(阿須賀神社と御神体山「蓬莱山」)





◆ 徐福 (方士が見た理想郷) ~5 
(新宮市編 前編)





2ヶ月ほど開いてしまいました…。


徐福の中国からの出航までを2記事にまとめ、辿り着いたという日本各地の徐福伝説に話を進めています。

九州各地、四国(1箇所のみ)を終え、
今回は新宮熊野に。


もっとも多く伝承が残る地であり、墓所から遺物ではないか?というものまで豊富に存在します。

この地域の伝承地は知り得る限りすべて巡ったと思いますので、中身濃くお届けできるかと思います。


◎新宮市編 (前編・後編)
◎熊野市編
計3回に分けてお届けします。


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■過去記事
* ~ 1 … 始皇帝を欺く!

* ~ 2 … 神薬を求め出航!
* ~ 3 … 九州の徐福伝承
* ~ 4 … 四国の徐福伝説

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徐福が中国の斉国を最後に出発したのは、紀元前210年のこと。

大陸と朝鮮半島との間の東シナ海沿岸をぐるりと廻り、そのまま黒潮に乗れば紀伊半島南端へ。

筑後国や肥前国や日向国などに立ち寄ったという伝承もありますが、それでもまた黒潮に乗って紀伊半島南端へ。

来るべくして来たということかと。


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新宮市は紀伊半島最南端の串本より、さらにぐるりと北東へ沿岸沿いに回った方角。

およそ30kmほどの距離でしょうか。


「熊野川」の河口。
熊野大神の降臨から遷座に関わる多くの伝承を残す地。関連社等を概ね遷された順番に一通りあげておきます。

宮井戸遺跡(アメンバー限定記事)


熊野大神が降臨した時代は分かりません。分かりようもありません。

熊野速玉大社 御旅所(乙基河原)や境内からは縄文時代の遺物が出土しています。

神倉神社の「ゴトビキ岩」の岩影からは銅鐸が出土、熊野大神への祭祀跡だったことが分かります。これは西暦200年頃と推定されています。

縄文時代からの神への祭祀がそのまま熊野大神への祭祀へと受け継がれたのか、それとも熊野大神という新しい信仰が流入し定着したのか。
こればかりは分かりようもありません。



新たな疑問、突飛もない疑問が湧きます。
「熊野大神 = 徐福」???

ま…可能性ゼロではないでしょうが。
そのような伝承が一切無いことから、まったく別の神と考えるべきかと思っています。



徐福が上陸したのは「熊野川」河口の熊野灘に流れ込む寸前。
阿須賀神社宮井戸遺跡との間に上陸地として石碑が建てられています。





徐福はどうやら阿須賀神社の御神体山である「蓬莱山」を目指してやって来たようです。
或いは神倉神社の「ゴトビキ岩」を目指してやって来たのでしょうか。


標高50m程度(資料により30~60mまでまちまち)の美しい三角錐の山容。典型的な神奈備山型。

もちろん山名は徐福に因んで付けられたのでしょう。阿須賀神社の境内には徐福を祀る祠が鎮座しています。


この「蓬莱山」の山裾から、弥生時代~室町時代頃までの祭祀遺物が出土しています。
御神体でもあることから本格的な調査はなされてはいません。


徐福たちによる祭祀跡であった可能性も。


(徐福祠)


また境内からは弥生時代の住居跡が発掘されています。もちろん徐福の住まいだった可能性も。

かつては復元した建物がありましたが、現在は老朽化のため撤去。


(2010年12月の写真。背後は「蓬莱山」)


また境内に座す磐座(自然石)が、徐福の塚だとも一部では言われています。


(こちらがその磐座)



新宮駅のすぐ側に「徐福公園」が整備されています。こちらは徐福の墓所であるとも。

地理的には阿須賀神社から南方200mほどとすぐ側の所。



(「徐福公園」と公園内の墓所、「七塚の碑」等)



墓だからといって仏式で祀るというのは残念で仕方がありません。ちゃんと神式で祀られるべきでしょう。


この「徐福公園」内の墓所とされる所が実は居住跡であり、上記の磐座(自然石)が徐福の墓所であるとも。

また「蓬莱山」を中心にして北斗七星になぞらえて点在していたという、重臣七人の墳丘を一括して集めた「七塚の碑」も。


(熊野荒坂津神社境内から三輪崎漁港を)


徐福は日本に多くの技術を伝えたとされます。

それはもちろん神薬を求めるためには、さまざまな技術職人が必要である、またしばらく留まり生活するためにも彼らが必要であると、始皇帝を欺いたから。


その一つとして「捕鯨」も伝えたとされます。
「三輪崎漁港」や「太地漁港」では近年まで捕鯨が続けられていました。

世界でもっとも「捕鯨」で有名となった「太地(たいじ)」は、「秦地(たいじ)」と表記されることもあるようです。また「秦地」姓の人々もおられるようです。





今回はここまで。
ゆかりの神社や史跡等一覧の紹介に終始しました。

次回はその神社や史跡等の詳細に触れていきます。