第1263回「ムーティ&ウィーンフィルによる創立150周年記念コンサート」 | クラシック名盤ヒストリア@毎日投稿中!!

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 みなさんこんにちは😃本日ご紹介していくのはリッカルド・ムーティとウィーン・フィルハーモニー管弦楽団が1992年3月22日に演奏した「ウィーン・フィル創立150周年記念コンサート」をみていきます。今年で創立180年となります。ムーティはニューイヤー・コンサートも複数回登壇していたりとウィーン・フィルとは何度も共演しています。そんなムーティとウィーン・フィルによる記念すべきコンサートを初CD化にしてリマスタリングが施された状態で聴いていきます。


〜ウィーン・フィル創立150周年記念コンサート〜


「リッカルド・ムーティ指揮/ウィーン・フィルハーモニー管弦楽団」

シューベルト作曲:
交響曲第7(8)番 ロ短調 D.759「未完成」


「クリスタ・ルートヴィヒ(メゾ・ソプラノ)、リッカルド・ムーティ指揮/ウィーン・フィルハーモニー管弦楽団」

マーラー作曲:
リュッケルトの詩による5つの歌曲


「リッカルド・ムーティ指揮/ウィーン・フィルハーモニー管弦楽団」

ベートーヴェン作曲:
序曲「コリオラン」作品62

メンデルスゾーン作曲:
交響曲第4番 イ長調作品90「イタリア」

ラヴェル作曲:
ボレロ



 1992年3月22日ライヴ録音。ムーティとウィーン・フィルは繰り返し共演をしている。「ニューイヤー・コンサート」も計6回登壇しているので両者の結束力はそれなりに素晴らしいものとなっていることは間違いない。それが今回余すことなく発揮されており、初CD化された創立150周年記念コンサートの名演を存分に味わえるようになっている。シューベルト、マーラー、ベートーヴェン、メンデルスゾーン、ラヴェルの名曲を存分に楽しんでいきたい。


 シューベルト:交響曲第7(8)番「未完成」

・・・シューベルトの交響曲の中でも「ザ・グレイト」と並んで頻繁に演奏されることが多いこの曲。今回の演奏ではオーソドックスで、悠然としたアプローチのもと演奏がされている。そのため尖った表現はないものの、牧歌的であり安定感のあるどこか懐かしい音色と響きを第1楽章、第2楽章それぞれで味わうことができるようになっている。弦楽器群のバランスが特によく、スケールよりも統一感や柔軟性が重視されているような面が強い。近年ピリオド楽器や室内楽編成でのキレ味や筋肉質強めの演奏が大分増えたが、この曲に関してはこういったのんびりとしたわけではないが安らぎを与えてくれるような美しさの充実したアプローチが全面的に押し出されている演奏がぴたりと当てはまると言えるだろう。


 マーラー:リュッケルトの詩による5つの歌曲

・・・マーラーが交響曲と並んで作曲をした歌曲。それをマーラー作品多くを演奏してきたクリスタ・ルートヴィヒを迎えて演奏している。短い曲ながらそのたっぷりとしたやや重心低めのテンポで進んでいく今回の演奏では歌手とオーケストラのバランスも非常に良く、ムジークフェラインザールをうまく味方につけていると言ってもいい。甘く、可憐で美しい歌声に合わせたウィーン・フィルの演奏に酔いしれることができる名演と言えるだろう。


 ベートーヴェン:序曲「コリオラン」

・・・ベートーヴェンが作曲した序曲の中でも頻繁に演奏されやすい名曲である。冒頭から強烈なトゥッティで始まる。リマスタリングによる音質向上が入っているため、分厚く壮大なスケールをはじめから味わうことができるようになっている。それもあってその後も聴きごたえが増しており、ダイナミック・レンジの幅広さが生かされた素晴らしい演奏となっている。当盤でいえばDisc 2のトラック1に収録されているのだが、まさにベストな曲順となっている。


 メンデルスゾーン:交響曲第4番「イタリア」

・・・ムーティとウィーン・フィルが奏でる良質な演奏によって生み出されるメンデルスゾーンの名曲「イタリア」。過去に様々な指揮者とオーケストラによる演奏を聴いてきたが、その中でもオーケストラ側の音色や響きが随所にわたって反映された名演こそが今回の演奏と言えるだろう。リマスタリングによって向上したダイナミック・レンジによって細部まで細かく明確でわかりやすくなっていることはもちろんのこと、統一感あるキレ味抜群のサウンドには痺れっぱなしとなっている。テンポの緩急がわかりやすくアプローチされている点も含めて聴き込める演奏だ。


 ラヴェル:ボレロ

・・・ウィーン・フィルがラヴェルの「ボレロ」を演奏するイメージがなかったが、今回の演奏は特に素晴らしかった。各楽器の音色はベストなもので、同じリズムと旋律を繰り返しているものの、ソロは緊張、プレッシャーを大分感じるものだ。それを含めた状態で聴いていると音色は非常にまろやかでキツさがなく、伸びやかなサウンドとなっている。ダイナミック・レンジの幅広さが増したことによって徐々に楽器が増えていくダイナミクス変化も明確になっており、より透明感に満ち溢れている。最後に向かって進んでいき、最終的にはボルテージも最高潮なものとなっているため演奏が終わってから聴衆の盛り上がりも納得がいく。ライヴの臨場感を特に体感できる名演と言えるだろう。


 ムーティとウィーン・フィルによる名演をみてきた。両者は当盤以外にも存在している。たしかブルックナーを録音していた気がするのだが、後日それを探すのと同時にムーティ指揮によるCDをあまり購入できていなかった気がするので全集もあるのでそれを購入するか検討したいところである。何にせよ欲しいCDが尽きることがないということを改めて実感した。


https://tower.jp/item/5230466/ウィーン・フィル創立150周年記念コンサート<来日記念盤>