ここ最近今回の「リヒャルト・シュトラウス管弦楽作品集」を聴いていることによる影響か、若干だがリヒャルト・シュトラウス作品のCDを普段より多く買っているような気がする。往年の時代におけるものや、近年に録音されたもの様々だが私自身の中でさらに重要性が増したことは間違いない。
リヒャルト:交響詩「ドン・ファン」 2021年6月録音
・・・リヒャルト・シュトラウスが作曲した交響詩の中でも頻繁に演奏される回数の多い名曲の一つである「ドン・ファン」。ネルソンスとゲヴァントハウス管の演奏は重厚的で壮大なスケールのもと演奏されているのだが、テンポの緩急や鋭さの極まった豪快なアプローチなど聴きどころが随所に存在する素晴らしい名演となっている。難易度の高い弦楽器の統一感やホルン、トランペットによる金管楽器の咆哮などUHQCD盤のダイナミック・レンジの幅広い高音質盤だからこそ楽しめる要素が非常に多いような印象を強く受ける場面が多かった。冒頭のインパクトは十二分にあり、ティンパニの打撃や弦楽器のキレ味など聴くだけで鳥肌が立ってしまうことは間違いないだろう。
ブルレスケ 2021年6月録音
・・・ピアノと管弦楽のために作られた曲で、リヒャルト・シュトラウスの初期管弦楽曲の一つとしてあげられる。演奏難易度も非常に高く、ピアノとオーケストラの掛け合いや重要な立ち位置となっているティンパニの存在は非常に大きい。ユジャ・ワンによるピアノで演奏されているのも面白いところで、独奏的で美しいピアノの音色や重厚的で壮大なスケールとなっているオーケストラのサウンドが印象的なものとなっている。20分に及ぶ今回の曲は一つの交響曲に匹敵するほどの情報量となっているので、聴き終えた後の感覚は他の交響詩などを聴いた時と同じ達成感を味わうことができる。
楽劇「サロメ」より7つのヴェールの踊り 2021年5月録音
・・・オーケストラのみならず吹奏楽でもお馴染みとなっている「サロメ」の7つのヴェールの踊り。徐々にそのヴェールが剥がれていくわけだが、その現代的かつエキゾチックさは非常に大きな印象として聴き手の中に残る。テンポの細かい変化や躍動感と弦楽器の美しい音色は中々のもので、曲の本質を反映された演出かつアプローチと言えるだろう。何より、高音質盤ということもあってかシロフォンの歯切れの良さと明確な感覚が功を奏している。
メタモルフォーゼン 2021年2月録音
・・・通常の弦楽合奏とは違う23名の弦楽器奏者によって演奏されるために作られている。そのためスコアも23段となっている。UHQCD盤の高音質盤となっていることもあってかこの「メタモルフォーゼン」にはベストなものとなっているような印象で、ダイナミクス変化やアーティキレーション、テンポの揺らぎなど細部まで細かく聴き込むことができるようになっているのは非常に素晴らしい。これまで聴いてきた同曲録音とはまた違う新時代における名盤の代表格として認識していい録音であることは間違いない。
さて、明日取り上げるDisc 7でこのアンドリス・ネルソンスとライプツィヒ・ゲヴァントハウス管弦楽団、ボストン交響楽団による「リヒャルト・シュトラウス管弦楽作品集」は全てのDiscを聴き終えたこととなる。最後まで余すことなく名曲の数々をネルソンスとかつてリヒャルト・シュトラウス自身が指揮したオーケストラによる演奏で楽しんでいきたいと思う。
https://tower.jp/item/5366325/リヒャルト・シュトラウス管弦楽作品集-%5bUHQCD-X-MQA-CD%5d