ゴロワノフの録音も今回のモーツァルト「レクイエム」含めて多くの種類を聴いてきた。どの録音も非常に強い印象を残しているが、今回の演奏はどのような面白さを秘めているのか。聴く前から楽しみで仕方がなかったCDの一つでもある。
モーツァルト:レクイエム 1951年録音
・・・オーケストラだけでなく、歌手や合唱も一つの塊となって一直線に進んでいく印象を受けた今回の「レクイエム」。モノラル録音であるということもあってか、全体のボルテージが上がり盛り上がってきた時には音割れが起きてしまうものの、明確なテンポの緩急を持ってして演奏されているため音割れやノイズ含めて全てに聴きやすさを感じる。これまで聴いてきたチャイコフスキーやラフマニノフなどと比べて今回の演奏はやや控えめというか、冷静にになっているのかそれほど「爆音!!」、「爆演!!」という印象は薄い。ただ、ダイナミクス変化の振り幅はわかりやすいくらいに大きく差ができているため、「緩→急」となった際に少々驚かされる。しかし、こういうアプローチがあっても良いと思えるような一貫性と独創的な表現は非常に面白い「レクイエム」だった。
この「ゴロワノフの芸術」シリーズは今後も続いていくのか正直わからないが、改めて第1集から聴き直してもいいかなと思えてきた。というのも、よく考えてみるとレパートリーに偏りがないのだ。まだ復刻されていない録音が多数存在しているが、これまで聴いてきた曲一つ一つに個性があり、他の指揮者たちとは違うアプローチと感じることができる場面が随所に存在する。特にラフマニノフは面白かった。今回のモーツァルトは冷静さが強かったものの、時に豪快なダイナミクスであったり冷酷さを感じるような面もあったのでより楽しむことができた。
https://tower.jp/item/5471182/ゴロワノフの芸術-第8集---モーツァルト:-レクイエム-(ピッチ修正版)