ!」
『いや、変装したから』
「無理無理!小三って八才か九才だろ!?無理過ぎるわ!」
『確かに無理だった。つけ髭をつけてたんだけど、チン毛の存在を忘れててさ、慌てて髭をチン毛に見立てたんだけど竿につけちゃってバレちゃった。うっかりだよ』
「バレるの遅いよ!でもまあ確かにうっかりしてたな」
『しょうがねえから吉原の裏に回ってシャブ買ってな』
「やめろ!なに買ってんだよ小三で!吉原の裏って」
『山谷だよ』
「なにも言えねえよ!」
『しゃぶられない代わりにシャブ買ってさ』
「なに言ってんだよ!」
『もう病みつきになっちゃって』
「やめろ!そういうことは言うな!」
『だから夏休みが終わる頃には骸骨みたいになっちゃってさ、あれ誰?転校生?なんて言われたもんだよ』
「ものすごいデビュー決めたな」
『キャッチフレーズは“骨ごとシャブって夏サマーサマー”なんつって』
「昭和のアイドルじゃねえかよ!」
『もう問題になっちゃってな』
「そりゃなるよ大問題だろ!金八先生も真っ青だよ!金八だって中三の話だからな!」
『やめさせる為に運動しろってことで強制的に野球やらされてな、やりたくねえから必死になって暴れたんだ、フリーダムフリーダム!ノーモアウォー!』
「反戦運動しちゃってるじゃねえかよ!」
『でもいかんせん体力が続かなくてね』
「まあなあ」
『仕方なく野球やってたらさ、体力もついてきて、おれある試合でホームラン打ったんだよ。それがきっかけでシャブやめたんだ』
「なんかあったよなそんなポスター、“覚醒剤打たずに、ホームラン打とう”ってやつ」
『ああ、ホームラン打った時のおれが写ってるやつね』
「清原だよ!ポスターに使われてたのは!」
『笑っちゃうよな、なにが“覚醒剤打たずにホームラン打とう”だよ。意味がわかんねえよ』
「お前それ実行して効果あったんじゃねえか!」
『大体あいつらホームラン打つ為に覚醒剤打ってんだから』
「やめろ!てきとうなこと言うな!」
『本当のことだろ?』
「確かに不祥事はあったけど、本当か嘘かは置いておいてなんでお前がそんなこと知ってんだよ!」
『だっておれが売りつけてたんだから』
「お前シャブやめたんじゃねえのかよ!」
『おれはやめたよ。売人はやらないんだよ』
「うわなんか怖い」
『シャブのうまみってやつは二通りあるってことだな』
「なに言ってんだよ!やめろ!」
『シャブ売った金でしゃぶられて』
「またかよ!」
『リベンジだよ!あの夏の思い出にリベンジしたんだよ!』
「ちょっとした美談みたく言うな!最低だろ!」
『帰りにしゃぶしゃぶ食って、もうなんつうかシャブしゃぶしゃぶしゃぶだよな』
「わけわかんねえよ!」
『え?だってシャブでしゃぶられしゃぶしゃぶじゃん』
「説明されたところでどうにもなんねえよ!やめろ!」
『シャブ様々だよな』
「本当やめろって!」
『シャブサマーサマーだよな』
「お前の夏休み明けデビュー当時のキャッチフレーズ持ち出してくんな!」
『でもそんな生活も長くは続かなかった』
「というと?」
『警察にシャブられちゃったんだ』
「パクられちゃったな!」
『ちなみに捕まったのは小六の頃な』
「どんだけ波乱万丈な小学生時代だよ!なんつうかお前につける薬はねえな!」
『点滴打ってもハイにはなんねえからな』
「うるせー!もういいよ」


終わり なーむー

読んだら損する「運命はテイクアウト」(9)

しばらくそのままでいると、
「健一、健一」
母親の声。だから内容を言えよ。耳塞いでいればよかった。時計を見る。7時。えっ7時?寝たのか?僕は寝ていたのか?この状況で?………。おそらく飯を知らせる母親の呼び掛け。食欲があることにまた自己嫌悪な自問自答。
食卓には鶏もも肉のソテー。塩、コショウ、そしてたっぷりバジリコをふりかけた鶏もも肉をオリーブオイルで焼く。僕が以前、何かで観たか読んだかしてか、突発的に作って以来うちのメニューに加わった。それまでは照り焼きが主だった。というか料理全般醤油味しかなかったといってもいい。最近気づいたのだけど僕はあまり醤油が好きじゃないらしい。じゃあ今まで美味い美味いと食ってた醤油ラーメンはなんだったんだと思うが、よくよく考えると醤油ラーメンなんぞあんまり美味いもんじゃない。なけりゃないで困るけど。まあもちろん刺身等には醤油だし、ステーキには醤油ソースが一番だと思う。ただ醤油ラーメンはもう駄目だ。そう考えてたらラーメン自体あんまり好きじゃないことに気づいた。脂ギトギトなとこがいやだ。僕は東南アジアの屋台で売ってる麺類のが好きだ。醤油味じゃないし脂ギトギトじゃないし、さっぱりしかししっかり、なおかつ味の素がきいてて最高だ。ラーメン屋なんて潰れてしまえばいい。うん。いや潰れてしまったらやっぱり困るな。とにかく醤油ラーメンは美味く麺を食う食い方じゃない。その他のラーメンはそれ以下だ。いやそんなわ
けねえよ。みんな普通に美味いじゃん。この日和野郎が。
「健一、駅前の“天狗”って知ってるかい。お婆ちゃん、そこの人に仕事ないかって聞いたのよ。そしたら元気な子なら大歓迎だって。健一、仕事しないかい。お婆ちゃん話つけとくからさ。男は仕事しなきゃ」
食べながら意識が飛んでた僕はお婆ちゃんのいつもの話で目の焦点が合う。お婆ちゃんは顔を合わせる度に毎回同じことを言う。毎回毎回。四六時中だった時期もあった。毎回仕事先、バイトだけど、が違うのだけれど…。よくニートが親や爺ちゃん婆ちゃんを殺したというニュースが流れるが、その理由、動機の多くは多分これだ。正直、僕にはその気持ちがよくわかる。もちろんお婆ちゃんの気持ちもよくわかる上で。
「いやぁ…」
ニートは孫の為に一生懸命仕事を探すお婆ちゃんの気持ちがわからないような人間ではない。でも、とりあえずのところ、どうしようもない。一応僕の場合短期のバイトをしたりしなかったりしてるのだけど。
「一度は会社勤めしないと…」
お婆ちゃん、それバイトの話だよ。喉まで出かかったが引っ込める。それを言ったらお婆ちゃんが悲しむだろうから。まあそれならちゃんと働くのが一番なのだが。
「うるせぇ、毎日毎日、少し放っておけ」
父親が怒る。お婆ちゃんは顔を真っ赤にして反論する。いつもの光景。もちろん僕は気まずい。飯もまずくなる。テレビではクイズ番組。母親はクイズに集中して場をやり過ごしている。
数年前まで車を運転していたお婆ちゃんは最近病院で認知症だと診断された。
父親は硬派な男だが本来、多くの男と同じように、マザコン気質の男である。本当は母親(お婆ちゃん)に甘えたい。掃除もご飯も下手したら耳掃除もしてもらいたいはずだ。でも現実の母は父親の理想とは違い、わがままで面倒くさがりでアル中で頑固で、という気質の持ち主。父親は否定するだろうが僕から見れば似たもの同士、怒るタイミングもそっくりだ。まあ親子だから当たり前といえば当たり前なのだが。そしてそのギャップがこの喧嘩だ。絶対的な父権を持つ我が家ではいつしかお婆ちゃんは厄介者という位置に収まった。少なくとも物心ついた時から、爺ちゃんは物心ついたかつかないかの頃に死んだ、ずっとだ。父とお婆ちゃんは顔を合わせる度に喧嘩している。笑える喧嘩ならいいけど感情丸出しの本気喧嘩だからタチが悪い。甘えの裏返しともいえるが。そんな喧嘩を見させられてきた身にもなってほしい。ただでさえ絶対的な父権の家庭なのだ。当然の如く、父親は僕のトラウマの塊だ。
僕は最近になってお婆ちゃんの事が好きになった。父親のことを冷静に見られるようになり、洗脳的な先入観から解放されたということ、まあ冷静に見てもお婆ちゃんはかなり厄介な性格の持ち主だが、それでも孫にはずっと優しかった、それと僕も家庭内で厄介者の位置についたということもある。
てめぇもっと自分の母親を大事にしろよ、僕はいつも心の中でつぶやくだけで、怒声が止むまで淡々と時間が過ぎていく。
普段ならおかわりのひとつもするところだが、黙って部屋に戻った。普段じゃないことを思い出した。なんてこった、今日僕は殺人者になったのだ。テレビからニュースが始まる前に消えなくては。何食わぬ顔であのニュースを家族と観る自信はない。でもいつも通りの、いつも通りなら鬱スイッチの父親とお婆ちゃんの喧嘩で少し心が落ち着いたようだ。
「これからどうしよう」
僕は明かりの点いてない部屋で小さく小さくつぶやいた。