1978年の香港映画。
梁家仁さんは詠春拳の名人。人情に厚い人でみんなから尊敬されている接骨医でもあります。仏山に道場をもっています。
梁家仁さんの弟子 卡薩伐さんは詠春拳の5代目師範です。彼も真面目で実直な人。両替屋で働いていました。
2人の手合わせがもう既に異次元・・・
話は卡薩伐さんが強くなる前から始まります。街中でサモさんは売り物のちまきを食べて、おいしさをアピール。しかし、なかなか売れません。知り合いに騙され、ちまきを全部取られてしまいます。サモさんは梁家仁さんの弟子です。
茶樓に李海生さんと楊成五さんと楊威さんが手下たちを引き連れてやってきます。手下の林正英さん、元彪さん、陳會毅さんたちは座れなかったので、店員をはねのけ勝手に予約席に座ります。
そこは梁家仁さんの予約席でした。姪に懲らしめられて、キレる林正英さん。李海生さんにたしなめられ、我慢します。梁家仁さんたちは席を譲って立ち去ります。
「莫記錢莊」では卡薩伐さんが働いています。サモさんと仲良しで、愚痴を聞いてくれていました。卡薩伐さんは売り物に手が出ないように全く違う仕事を紹介してくれます。
それは肥汲み。臭いがキツいですが、しっかり稼げそうです。
さて、「莫記錢莊」は馮克安さんのお店でした。彼は組織のお金を元手に両替商を始め、大成功を収めました。町長になり、仏山を手に入れようとしていました。
卡薩伐さんはうっかり未処理の手形を持ってきてしまい、職場に戻ります。そして、町長の暗殺計画を聞いてしまいます。
危険を知らせに慌てて町長のところへ向かいます。助役の石天さんに相談し、次の日に会わせてもらうことになりました。約束の場所で待っていると石天さんがやってきます。彼は馮克安さん側の人間でした。李海生さんたちが彼に向かってきます。
卡薩伐さんと楊成五さんのテコンドー対決。ありがたや・・・。神キックの連続
彼らの攻撃力は高い。逃げます。逃げた先にサモさんの家があり、サモさんは彼を背負って移動します。李海生さんたちがサモさんの家へ入っていった隙に梁家仁さんのところへ逃げます。どうにか助かることができました。
馮克安さんは卡薩伐さんのお母さんを殺して、彼をおびき出そうとします。卡薩伐さんの無事を母親に伝えに行ったサモさんは母親が殺されてしまったことを知ります。
いろいろな人の様子を見て、慎重に行動するサモさん。「林世榮」のキャラよりは慎重です。
梁家仁さんの家へ帰ると、母の心配をしていた心卡薩伐さんが。サモさんはとっさに「お母さんは元気だった。」と嘘をついてしまいます。
卡薩伐さんは町長に気を付けるようにという伝言をサモさんに追加で頼みます。役場で町長を待っていると石天さんに見つかり、追い払われます。ねばって町長に会えましたが、お付きの劉家榮さんがいるので腹を割って話すことができません。奥歯にものが挟まったような言い方をして、不審がられてしまいます。
出かけた町長を楊成五さんが追いかけます。町長は李海生さんたちに取り囲まれます。劉家榮さんはサモさんの言葉をバカにしていましたが、本当だったことを実感します。手下に火星さんがいました。
劉家榮さんは李海生さんと楊成五さんと必死に戦いますが、拳の李海生さんと腿の楊成五さんのコンビは強過ぎる。殺されてしまいます。町長が行方不明になったため、馮克安さんが代理の町長になります。側には鍾發さんが。
卡薩伐さんは少し回復したので母に会いに行こうとします。サモさんはもう嘘をつき通すことはできないと考え、彼に真実を話します。激昂する卡薩伐さんを止め、梁家仁さんに相談することにします。
馮克安さんは梁家仁さんの存在を大きく見ており、梁家仁さんの排除を考えます。
梁家仁さんが食事をしているところに物乞いの鍾發さんがやってきます。施しをする梁家仁さん。李海生さんたちがやってきて、卡薩伐さんを引き渡すように言います。梁家仁さんは落ち着いた様子で、患者だから治るまで無理と断ります。襲いかかる拳と腿のコンビ。さらりとかわす梁家仁さん。かっこい~こじれそうな感じが出てきたときに馮克安さんがやってきて、2人に注意をします。
2人は素直に引き下がります。梁家仁さんはその様子から馮克安さんも怪しいと感じます。店を壊した弁償をして、去ります。
卡薩伐さんは梁家仁さんに弟子入りを願いますが、復讐目的の人に詠春拳を教えるわけにはいかないと梁家仁さんは拒否します。母を殺された状態で憎しみの連鎖を断ち切りなさいと言われてもなかなか難しいものがありますね。
梁家仁さんの弟子として錢月笙さんが。一緒にご飯を食べていました。
ずっと土下座を続けている卡薩伐さんのためにおにぎりを持っていくサモさん。サモさんは一計を案じます。なんとサモさんが卡薩伐さんの師匠に。「どういうことだ?」という表情で様子を見守る梁家仁さん。
サモさんは下品でめちゃくちゃな詠春拳を教えます。梁家仁さんは耐え切れず指導に乗り出します。してやったり!
錢月笙さんも協力して、無理やり弟子入りの儀式をセッティングします。梁家仁さんは必死な卡薩伐さんの姿に心打たれ、弟子にすることにします。
真面目で一生懸命な2人は強い師弟の絆で結ばれます。
サモさんと卡薩伐さんの手合わせ中、梁家仁さんは卡薩伐さんの背中に針を刺します。痛みとショックで彼のパンチは攻撃力が増し、サモさんはぶっ飛ばされます。
そして、動く木人椿がある施設で練習します。仇討ちを嫌っていた梁家仁さんでしたが、「仇」を書かれた文字を用意し、卡薩伐さんを励まします。
サモさんと錢月笙さんも目隠しをして手合わせをしますが、サモさんが目隠しを取って攻撃をするので、錢月笙さんもズルをして、修行が成り立たなくなります。2人ともかっこいいのに笑い優先にするなんて。豪華だな。
卡薩伐さんは108個あるツボを勉強し、棍術を学びます。アーモンド大くらいの果実の種を棍棒で叩き割る訓練を何度も何度もします。すばやく突く訓練も。多種多様な修行を積み、卡薩伐さんはとても強くなります。
馮克安さんは梁家仁さんに卡薩伐さんが弟子入りしたことを重く見て、梁家仁さんの殺害を計画します。
梁家仁さんが食事をしに茶樓へ行くと1階の半分が黒い布で覆われていました。2階へ行きます。気まずそうな店員。布で覆われていたところから李海生さんたちが出てきます。嫌な予感。
そして、また鍾發さんがやってきます。いつものようにお金をあげようと帯に手を入れた瞬間、鍾發さんがナイフを取り出し、梁家仁さんの腰を2ヶ所刺します。やっぱり彼は物乞いになりすましていたんだ!優しさに差につけ込む最低な人たち。
苦しむ梁家仁さん。李海生さんたちによって2階が抜け落ち、落下します。彼らは茶樓を買収して、暗殺計画を練っていたのです。1人で果敢に戦う梁家仁さん。しかし、腰を刺されているので、力を出しきれず。様々な攻撃を受け、遂に彼は力尽きます。
李海生さんは遺体を持って道場にやってきて、弟子たちも襲います。陳會毅さんが弟子役でも出演していました。錢月笙さんは楊威さんの槍で亡くなります。サモさんは卡薩伐さんと姉弟子である姪を逃がし、錢月笙さんの血を顔につけて死んだふりをして、誤魔化します。
町長の不在が長期化したので、正式に馮克安さんが町長となります。サモさん、卡薩伐さん、姪は仇を討つことにします。サモさんは楊成五さんと卡薩伐さんは李海生さんと姪は楊威さんと戦う計画を立てます。
しかし、サモさんは3人の名前を間違って覚えており、女性たちと遊び終えた楊威さんに声をかけてしまいます。逃げられない。戦いが始まります。
楊威さんの槍がすばらしかったです(元彪さんが楊威さんのダブルをしているようです。)長い棒を体の一部のように扱う人たちを尊敬します。
かなり厳しい戦いになると気づいたサモさんは林に逃げます。夜なので更に見えにくくなるし、槍は動かしにくくなるからです。
手探り状態で戦うシーンも丁寧に作られていました。どうにかこうにか楊威さんを倒します。
サモさんの人違いに振り回される卡薩伐さんと姪。戦うしかありません。姪は果敢に楊成五さんに向かっていきます。入れ替わって卡薩伐さんと楊成五さんのテコンドー対決。繰り出されるキックが半端ない。猛烈なキックが楊成五さんに入って、亡くなります。
次は李海生さん。卡薩伐さんが戦っていると、石天さんが錢月笙さんと孟海さんを連れてやってきます。石天さんは2人に攻撃を命じます。す、す、すごい。身軽な2人組。姪は彼らと戦いますが、腹を刺されて絶命します。
そこにようやくサモさんが登場します。サモさんと錢月笙さんと孟海さんのアクションがめちゃくちゃきれい。すばらし~無我夢中で刀を振り回し、彼らを倒します。
卡薩伐さんは梁家仁さんの教え通り、ツボを突きまくり、足の甲と踝を攻撃して、急所に最大の攻撃を食らわせ、無敵状態だった李海生さんを倒します。
ラスボスの馮克安さん、到着。石天さんはビビりなので弱そうなサモさんと戦うことを選びます。馮克安さんは卡薩伐さんと。
サモさんも師匠の仇を討ちたいので、これまでと違います。弱いような強いようなしぶとい石天さんを倒します。
馮克安さんは実は年寄りのふりをしており、本当は若かったのです。変装を解いた後の姿が不気味。蟷螂拳(ft.ワイヤー)でがっつり攻めてきます。卡薩伐さんが苦戦していると、石天さんを倒したサモさんがやってきます。
ここでの3人のアクションも見事でした。馮克安さんの強さに2人は苦しみます。サモさんは防御に徹し、卡薩伐さんが攻撃を担当することにします。そこから少しずつ攻撃にリズムが出てきます。
サモさんは姪の亡骸からヘアピンを取り、卡薩伐さんを刺して、パンチの勢いを高めます。強烈なパンチを食らい、動けなくなった馮克安さんに怒涛の攻撃を仕掛けます。そして、あの凄まじい超人的なキックが!後ろ向きから始まり、捻ってからのキック!!!
2人とも生き残ってよかったね。終わり。
姉弟子の遺体が側にあるのにもかかわらず、飄々とした曲がラストに流れるのがちょっと・・・。
卡薩伐さんの驚異的なキックが楽しみだったのですが、他にも見どころが多くて、楽しめました。
印象に残ったのは馮克安さん。気持ち悪い。ムカつく。イライラする。そんな役が多いです。そう思わせる豊かな表現力があるってことですよね。強さも表現できるし、やられっぷりもすごいし、ステキな役者さんだな~と感じました。
もちろんクール&ストイックな梁家仁さんもよいです