ボツ台本花火と思い出 | からだに恥をかく体操〜えんぴつみがき〜

ボツ台本花火と思い出

「花火と思い出」


『もうそろそろ大きな花火大会がありますね』
「そうだね、隅田川の花火大会とかね」
『おれんちからは隅田川のと荒川のが見えたんだよ』
「おれんちって実家の話ね」
『おれんちっつっても友達のマンションのベランダからだけど』
「全然おれんちじゃないだろ!友達んちだよ!」
『おれんちからも見えたんだけどね』
「なんなんだよ!もうわけわかんねえよ!」
『おれは荒川の花火のほうが好きだったな』
「え、なんで?お前隅田川のほうが地元だろ?それに隅田川のほうが有名だし」
『隅田川のなんて駄目だよ。テレビ中継があって派手に見えるけど、荒川に比べると土手も川幅も狭いし、周りにビルとか建物が多いからあんまり派手に出来ないんだよ、ヘリが飛んでてうるせえしな。実はそんなもんなんだ』
「え、そうなの?本当?」
『いや、自信は無いけど』
「なんだよ憶測かよ!お前本当に隅田川と荒川の花火見比べたことあんのかよ!」
『あるよ!バカ言うな!地元だぞ!時期的に荒川のほうが早いんだよね、一週間ぐらいかな?家にいると雷かって思うようなボーンボーンバラバラって音が聴こえてくる』
「わかるわかる」
『隅田川のもその日が来るとボーンボーンバラバラまるで雷かってぐらいの音がする。どっちかっていうと荒川のほうがいい音がするからさ』
「見比べてねえじゃん聴き比べちゃってるよ!ていうかせっかく近くに住んでんなら観に行けよ!一大イベントだろ!」
『通は音を楽しんでから観に行くんだよ』
「本当かよ、食い物じゃねえんだからよ、誘ってくれる友達がいなかっただけじゃねえのか」
『バカか?友達ぐらいたくさんいたよ。浅草周辺には不法就労とか不法入国してる外人がたくさんいたからね、よく証人として呼ばれたもんだよ』
「やめろよ!大体同級生の友達の話だよ!」
『いや友達だって言うと少しだけ入国管理のやつらの扱いがよくなるらしいんだよ。ああ、こいつはそんな悪い奴ではないんだなって』
「だからやめろって!それに不法就労はよしとしても不法入国した奴は十分悪い奴だよ!」
『友達だって言うとあとで知らないおじさんからお金が貰えるんだ』
「それ友達じゃなくて取り引きだろ!」
『学校の友達ぐらいいるよ、田中だろ、田中だろ、それに田中』
「田中ばっかだな!」
『いや本当なんだよ。双子の田中にウィンナーソーセージみたいなちんこの田中』
「なに言ってんだよ!双生児とソーセージなんかかける方が恥ずかしいわ!」
『双生児とソーセージかけたら4田中ですか?』
「4田中ってかけ算のかけるじゃねえよ!なんだよ4田中ってよ!一人増えてるだろ!しかも双子が2なのはわかるけどなにどさくさに紛れてウィンナーソーセージの田中を2にした!」
『ああ、あいつは一本しかウィンナーもってないもんな』
「大体の田中は一本しかもってないよ!」
『ってことは2田中ですか?あれ、1田中死んだ』
「死んでねえよ!別にかけ算する意味なんてないんだからな!数合わせたいんなら足し算しろよ!」
『だってウィンナーソーセージみたいなちんこの田中のウィンナーソーセージみたいなちんこが一本消えちゃたんだぞ?数学って不思議』
「わけわからねえよ!大体ガキのちんこなんてみんなポークビッツみたいなもんだろ!」
『いや中三の話だから、まだ毛すら生えてなかったんだよ、田中』
「ああ、そうなの?ああそう。それにしても田中が三人もいると大変だな」
『だからあだ名をつけたんだよ。双子の田中には山田と山口、ちんこの田中には山本』
「山ばっかだな!全部名字だし!別の名字があだ名ってどうなのよ!どうせつけるならもっとわかりやすくしろよ!」
『結局全員“やまちゃん”って呼ばれてさ』
「せっかくあだ名つけた意味ないだろ!」
『クラスには本当の山田山口山本がそれぞれいるからもんだからさ』
「もうわけわかんねえよ!余計混乱するだろ!」
『やまちゃーん花火観に行こうぜ、なんていったら六人のやまちゃんが集まるわけ』
「まあそうなるわな」
『ハリー・ポッターと六人のやまちゃん、なんつって』
「うるせえ!くだらねえこと言うな!」
『あはははは』
「なんだよ急に」
『いやだってやまちゃん達が魔法使うところ想像したら笑うしかないだろ』
「全然笑えねえよ!なぜならおれは六人のやまちゃんの一人も知らないからな!」
『やまちゃんっつっても特に田中の方な』
「わかんねえよ!」
『双子の兄の』
「どうでもいいんだよ!知ったこっちゃねえ!」
『まあその六人のやまちゃんのうちの一人が、後の南海キャンディーズの山ちゃん』
「嘘つけ!出身地も世代も違うだろ!」
『ウィンナーソーセージみたいなちんこの田中が後の山ちゃん』
「だから嘘つくなって!田中だろそいつは!なんで大人になってからも田中なのにわけわかんねえあだ名の山本引きずってんだよ!それに南海キャンディーズの山ちゃん山本ですらないし!山里だよ!」
『隅田川の中継で三流芸能人が集まるのよ』
「三流っていうな!中継番組のゲストとしてだろ?」
『隅田川沿いの中学校の屋上で撮影してんだよね。だからおれ達は花火なんか観ないで芸能人を見に行くことにしたんだ』
「三流って言ったくせに興味津々だな!せっかくなんだから花火観ろよ」
『いや隅田川の花火なんて毎年嫌でも視界に入るからね、しかも先に荒川観てるわけだし、もう花火なんてどうでもいいんだよ』
「ああ、でもそういうもんかもね」
『芸能人を見るためにその中学校に入る』
「ちょっと待って、その中学校に入るの本当は駄目なんだろ?」
『どうなんだろ?生徒には開放してたよ』
「でもお前達はその中学校の生徒じゃないんだろ?」
『まあな、でもこっちは地元民だからさ』
「そこは関係ないだろ」
『忍び込むなんてわけない』
「ああそうか」
『ロケバスとかあってさ、うわーすげーとか言って、視聴覚室が楽屋になってるんだよね、屋上にも近いからさ』
「まあ学校で撮影するならそうなってもおかしくはないな」
『視聴覚室の一画にはやっぱりスタッフが見張ってるんだよな、だからすいませーん宿題忘れました、っつって楽屋に入った』
「なんか主旨が違ってきたな」
『あるわあるわ宝の山。スタッフの目を盗んで金になりそうなものを次々と』
「おいなにやってんだよ!泥棒じゃねえかよ!」
『いやでも中学のガキの頃だから』
「関係ないだろ!泥棒は泥棒だよ!中学生だからって駄目なもんは駄目だ!」
『盗んだものを四次元ポケットに入れても?』
「急にメルヘンチックになったって駄目だよ!」
『でもスタッフに見つかっちゃってね。泥棒だ!って言われて、ほら、おれ達目出し帽被ってたし』
「スタッフもうちょっとしっかりしろ!」
『しょうがないから籠城して』
「なにやってんだよ花火大会の日に!」
『大人はなにもわかっちゃいない』
「全面的にお前達が悪いだろ!不法侵入に窃盗だよ!」
『そうしてぼくらの七日間戦争が始まったわけ』
「うるせえ!なに言ってんだよ!」
『水鉄砲にキンカン入れてピュー』
「お前ら用意良すぎるだろ!そういうシーンあったけど!」
『さすがに戦車はなかったから代わりにロケバス乗り回して』
「なにしてんだよ!名場面が台無しだよ!」
『盗んだバスで走り出す♪』
「シャレになんないよ!バイクでもそうだけど!」
『でも次々とやまちゃん達は捕まっていく』
「そりゃそうだろうな」
『残りはおれとやまちゃん』
「どのやまちゃんだよ!」
『山口』
「山口も二人いるだろ!」
『オリジナルの山口』
「田中全滅しちゃったよ!」
『おれあんま山口と仲良くなかったからさ』
「お前が誘ったんだろ!」
『いや、山口が勝手についてきたんだ』
「紛らわしい呼び方してるからだよ!でも友達同士で遊んでると、ふとあんまり仲良くない奴と二人っきりになって困ることはあるな」
『だからおれは山口を事件の首謀者に仕立て上げて逃げることにしたんだ』
「うわ最悪だなお前!ていうか山口よく仕立て上げられたな!」
『バカだからね』
「一言で片付けられちゃったよ山口」
『山口がうまい具合に大人達の注意を引きつけて、その間におれは金目のものを持って逃げた』
「バカにしては頑張ったな山口」
『結局芸能人は見れなかったな』
「もうそこはどうでもいいだろ!むしろお前達が有名人だよ!」
『で、金目のものを友達に売ってね、友達って不法入国の外人ね』
「逃げおおせちゃってるじゃん!なにやってんだよ!悪すぎだよ!悪ふざけなんてレベルじゃねえぞ!」
『悪すぎって、分け前はちゃんとやまちゃん達が出てきたら山分けにするつもりだったよ。やまちゃんだけに山分け、なんつって』
「なにうまいこと言ったみたいになってんだよ!友情の問題じゃねえよ!」
『まあ山口には分け前やるつもりはなかったけど』
「やれよ!一番の功労者だろうが!」
『でも結局親バレしちゃってね』
「なにAV出演がバレたみたく言ってんだよ!ああ、でもよかった」
『よくねえだろ!』
「よかったよ!世間的には!」
『こんな大金どうしたんだ!って怒られて』
「そうなるわなぁ」
『お前には早過ぎる!このお金は預かっておきます。って』
「お年玉かよ!どんな親だよ!」
『取られちゃってさ、二度とその金を見ることはなかったんだ』
「ああ、なんだかんだでも親が返したのかな」
『ただその日から毎日の夕飯はステーキだったな』
「使っちゃってるよ!もういいよ!」


終わり なーむー