Disc 1〜3まではボストン交響楽団との録音が収録されていたが、Disc 4〜7はライプツィヒ・ゲヴァントハウス管弦楽団との録音が収録されている。ゲヴァントハウス管とはブルックナーやワーグナーをすでに録音しており、その濃厚なサウンドは多くの人々が魅了されたことと思う。それが今回またリヒャルト・シュトラウスの作品で楽しむことができるのだからこれほど嬉しいことはない。そして今回Disc 4に収録されているのは「英雄の生涯」と「マクベス」。特に「英雄の生涯」に関しては私がリヒャルト・シュトラウス作品の中でも特に好きな曲であることもあって早く聴きたかったDiscでもある。
リヒャルト・シュトラウス:交響詩「英雄の生涯」、2021年5月録音
・・・UHQCD盤の高音質盤ということもあってか、オーケストラ全体を細部まで細かく聴きこむことができるようになっている今回の演奏。それによってこれまでの同曲録音とはまた立ち位置の違う素晴らしい演奏が展開されている。テンポはやや重心低めながら「緩→急」や「急→緩」といったテンポの切り替えもわかりやすく、ダイナミクス変化もより大きく差が出る形のアプローチが行われている。フランク=ミヒャエル・エルベンによるヴァイオリン・ソロは、その技巧もさることながら、様々な感情を揺さぶるような素晴らしい音色をしており、高音質盤であったことによってそれがより明瞭となり聴きやすくなっている。
交響詩「マクベス」、2021年3月録音
・・・シェイクスピアの「マクベス」を題材として作曲された交響詩であるが、今日においてはあまり演奏されないリヒャルト・シュトラウス作品の一つでもある。キャッチーで不思議な旋律が非常に多いため、他の曲と比べると技巧よりもユーモアが優先されている印象を強く受ける。それが今回高音質盤である高音質盤の影響によって余すことなく発揮されており、他の交響詩に引けを取らない演奏が展開されている。オーケストラ全体としてもまとまりのあるサウンドで、濃厚さよりも統一感のあるスケールが何と言っても聴きごたえのある仕様となっている。
今回私の好きな曲である「英雄の生涯」と「マクベス」をみてきた。今回の演奏ではどちらかと言えば「マクベス」が印象に残っている。最後に聴いたのが正直いつかすら覚えていないため、それによって大きな印象の変化を今回の演奏で与えてくれたのかもしれない。これは今回のDisc 4もそうだったが、今後取り上げていくDiscにも頻繁に聴いていない曲が多数存在しているため同様のインパクトを受けるかもしれない。それが今回のように良い意味でインパクトを与えてくれるような演奏であることを楽しみつつ今後も聴いていきたいと思う。
https://tower.jp/item/5366325/リヒャルト・シュトラウス管弦楽作品集-%5bUHQCD-X-MQA-CD%5d
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