からだに恥をかく体操〜えんぴつみがき〜 -248ページ目

ボツ台本わやや

「めちゃくちゃ。クソ」


『お前、戦国武将とか興味ある?』
「うん、まあ、あるね。やっぱり男だからね。そんな詳しいわけではないけど血湧き肉踊るというか」
『千秋遠藤フる』
「やめろ!関係ないだろ!」
『千春肉踊る』
「わけわかんねえよ!」
『松山千春心臓の肉踊る』
「やめろ!大変なんだから!」
『私もたばこをやめません』
「勝手にしろ!どうでもいいよ!」
『でも値上がりしたらやめます』
「あっさりやめるつもりじゃねえかよ!」
『その代わりにたばこ代を貯金します』
「つもり貯金ってまた現実的だなおい」
『貯まったお金でマリファナ買います』
「馬鹿野郎!なに言ってんだよ!やめろ!」
『血湧き肉踊るような時代が好きってことは元コウや源平合戦はどう?』
「あんまり歴史自体に詳しくないってこともあるけど、昔過ぎてちょっとよくわからないな。実感がわかないというか。史料も曖昧になってくるし」
『大化の改新とか坂上田村麻呂とかは?』
「いやだからあんまり興味ないって」
『縄文人と弥生人の戦いについては?』
「もうどうでもいいよ!興味ねえ!」
『北京原人と映画についてはどうですか?』
「もはや戦いじゃなくなっちゃったな!B級どころかC級の映画の話じゃねえか!全然血湧き肉踊らないだろ!」
『裸体は踊ってたけどな』
「うるせー!」
『好きな戦国武将とかいるの?』
「ベタに織田信長とか好きだね」
『信長ね。あの尾張のうつけと呼ばれた』
「そうそう。若い頃ね」
『若い頃は凄かったらしいね、仲間と酒飲んで、その帰りにスクーター乗って捕まって』
「織田信成の話だろ!フィギュアスケート選手の!ベタなボケかましてんじゃねえ!」
『うつけの血は争えないよな。信長も酒飲んで馬走らせてたんだろうな。ロマンだよな』
「そうだけど飲酒運転はロマンじゃねえ!それに信成って織田信長みたいなタイプじゃなくてどちらかと言えばおとなしそうな奴だろ」
『でも信長が飲酒運転しても捕まんないぜ?』
「当たり前だろ!あの時代に車ないし!」
『そのくらい知ってるよ!だから馬だろ?知ってるか?馬は法律上軽車両扱いだから飲酒したら乗っちゃ駄目なんだ』
「だからそれ現代の話だろ!当時は飲酒運転に関する法律もなかっただろうし、あったとしても殿様捕まえる訳にはいかないだろ!」
『でも信成も殿って呼ばれてるぜ?』
「織田信長が先祖だからそう呼ばれてるだけだよ!なんていうか大名の子孫にとっては通過儀礼みたいなあだ名だよ!」
『そのうち青森の羽柴秀吉と組んで天下統一を狙ってるって話だろ?』
「んなこたないよ!でももし織田信成が選挙に出たら羽柴秀吉は黙ってないだろうね。ちょっとおもしろいかも」
『マニフェストはあれね、コンビニを24時間営業にします』
「もうしてるよ!楽市楽座かよ!」
『まあ信成についてはこんくらいかな』
「短いなおい、フィギュアスケートでボケないのかよ」
『それにしても信成って信長の肖像画に似てませんか?』
「信成の話続けるのかよ。まあでも確かに子孫っぽい顔というか、当たり前だけどさ、おんなじ系統の顔だよな、これも当たり前かもしれないけど、信長から400年過ぎてる割には似てるよな」
『羽柴秀吉は似てないよな。なんでだろ?』
「勝手に名乗ってるだけだからだよ!あのおっさんは子孫でもなんでもねえ!」
『信成があれだけ信長に似てるとなんかがっかりしちゃうよな』
「ああ、なんかわかる。なんとなく信長もあの程度かって思っちゃうよな。まあ信成はなんも悪くないんだけどさ」
『悪いだろ!飲酒運転しちゃあよ!』
「そこはもういいだろ!反省してんだから!」
『信成がなんかヘラヘラ笑ってるとこなんか特にがっかりしちゃう』
「まあわからなくはないよ」
『なにより今時のギャル語で喋るしさ』
「ギャル語では喋ってねえよ!ギャル語で喋られたら嫌だけど、それと同じくらい昔の言葉で喋られるのも嫌だろ!でもまあ信成は子供の時からこんなことを言われて育ってきたんだろうね」
『おいちょっと信長のマネしろよ、とか』
「あっただろうね」
『信長ちょっと兵貸してくんない?とか』
「なんだそれ!族じゃねえかよ!」
『信長ちょっと三回回ってワンって言ってみ、とか』
「信長関係ねえよ!ただのイジメだろ!」
『信成がまた綺麗に回るんだこれが』
「フィギュアのトップスケーターだからな!ある意味回ることは本職だよ!」
『トップスケーターっつってもフィギュアスケートで天下穫ってないからね』
「まあどうせなら一番になってほしいよね」
『高橋とかいう弱小大名相手に連戦連敗』
「高橋別に大名じゃねえよ!今のフィギュアスケート界は戦国時代かもしれないけど、ってなに言ってんだおれ!世界チャンピオンになるくらいだから弱小じゃねえしな!」
『挙げ句の果てにあの飲酒運転での会見で号泣しちゃって』
「ことがことだからな。一時的にフィギュアスケートも出来なくなったわけだし」
『信長だったら、無礼者!っつって記者のひとりやふたりなます斬りにしてたね』
「そんなことが許される時代じゃねえだろ!社会から永久に追放されちゃうよ!」
『足利将軍みたいに?』
「うるせー!」
『刀の代わりにスケート靴の刃でざっくざっく』
「やめろ!確かにスケート靴の刃なら出来るかも知れないけど!」
『謹慎期間中に変な宗教にハマっちゃってさ。おれは第六天魔王だ!みたいになって』
「なってねえよ!」
『腐りきったフィギュアスケート界に嫌気がさして会長を放逐したり、そう足利将軍みたいに』
「うるせーって!信成にそんな権限ねえよ!まあ確かにフィギュアスケート界は問題起こしたけどさ」
『さあいよいよフィギュアスケート界を掌握しようってところでさ、夢半ばにして本能寺で謀反にあって自害』
「別に信長の子孫だからって本能寺で死なないよ!」
『安藤美姫、お前もか!』
「謀反したのミキティかよ!つうかそのセリフシーザーのな!」
『まあミキティに裏切られなくても自害してただろうね』
「なんでだよ」
『いや若い頃の飲酒運転という過ちを苦に』
「もう許してやれよ」
『こうして羽柴秀吉がフィギュアスケート界のトップに躍り出るわけだ』
「出ねえよ!もういいよ!」

確認

「読んだら損する」、はオチもパンチラインもない、そして救いようのないストーリーに救いようのない駄文です。読んだ端から損していくものになることうけあい。じゃあなんでそんなの書くんだと言われれば(誰に?)ひとえにおれの暇つぶしの為で、ブログって基本的にそのためにあるじゃない?じゃあ懸命な人は読まないで下さい。フリじゃありません。

読んだら損する「運命はテイクアウト」(15)

「えぇ、ですから、さすまたはあくまで威嚇や距離をとることに使って、やっぱり相手がさすまたを持っていると犯人もたじろぐと思います。ですからその隙にこの催涙スプレーでシューっと」
口から出任せ。だが間違っちゃいないだろう。そもそも防犯目的として、さすまたを配っとけばいいだろう、ということがお役所仕事というかなんというか。
「詳しくは後で講習会のお知らせが届くので、はい。では、失礼します」
どこの幼稚園も反応は同じ。夕方近くになり、ギリギリ全てを配り終わった。会社に戻り、お疲れ、ってことでペダルを漕ぐ。漕ぐ。漕ぐ。ふと、仕事中彼女のことを考えていなかったことに気付く。良いことだ。しかし、その反動だろうか、今考えてしまう。もうどうしようもない。またペダルを漕ぐという単純運動が思考をかき回すんだこれが。もう止められそうにない。
無性にあの現場に行きたい。危険だ。なんらかの犯人が現場に戻ってくることなんて子供でも知っていることだ。だけど止められそうにないんだ。やっぱり体を支配しているのは脳みその中にいる妖精みたいな虫だからね。うわ、また妖精みたいな虫出てきたよ…。
なんてことはない。ただの公園だった。花でも供えられているかと思っていたのだが、公園の真ん中ということもあってか、それはなかった。黄色いテープも無い。なんちゃないじゃない。
公園を通り過ぎ去ろうとした時、突然恐怖に襲われた。周りを見ても誰もいない。時刻は夕方、紫色の空。老婆でも出てきそうな雰囲気だ。怖い。怖い。後ろを振り返ると老婆の代わりにあのドーナツトンネルが口を開けている。フワァフワァ。なんか吐き出している?異空間?亜空間?呪い。怨念。復讐。憎悪。報い。頭の中で乱反射するみたく言葉が乱反射する、って乱反射しまくりだろ。混乱。パニック。…………。急いで人通りの多い路に出る。この道には老婆がいるが、なんてことはない、文字通りそこいらの婆さんだ。
考えないようにしよう。しばらく考えないようにしよう。それには思考の生け贄が必要だ。僕の脳内に住む妖精みたいな虫は今日会ったある保母さんのことを見つけ出して来た。ナイス妖精みたいな虫。
歳は僕と同じくらいだろう。綺麗とは言えないが可愛らしくて、明るさが服着て歩いているような娘。武闘派保母さんについでこの娘もまた僕とさすまたで力比べした娘だ。この時僕はさすまたの無力さを改めて痛感した。本日二戦目。武闘派保母さんのおかげで少しさすまたスキルが上がった僕。小柄な、武闘派保母さんに比べたら容積は半分くらいじゃないかと思う彼女。楽勝!僕はもう余裕のよっちゃんイカ食べた状態だ。が、しかし、危なかった。彼女の猛烈なスタートダッシュの瞬発力は僕のさすまたを浮かせ、僕が本気になってやや乱暴に押さえつけなければ抜け出されるところだった。現実には逆なのだ。僕が犯人で保母さんが保母さんなのだ?当たり前か。当然力の差が逆転するわけで、はっきり言って僕は保母さんが操るさすまたと催涙スプレーで撃退されない自信があるし、後のことさえ考えなければなんらかの目的を達成するだろう。なんとかしようぜ行政。ピストル的な飛び道具が必要だ。決して幼児の手の届かない場所に、箱かなんかに入れて開けたら自動的に警察に連絡が行くようになっていて。もちろん盗難防止にピストルにはGPSが付いている。このぐら
いの装備は必要だ。いやマジで。ピストルを取られて犯人に利用されたら、なんてこともあるだろうが、なに、やらなきゃやられる状態ってのはあるわけで。その結果利用されてやられてもしょうがないだろう。憎むべきは犯人だ。道具じゃない。僕みたいな凶悪犯だ。…………。しかし、さすまた対決が終わってからの彼女の苦笑いは可愛かったなぁ。それ見て僕も苦笑いしたんだ。彼女は可愛いし生きてるけどもう二度と会うことないんだろうな。なんとなくそう思った。

ボツ台本マニア犬

「マニアだけど犬」


『マニアが流行ってるよね』
「うーん、まあ、どのマニアかにもよるけど、マニアはいつの時代にもいるわけだし」
『まあ電車マニアとかさ。電車火男(ひょっとこ)は2005年頃の話だっけ?』
「電車火男ってなんだよ!電車男だよ!」
『電車内で酔っ払いにからまれてるオカメを』
「エルメス!電車男が助けたのは後々エルメスって呼ばれることになる女だよ!」
『その酔っ払いが実はスサノオでさ』
「お前さっきからなんで神話がからんでくるんだよ!2005年の話だぞ!しかも電車男は本当かどうかは知らないけど一応事実をもとにした話ってことになってんだから!」
『大変だよな。スサノオ怒らせちゃったらさ。部屋にあるキングギドラのフィギュア壊されちゃったり』
「ヤマタノオロチかよ!首が五本足んねえよ!」
『リビングでウンコされるんだぜ?』
「そういうストーリーをスサノオは持ってるけど!」
『昔の泥棒って家探しついでにウンコをしていくんだよな。験を担ぐ行為でさ。なんでそんなことするようになったんだろうな。やってやった感があるのかな。まあ今は科学捜査が発展してるからそんなことしたら匂いで個人を特定出来ちゃうけどな』
「そんなに科学進んでたっけ!?DNAとかじゃないのかよ!」
『犬のおまわりさんだからな、あ、昔の泥棒も犬の泥棒さんだからウンコしてくんだな』
「わけわかんねえよ!犬のおまわりさんはまだわかるとしても犬の泥棒さんってなんだよ!なんていうか犬だらけの犬頼みじゃねえかよ!全く科学じゃねえよ!」
『いや、科学だよ。犬とおまわりさんを科学で融合させたんだから』
「うわ、なんか全然のほほんとしてないな」
『犬の脳に人間の体を持つキメラ』
「退化しちゃってるよ!逆だろ逆!人間の頭脳で犬の鼻を持つから凄いんだろ!そんなんじゃ人間の体力しかない犬だろ!」
『だから犬のおまわりさんなんだろ?』
「いや、だろ?って聞かれてもおれは知らねえよ!つうか犬の脳に人間の体を持ったやつが生まれるなら、同時に人間の脳を持った犬が生まれるんじゃないか?むしろそっちの方が凄い役立ちそうだ」
『そんなこと倫理的に出来ないだろ』
「それなら犬のおまわりさんも出来ないよ!」
『まあでも裏ではやってるっていうもっぱらの噂はあるよね。ほら、人の顔した犬がいるっていうさ』
「人面犬かよ!ただの都市伝説じゃねえかよ!」
『だから都市伝説として噂が広まっているんだろ?わかんないかなぁ。バカなの?犬人間なの?』
「違うよ!なんだよ犬人間ってよ!おまわりさんでもなくなっちゃったよ!」
『犬のおまわりさんに向かってチンチンって言うと大変なことになる』
「いや言葉はあれだけど別に」
『ジッパー下ろし始めてな』
「それ人間の思考だろ!犬の脳なら腹見せて終わりだよ!」
『ほれ、チンチン』
「おれは犬人間じゃねえよ!なんだよジッパー下ろさせたいのかよ!こんなとこで丸出しにしたらどうなると思ってんだ!極楽とんぼも銀杏ボーイズも法的に怒られたんだぞ!」
『なんだよ、ペットだったらご主人様の言うこときけよ』
「いつからおれがお前のペットになったんだよ!」
『お前なんかおれが拾ってやんなかったら保健所行きだっただろうが!』
「だからおれ犬じゃねえって!捨てられた子犬みたく言うな!」
『おらご主人様って言えよ』
「言うか!」
『ご主人様と言えば!警官マニアで有名な水野晴夫死んじゃったな』
「メイド喫茶の話になるのかと思ったよ!まあ水野晴夫さんは警官マニアで有名だったもんな」
『ご主人様とか犬のおまわりさん繋がりで色々思いついたけど不謹慎だからメイド喫茶の話にしようか』
「まあなんとなくどんなボケをするかはわかったからな。っていうかさっき水野晴夫に触れないチャンス到来中だっただろ、面倒くせえなぁ」
『あれはやっぱりメイドマニアの願望が実現したんだろ?』
「うーん、そういうとこもあるかもしれないけど、アキバ系と呼ばれる人達にある程度共通した趣味というか、ゲームとかアニメ、漫画のキャラとか、そういうものを現実にしたんじゃねえの?メイドの格好するのが好きな女の子もいるだろうし、ビジネスとしてのアイデアだったってのもあるだろうし、一概には言えないけどさ」
『そうか、そうだよな、本物のメイドマニアならメイドに見られるだけだもんな』
「わけわかんねえよ!」『いやほら、“メイドは見た”』
「“家政婦は見た”な!終わっちゃったよ!まあ家政婦はリアルなメイドだけど」
『部屋でひとりしてるとこをドアの隙間から見られるプレイだよな』
「どんなオナニープレイだよ!」
『オナニーじゃねえよ!メイドはお母さんじゃねえんだから。甘えんじゃねえよ』
「なんか深い意味を含んでるみたいな言い方すんな!オナニーじゃないんなら何を見られてるプレイなんだよ!」
『そりゃ、今まで集めたフィギュアとか写真をひとりニタニタ眺めてる時だよ』
「まあ自分の世界に没頭してるとこを見られてるってのはプレイとして成り立つ…のかな?」
『メイドマニアだからな。メイドの写真を見ているわけ。私じゃない他のメス猫の写真を!』
「お前はメイドじゃないだろ!だけどまあなんとなく理解したよ。なかなか高度なプレイだな」
『そうだよ。他のメイドの写真でオナニーしてるとこ見られてるわけだから』
「オナニーしてるじゃねえかよ!」
『するかしないかはそいつの自由だろ!例えばお前だったら今までに集めた骨を眺めてよだれ垂らしてるとこを見られてるわけ』
「だからおれ犬じゃねえって!このご時世にどこから骨なんて集めるんだよ!」
『おまわりさーん!こいつ殺人犯です!』
「んなわけねえだろ!なに言ってんだよ!」
『来たおまわりさんも犬のおまわりさんでな。お前とやけに話があっちゃって』
「わけわかんねえよ!」
『ケツの匂い嗅ぎあったりしてな。おたくはチワワですか、あらおたくも。なんつって』
「犬のおまわりさんならせめてシェパードにしろよ!つうか脳が犬なら喋れないだろ!」
『はあ?バカだな。人間の体なんだよ?犬ぐらいの知能があれば喋れるよ。犬が人間の言葉を喋れないのは犬の体の構造のせいなんだから』
「ああ、そうか。人間が犬になっても喋れないもんな」
『そうだよ。人間の声帯にはバウリンガルが入っているからね』
「ねえよ!あるわけないだろ!バウリンガルって結構でかいぜ?」
『たまにたまごっちが入ってる人達がいるけど、何の役にも立たないから諦めてください』
「自分でプレー出来ないもんな、つうかバウリンガルもな!」
『日本の首相はアメリカの犬と呼ばれますよね』
「全く関係ないけどな、今までの話と」
『犬種はなんだろうな』
「うーん、まあ首相が誰かによるけどまあ基本的に日本の犬じゃねえのか?柴犬とか甲斐犬とかさ、またはアメリカの犬だな。アメリカの犬ってなにがいるのか知らないけど」
『福田さんはペキニーズだったりな』
「変に政治を風刺しようとするなよ!お前もおれも興味ないだろ!」
『チンはチンである。チンチンはしない』
「やめろ!」
『結局マニアの話はしなかったな』
「そういうとこあるよねお前」
『なんも考えないで適当に書いてるからな。思考のだだ漏れだからさ。携帯にしても目をつぶって打ってるから』
「嘘つけ!携帯は完全に確認しながら打ってるだろ!まあ適当ってのは本当だけど」
『たあヤニアの話はまたいちか』
「急に誤字脱字だらけになるな!目開けろ!つうか目閉じたら全く駄目じゃねえか!まあマニアの話はまたいつか、ね」
『パイパイ』
「バイバイな!もういいよ!」


終わり なーむー

読んだら損する「運命はテイクアウト」(14)

「お茶でもしてかない?」
この言葉が古めかしいナンパの常套句だと気づいて我が言ったことながら笑ってしまった。もちろん声を出しては笑わなかったが。おばあちゃんを誘ったのには訳がある、買い取りをむげに、といっても店側からすれば丁寧に、断られて少しちっちゃくなったおばあちゃんを孫の力で元に戻そうと思ったのだ。本の重みは容赦なく僕の指を引きちぎらんばかりに肉に食い込んでいて出来るだけ早く最短ルートで帰りたいのだか、致し方ない。婆孝行である。馬場孝行ではない。同級生や知り合いにひとりやふたり馬場という名字の奴はいるが、唐突に馬場と書いた場合、それはジャイアント馬場のことを指すのは日本人なら自明の理である。
夕飯前のおばあちゃんとのコーヒータイム。ファミレスじゃなんだ、と思って喫茶店。客は僕達しかいない。
「悪かったねえ、はい、これ」
おばあちゃんは懐から5000円札を出して、一応何度か断ったけど、僕にくれた。これも一応婆孝行の一種である。と自分に言い聞かせる。
母親からのメールが来て僕達は店を出た。とぼとぼ歩くおばあちゃん。戦争経験者のおばあちゃん。殺人犯の孫。知ったらどうなるだろう。悲しむだろうなぁ。なりふり構わず庇ってくれる、いや、しまうかもしれない。給食費を払わない親の理屈みたいに。
僕は結婚出来そうにないし、するつもりもないので一生孫とは無縁の生活を送る予定だ。だからおばあちゃんの気持ちなんてわからないまま死ぬんだろう。落ちこぼれ、引きこもり、フリーター、ニート。何でもいいから死ぬのはおばあちゃんが死んだあとがいい。
わがまま…。
夕飯、エビフライ。どうやら僕は明日親の友人がやっている会社の手伝いに行くらしい。たまらなく嫌だけど、しょうがない。もう決まっちゃってる。たまにあることだ。NO、と言えない自分に吐き気がする。
明朝、会社目指しひたすらペダルを漕ぐ漕ぐ漕ぐ。満員電車に乗りたくないのでいつもこうしている。大体一時間。到着。
この日の仕事は区内の、もちろん僕が住んでる区内ではない、幼稚園に「さすまた」と催涙スプレーを配ること。さすまたの実演もやれとのこと。こんな仕事なかなか出来まい。
髪を後ろで結び、会社の上着を着て、地図と幼稚園のリストを手に車に乗っていざ出発。三十秒程さすまたの説明を受けたが、まあ、その場その場でしのいでいくしかない。
似たような仕事を何度かしているので地理は頭に入っている。道に迷うことなく最初の幼稚園に着く。風俗街のすぐ近くだ。いつか観たニュースで、幼稚園の前にラブホテルが建つってことで問題になっていたが、かわいらしいもんだ。
日中堂々と不審者が幼稚園に入る図。呼び鈴を鳴らして、もっともらしいことを言えばいいのだ。出入りしている業者を調べれば完璧だ。そこで役に立つのがこのさすまたに催涙スプレーってなもんだ。
「で、あの使い方なのですが、僕が犯人役ということで、ちょっといいですか」
ふたりの保母さん、保育士か、が僕の前に立つ。なおこれ以降女性の保育士という意味で保母さんと呼ばせてもらう。実際問題男の保育士は見なかった。ひとりの手にはさすまた。もうひとりには催涙スプレー。催涙スプレーは勘弁してもらう。ちなみに小中学校にはさすまたを二本、幼稚園には一本となっている。おかしな話だ。が、僕には関係ない。
「では、さすまたで僕を押さえてみてください」
初めてさすまたを手にした保母さんは恥じらいながらもテンション上がりっぱなし。ノリもいい。さすが毎日ガキを相手にしていることはある。保母さんは僕の胴体を真正面から押さえた。
「はい、もちろんこの形でもいいのですが、さすまたを使うときは非常事態ですしね、しかしより良いとされる押さえ方がありまして」
僕はさすまたの角の一方を肩の上へと押し上げる。
「こう、斜めに相手を押さえるのが、効果的な形になっています」
ここまでが三十秒で教わったこと。
「へぇ、なるほどねぇ、斜めにねぇ、なるほどなるほど。うーん、でも私達じゃどうしようもないわね、逆に取られちゃったりして、ハハハ」
幼稚園には基本的に女性しかいない。保育士ごめんよ。これまた基本的に体力で劣る者がさすまた一本で相手の動きを封じるのは不可能だ。二本あっても変わらないだろう。これは、「ちょっと押さえてみてくれる」、と言われた体格のいい武闘派保母さんを押さえつける時に実感した。おそらく半ばむきになって暴れる保母さんを押さえつける、内心ここでさすまたを破られたら面目丸つぶれだな、という思いを涼しい顔の下に隠しながらこっちも全力で押さえた。結局押さえつけることには成功したのだが、かなりの死闘になった。保母さん相手に割と体力があるであろう僕がこの始末なのだ。さすまた推して知るべし。むしろ保母さんが言ったように何の考えなしでさすまたを相手に近づければ取られてしまうことうけあいだ。そりゃまあさすまた歴十年の達人なら話は別だろうが。
「ええ、そうですね、せめて子供達に被害が及ばないように身を挺して真っ先に犯されて下さい」
とは言えないんだよ、行政よ。