☆ 「衾道」 (万葉歌碑)
(ふすまぢ)



大和国山邊郡
奈良県天理市中山町
(御旅所坐神社・歯定神社から真っ直ぐ南へ50m) (御旅所坐神社・歯定神社に車は停められるが近隣は狭小道路なので要注意)



「衾道(ふすまぢ)を 引手の山に 妹置きて 山路を行けば 生けりともなし」 
 
万葉巻2-212の柿本人麻呂の歌。


「衾道」とは「継体天皇皇后 手白香皇女 衾田陵」周辺のこと。
「引手の山」とは「龍王山」のこと。


「衾道を龍王山に亡くなった妻を置いてきて山路を歩けば、生きた心地がしない」といったところ。


生きた心地がしないとは、
この近辺は「葬りの地」であることから。

古代でも幽霊が出るなどと思っていたのでしょうか。そんなことを書いた文献はありませんが。

主だった巨大古墳だけでも以下のように、わずか500~600m四方の中に密集しています。


もちろん亡くなった柿本人麻呂の奥さんも、どこかに葬られたようです。


石碑前にはベンチなども置かれ、「龍王山」を拝することができる「山の辺の道」のスポットとなっています。

日本武尊が詠んだという、「たたなづく 青垣 山籠れる…」がまさにこの光景。

本当に日本武尊が詠んだ歌だと言うのなら、遠征の出発地である伊射奈岐神社(当地より南へ500~600mほど)辺りかと想像されます。

また、実は都などでよく詠まれていた歌だったとしても、纏向を中心に宮が営まれていることから、この南北に連なる山脈を指してのことかと思います。


ところがこの辺りの一角だけは、「倭しうるはし」ではなかったようです。


石碑が建てられています。背後は「龍王山」。


向かって左手が「龍王山」、右端にほんの少しだけ見えているのが「三輪山」、そのすぐ横は「巻向山」など。